穏やかな表情からは想像のつかない配属初日の大胆宣言、それが徹底した顧客第一主義へ ― PERSOL Group Awards 2022受賞の裏に(13)山口康介 ―

パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。「PERSOL Group Awards」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループでもっとも栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。

本連載では、2022年度の「PERSOL Group Awards」を受賞した社員のキャリアストーリーと、受賞の舞台裏をご紹介します。
第13回目は、パーソルキャリア株式会社の山口 康介です。

大学卒業後、地元・山梨県のジュエリーメーカーで7年半にわたって営業などを経験した後、パーソルキャリアに入社。異業種転職への不安を抱えながらも、入社から2年半後にはアワードを受賞。さらにはマネジャーに着任。有言実行を信条とする山口だからこそ成し遂げられた快挙かもしれません。

目次

自問自答の末、30歳で異業種から転職

大学卒業後は銀行への就職を考えていたという山口が、山梨県の地場産業であるジュエリー業界へ進むことになったのは、母校の高校の同窓会常任理事を務めていたことがきっかけでした。山口が在籍していた高校は、総理大臣や警視総監などを輩出した地元の伝統校。大学在学中、たくさんのOBが集まる同窓会総会にサポートスタッフとして出席した際、声をかけてきたのが、その後就職することになるジュエリーメーカーの会長だったそうです。

「会長に自分の想いをいろいろとお話していたら『君、面白いね』と声をかけていただき、最終的には直筆の手紙をいただいたんです。そこには『ぜひ、社長の右腕になってほしい』といった熱いメッセージが書かれていて、その言葉に感激して入社を決めました」

入社後は法人営業の担当として、地元のみならず東京や関西、九州まで広範囲に活動。2年目からは、自社商品を販売するためテレビの通販番組に出演するなど多忙な日々を送っていたそうです。そんな中、会社が小売部門の強化を図るため、都内百貨店に自社ブランドを出店することになり、その担当に入社5年目の山口が指名されたことが、今に至る一つの転機になったといいます。

「それ以前にも、さまざまな地域に出張してきましたが、やはりマーケットが大きい東京を主な主戦場にしたいと考えていました。すでに生活拠点も東京でしたし、このまま東京で仕事を続けたいと思っていたのですが、3年ほど経ったころ、本社の法人営業を立て直したいから山梨県の本社に戻るようにと会社から指示があったんです。
そのころ、嗜好品としてのジュエリー商材も好きでしたが、より社会貢献性が高い仕事もしてみたいと思い始めていた時期でもありました。ちょうど30歳を迎えたタイミングで一つの節目かなとも思い、転職を決意しました」

大胆な宣言を有言実行で現実のものに

転職を選択したものの、進むべき道を決めかねていた山口は『doda』に登録。そこでキャリアアドバイザーから「面白いサービスがあるんですよ」と紹介されたのが、パーソルキャリアの経営支援サービス『i-common(アイコモン)』(現:HiPro Biz(ハイプロビズ))でした。人材業界にはまったく興味がなかったそうですが、面接を通じて話を聞くうちに、社会貢献性が高くさまざまな企業に対して価値提供ができる業務内容に魅力を感じ、パーソルキャリアへの入社を決めたそうです。

「ただ、当時はかなり不安がありました。と言うのも、30歳を超えてからの異業種転職は簡単ではないと思っていたので。入社が決まってからも『本当にこの会社でやっていけるのか』と不安でしたし、自信もありませんでした」

穏やかな口調で淡々と話す姿からは想像しにくいものがありますが、山口には内に秘めた情熱と思い切りの良さがあるようで、自信のなさと不安とは裏腹に、配属初日の挨拶で大胆な発言をしたのだとか。

「部署の皆さんの前で『成果をしっかり出して、1年半後にはリーダーに。3年後にはマネジャーになります』と宣言したんです。かなり、ドン引きされましたけれど(笑)。昔からの癖で成し遂げたいことをあえて口に出すことで自分を奮起させて実現させていくところがあるので、そのためにもこの場でしっかり宣言しておこうと考えていました。ただ、前職では困難な状況でもやり続け、成果を出すために考え抜くという経験を積んできたので、環境が変わっても頑張れるはずとは思っていました。でも結局のところ、言葉にすることで自分を駆り立てた部分が大きかったかもしれないですね」

入社後、『i-common』のコンサルタント業務を担うことになった山口は、結果的に自分で宣言した期間よりも早くマネジャーに着任。パーソルキャリアの現在の人事制度において、入社から2年半でのマネジャー着任は最短記録だそう。それは柔らかい物腰の裏に、決意したことを必ず実現させるストイックさを持つ山口だからこそ成しえた結果にほかなりません。

顧客第一主義が自身のモチベーション

ある時、製造業とIT業の2大業種をメインクライアントにする『i-common』にとって、長年未開拓領域であった運輸・物流業界への開拓が山口に託されました。

「もともと、その物流業界のお客さまとパーソルグループとは人材派遣や人材紹介業務の取り組み事例は多くあったのですが、『i-common』での実績はまったくなく、基本契約すら結べていない状況からのスタートでした。パーソルとして実績はあるのに、『i-common』としての価値を一から生み出すことは思っていた以上に難しくて、いつまでたっても暗闇の中を歩いているような状態でした」

そこで山口は、まずはお客さまへの理解を深めることを徹底するため、企業の成り立ちや事業内容、組織構造などについて、あらゆる媒体から情報をインプットすることから始めたそうです。なんと、自宅のトイレにも顧客を理解するためにプレスリリースなどを置いていたそう。さらには経営層や各部署のキーパーソンをフルネームで言えるように暗記する徹底ぶり。その上で、提案を繰り返し、コミュニケーションを重ね、やっと半年後に受注が実現。山口が信念とする「顧客第一主義」の姿勢と行動が大きな成果となって結実したのです。さらにその成果は、アワード受賞という快挙にもつながりました。

「お客さまの方を向いて、いろいろ考えながら動き、貢献する。顧客第一主義であることがはたらく上でのモチベーションです。その志向が根付いたのはパーソルに入社してからの経験が大きく影響していると感じます。パーソルでの経験を通して、お客さまに喜んでいただくことこそが自分の喜びや幸せにつながっているということに気付くことができました」

今、新たな目標に向かって仲間とともに邁進する日々

配属当日に宣言したマネジャー職への着任を現実にしたことで、山口には新たな目標が2つ生まれたそうです。1つは『HiPro』のサービスを通し、その会社の社員ではない外部人材活用を社会に根付かせること。そして、もう1つが部下の育成です。

「現在携わっている『HiPro』は、経営に直結する課題解決に関わることが多いので、その分、社会に対して影響力を与えられるものでもありますし、何よりお客さまに喜んでいただけるサービスだということを、私自身が心から信じて活動していますので、この事業をしっかり広げていきたいですね。また、運輸・物流業界への取り組みは、私が一人で黙々とやっていましたが、新たに追加で任せていただいている金融・保険業界も含め、新領域の開拓は一人では達成できません。ともにはたらくメンバーの成長があって可能になると思うんです。そのためにも、部下をどのように成長させられるか。彼らの人生を背負っているような責任をひしひしと感じてもいますが、そのプレッシャーもまた自分の力になっているような気がします。日々、彼らに心強さを感じていますし、ファミリーのような感覚で一緒にはたらいています」

『HiPro』を通した外部人材活用の一般化と部下の成長。山口には、それを成し遂げた先に別の目標があります。それは2030年を目処に執行役員に就任することだと言います。

「かなり飛び抜けた目標ですよね(笑)。ただ、30歳で異業種からの中途入社だとしても、頑張れば執行役員にもなれるというロールモデルをつくれたらと考えているんです。何よりそれだけの成果を出すことが、『HiPro』の事業成長につながると信じているからです。その背中を部下や後輩が見て、勇気を持ってもらえたらうれしいですね」

これまで有言実行で難題を克服してきた山口だけに、内に秘めた情熱をエネルギーに大きな目標を掲げています。2030年、パーソルキャリアの執行役員の中に、山口の名前があるかもしれません。

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