地方に住む障害ある方への価値提供を目指して、新たなビジネスに挑む ― PERSOL Group Awards 2022受賞の裏に(5)清水岳広 ―

パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。「PERSOL Group Awards」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループでもっとも栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。

本連載では、2022年度の「PERSOL Group Awards」を受賞した社員のキャリアストーリーと、受賞の舞台裏をご紹介します。
第5回目は、パーソルネクステージ株式会社の清水 岳弘です。

“障害のある方がはたらくを楽しみ、日本社会の次のステージを共に創る”という想いのもと、2020年に設立されたパーソルネクステージ。その九州拠点立ち上げに向けた採用活動を成功に導いたのが人事としてはたらく清水です。試行錯誤を繰り返しながらも歩み続けた日々を経て、今自身の成長を感じていると語ってくれました。

目次

キャリアアドバイザーの言葉をきっかけに、今がある

「私は経歴が変わっているんです」と切り出した清水。確かに、パーソルネクステージへと至る道のりは異色なものでした。獣医大学を卒業後、就職した先はブライダル業界。ジュエリーを扱う企業で勤務する中、仕事への迷いが生じ始めたことが、人材ビジネスへと進むきっかけになったそうです。

「ブライダルの仕事は、お客さまにとって大きなライフイベントなので、すごく感謝もされるのですが、私自身が介することの影響が、とても限定的に感じてしまっていました。転職を考え始めた時に受けたキャリアカウンセリングで『あなたの悩みって人材ビジネスだったら解決するんじゃないの』と言われたんです。キャリアアドバイザーは、自分が担当した人が転職先で活躍することで、その会社にも良い影響を与えることになるし、社会的な介在価値が広がると。その言葉が胸に刺さりました」

その指針を示してくれたのが、パーソルのキャリアアドバイザーでした。

「私にその提示をしてくれた方と、パーソルグループに感謝しています。人事未経験の自分に、今回のようなチャンスを与えてくれるような環境でもありますし、仕事を通じて少しでも世の中へ貢献することで、パーソルが私を採用したことを良かったと思ってもらいたい、そう考えながらはたらいています」

必要とされているビジネスであることを実感

パーソルキャリアに入社後、キャリアアドバイザーとして人事、総務、法務など管理部門を担当領域に5年半従事。人事の方のご支援をすることで人事業務に関心を持ち、2020年10月に障害者の就労支援を行うパーソルネクステージの立ち上げメンバーとして入社、約1年間で福岡・鹿児島・大分・長崎の拠点オープンに伴う採用活動を担当することになりました。3拠点目をオープンするまで、人事総務室は清水一人だったといいます。人事は未経験、障害者と接するのもほぼ初めてと、まさに手探りのスタートだったとか。

「最初は、人事の仕事も何が正解か分からず、何をやっていけばいいのかも分らない。障害のある方のこともよく分からない状態でした。しかし、実際に障害のある方と接すると、すごくITスキルに秀でていたり、むしろ健常者ができない仕事をしているケースがあることに気付きました。それまで自分が抱いていた障害者像と良い意味でのギャップを感じ、そこから何ができるのか、徐々に見えてきました」

実は、障害者支援を事業としているパーソルネクステージへの異動動機は、意外なものでした。

「パーソルネクステージに異動したきっかけは、障害者事業であることよりも立ち上げフェーズでの会社の人事に惹かれた部分が大きかったんです。人事の立場から会社説明会をさせていただくと、『こういうサービスを待っていたんです』とか『すごく必要だと考えていました』という声を直接聞く機会が増え、地方での障害者雇用の創出は必要とされている。社会的に大きな意義があるものなのだと、自分自身の意識もどんどん変化していくのを感じました」

結果、2021年度に72名(うち障害者53名)の採用に成功。2022年3月には人事2名体制となり、現在までに九州に6拠点をオープンさせるに至りました。

過去の経験を面接時に活用

業種や職種は変わっても一貫しているのは「人に向き合う仕事」を続けていたいということ。パーソルネクステージでの障害者採用を通じて、その想いを再認識したそうです。

「応募をしてくださる障害者の方々は、今までの人生で社会活動をしたいと思いつつも、障害におけるさまざまな理由で、それが実現できないと感じている方なのだと採用を通じて感じました」

それを意識した上で清水は、人事としてどう向き合えるかを考え、実践したと言います。

「障害者の方々に障害があっても活躍できる場所があることを知ってもらい、その中で成長していく喜びを提供することを意識しました。パーソルネクステージは『個人の可能性を諦めない』ことが前提にありますので、面接前にその方の強みやこれまでの失敗原因を確認し、面接時にはキャリアアドバイザー経験を活かしてフォローすることで、入社すること自体が目的ではなく、その方の人生を大きく変えられる可能性を感じていただけるように接することを徹底しました」

このような清水の想いは、徐々に形になっていきました。それまで5ヵ月以上の就業経験がなかった方が、業務委託先で約1年にわたって勤務を続け、お客さまから高い評価を受けているケースもあるそうです。

「その活躍されている方が、初任給で家族と外食をして、これまでの感謝を伝えたことをうれしそうに話してくださいました。入社以前は、過去の経験から自信を持てなかった方が、パーソルネクステージの利用を通じて自信を持ち、一般就業へと前進している。これは私たちが障害がある方の『はたらいて、笑おう。』の体現を支援しようとしていることを、より一層実感できた一例です」

もちろん、すべての方が同じような体験を得られるわけではありません。清水には、業務委託先であるお客さまに対しての責任もあります。果たして、依頼業務に対応できる人材なのか。可能性を信じる一方で、その方のスキルや障害の状態を選考過程で確認し、必要であればほかの公共や民間の福祉サービスの利用など、新たな選択肢を提案しているそうです。

アワード受賞がもたらしてくれた感動

さらに今回のアワード受賞で強く喜びを感じる出来事があったのだとか。

「各拠点でアワード発表の動画が配信されたのですが、それを見た拠点の利用者から『清水さんに採用されて、息子に図鑑を買ってあげることができました』とか、多くの感想をいただけました。それがすごくうれしかったです。ただ、今はまず障害者の方が安定的にはたらけることと、トレーニング期間としてでも2年、3年と落ち着いて就業できるようになることが大事。そこから一般企業への就業を支援していく段階に移っていきます。まだ折り返し地点にまでたどり着いていない状態です」

今はまだ事業の過程であって、これからが大切であることを誰よりも感じているのは清水本人。さらに今、自身の想いを強くしていることがあります。

「パーソルネクステージはまだ小さい会社ではありますが、パーソルグループの障害者雇用に少しでも貢献をしながら、健常者だけではなく、障害のある方に対してもパーソルグループのビジョンである『はたらいて、笑おう。』を実現できるように支援したいと思っています。そのためには、われわれが『はたらいて、笑おう。』を実感し続ける必要があると思うんです。これからも初めてのことにも臆せず、日々チャレンジしながらパーソルネクステージの採用活動に取り組んでいきたいと感じています」

常に「人と向き合う」ことを忘れずに活動を続けてきた清水にとって、今回のアワード受賞は目に見える一つの結果と言えるかもしれません。しかし、まだ道の途中。清水の視線はさらに先の未来へと向いています。

今回のプロジェクトメンバー
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