ワークショップで、対話で。新ブランドを一人ひとりの「自分ゴト」にする ― PERSOL Group Awards2023受賞の裏に(11)日沖 むつみ ―

パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。「PERSOL Group Awards」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループで最も栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。

本連載では、2023年度の「PERSOL Group Awards」を受賞した社員のキャリアストーリーと、受賞の舞台裏をご紹介します。
第11回目は、パーソルキャリア株式会社の日沖 むつみです。

日沖が手掛けたのは、「doda X」のリブランディングプロジェクト。元々あったハイクラス転職サービス「iX転職」を「doda」ブランドの傘下とし、新たなスタートを切るために尽力しました。

目次

新卒のころから考えていた、「いつかこの会社に恩返ししたい」

実は、大学の就職活動時にインテリジェンス(現:パーソルキャリア)の採用試験を受け、内定も得ていたという日沖。社会人となりはたらくか、大学院進学するか、迷った時期もありましたが、大学院でマーケティングを学ぶことを決めました。

「大学3年時に就職活動をしたときは、『人が好き』という軸を持ち、人材業界へ興味を持ちました。そこでご縁があったのがインテリジェンスです。しかし結局、内定は辞退。というのも、大学院でもっとマーケティングについて学びたいと思ったんです。マーケティングには人の本性を追求するイメージがあり、より深く学ぶことで『人が好き』をもっと体現できるのではと考えていました。インテリジェンスについては社風が好きだと感じていたこともあり、いつかまた、何かの形で関われたらいいなと思っていましたね」

大学院修了後は、マーケティングが好きな気持ちからアパレルメーカーでマーケティングの仕事に就いた日沖、その後の広告代理店への転職も、「マーケティングの修行のため」だったと彼女は言います。

「アパレルメーカーで一つの分野ばかりやっていると、どうしても頭がカタくなってしまうと思いました。さまざまな分野でできるようになりたい。経験を積んだ上で、どの分野でも共通するマーケティングのスタンダードを見つけたいという想いもありました。マーケティングは資格のある仕事ではないので、どんな仕事を経験してきたかが、そのままその人の仕事の評価になります。だからとにかく経験を積もうと考えていました」

自分たちのブランドだから、自分たちで終わらせて、自分たちで始める

内定を辞退しながらも「いつか恩返しを」と思ったパーソルキャリアへ、日沖は2021年に転職を決めます。希望したのは、iX転職(現在はdoda X)というリリースわずか数年だった転職サービスのマーケティング。当時のことを「ベンチャー企業へ入社するような感覚もあった」と、彼女は言います。

「iX転職はまだまだ伸びしろがあるサービスでした。これから自分の手で世の中の認知を獲得していくぞと、ベンチャー企業で頑張るような感覚に期待していたんです。そして、会社としての雰囲気も、昔の、私が内定をいただいた当時に好きだった雰囲気と変わっていなくて。中途採用の面接が進むと、ラフな服装の方が出てきたり(笑)。ああ、自分が知っている会社だなって、懐かしい気持ちで入社を決めることができたように思います」

しかし日沖の入社後数カ月で、事態は大きく変わります。彼女の担当するiX転職はサービスを終了し、doda傘下の新サービスdoda Xとして再スタートを切ることになりました。「これから伸びるiX転職の認知獲得を目指して仕事がしたいと考えていたので、dodaという大きなサービスの傘下になるということは、そこでのマーケティングは私がやりたかった仕事とは違ってくる。端的に言えば、入社してすぐ、私のやろうと思っていた仕事はなくなったんです。代わりに担当した仕事が、新しいdoda Xとしての、リブランディングを主導することでした」と振り返ります。

「正直に言うと、やりたかった仕事とは全然違いましたよね。でも、誰かに任せて言われるがまま、ブランドが変わっていくことの方が嫌だと考えました。自分がやりたいと思っていたサービスだからこそ、サービスとしての終わりと再スタートも自分でやりたいと。だからリブランディングを引き受けることにしました」

かかわる誰もが、自分のブランドだと思えるdoda Xへ

doda Xとしての再スタートを切るにあたり、当時はまだ何も定まっていない状態。日沖はまず、関係者の目線を合わせて同じゴールに向かえるよう、リブランディングを「自分ゴト化」することを目標としました。

「まず、関係する経営層やマネジャー層を対象にワークショップを開催。そこへ向けて、130ページあるファクトブックを用意しました。dodaやiX転職、それぞれのサービスの立ち位置やこれまでの歴史、売上、目指す未来などを盛り込んだものです。その準備・プランニングだけで3カ月ほどかけたと思います。目的は、関係者の目線合わせ。異なっていたサービスが一つになるのですから、お互いのことを知らなかったり、考えがバラバラだったりしたままでは、何もできない。同じ未来へ向かうための『共通言語』をつくる作業でした」

それぞれのサービスのこれまでの歴史や新しくなったサービスの未来を共有し、言語化。ワークショップのほかには、それらを社内へ伝えるためのブランドブックやムービーも制作しました。iX転職からdoda Xになることを各部署へ通達する際には、日沖は「一つひとつの組織に背景をきちんと説明することが重要だった」と語ります。

「こういった情報解禁は、その情報が早めに必要な部署から順に行います。その都度、説明を聞いていただく時間をつくってもらい、なぜリブランディングを行うのか、どういった未来を目指しているのか、ていねいに話をしました。説明がないままのブランド変更は、ネガティブな感情が生まれやすくなります。かかわる人が自分のブランドだと思いづらくなったり、ともすると広報することにも『やらされ』の感覚になったりしますよね。一人ひとりと、何度でも同じ話をする気持ちで臨みました。結果的に、多くの人がリブランディングをポジティブなものと捉えてくださったように感じています」

やりたいことを発信しよう。それが、キャリアオーナーシップの始まりだ

doda Xは、新サービスとしてリリースしたあとも好調です。登録者数は目標153%、前年比185%を達成。(※2023年8月取材時)日沖は引き続きdoda Xというブランドを育てながら、マーケティングの面白さを追求していきたいと言います。

「マーケティングやブランディングの面白さは、世の中と対話できる点だと思います。たとえば、doda Xの新しいCMをつくるとき。それはまだサービスの顧客ではない人やサービスを知らない人にもはたらきかける仕事ですよね。はたらきかける先が広く世の中全体へ向いているのは醍醐味かなと。ただ売上を上げるとか、サービスを知ってもらうだけじゃなく、自分たちの考え方を広めたり、新しいスタイルを提案することもできる。それって長期的には、世の中の文化をつくることにもつながっている気がしています」

日沖は、「はたらいて、笑おう。」の自身の解釈について、「キャリアオーナーシップそのもの」だと語ります。

「やりたいことを明確にして、それをきちんと発信することが大事ですよね。私なんて、学生時代からやりたいことしかやってないと言ってもいいくらい。それくらいマーケティングをやりたいと言ってきました。やりたいことを発信していれば、周りの人が導いてくれます。何かアドバイスをしてくれたり、近い仕事を与えてくれたり……。言えばかなう。だからこそやりたいことを見つけ、それをどんどん言発信するのが、はたらいて笑うためには大事なんだと思いますね」

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。

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