従業員向け資産形成パートナーサービス『ライフナレッジ』 ─新規事業開発プログラム「Drit」から誕生!

パーソルイノベーション株式会社では、従業員の金融リテラシーの向上や資産形成をサポートする企業を支援したいという想いから、2021年4月より「従業員向け資産形成パートナーサービス『ライフナレッジ』を提供しています。

取り組みの概要

『ライフナレッジ』は、企業の人事に代わり、従業員の金融教育を代行するサービスです。
「オンラインセミナー(以下、セミナー)」「Webコンテンツ(以下、コンテンツ)」「ライフプランアドバイス」の3つを柱に、特定の金融商材を扱わない中立的な立場で、お金のプロであるファイナンシャル・プランナー(以下、FP)が、確定拠出年金制度についてや資産形成のための金融商品選び、運用方法などをはじめ、正しい金融知識と有益な情報をお届けし、従業員の金融リテラシーの向上や資産形成、自律したライフプラン設計をサポートします。

そんな『ライフナレッジ』は、グループ内新規事業開発プログラム「Drit」から生まれた事業。起案しサービスを立ち上げたのは、パーソルイノベーション ライフナレッジユニット ユニット長の荒川 雅登です。

これまでの軌跡

子どもの誕生がサービスを考えるきっかけに。新規事業開発プログラム「Drit」に挑戦!

荒川は2009年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)に新卒で入社し、派遣事業においてITを用いた業務変革などに従事していました。

入社6年後の2015年、荒川は子どもの誕生という大きなライフイベントを迎えます。これこそが、『ライフナレッジ』をつくろうと思った最大のきっかけです。

「子育てにかかる資金はどのぐらいなのか、これから先住宅を購入するとしたらその資金をどう準備すればいいのか、それを知るには誰に話を聞けばいいのか。そうしたことがまったく分からなかったんです」(荒川)

インターネットで調べれば、保険、不動産、どんなことでも情報は溢れ出てきますが、どれが最適なのかはわからず、荒川は各分野の無料相談やセミナーに足を運びます。しかし、話の最後には、そこで扱う商品につながっていく。その状況に、「純粋に相談できないんだ……」と、寂しさを覚えたといいます。

また、荒川は日々人材サービス業に携わる中での体験も、サービスづくりに挑戦する一つの理由になったと言います。

「本当にやりたい仕事を選ぼうとすると、派遣スタッフの方なら時給が、転職者なら年収が下がってしまうことがあります。それで自分のやりたいことを諦めるというケースを何度も見てきました。お金で仕事の選択肢が決まる――、それって悲しいなとずっと思ってきたんです」(荒川)

こうしたことから荒川は、「誰もが安心して相談できるように特定の商材を持たず、各種商品と個人のどちらにも偏らない中立な立場から資産形成に関する有益な情報を提供し、金融リテラシーが向上するサービスをつくろう!」と思い至ります。
しかし、なぜ人材サービス業であるパーソルで金融にかかわる事業を実現しようと思ったのでしょうか。

「“生活”を支えるお金の不安が減少すれば、多くの人がやりたい仕事にチャレンジしやすくなるのではないかと考えました。またそれは、グループビジョン『はたらいて、笑おう。』にもつながるキャリア自律や経済自立を促すことですし、金融商材を持たないパーソルだからこそ中立な立場を保てます。パーソルでやる意義があることだと思いました」(荒川)

とはいえ、「本当にビジネスになるのか?」と考えると、すぐには事業として提案することができなかったそう。しかし、荒川は、“日本人は欧米各国と比べて金融リテラシーが低い”と言われていることや、小・中学校、高等学校で金融経済教育に力を入れはじめた政府や世の中の動きに背中を押されるように、その後一念発起。2019年1月、仲間と3人でチームを組み、パーソルグループが運営する新規事業開発プログラム「Drit」に応募します。

ところが……、あえなく落選。

「でも、『Drit』事務局を含め、周囲の方々が『お金の教育』というテーマに非常に好感をもってくれたんです。これは本当にうれしかったですね。

それに、2022年度からは高校の家庭科で“資産形成”の授業が導入されます。今後、日本全体で金融リテラシーを上げようというという動きはどんどん活発になっていくはずだし、そうしていかなければいけない、――そう思い、再度サービス内容を練り直し、再び『Drit』に応募しました」(荒川)

2回目のチャレンジで、見事事業化することが決定!しかし、審査の段階では「マネタイズは大丈夫か」という心配の声も少なくありませんでした。

「市場がないところに市場をつくってビジネスをしようというのですから、イメージが湧きにくいのは当然のこと。だからこそネガティブな声に真摯に向き合い、何度も何度も資料を作り直し、説明しました。でも、私自身が不安になることはありませんでしたね。やる意義があるという部分では自信がありましたし、ニーズやマネタイズに関しては『やってみなきゃ分からないじゃん』と内心思っていて(笑)。ずっとポジティブでした」(荒川)

資産形成支援や金融教育は人材の採用競争力強化になる⁉

2020年4月、荒川はパーソルイノベーションに異動。「Drit」に挑戦した仲間とともにサービスのリリースに向けてプロジェクトをスタートさせます。
しかし、その後すぐに新型コロナウイルスの感染拡大(以下、コロナ)により緊急事態宣言が発令。

「社外関係者とはもちろんですが、チーム内でコミュニケーションをとるのもなかなか難しくて、いろいろなことが遅々として進まない状況でした。プロジェクトに割り当てられている資金はこうしている間にも減っていくと思うと、危機感というか、焦りというか……。この時が一番苦しかったですね」(荒川)

荒川は、そうした中でも一つひとつの仕事に精力的に向き合いプロジェクトを進めます。そして、2021年4月、ついに、『お金の不安がなくなれば、人はもっと、はたらくを楽しめる』をビジョンに掲げた“人事に代わって従業員への金融教育を代行する企業向けサービス『ライフナレッジ』”の提供を開始しました。

サービスの大きな特徴は二つ。「中立的」であることと、「カスタマイズ性」です。

「商材を扱わず“中立的”なため、たとえばどんな保険に入ればいいかを相談されたときも、その人の立場に立ってさまざまな商品を比較し、アドバイスすることができます。実際、導入いただいた企業さまやその従業員の方からは『商品に結びつかない情報で安心感がある』と好評をいただいています。“中立”であることは、私がずっとこだわってきたことで、これからも大切にしていきたいポイントなので、お客さまにそう言っていただけてとてもうれしいですね。

また、『カスタマイズ性』のため、企業の制度や特徴を踏まえたセミナーやコンテンツを提供しています。
なぜカスタマイズするかというと、たとえば資産形成セミナーをすると一口に言っても、従業員の平均年齢や金融リテラシーレベルによって企業が抱える課題は変わってきますし、企業型確定拠出年金一つをとっても、会社によって制度が違うからです。つまり、画一的なセミナーやコンテンツでは、『私には関係ない』『うちの会社の場合はどうなるの?結局分からない……』と、なりかねないのです」(荒川)

また、『ライフナレッジ』の柱の一つ、オンラインで個別に相談ができる「ライフプランアドバイス」は、セミナーやコンテンツ制作を行ったFPが担当します。そのため、会社の制度を一から説明する必要はなく、セミナーやコンテンツでの話を例にあげて会話を進めることもできるので、より相談がしやすいのがメリット。

「一人ひとりの立場に立って相談に乗ってくれるとこちらも好評で、『社内の口コミで個別相談をする従業員が増えています』といったうれしい声も企業さまからいただいています。また、資産形成支援や金融教育を福利厚生で行うのは、採用競争力強化につながるのではないかと考える企業さまも出始めています」(荒川)

そう、うれしそうに語る荒川ですが、サービス開始当初は「金融教育は大切だと思うけれど、それって会社がやるべきなのかな?」と問われることも多かったそう。荒川は、「この1年で企業の意識がずいぶん変わってきたと感じる」といい、その理由をこう推測しました。

「一つには、企業型確定拠出年金を導入する企業が増えてきたことがあると思いますね。また、これまで企業型確定拠出年金加入者は、個人型確定拠出年金(=iDeCo(イデコ))に加入できませんでしたが、法改定により2022年10月から同時加入が可能になります(※一部条件あり)。
他方では、コロナにより大打撃を受けた業種もたくさんあり、『個人でしっかり資産形成をやらないと……』という気運が高まっていますし、数年後には、高校で資産形成を学んだ子どもたちが入社してくるわけです。

そうしたさまざまなことから、今後資産形成などに興味を持つ従業員が増えていくと考え、金融教育を取り入れる企業さまが増えているのではないかと思います」(荒川)

そして、最後に荒川は次のように意気込みを語りました。

「『ライフナレッジ』を一社でも多くの企業さまに導入していただけるよう、サービスに磨きをかけながら地道に取り組んでいきます。従業員の皆さまには、サービスをどんどん活用していただきたいですね。お金の心配が減少すれば、きっとはたらき方や暮らし方の選択肢が広がるはず。“資産形成”や“金融”と聞くと難しく感じるかもしれませんが、まずは一歩を踏み出し、労働以外でお金を増やす世界を覗いてみてほしいと思います」(荒川)

TRY!Points

・自身の経験をもとに、使う人の立場でサービスを考案した
・サービスを事業化するため、躓いても諦めずチャレンジし続けた
・周囲のネガティブな声には真摯に対応し、自分の考えには自信を持って常にポジティブでいた

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