「VRトラックドライビングシミュレーター」が物流を救う⁉コンテンツ東京で初公開!

ドライバー育成に革新を!エンジニアの技術を注ぎ込んだパーソルR&D初の自社ブランド製品。

パーソルR&D株式会社は、10月21日から23日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された「コンテンツ東京2020」に、運転訓練用の「VR(※1)トラックドライビングシミュレーター」の試作機を公開しました。

本シミュレーターは、トラック開発に多くの知見・実績を持つパーソルR&Dと、挙動のリアルさで定評のあるVRドライビングシミュレーター「T3R(ティースリーアール)」を製造するアイロック社が、両者の技術を融合して開発を進めている製品です。パーソルR&Dはこれまでエンジニア集団としてお客さまのものづくりに力を注いできましたが、自社ブランド製品を手掛けるのは初となります。
(※1)Virtual Realityの略。仮想現実

コンテンツ東京は、コンテンツ制作、映像・CG制作・広告デザイン・ブランディング、権利・IT・最先端デジタルテクノロジーなどの展示会です。今回は、最先端デジタルテクノロジー展のアイロック社ブース内に運転訓練用の「VRトラックドライビングシミュレーター」を展示。シミュレーター前には、興味を抱いたお客さまで列ができるほど賑わい、多くの方が体験をしていかれました。

目次

運転訓練用の「VRトラックドライビングシミュレーター」とは

運転中の死角の確認、発進、旋回、停止といった基本動作の確認をはじめ、トラック運行におけるさまざまなシーンの運転体験ができるシミュレーターです。着目ポイントは次の3つ。

1の「実車と変わらないリアルな挙動」は、パーソルR&Dが蓄積してきたトラック設計・実験データを反映。映像のみならず、シートの揺れやハンドルに伝わる感覚なども、実車時と変わらないリアルさを実現しています。
2の「圧倒的な没入感を生み出すVR」は、運転席室内はもちろん、高速道路や街中などのデータを元にCGを作成し、リアルなシチュエーションを再現しています。
3の「トラック運転トレーニングを実現」は、事故が起きやすい悪天候時の運転、危険運転など、実車では体験することが難しい状況を再現することで、より運転訓練の効果を高めています。

運転訓練用の「VRトラックドライビングシミュレーター」の試作機に乗ってみた!

体験時は、VRゴーグルを装着します。これにより、トラックの運転席に座っている状況になり、広いフロントウィンドウやより立体的な視野が再現されます。たとえば、トラックは死角が多いことや、バックミラーを確認する際も左右に大きく顔を振る必要があるといったことも体感で分かります。
実際に体験をした社員は、感想を次のように語りました。​

みなとみらいの街をそのまま再現したような道路での走行と、暗い夜にトンネルを走るという2つのコースを体験しました。窓から頭を出してみると、本当に360度見たことがある風景がリアルに広がりびっくりしました。運転するときはまるで4D映画を観るときのように、車両の揺れが座っている椅子にも伝わります。「実車でのトレーニングにどのくらい近づけられるかが勝負」とおっしゃった開発担当の方のお話通り、本当に大きなトラック車両に乗って運転する感覚が全身に伝わりました。

 

イベント会場内で直撃取材!

 

東京ビッグサイト場内でパーソルR&D 執行役員 開発管理部 本部長の斉藤 淳に運転訓練用の「VRトラックドライビングシミュレーター」開発のきっかけから、今後の展望までを聞きました。

 


トンネルから出たときの風圧の受け方まで!
挙動チェックとチューニングを繰り返し、リアル感をとことん追求


――トラックシミュレーター、大人気ですね。どのような業種の方が体験されていかれるのでしょうか?

斉藤:業種に関わらず興味を持っていただき、皆さんに体験していただいていますが、展示会のテーマでもありますVRに関係する方、コンテンツ制作やイベントの主催をされている方が多いです。また、共同開発のリリースや、新聞記事をご覧になられて来場いただいた物流関係の方々もおり、大変ありがたく感じました。

――皆さんの反応はいかがですか?

斉藤:まず、スタートした瞬間に「おおー」という声を上げる方がほとんど(笑)。そして、体験を終えると「画像も挙動もリアル!」といった感想をいただいています。とてもうれしいですね。いちばんこだわっているところですから。

――リアルな挙動を再現するのは開発するうえでも大変だったのでは?

斉藤:はい、そこが一番大変でしたね。たとえば、トンネルから出たときの風圧の受け方、旋回するときの車体の傾き方、荷を積んでいるときと積んでいないとき、雨天時や雪道でのブレーキのかかり方の違い……。何年もリアルなトラックを運転してきたベテランの実験技術者ドライバーに乗ってもらい、何度となくチューニングを繰り返しました。挙動に関しては路面からハンドルに伝わる微妙な振動にまでこだわり抜いています。ちょっとでも「実際の運転時と違うな」では、訓練用になりませんから。


シチュエーションもリアルに再現。夜間の高速道路と日中の一般道

――今回、開発中の試作機を公開したのには何か理由があるのでしょうか?

斉藤:パーソルR&Dがこうした取り組みを行っていることを多くの方に知ってもらいたいということと、物流に関わる方々に体感いただくと同時に、課題に感じたことを教えていただく、あるいは「こういうことはできないか?」といったご相談をいただけたらと思ったからです。ものづくりは、“つくる側”の想いだけではなく、実際に利用する“使う側”の意見が重要だと考えています。
また、免許の有無に関係なく乗って体験していただくことで、トラックには死角が多いこと、車両全長が長いため、右左折時に巻き込まないように安全に運転するための技術が必要となることなども実感してもらえるので、交通事故の減少にも繋がるのではないかと考えています。


通販利用者が急増!日本の物流を支えるのは
運転訓練用の「VRトラックドライビングシミュレーター」?


――なぜ運転訓練用の「VRトラックドライビングシミュレーター」の開発を手掛けようと思われたのですか?

斉藤:トラック輸送は、日本の物流の90%以上(※2)を占める中心的物流手段です。そのうえ、新型コロナ感染症(以下、コロナ)の影響で通信販売を利用する人が増え、トラックの重要性はますます高まっています。一方、トラックドライバーは不足し、慢性的に募集している状況です。
トラックの安全運行のためには、ドライバーの安全意識を高める教育に加え、さまざまな環境や状況下での運転体験や、運転技術の向上が必要です。しかし、実車を使用しての訓練は、時間も費用もかかるため容易にできるものではありません。さらに、コロナ禍のいま、ソーシャルディスタンスを考慮すると実施が難しくなっているのが現状です。

――それでシミュレーターを、と。

斉藤:はい。パーソルR&Dは、設計開発専門の技術者集団で、特に商用車開発においては、設計からテストコースにおける車両の総合的なテストまで一貫した開発技術を有し、トラックの実験を行うベテランドライバーも在籍しています。アイロック社とお互いの技術を融合させ、挙動がリアルな運転訓練用の「VRトラックドライビングシミュレーター」を開発すれば、ドライバーの安全運転に繫がり、かつ物流業界に貢献できるのではないかと考えました。
それに、常々パーソルR&Dとして自社ブランド製品をつくり、そこにエンジニアの技術を注ぎこみたい、それにより、もっとエンジニアの「はたらいて、笑おう。」を実現したい、社会に貢献したい――、そう思ってきたというのも理由の一つです。

――まだ試作機とのことですが、今後の予定を教えてください。

斉藤:皆さまからいただく意見をもとに、さらにコンテンツを充実させていき、2021年4月ごろから本格販売を開始する予定です。

●詳細は下記よりご覧ください。
シミュレーター詳細はこちら
シミュレーター動画はこちら

(※2)国土交通省交通関係資料より

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