オンライン商談のツボを知ろう!転職サービス「doda」営業担当が語る3つの極意

昨今の社会情勢に伴い、いま、世の中の「はたらく」が急速に変化しています。特集「はたらく見聞録」では、この時代を前向きに自分らしくはたらくためのヒントや、それを支える活動について連載でご紹介していきます。

今回のテーマは、「オンライン商談」。お客さまと対面での商談ができず、最近オンラインツールを使った営業活動をはじめたという方も多いのではないでしょうか。オンライン商談は、いくつかのツボを知っていれば、お客さま・営業担当の双方にとって大きなメリットがある手法となります。今回は、転職サービス「doda」の法人営業担当としてオンラインツールを活用した商談を行っている2人に、「新規営業」「深耕営業」のそれぞれにおける極意を聞きました。

※本取材は、新型コロナウイルス感染拡大防止のためオンラインで実施しています(記事内画像は画面キャプチャを使用)。


■「新規営業」編

玉木 わか菜(パーソルキャリア株式会社 転職メディア事業部)

…インサイドセールス部隊の立ち上げに携わり、約3年。求人情報サービスへのお問合せに対して、その提案から受注までを、すべてオンラインで実施している。製造・金融・不動産・サービス業界など、あらゆる領域のお客さまを担当。中には、はじめてオンラインでの商談を行うというお客さまも多い。


――ずばり、新規提案における営業のツボを教えてください。

玉木:数えきれないほどありますが、次の3点が特に重要だと思っています。

――順番にお話を伺っていきます。まず【其の一:自分の「話したい欲」を抑える】についてですが、
はじめて接するお客さまだと、たくさん説明すべきことがあるのでは?

玉木:私もオンラインでの商談をはじめたばかりのころは、自分から一方的にセールストークを展開してしまうことが多かったです……。オンラインだと「間」を避けるために、どうしても自分が話したくなってしまうんです。でも、一方通行の話って、特に画面越しだと、ずっと聞き続けているのは辛いですよね。そのため、オンラインでの商談は、対面のとき以上にインタラクティブな場になるように心がけています。

――どんな流れで商談を進めるのですか?

玉木:大きな流れは、対面での商談と同じですね。まずは担当者さまの役割や業務内容などお聞きし、現在どのような課題を抱えているのかを伺います。私からサービス案内をするのは、そのあとです。ヒアリングがしっかりできていれば、どのような提案をすべきか大枠は見えてくるので、短時間の商談でも精度の高い提案ができます。ときどき、「サービス案内から聞きたい」というお客さまもいらっしゃるので、そのときは順番を前後しますが、基本的なスタンスは変わりません。

――次に、【其の二:資料に頼らない】について、詳しく教えてください。

玉木:初回商談の場合は、お客さまも、細かい説明よりまずは大まかな利用イメージを知りたいというニーズが多いです。それに加えて、画面越しに映す資料の文字は少し見にくいので、資料づくりにはあまり凝りすぎずに、実際に管理画面を操作している様子をお見せするなど、お客さまにとって分かりやすいご案内にすることを常に意識しています。


操作画面を共有することで、新規のお客さまでもサービスの利用イメージがしやすい説明を心がけている


――お客さまとのコミュニケーションについては【其の三:意識的に「距離」を縮める】とありますが?

玉木:会話の中で、ふと盛り上がる瞬間ってありますよね。そういうときに、自分も意識的に笑ったりしています。お客さまが、オンラインだと心の「距離」を感じてしまう方であっても、同じ瞬間に笑ったり、同じことに共感したりすることができれば、打ち解けやすくなると思います。

――距離を縮めるために、ほかに何か工夫されていることはありますか?

玉木:お客さまと声のトーンを合わせたり、ところどころ「どう思われますか?」「いかがですか?」と反応を伺ったりといったことには、常に気を配っています。オンラインでもカメラをオフにするというケースも多いので、顔が見えない分、双方向のコミュニケーションが図れるとよいと思います。

――オンライン営業のメリットと注意点は?

玉木:一番のメリットは、訪問の移動時間を確保する必要がなく、商談の日程調整がしやすいことですね。お客さまにスピード感を持って対応することができますし、移動にあてていた時間は、新たな商談や、商談に向けた準備にあてることができます。また、商談の場では、スムーズに資料やデータの共有ができることも、大きな利点だと思います。
注意点としては、「商談は対面が当たり前だ!」というお考えを持っているお客さまに対して、訪問しないことに対する不安を抱かせないようにするということでしょうか。

――それに対しては、どのような工夫を?

玉木:いかにスムーズに初回のオンライン商談を設定するかが重要ですね。私の場合は、「まずは電話で20~30分打ち合せをしたい」とお伝えし、そのうえで「お手元にPCがあれば具体的な資料やデータもご覧いただけるのですが、ご用意可能ですか?」とアポを組むケースが多いです。
私もオンライン商談をはじめたてのころは、お客さまに発注いただけなかった理由をお聞きした際、「訪問にこなかったから」といわれたことがあり、悩むこともありました。でも、「本当に非対面だったことが失注した理由なのか?」を突き詰めて考えていくと、対面か否かが問題ではなく、信頼関係を築けているかどうかが重要なのだと気付きました。そこからは、お伝えしたようなポイントを意識することでスムーズに商談が進むようになり、そのような理由での失注はなくなりました。むしろお客さまからも「操作画面を見ることができて説明が分かりやすい」「楽しくお話が聞ける」など、ご好評をいただいていますよ!


■「深耕営業」編

高野 天音(パーソルキャリア株式会社 dodaエージェント事業部)

…IT企業を中心に担当。人材紹介サービスでお預かりしている求人の募集状況の振り返りや、改善提案などの深耕営業を実施。また、幅広い採用手法を提案するため、ほかのサービス担当者も同席した大人数での商談に臨むことも多い。


――高野さんには、深耕営業におけるオンライン商談の秘訣を伺います。

高野:私からは、以下の3点を挙げたいと思います。

――【其の一:お客さまと、リアルタイムで意見を出し合う】というのは、具体的には?

高野:たとえば、求人票や、応募者の方向けの会社案内資料を作成する際に、ファイルをお客さまに一方的にメールでお送りして確認をいただくのではなく、商談内で画面越しにお見せして「その表現いいよね」「ここはちょっと違うよね」とその場で互いに意見を出し合いながら、作成を進めるようにしています。同じ資料や議事録を見たり、画面を操作したりしながらお話ができる分、オンラインの方が対面のときよりもお互いのイメージをすり合わせやすいと感じています。

――なるほど。より双方向でのコミュニケーションがとれる商談になりそうですね。

高野:はい。それに加えて、立場や役職が異なる方が複数名参加するような商談では、その場で一緒にディスカッションをすることで、関係者全員のコンセンサスが取れて、物事が前に進みやすいです。

――続いて【其の二:事前準備こそ命】についてですが、どのような準備を?

高野:これはオンラインだからという訳ではありませんが、「アジェンダを事前に伝達する」「分かりやすく、論点が明確な資料をつくる」「資料はメールで事前に送付する」といった行動を徹底しています。私の場合は、採用における漠然とした課題に対する状況の整理や仮説立て、戦略立案を行うような商談も多く、お客さまとディスカッションを交わすことも少なくありません。事前の準備次第で、このディスカッションの質が大きく左右されると感じています。

――事前準備について、オンラインならではの注意点はありますか?

高野:時間の使い方には、気を付けないといけませんね。オンラインだと、訪問営業時のような移動時間がなく、お客さまも会議室の予約延長が不要なので、ついつい商談時間が長引いてしまいがちです。また、時間調整が柔軟にできて、すぐに商談を設定できる分、事前準備が追い付かないと内容の薄いアポイントになってしまいます。そういった意味でも、事前準備はとても大切です。

――ほかサービスの営業担当が同席する商談のポイントとしては、【其の三:複数人での商談は、チャットを有効活用】を挙げられていますね。

高野:対面の商談だと、ほかの営業担当に「ちょっと話の方向性を変えてほしい」「話を自分に振ってほしい」と思っても、なかなか自分の意思を伝達しにくいってことがありますよね。目線を送るか、机の下から突くしかない(笑)。

――“営業あるある”ですね(笑)。

高野:でも、チャットを使えば、商談中でも、その人宛てに個別メッセージを送ることができます。商談と同時並行でちょっとしたコミュニケーションが取れるので、場をコントロールして話を進めやすいのかなと。これは、オンラインならではのメリットですね。

――これだけは抑えておくべき!というポイントがあれば教えてください。

高野:繰り返しになりますが、事前準備が肝だと感じています。対面で成し得たような「場の雰囲気づくり」による信頼関係の構築は、オンラインでは少しやりにくいですよね。だからこそ、どれだけ事前にお客さまの状況を把握し、どういうシナリオで商談を進行したいのか。こういった点は、こだわり抜く必要があると思います。また、リアルな場での雰囲気づくりができない分、商談時には「認識は合っていますか?」「いかがですか?」「どう思われますか?」など、対面のとき以上にお客さまの反応を確認することや、コンセンサスを取ることを意識しています。それができれば、オンラインツールをより有効に活用できるのではないでしょうか。

(以上)

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