【パーソルの社会課題解決ストーリー ~100万人のはたらく機会創出に向けて~|第6回】人とAIが拓く”はたらく”の入口──若年層×エッセンシャルワークの新しいかたち「ピタテン」

パーソルグループはグループビジョンとして「はたらいて、笑おう。」を掲げ、誰もが自分の意思で「はたらく」を選び、自分なりの価値を発揮できる社会の実現を目指しています。
本連載では、パーソルグループが描く2030年に向けた価値創造ストーリーの「今」の姿として、「はたらく」にまつわる社会課題の解決に挑む、リアルな取り組みの数々を紹介します。

第6回は、若年層向け転職支援サービス「ピタテン」です。未経験の職種や職場に不安を抱く求職者にキャリアアドバイザー(CA)がしっかりと伴走する一方で、AI活用によって効率化を実現。人とAIの協働で意欲ある若者の挑戦を支え、“はたらく機会”を広げています。

「ピタテン」の取り組みと関わりが深い社会課題

本記事のサマリー
・労働力不足が深刻化するエッセンシャルワーク領域と、未経験の若年層をつなぐサービスを開発
・CAがマンツーマンで支援し、納得感あるキャリア形成を支援
・AIによる面談予約の自動化や模擬面接によって支援の質とスピードを上げるとともにCAの業務を効率化

目次

エッセンシャルワーク領域と若年層、それぞれの課題

日本の労働市場、とりわけエッセンシャルワーク領域と呼ばれる介護、物流、製造といった生活に欠かせない仕事の現場では、深刻な労働力不足が続いています。業種別の労働力不足の度合いを示すD.I.値(※)を見ても、卸売業・小売業24や生活関連サービス業・娯楽業38に対し、エッセンシャルワーク領域は医療・福祉63、建設業57、運輸業・郵便業57と軒並み高水準であり、労働人口の減少が進む中、この構造的課題はさらに深刻化することが予想されます。

一方、正社員として新しいキャリアを築きたい、社会を支える仕事に携わりたいと考え、こうした領域にチャレンジしようとする若年層は確実に存在します。しかし、「正社員経験がない」「業界未経験である」といった理由から、門戸が開かれないケースもあるのが実情です。

「意欲はあるのに人材紹介サービスを受けられない人がいる。この課題をどうにか解決し、誰もがサービスを受けられる世界にしていきたいという想いがあった」

そう語るのは、パーソルイノベーション株式会社 エージェント事業統括部の星野 里季です。前職で若年層×エッセンシャルワーク領域の転職サイトに携わり、強い思い入れを持っていたものの、コロナ禍で事業はクローズ。志半ばで終わった経験が星野の中にずっと引っかかっていました。人を必要とする現場がある。はたらきたいと願う若者がいる。にもかかわらず、両者は出会えない──。このミスマッチを解消するために開発したサービスが、パーソルイノベーションの「ピタテン」です。

(※)厚生労働省「正社員等労働者過不足判断D.I.」(2024年11月)より。労働者過不足判断D.I.(Diffusion Index)は労働者の需給バランスを数値化した指標であり、値が大きいほど労働力不足感が強いことを示す。

求職者に寄り添い、伴走する「ピタテン」の仕組み

「ピタテン」は、34歳以下の若年層、特に正社員未経験者や第二新卒に特化した転職支援サービスです。エッセンシャルワーク領域の求人を中心に、販売・サービス職、事務職など、未経験者入社可能な企業に厳選して紹介します。2024年12月にスタートし、2025年4月に「ピタテン」の名称に改称。登録者数は、2025年9月末時点で約2万5,000人と順調に推移しています。

「ピタテン」のサービスビジョンは、「良いキャリアに向けた最初の一歩をピタッと伴走する」。その名の通り、求職者に寄り添う支援を徹底しています。たとえば一般的な人材紹介サービスでは、初回面談は電話で30分から60分程度行うのが主流ですが、「ピタテン」では、オンラインで90分をかけてCAが求職者と向き合います。

面談後は、ヒアリング内容に基づいて求職者の強みやアピールポイントを抽出し、履歴書や職務経歴書の作成を代行、企業に推薦します。書類選考を通過した場合は面接対策を2〜3回実施し、企業との面接や内定に至るまでCAがマンツーマンで伴走。人材確保に悩む企業に対しても、パーソルグループが持つノウハウを活かし、入社後の定着を見据えたマッチングなど最適なソリューションを提供します。

「未経験の方や正社員経験がない方は、『スキルや知識が足りない』『受け入れてもらえないのでは』といった不安や不満を抱えるケースが少なくありません。こうしたネガティブな感情に寄り添い和らげるには、CAを信頼していただくための関係づくりが必要です。また、『納得感』も重要なキーワードです。たとえば求職者が希望するキャリアをすぐに実現できない場合は、必要なステップや現時点での最適解をていねいに伝えます。入社が決まっても納得していなければ、短期間で退職してしまう可能性があるからです。一方で、将来のキャリアを見据え納得した上で入社していただければ、入社後も前向きに頑張ってくれるはずです」

AI活用によって支援の質とスピードが向上

ここまで手厚い支援を実現できる背景にあるのが、積極的なAI活用です。

「若年層の未経験者採用は、企業側の予算も潤沢とは言えません。そのため、『ピタテン』をビジネスとして成立させるにはCA一人あたりの決定人数を増やさなければならない。一方で、求職者にじっくり向き合い、伴走することこそがピタテンの核心ですから、CAはそこに尽力し、AIで効率化できるところは徹底的に効率化する仕組みが不可欠でした」

「ピタテン」では、大きく3つの場面でAIを活用しています。これらのAI活用により、CA一人あたりの時間コストが10%削減しました。

①面談予約の自動化
求職者が登録したあと、AIが自動で求職者にコールし、CAとの面談日時まで調整します。本来CAが行う初期対応をAIが代替することで、CAは面談に集中することができます。
②AIアバターによる模擬面接
面接対策の模擬面接は、AIアバターが担当。深掘りの質問も行い、質の高い練習環境を提供します。その録画データや文字起こしを基に、CAが内容を確認したう上で求職者にフィードバックします。
③CA教育の高度化
求職者とCAの面談を録画・文字起こしをし、AIによって良かった点や改善点を自動で分析。マネジャーは定量・定性の両面から課題を可視化した上でCAに適切なフィードバックをすることができるため、教育効率が向上しました。

さらに、「ピタテン」は東京大学発のスタートアップと連携し、エッセンシャルワーカーに特化したマッチングアルゴリズムの共同研究を進めています。

「これまでのマッチングアルゴリズムは、登録時や面談時という『点』でマッチングするという概念が強かったんです。しかし、求職者は活動の中で新しい情報が入り、新しい会社を知り、希望や志向が変わっていくことも多い。そうした流れを『線』で捉え、提案する求人を求職者の変化に合わせて最適化していく──。そんなプロセスを踏むアルゴリズムをつくりたいと考えています」

この「線で見るマッチング」は、星野の知る限り、他社ではほとんど研究されていない独自性の高いアプローチだと言います。今後も、AIを多角的に活用しながらさらなる進化を目指していきます。

「誰もが自分らしくはたらける社会」に向けて挑戦を続ける

最近、「ピタテン」が力を入れているのが、地方から上京する求職者の支援です。以前は都市部が中心でしたが、さまざまな地域の方々に対して、東京で新しいキャリアを積んでもらうための支援を増やしています。

「限られた地域ではたらいていた方からすれば、東京に出てくるのは怖いですよね。そうした声に耳を傾け、メリットや解決策を説明することで、不安を取り除き自信をつけていただくようにしています。入社後には、『来て良かった』『新しい道が開けた』と感謝の言葉をいただくことも多く、人の介在価値を発揮できたと感じます」

また、今後の展望としては大きく2つあり、1つは領域の拡大です。

「今は若年層の未経験者がメインターゲットですが、ミドルシニア領域にも展開していきたい。若年層と同様に、正社員経験が少ない・短い、あるいは転職回数が多いなどの理由で、これまで人材紹介サービスを受けられなかった方々にとっての支えになりたいと考えています。職種についても、現在のエッセンシャルワーク中心から、経理、事務などの職種、あるいは飲食など業界の幅を広げていく構想です」

もう1つは、AI活用のさらなる強化です。今後、本格的に進めていくのが、職務経歴書の自動作成です。求職者との面談の録画をベースに、自己PRや職歴をすべて自動生成するという仕組みづくりに取り組んでいます。

「ピタテン」の目標は、2028年度までに登録者数20万人。そして、若年層向け転職支援サービス領域の国内シェアNo.1です。AIと人が協働し、未経験の若者に対して“はたらく機会”を創出する「ピタテン」。その進化の先に待つのは、誰もが自分らしくはたらき、社会に参画できる未来です。その実現に向けて、着実に歩みを進めていきます。

担当者からのメッセージ

パーソルグループが持つ情報資産と豊富な人材サービスは、「ピタテン」にとって大きな競争優位性です。特に、「doda」の膨大な求人データベースを活用できる点は、AI活用における強みとなっています。さらに、スキマバイト領域の「シェアフル」や派遣領域で欧州展開する「Gojob」など、事業形態は異なるものの求職者属性が近いサービスもあり、これから連携を深めることで、AI活用の可能性はさらに広がっていくはずです。

また、こうしたグループの強みを最大限に活かし、当社が注力しているのが、「ピタテン」を中核とした新たな領域の人材紹介です。パーソルグループがまだ十分にカバーできていない領域には、大きな可能性があると感じています。人とAIの伴走モデルを確立し、納得感のあるキャリア支援を提供することで、先駆者として業界をリードしていきたい。そして将来的には、私たちのマッチングアルゴリズムと、CAが培った「決めていくマッチング力」を外部にも展開し、包括的にこの領域を支援していきたいと考えています。

パーソルイノベーション エージェント事業統括部 星野 里季

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。

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