森での社員研修はWell-beingにつながる!?『THE WELL-BEING WEEK 2024』での座談会に社員が登壇

パーソルホールディングス株式会社で社員のキャリアオーナーシップを育む公募型研修「@(アット)」(※1)の企画を手掛ける人事部の樋浦 武志が、3月17日から24日に開催されたイベント『THE WELL-BEING WEEK 2024』(※2)内の『森と組織~森の学びと、人がいきる組織とは~』にて、「株式会社 森へ」の山田 博さん、中村 一浩さん、サントリー食品インターナショナル株式会社の坊 暁子さんとオンラインで座談会を行いました。

2023年11月には、「@アット」の越境学習コースで『森へ』が運営する2泊3日のプログラム、『森のリトリート®』(※3)ビジネス編を実施。「雄大な大自然や森との対話を通じて、静かに心身を開き、キャリア観を整え直す」をテーマにし、山梨県にある原生林の森で開催されました。樋浦がなぜ「@(アット)」に取り入れたのか、そして、森での体験と“はたらく”ということへの繋がりが語られました。

(※1)「@(アット)」のコースについて
「@(アット)」のコースには、「ワークショップコース(先進的でユニークなワークショップをベースにキャリア自律の気付きを得る)」と、「越境学習コース(特異な地域や文化への越境体験やNPO協業等による社会課題解決の体験をベースにキャリア自律を育む)」の2つのコースがあります。

(※2)『THE WELL-BEING WEEK 2024』とは
前野 隆司教授(慶應義塾大学)主催による、日本や世界へウェルビーイングを広めるために、ボランティアによって運営しているイベントです。

(※3)『森のリトリート®』とは
森の中で心身ともにリラックスして深く内省し、仲間と対話し、自分自身や事業の原点について本質的な気付きや洞察を得るため、2泊3日で実施している合宿型プログラム。企業単位でのビジネス編と、個人で参加するライフ編があります。*リトリートとは、慌ただしい日常から一旦離れて、心身ともに整え直すこと。

本記事では、座談会の様子を一部抜粋・編集してご紹介します。

<モデレーター&登壇者>

写真左から
モデレーター|村 一浩さん(武蔵野大学 ウェルビーイング学科 准教授/株式会社 森へ 前・代表取締役)
登壇者|山田 博さん(武蔵野大学 ウェルビーイング学科 教授/株式会社 森へ 創業者/プロ・コーチ)
登壇者|坊 暁子さん(サントリー食品インターナショナル株式会社 人材開発部)
登壇者|樋浦 武志(パーソルホールディングス株式会社 グループ人事本部 人材開発部)

目次

森は素直になれる場所。気付きをそのまま受け止められる

中村さん:坊さんと樋浦さんは、どのような背景で『森のリトリート®』に参加されたのですか?まず、坊さん、お願いします。

坊さん:はじめ、部下との関係で悩みのある管理職に対し、“自分自身を見つめ直すきっかけの場を提供したい”という想いで何名かに参加してもらっていましたが、人事側で参加した経験のある者がいなかったので、人事担当者としてライフ編に参加しました。

中村さん:参加されてどうでしたか?

坊さん:一言でいうのは難しいのですが、鎧を脱ぐような体験だったかな、と思っています。鎧を着ていることに気付いて、鎧を脱げるという自信もついた3日間でした。

中村さん:鎧というのは……?

坊さん:会社でやっていくには、常に自分じゃないものに進化していかないといけない、っていう感覚で仕事をしていて……、それで苦しかったんですね。でも、それって周りのせいじゃなくて、私自身が自分じゃないものになろうとして鎧を着ていたからだったんだな、って気付いて。それを脱ぐと救われる感じになる、それが分かったという感じでした。

中村さん:ありがとうございます。樋浦さんは、どのような背景で参加されたんですか?

樋浦:1年ぐらい前にプライベートで、昨年の11月には、会社の研修プログラムとして参加させていただきました。
パーソルグループでは、非日常の環境で人生観や仕事観を含めて、幅広い視点においてキャリア観を見つめ直してもらうことをコンセプトにした、社員のキャリアオーナーシップを育む公募型研修「@(アット)」を実施しています。「@(アット)」には「ワークショップコース」と「越境学習コース」の2つがあり、『森のリトリート®』は、「越境学習コース」の一つのプログラムとして、日常の境界線を越えた森という場所で、自分を見つめ直し、キャリア観を整え直すための機会づくりを目的に実施させていただきました。

樋浦の「@アット」の説明に、参加者の方々は興味深く耳を傾けていました

中村さん:最初は個人で参加されたんですね。どうでしたか?

樋浦:自分で2泊3日の合宿を体験して、良かったら会社の「@(アット)」の研修のプログラムで実施したいと思って、ライフ編に参加しました。1日目は、「森の中の好きな場所で1日を過ごす」というものだったんですが、正直居心地の悪さしかなくて(笑)。今思うと、「森を味わってみよう!」といった気持ちが強かったので、同化していない私は森から異物として警戒されてしまったんでしょうね。お互い探り合うような感じがあって心が落ち着きませんでした。
それで2日目は初日と場所を変えてみました。その日はいいお天気で、目についた大木の下で横になっていたら寝てしまい、目が覚めたのはお昼ごろ。そのまま見上げた光景は、とってもキレイでした。太陽に照らされた葉がそれぞれに輝いていて、そよ風に揺れながら交わったり離れたりしているんです。そしてそのあと、体を起こして横をみたら、陽射しや風を受けていない葉っぱがたくさんあって……。その時、葉の存在ではなく、葉がどう機能しているかを見ている自分に気付いて、「僕は葉っぱの存在ですら自分の価値観の中で判断しているんだ」と思ったんですよ。でも、不思議とそれに気付いても、嫌な気持ちにはならなかった。研修で「内省をしましょう」と言われると、反省しなければならないような気持ちになりがちですが、森の中では心で感じたことをただただ「そうなんだ」ってスーっと感じただけで。「これが森なのか」って、そこではじめて『森のリトリート®』を体験できた気がしたし、これは普通のプログラムでは多分味わえないことなんだろうなと直感しました。

山田さん:今、起きた現象を分かりやすく話してただいけて、本当にそうだな、と。個人的なことを言ってしまうと、人と会話していて「自分の価値観で判断している」といったことに気付いたとしても素直になれない自分がいたりする。だけれど森の中だと不思議とそれがない。自分自身を評価判断することなく、すっと、そのことが入ってくるんですよね。

樋浦:あと、太陽を見たときに、「太陽は葉を輝かせているんだ」と思う一方で、そうした役割や価値を葉を通して授けてもらっているんだとも感じたんです。一方的に“している”とか、“してもらう”ではなく、お互いに価値を与え合い、恵を受けているんだ、って。“生かし生かされている”ということにもっと謙虚になったほうがいいな、とも思えました。そう心から感じることができたのは、森でのこの体験が大きかったと思いますね。

中村さん:生かし生かされという循環みたいなことや調和とかって理屈では知っているけれど、森に入ると、それが体感的に分かる、そのままを感じることができるんですよね。
体験を持ち帰って、日常生活で仕事をする上でどう活かされましたか?坊さん、先ほど鎧を脱ぐというお話もありましたが……。

坊さん:私自身は、仕事していて苦しくなると森で鎧を脱いだときの感覚を思い出しています。朝、通勤電車の中からちょっと木が見える……、そんな時でも深呼吸をして、その感覚を思い出す。落ち込んだり、いつもの調子が出なかったりした時に、森の経験を通して立ち直る、みたいな感じですね。

坊さん(サントリー食品インターナショナル株式会社 人材開発部)

中村さん:樋浦さんは?

樋浦:私は森で「幸せってどういうことなんだろう」ということを考えることができて、自分を幸せにするための種火みたいなものを持ち帰れたと思っています。その種火って、場所や環境が変わったからといって消えるものではなくて、しっかり火がつくんです。それは自分で辿り着いた言葉(種火)だからじゃないかなと思っています。

「今の自分を受け入れる」ことはWell-being実現の大切な要素?

山田さん:樋浦さんは『森のリトリート®』のビジネス編にも社員の皆さんと参加してくださったんですよね。参加した方々の反応とかはいかがでしたか?

樋浦:言葉にするとありきたりに感じるかもしれませんが、「ずっと自分の中で認めることができなかったことを受け止めることができた。これが森のパワーなのかと印象に残った」とか、「自分を受け止めるとか、受け入れるって肩に力を入れてやろうと頑張るのではなくて、自分がここにいることをそのままに自分で感じることができた」という感想もありましたね。

山田さん(武蔵野大学 ウェルビーイング学科 教授/株式会社 森へ 創業者/プロ・コーチ)

中村さん:坊さんにも、樋浦さんにも、ビジネス編で参加してくれた方にもすごくいい体験をしていただけたと思うんですが、企業としては『森のリトリート®』をどう思うのでしょうか?参加した人の中で変化が起きたり、認識が変わったりするのは企業にとって良い面もあると思うのですが、ぼくは『森のリトリート®』に参加した結果、会社を辞めるという決断をしているので……。

坊さん:私は、会社が研修の一環として社員を『森のリトリート®』に出すというのは違うんじゃないかな、と思っていたんですが、今日皆さんと話しているうちに、その考えも違うのかな、って思いました。でも……、まだ答えがない感じです。

樋浦:私は森に行って、自分を幸せにするための種火をもって帰ることができて、それが今の自分を動かす力にもなっているなと実感していので、個人的には多くの人を送り出したいと純粋に思っています。
人事として、昨年「@(アット)」の研修はどうだったかというと、『森のリトリート®』に参加した人たちを見て、「自分を生きる力の回復」ができたんじゃないかなと思えますし、「キャリア観を探求する」というところでもとても良かったと手応えを感じています。「今の自分を受け入れられるかどうか」はすごく大切だと思っていて、森の中での探求は、会社にいる意味などを自分の中に見つけることにもつながるな、と。そして、「今の自分を受け入れる」ことは、ここにいたいという理由になって、自分の生き方への満足感にもつながっていく……。つまり、Well-beingのテーマにつながる大切な要素だと思うんです。人事として“自分を見つめ直し、キャリア観を整え直す機会”となる研修をしっかりと意志を持ってやっていきたいと思います。

中村さん:こんな人事の人がいたらうれしいな、と素直に思いますね。最後に坊さん、樋浦さん、感想をお願いします。

今回のモデレーター、中村さん(武蔵野大学 ウェルビーイング学科 准教授/株式会社 森へ 前・代表取締役)

坊さん:すごく素敵ないい時間でした。樋浦さんの先ほどのお話を聞いて、キャリアを考えている会社の奥深さみたいなものを感じて、今、純粋に感動しています。

樋浦:あっという間の80分でした。今回対話させていただいている中で、『森のリトリート®』に参加していたときの気持ちが、自分の中で暖かく湧き上がってきて……。改めて自分らしくいることとか、素の自分にエールを送るパワーがみなぎってきたといった感じです。ありがとうございました。

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。

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