塩尻市協業プログラムでの提案が予算化!地域への越境体験でキャリア観を探求

パーソルグループは、社員自身がグループビジョンである「はたらいて、笑おう。」をより実感してもらうための公募型キャリアオーナーシッププログラム「@(アット)」を実施しています。

この研修の一環として、2023年7月から約2カ月間にわたり、長野県塩尻市と協業して「塩尻市の人事部プロジェクト」を実施。官民のセクターの境界を越えた社会課題解決への取り組みを通じ、キャリア観の探求を目指したものです。2024年2月29日に行われた「人的資本経営コンソーシアム連携×地域の人事部/越境研修 現地交流会」(主催:経済産業省関東経済産業局)では、この研修を実践事例としたパネルディスカッションが行われました。

越境研修 現地交流会の参加者

交流会の目的は、越境学習による人材開発・キャリア自律プログラムを行う担当者同士の交流や意見交換。当日はオンラインとオフラインのハイブリット形式で開催され、人的資本経営コンソーシアム参画企業や中小企業、行政・大学・NPOなど、約40名が参加しました。

当日のプログラム
・チェックイン、塩尻の紹介と視察
・ランチ
・パネルディスカッション①/大企業の越境学習実践事例
・パネルディスカッション②/地域企業と越境人材の事例
・大企業中心に社内で取組みの推進方法について意見交換
・まとめ、閉会
・懇親会

プログラムのうち「パネルディスカッション①/大企業の越境学習実践事例」では、パーソルホールディングス株式会社 グループ人事本部の樋浦 武志が登壇。「塩尻市の人事部プロジェクト」の概要や成果を紹介しました。

官民連携地方創生プログラム「塩尻市の人事部プロジェクト」

(1)概要
長野県塩尻市を舞台に、実際に起きている地域課題の解決に向け、パーソルグループ、行政、商工会議所、教育委員会などさまざまなセクター同士が連携し、持続可能な地域実現を目指した実践型プログラム。

プロジェクトでは、パーソルグループの社員と市役所の係長数人ずつからなる混成チームを3つ組成。参加したパーソル社員にとっては、多様な価値観や世界観に触れることでキャリア観を広めること、そして市役所職員にとっては、所属部署を越え塩尻市の発展に貢献する取り組みを通じ、リーダーシップや課題実践力を育むことを目的としました。

ワークに取り組むプロジェクト参加者の様子

(2)具体的な実施内容
塩尻市が直面している課題のうち、以下2つのテーマをチーム単位で取り組みました。
①小中高を接続した産官学連携による地域に密着したキャリア教育のグランドデザイン構築プロジェクト
 1チーム(パーソル社員4名、市役所職員2名)
②中小企業の採用・定着力を高める地域一体となった福利厚生施策スキームの検討プロジェクト
 2チーム(パーソル社員3名、市役所職員2名)

それぞれのプロジェクトは約2カ月半かけて、現地フィールドワークを行いながら課題解決案を策定しました。

塩尻市で行われた最終報告会の様子

(3)成果
最終報告会では塩尻市長をはじめ、ステークホルダーの皆さんにプレゼンテーションを行いました。
①小中高を接続した産官学連携による地域に密着したキャリア教育のグランドデザイン構築プロジェクト
【課題解決案】子どもたちの塩尻市への郷土愛を育む専門人材「キャリア教育仕掛け人」の設置を提案
【結果】教育委員会で予算化の上テスト実証を予定。

②中小企業の採用・定着力を高める地域一体となった福利厚生施策スキームの検討プロジェクト
【課題解決案】就活中の高校生や若手社員を対象に、企業とのつながりに変革を生み出すオープンコミュニケーション施策の実装を提案
【結果】商工会議所の予算として実証予定。

また樋浦は、参加者より「社外の参加者と協業することで視野が広がり、現在の仕事と異なった環境で新しい自分と出会うことができた」「異業種混成のチームリーダーを経験したことで、考え方や価値観が変化し、新たなリーダー像が生まれた」といった声を紹介。参加者にとって、自身の仕事への接続とキャリア観探求の両面において有意義な成長機会につながったことも発表しました。

「塩尻市の人事部プロジェクト」の参加者

樋浦によるプレゼンテーションの後、質疑応答が行われました。

Q:越境学習プログラムに携わってきた中で、うまくいかなかったことや難しかったことはありますか?
樋浦:一人ひとりの個性や能力特性、熱量やスタンスなどの違いも含めて、お互いを本当に尊重し合えるチームづくりは簡単ではないと感じています。最初は小さな違和感であっても、それが積み重なると、結果チーム崩壊や脱落者を生む要因に発展することもあり得る。そういった想定外の厳しい体験も、越境学習ならではの実践的学びではありますが、やはり度々難しさを感じるところです。

Q:プログラム実施側として、参加者との関わり方を教えてください。
樋浦:先ほどのお話しにも通じますが、越境学習においてはやり抜いたその先にしかつかめない経験が、特に重要です。そのためプロジェクト推進の支援と同じくらい、内省の支援が大切。プロジェクトに参加する目的や目標などを立ち返る場所の設定や、活動を通じて得た気付きや教訓、生まれた変化や価値観など、参加者が学びを言語化して持ち帰ることができるようにデザインをしています。

Q:「@」というプログラムを通じてグループビジョンを達成するという大前提はあると思いますが、参加者のキャリアオーナーシップが高まることで見えてくる効果や期待できることは?
樋浦:効果としては、セルフリーダーシップの向上とパラダイムシフトの促進が大きいと考えています。盲目的に期待に応え続けるだけではなく、自分はどうしていきたいかを自身に問い考えること。そうすることで「自分で決めている実感」を強く持てるようになり、今いる場所における自身の意味を見出せるのではないでしょうか。ひいては、自分で自分を幸せにできることへの自信につながると思います。

こうしてパネルディスカッションは終了。その後、交流会参加者による意見交換や懇親会が行われました。

今後のパーソルグループにおける人材開発・キャリア自律の展望について、樋浦に聞きました。

社員の皆さん一人ひとりが、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」をより豊かに実感できるための支援として、キャリアオーナーシップを育む取り組みはとても大切だと考えています。特に、主体的なキャリア構築の後押しという観点においても、自身が大切にしたい価値観やありたい姿を明確にし、キャリア観を鮮やかに色付けることができる機会を広げていきたいです。引き続き、前例にとらわれないユニークなプログラム開発を通じて、自身の熱源に明かりを灯し続けることができる環境づくりを推進していきます。

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。

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