笑顔の数に応じた金額を認定NPO法人「育て上げネット」に寄付。私たちが「はたらくWell-being」を推進する理由

パーソルグループは、3月18日から24日の期間に有楽町マルイで開催された「One Week for Well-being」にて、来場者の笑顔に応じて蓄積したポイントを寄付する「Work, and Smile for Donation」を実施しました。

「Work, and Smile for Donation」では、カメラのついた笑顔測定器を設置し、顔画像を解析することによって笑顔レベルを計測。計測された笑顔はポイント化し、その数に応じてパーソルグループが推進する「はたらくWell-being」(※)の創造と同様の目的で活動する団体に寄付を実施することで、「はたらいて、笑おう。」を社会のチカラに変えることを目指しています。(取り組みの詳細はこちら

(※)はたらくことを通して、その人自身が感じる幸せや満足感のこと。

有楽町マルイ1Fに設置された笑顔測定器

「One Week for Well-being 」で集められた金額は、認定NPO法人「育て上げネット」に寄付しました。
同法人は、『すべての若者が社会的所属を獲得し、「働く」と「働き続ける」を実現できる社会』を目指して活動しています。はたらきたいけれどはたらけずにいる若者の自立を目指して、若者の就労支援や、その支援基盤の強化(支援現場の可視化・体系化や、支援者の育成)などの取り組みを行っています。(詳細はこちら

今回の寄付を踏まえて、「育て上げネット」理事長の工藤 啓 氏(冒頭写真左)と、パーソルホールディングス グループコミュニケーション本部 本部長の村澤 典知(冒頭写真右)の対談を実施。「育て上げネット」とパーソルグループは、なぜ人々の「はたらくWell-being」を重視するのか聞きました。

*本記事は当日の様子を記事化した「新R25」掲載記事から一部を抜粋・再編集したものです。

──工藤さんは、なぜ「育て上げネット」を立ち上げようと思ったのでしょうか?

工藤氏:両親が小さな塾を営んでいて、私が産まれる前に、障害のある女の子を引き受けることになりました。そのことがきっかけで、我が家は、さまざまな事情で学校に行けない、あるいははたらけない人たちの居場所になり、いつしか塾の枠を超えて「家」のように彼らと一緒に生活をするようになりました。

私は幼少期からそうした人たちに囲まれて育ったわけですが、幼いながらも「この人の将来はどうなるんだろう」と心配になる人が、仕事に就くことでみんな元気になる姿を見てきました。そのとき、「はたらくってすごいな」と率直に感じたんです。

一方で、若者を支援をする人たちも必要です。すごく大変ですし、当時、塾ではたらいていた人たちが、支援を続けたい意思はあっても生活のことを考えるとなかなか続けられないという光景も見てきて。だからこそ、はたらく人を支える人たちの人生も良くなる世界をつくりたいと思ったことが、起業の原点です。

──パーソルが「育て上げネット」を寄付先に選んだ理由は?

村澤私たちは「はたらいて、笑おう。」というグループビジョンを掲げ、パーソルグループ中期経営計画2026において「はたらくWell-being」創造カンパニーとなることを目指しています。私たちは派遣事業や転職支援サービスなどを通じて「はたらくWell-being」の実現に取り組んでいますが、あらゆる「はたらく人」をパーソルだけで助けられるわけではありません。

そんな時に「育て上げネット」の活動を知りました。目指している世界観も近く、「さまざまな理由があって就労が困難な方々」を支援するという活動にも大変共感し、ぜひ力になりたいという想いから今回寄付先に選ばせていただきました。

──パーソルが「はたらくWell-being」を推進する目的を教えてください。

村澤「世界幸福度調査」にデータを提供しているGallup社が2022年に発表した調査によると、日本で熱意を持ってはたらいている人の割合はわずか5%だったそうです。人生において大きなウエートを占める仕事に対して、90%以上の人がやりがいを感じずに過ごしている状態はとても不幸ですよね。「はたらくWell-being」を高めることができれば、人生はもっと楽しいものになりますし、家族や友人、知人にも良い影響があるはずです。そんな好循環をつくることができれば、社会はもっと豊かになると思います。だからこそ「はたらくWell-being」を推進していこうと決めました。

──はたらくWell-beingを実現していくには、どんな課題や障壁がありますか?

工藤氏:日本では「はたらく=雇われる」という認識が強いと思います。事実、日本の雇用対策のほとんどは就職支援ですが、私は、雇われる以外のはたらき方ももっと広めていければ良いと思っています。

育て上げネットでは、支援している若者に対して、3年くらい前からコースターやイヤリングなどの小物や、クリエイティブを自分でつくって、フリーマーケットで販売してみる取り組みなどを応援しています。
「私は〇〇ができる」「僕は△△ができる」という自信、収入につながる選択肢は多く持っていた方が良いと思います。試行錯誤した結果、やっぱり就職したいと考えてもそれも全然正解です。

最近、話題になっている副業解禁についても多くの場合は「正業」があっての「副業」ですが、人によってはまず「副業」が先にあって、そこから「正業」を手に入れるというルートでもいいと思っているんですよ。

村澤パーソルグループも社員の副業を解禁していますが、複数の仕事を持つ場合は、どちらかが「正」、どちらかが「副」という考え方ではないという考えで「複業」という漢字を使っています。2017年に複業制度をスタートしましたが、今は社内のIT人材を対象に、グループ内の企業で個人事業主としてはたらける制度をトライアルで運用を開始するなど、新しい取り組みにも積極的にチャレンジしています。

工藤氏役割や居場所を複数持つことは精神的な安定にもつながります。「育て上げネット」には普段は企業ではたらいて、土日に私たちの活動を手伝ってくれる若者もいます。以前は仕事で悩むことが多かったものの、休日は若者の就労支援、平日は企業勤めを頑張る中で心のバランスがとれるようになったと言っていました。

──これからの目標について教えてください。

村澤「はたらくWell-being」を推進する上では、個人の意識と組織のサポートの2つの論点があると思います。個人の意識の面では「自分に合ったはたらき方を選ぶ」というマインドをもっと醸成したいですね。組織のサポート面では、日本全体で見ると柔軟なはたらき方を支える制度や副業を解禁できていない企業も多く存在します。もちろん仕事内容によってはそうした制度を取り入れられない企業もある。しかし、それでもなお、多様な人材にはたらいてもらえるような仕組みや制度の充実に企業がもっと力を注げる環境をつくっていきたいと思っています。

「はたらくWell-being」は人それぞれです。お金を稼ぐことが幸せだと思う人もいると思いますし、昇進することに幸せを感じる人もいます。しかし、それだけではなくて成長や居場所といった価値観もある。キャリアアップだけが正解じゃないんです。パーソルとしてはこれからも世の中にはさまざまなはたらき方があることを伝え、自らのキャリアやはたらき方を選べるように情報を積極的に発信していきたいと思います。

工藤氏「育て上げネット」のミッションは、はたらきたくてもうまくはたらけない、はたらき続けることが難しい若者が、本人の望む「はたらく」の実現が可能な状況になるまで伴走することです。そこから先はハローワークやパーソルさんの出番なのだと思います。私たちがゴールと定めているところが、パーソルさんにとってはスタートというわけです。人のキャリアというのは幅が広くて、一つの組織や団体ではその人のキャリアのすべてを網羅することはできません。だからこそ、同じ志を持った組織や団体と協力し、人々の「はたらくWell-being」を支援することで、社会をより良い方向へと変えていきたいですね。

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