WEリーガーの未来のために!キャリアコンサルタントの資格を有するパーソルの社員が8カ月間選手に伴走

パーソルホールディングス株式会社は、公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)、一般社団法人日本プロサッカー選手会(以下、選手会)と共同し、日本のプロスポーツとしては初となるPLAYER DEVELOPMENT PROGRAM(※1)のパイロット版導入に際して、2022年10月から、PLAYER DEVELOPMENT MANAGER(※2)として参画してきました。

(※1)PLAYER DEVELOPMENT PROGRAM(以下、PDP)とは
PDPは、国際プロサッカー選手会(FIFPRO)が推奨する、アスリートをさまざまな角度でサポートするシステムです。サッカーに限らず、ラグビーなど世界の各競技の選手会がトップレベルの現役選手に提供しているサポートプログラムであり、選手のメンタルヘルスの向上、Well-being、引退後のキャリア支援を目的とした取り組みです。

(※2)PLAYER DEVELOPMENT MANAGER(以下、PDM)とは
PDMは、現役選手が、引退後も、自分がやりたいと思える夢や過ごしたいと思える人生を、自ら主体的につくり上げていくことを「サポートする」PDPの中心的存在です。選手を「先導」するのではなく、「選手が主体となって共に歩む」形で種々のサポートを行います。

*詳しくは、こちらをご覧ください。

PDPにおいてパーソルグループは、PDMとしてWEリーガーのメンタルヘルスケアからキャリア支援まで、さまざまなサポートを行います。PDPパイロット版の導入にあたり、まずはキャリアコンサルタントの資格を有したパーソルキャリアの社員が対話を通して選手をサポートするプログラムのパイロット版を選手会とともに行いました。選手会は、2022年9月から参加選手の募集を行うとともに順次選考し、10月にはPDMとして伴走するコンサルタントとのマッチングを成立させ、その後、10月中旬から6月末まで、約8カ月にわたりこの取り組みを実施。今回は4名の選手に参加いただき、各担当PDMと面談をしました。

本記事では、PDPに参加した石淵 萌実選手水谷 有希選手、そして選手会で活動する元なでしこリーガーの松田 典子さん、PDMとして選手(石淵選手と水谷選手)の伴走を務めたパーソルキャリアの松橋 いとの4名が語った、PDP導入へと至った想いや、取り組みに参加しての感想、今後の意気込みなどをご紹介します!

目次

将来につながるリソースを発見!

なぜPDPをWEリーグに導入しようと思われたのですか?

松田さん:海外ではさまざまなスポーツの選手会がPDPを取り入れていて、実際にヒアリングをしてとてもいい取り組みだと感じました。PDPをWEリーグに導入し、WEリーガーの現役中から引退後の人生に対してまで、さまざまなサポートができたら……、そう思ったんです。
今回、PDMの方と対話するプログラムを実施しようと思ったのは、選手が対話を通して自身についての認識を深め、潜在的な想いに気付いたり、思い描く人生の整理をしたりしながら、将来のキャリアや人生をより豊かにするヒントを得てもらえたらという想いからです。今回は、パイロット版で実施期間が約8カ月と短かったのですが、気付きや明確になったことがあればうれしいなと思っています。

──石淵選手、水谷選手、いかがでしょうか?気付きや明確になったことはありますか?

石淵選手:今までまったく認識していなかった自分の強みに関する気付きもあったし、今選手として取り組んでいることが、将来どのようにつながっていくか、PDMの松橋さんと対話し、言語化することで明確になりました。

水谷選手:これまでなんとなく描いていた将来への気持ちが確信に変わりました。

水谷 有希選手(三菱重工浦和レッズレディース)

どのような気付きがあり、どう明確になったのか、具体的に教えていただけますか?

石淵選手:自己理解を深めるため松橋さんと一緒に「クリフトンストレングス」という自分の潜在能力を知るテストに取り組んだのですが、私の一番の強みに「戦略性」が上がってきたんです。「上昇志向」や「行動性」の方が上位にくると思ったので驚きました。でも、自分のこれまでの行動を振り返ると、「こうだから、こう」って紐づけて決断していることが多いんですよ。私の内側に隠れていた特性を引き出し、認識させてもらえて、とてもいい気付きになりました。

また、私はここ数年、“どうしたらもっとパフォーマンスを上げられるのか”と、人の体の仕組みに興味を持ち、自分の体であれこれ試しています。これは、応用すればデスクワークによる肩こりや首こりの解消などにもなること。自分の体できちんと結果がでれば、それを多くの人に伝えることができるし、パーソナルトレーナーなどの道にもつながるんですよね。
競技生活以外のことも考えたいという気持ちはあっても、なかなか自分の中で言語化できていなかったことが、松橋さんと対話することで、はっきりしました。

選手引退後のキャリアを“別もの”と考えて、30歳すぎてから一般企業に入ると考えたら、何かしなきゃならない気がするし、それって恐怖でしかない。でも、今、本気で取り組んでいることが武器になる。選手として活かしているものが次のステージでも有効に活用できる。すべては同一直線上にある。そう、明確になったのは、私にとって、とても意義深いことでした。

石淵 萌実選手/アルビレックス新潟レディース

水谷選手:私はそれまで、ぼんやりと考えていた“指導者になりたい”という自分の気持ちが明確になりました。

実は……プログラムを受けはじめたころ、ある試合で後輩の判断がピンチを招いてしまったんです。そして、その試合後、その後輩からプレーについて質問を受けたんですが、プレー直後でイライラしていたのもあり、後輩の考えは聞いたものの、その後は自分の意見を強く言い放ってしまって……。それで心が重くて、松橋さんに、「どうすればよかったんですかね」と、話をしてみたところ、「一呼吸置く、その場から離れてしまうといったやり方もある」など、いろいろな方法が選択肢として挙がってきたんです。それからは、それらの方法を実践しては松橋さんとの場で振り返る、を繰り返しました。どういう場面で、どういう方法をとれば自分に余裕をつくれるかを一緒に探していただいた感じですね。そうしているうちにきつく言うこともなくなったし、自分がどういうときに感情的になりやすいかも分かってきました。

自分の思考や行動パターン、それに合わせたコミュニケーションの取り方を知ることは、プレーヤーとして役立つだけでなく、指導者としても大切なスキル。今、日常でも“コミュニケーションの取り方”を意識しながら過ごしています。

選手とPDM、お互いに気付きを得る

今回、選手会に選ばれたPDMは、これまでサッカーと縁がない者でした。なにか理由があったのでしょうか?

松田さん:サッカー選手の周りには多くのサッカー関係者がおり、中には利害関係が絡む方もいます。サッカーとつながりがある方だと、選手が話すことに躊躇する、気を遣ってしまうといった可能性があると思い、「サッカーとまったく関係ない」というところにこだわって選定することにしました。また、話しやすい雰囲気をお持ちの方というのもポイントの一つでしたね。
それと、選手にPDPに参加することをプレッシャーに感じてほしくなかったので、「プライバシーは完全保証」ということのほか、「嫌だったらいつでも辞めてもいい」と、あらかじめ話をしていました。

松田 典子さん/元なでしこリーガー、現在日本プロサッカー選手会女子担当

松橋:私は、これまでビジネスの世界で仕事をしてきてスポーツとは縁がなかったので、ご依頼いただいたとき、不安がゼロだったと言ったら嘘になります。でも、私が対話することで選手の方々のお役に立てるのであれば挑戦したいと思い、参加させていただきました。

実際、PDMとして参加されていかがでしたか?

松橋:とても貴重な経験をさせていただきました。私がこれまで仕事で対してきたビジネスパーソンの方々とアスリートの方々とでは、普段気にかけていることからして違います。たとえば、ビジネスパーソンのセルフマネジメントで“体の管理”といってもせいぜい健康に気をつけるということぐらい。でも、アスリートは“自分の体を使いこなす”ことと常に向き合っていて、日常生活でもそこにフォーカスをして過ごしています。ほかにも、私の中でビジネスの世界での捉え方が“当たり前”になっていたな、と感じることもあって……。多くの気付きをもらいましたね。

石淵選手、水谷選手ともにPDMは松橋で、サッカーという共通点がなかったわけですが、いかがでしたか?

石淵選手:とても有意義な時間を過ごせました!私が今回、このプログラムに参加した理由は、二つあって、一つは「サッカー選手を辞めたとき自分に何ができるのかを知りたい」ということ。そしてもう一つは、「サッカー以外の世界を知りたい」と思ったからです。今回、松橋さんのお仕事についても教えていただけて、とても学びが多い8カ月間でした。

水谷選手:サッカーのことは自分で考えているつもりなので、サッカーと直接的に関係ないところで話ができて良かったです。特にコミュニケーションについて、「実際に起きた事実」「自分の考え」「相手の考え」「譲れる点」「譲れない点」など、どういう順番で話すと相手に受け取ってもらいやすいか、といった会話の構造の話も聞けて、とてもためになりました。一見サッカーと関係なく見えても、プレーをしているのは“人”ですし、松橋さんはお話もしやすくて、私は大満足でした!

将来について特に悩んでいたわけでもないし、セカンドキャリアに関する有益な情報がもらえたらいいな、嫌だったら辞めればいいし、といった軽い気持ちではじめたのですが、本当に参加して良かったと思っています。

松橋:そう言っていただけて良かったです。私は、人の中にはたくさんの潜在能力や可能性があり、それを掘り起こして使える形にすることが大事だと考えています。また、その可能性を最大化するには、過去と今と将来をつなげることが鍵になっていくと思っており、今回もそこを大切に進めていました。皆さんの中に何が眠っているのか、一緒に宝探しをするようで毎回ワクワクしていましたし、話すほどにいろいろな可能性が出てきて本当に楽しかったです。

松橋 いと/パーソルキャリア 国家資格キャリアコンサルタント、国際コーチング連盟(ICF)マスター認定コーチ

今後PDPを実施していくに際し、目標や意気込みを教えてください。

松田さん:約8カ月のプログラムが終わったあと、参加選手にヒアリングを行ったのですが、4名の選手全員が「継続できるのなら継続したい」と言ってくれました。それって、この取り組みが良かった証拠。自信を持って多くの選手たちに参加してもらえるように、積極的に周知活動を行っていきたいと思います!
また、「悩みは人それぞれ」「話のしやすい年齢や性別も人それぞれ」という考えを念頭に置きながら、PDMの方々の年齢や性別、バックグラウンドもさまざまに幅広く募り、より良いマッチングをしていきたいと思います。そして、2年、3年と継続して取り組んだ選手が次のステップへと進んだ際、セカンドキャリアの具体的なコネクションづくりの相談などもできるような体制もつくっていきたいですね。

WEリーグの理念は、「女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する」です。WEリーガーに憧れる子どもはたくさんいます。そんな子どもや保護者の方たち、そして社会に、WEリーガーって選手時代だけでなく、その後の人生でも輝いているということを示していきたいと思っています。そのためにも、選手一人ひとりにより良いサポートができるようPDPを育てていきたいですね。

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