環境と経済の両立を目指して!「GHG排出量の可視化・削減計画の実行支援サービス」を開始

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社は、2022年4月に経済産業省「GXリーグ基本構想」に賛同を表明し、7月21日には、カーボンニュートラル(※1)社会の実現に向けて、脱炭素(※2)経営を目指す企業を支援する「GHG排出量の可視化・削減計画の実行支援サービス」(以下、本サービス)を開始しました。
(※1)二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量と吸収量・除去量を均衡させ、実質的に「排出ゼロ」にすること
(※2)温室効果ガスの代表である二酸化炭素の排出量ゼロを目指す取り組みのこと

今回は、パーソルプロセス&テクノロジー エネルギービジネス統括部 GXソリューション部の小林 賢弥に、パーソルがGX領域に本格参入した背景や現在のサービス概要、今後の展望までを聞きました。

目次

エコと経済、両輪で進む時代へ突入!

――そもそもGXやGHGとはなんのことですか?

小林:GXは、グリーントランスフォーメーションの略で、2020年に政府が宣言した「2050年までにGHGの排出を全体としてゼロにする」、すなわち「カーボンニュートラル」社会の実現を目指す取り組みのことです。
これまで、環境に着目した持続可能な社会の実現は、便利で豊かな生活のための経済成長と相反することに近いと考えられてきました。それに対して今後はビジネスモデルや事業戦略を適正化することで、“経済”と“環境”の両輪を進めていこうというのが、GXの中核の考え方です。

また、GHGは“Greenhouse Gas”の略で、温室効果ガスのことです。温室効果ガスは地球温暖化をもたらすとされていますが、中でも最も割合を多く占めるのは二酸化炭素。つまり、持続可能な社会の実現のために二酸化炭素の排出量を積極的に減らしていく脱炭素化が重要だと言われています。

――「GXリーグ」に賛同を表明していますが、GXリーグとは?また、賛同した理由も教えてください。

小林:GXリーグは、GHGの排出削減と経済成長の両立を実現するために経済産業省が公表したものです。そして、「GXリーグ基本構想」に賛同し、行動をともにする組織のことを指し、現在は同じ目的を持つ140社以上の企業が集まって、金融機関や行政機関・業界団体などと協力し合いながら取り組みをスタートさせています。
このような場で、多くの人と組織をご支援しているパーソルグループがカーボンニュートラル時代の市場やルールメイクに積極的に参加することはとても意義があることだと思います。そして昨今、あらゆる企業においてよりリアルなビジネス課題となった“GX”をパーソルプロセス&テクノロジーが社会実装を推進していく存在になれればと考え賛同しました。

――パーソルプロセス&テクノロジーとしては、どんな組織で取り組んでいくのでしょうか?

小林:私が所属するエネルギービジネス統括部は、これまで10年以上にわたり、エネルギーマーケットで「ヒト・プロセスデザイン・テクノロジー」を強みに、アウトソーシング事業を営んできました。政府のカーボンニュートラル宣言以降、社会の環境意識はどんどん高まり、2021年10月より当統括部では、一部のエネルギーマーケットにおいてGHG排出量の可視化や環境経営の実行をサポートするなど企業の脱炭素化を支援してきました。

そうした中、2022年4月4日の東証再編で、プライム市場上場企業に対し、TCFD(※3)提言に沿った「気候変動によるリスク情報の開示」が実質的に義務付けられ、その後、さまざまな企業の担当者と話をする中で、この開示に苦戦している企業が多くあることを知りました。
私たちは、環境やエネルギー関係の業務に対するナレッジが豊富ですし、プロセス設計やプロジェクト運営も得意。実績もあります。そこで、GXの領域でもっと多くの企業の力になりたいという想いから、2022年4月に、当統括部の中に新たな組織として「GXソリーション部」を立ち上げました。
(※3)「気候関連財務情報開示タスクフォース」と呼ばれている、各企業の気候変動への取り組みを具体的に開示することを推奨する国際的な組織のこと。

GHG可視化のプロセス設計から削減実行のフェーズ、社内研修まで一気通貫で提供

――7月に「GHG排出量可視化・削減計画の実行支援サービス」がリリースされました。これは先ほどのお話にあった気候変動によるリスク情報の開示」を可能にするための支援ということでしょうか?

小林:はい。カーボンニュートラルに向けた“現状可視化”を課題と捉えているお客さまに向け、サービスを開始しました。現在は、「GHG排出量可視化」、「脱炭素コンサル」、「脱炭素研修」の3つをサービスの柱としています。

――順番に1つずつ教えてください。まず、「GHG排出量可視化」ではどのような支援を?

小林:GHG排出量算定のために必要となるデータの収集や実際の算定業務を実施しています。これらに付随したプロセス構築や入力代行等のサービスも提供。さらに、私たちはサービス力を高めるためにカーボンマネジメントシステムを提供する企業とパートナーシップを締結しているので、これまでの算定プロセスを整理しつつツールを導入して自動化し、業務の効率化を図るといったサポートも可能です。

この「GHG排出量可視化」領域での支援は、3つの柱の中でも、今、最もニーズが高く、私たちも一番注力している部分です。なぜならば、この領域は自社の現状を把握する脱炭素化に向けた重要部分。GHG削減のアクションプランを立てるにも、現状を把握できなければアクションにつなげることができないので、必要な業務なのです。

また、「気候変動によるリスク情報の開示」をする際は、GHG排出量を、自社が直接的に排出した分(Scope1)、自社が電力の使用などで間接的に排出した分(Scope2)、そしてScope1、2以外に原材料の調達や輸送、従業員の移動、販売した製品の使用や廃棄など、バリューチェーン全体での間接排出分(Scope3)と分けて開示する必要があります。特に多くの拠点を持つ企業は算定に必要なデータ量も膨大。これらを継続的に集計していかなければならないため、効率よく作業することはもちろん、実効性を高めるためのプロセス構築やツール活用も企業としてとても重要なことだと考えています。

――「脱炭素コンサル」ではどういったサポートを?

小林:算定したデータをもとに、具体的にどのようにGHG排出量を減らしていくかといった削減施策の検討など、各種情報開示・認定取得に関する支援となっています。
TCFDでは具体的に「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」という4つの項目について開示するよう定めていて、それらの情報を開示できる状態まで支援するのが、この「脱炭素コンサル」です。また、情報開示に加え、TCFDへの賛同を表明したいという企業には申請支援も行っています。

この「脱炭素コンサル」の領域は、自社の現状把握をする「GHG排出量可視化」の次のフェーズです。これからニーズが高まると予想され、私たちもより一層注力していかなければいけないと思っている領域です。

――3つ目の「脱炭素研修」は、どのような研修ですか?

小林:一般社員向けの研修や脱炭素領域でのリスキリング研修、また研修運用支援などをご用意しています。
GXに対するナレッジは、まだまだ一部の人に偏った状態だと感じていますし、GXは組織的に実施するだけでなく、一人ひとりの意識もとても大切だと考えます。本サービスの研修を社内リテラシー向上に役立てていただけるとうれしいですね。

――さまざまなフェーズでの支援があるのですね。

小林:はい。多方面の課題や業務に対応できることが私たちのサービスの特徴の1つです。また、脱炭素経営の実現に向け、それぞれのフェーズでプロセスの構築から実行まで、一気通貫でサービスを提供しています。
GHG排出量可視化のフェーズでも、実際に削減を目指すフェーズでも、実行するにはマンパワーが必要ですが、そこを担うのは当社の得意分野です。特定のプロダクトを保有しているわけではないので、我々のナレッジをもとにお客さまのニーズに合ったベンダーの皆さまと協力しながら最適なソリューションを提供できます。こうしたことが可能なのも当社ならではの特徴であり、本サービスの強みだと思っています。

「脱炭素経営EXPO 秋展」でも反響上々!目指すは国内全体のGX浸透

――831日から92日に行われた「脱炭素経営EXPO 秋展」にブースを出展されました。反響はいかがでしたか?

小林:「人材やナレッジを提供してくれるのはうれしいね」といった声や、「もう少しここを、こう提案してくれるなら……」といったリアルなフィードバックなど、たくさんの反響をいただきました。GXを進める現場で困っている方がたくさんいるということを改めて感じましたね。ご相談も多くいただいていますし、スタートは上々と感じています!

また、11月16日から18日にも、インテックス大阪で開催されるスマートエネルギーWeek内の「脱炭素経営EXPO 関西展」に出展することが決まっています。関西のお客さまにも我々のサービスの認知を広げ、ご支援の提供とともに、脱炭素の取り組み自体の幅広い地域への浸透にも組織として寄与していきたいです。

――最後に、今後の意気込みを教えてください。

小林:5名でスタートしたGXソリーション部も今は31名が所属。今年度中には50名ほどに体制強化していく予定で、さらにお客さまと一緒にGXに関する課題に向き合いながら本サービスをしっかりと育てていきたいです。そして、カーボンニュートラルをきかっけとした環境への取り組みが企業にとって、“ネガティブ”なことではなく、“ポジティブ”なことになるよう、私たちがGX領域のスペシャリストとして変えることで、同時に、世の中を変えてく存在になりたいと思います。

私たちGXソリーション部は「社会全体へのGXの実装」を目指しています。パーソルグループは、全国に拠点があるので、東京や大阪などの大都市や大手企業だけではなく、日本全体が変わっていけるように取り組んでいきたいと思います。

(*「GHG排出量の可視化・削減計画の実行支援サービス」について詳しくは、こちらをご覧ください。)


パーソルグループは、2022年3月にTCFDへの賛同を表明し、5月から気候関連のリスクと機会に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の開示を開始しました。今後もTCFDの提言に基づき、ガバナンスを強化し、積極的な情報開示とその充実に努めていきます。
詳しくは、こちらをご覧ください。

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