笑顔は「はたらく」にどんな影響が?寄付につながる“笑顔計測機”を設置した効果とは

パーソルホールディングス株式会社と株式会社パーソル総合研究所は、2020年10月より3カ所(南青山、丸の内、新宿)のグループオフィスに順次「笑顔計測機(*1)」を設置し、笑顔に応じて寄付を実施する「Work, and Smile for Donation(*2)」を行っています。また、計測機の設置・実施の前後(※1)にアンケート調査を行い、笑顔がはたらく個人や組織にどのような影響を及ぼすかなどを調査しました。

(*1)笑顔計測機とは
カメラ付きの機械で、カメラに映った顔の画像を解析して、目や口の動きなどの情報をもとに笑顔度を計測。笑顔度から「笑顔レベル」を大・中・小の3段階に分類し(※2)、それに応じたエフェクトが表示される仕様となっています。

(*2)「Work, and Smile for Donation」とは
笑顔計測機で得られた笑顔1つにつき10円相当を、パーソルが達成に貢献する5つのSDGsに関連した団体に寄付し(※3)、「はたらいて、笑おう。」を社会のチカラに変える取り組みです。また、計測をきっかけに出社する社員の笑顔を増やし、メンタルヘルスの向上を目指すとともに、笑顔とはたらくの相関関係の調査を行うものです。

今回は、「Work, and Smile for Donation」実施の担当者であるパーソルホールディングス グループコミュニケーション本部 サステナビリティ推進室 室長の櫻井 直樹に、実施までの裏話や、調査結果から見えてきたこと、今後の展望までを聞きました。

目次

仕事のパフォーマンスにもいい影響が⁉ポジティブな声が続々届き、手応え上々!

――「Work, and Smile for Donation」がスタートして、約1年が経ちました。手応えはいかがですか?

櫻井:社員の皆さんから、「ゲーム感覚で楽しんでいます!」「気持ち良く仕事をスタートできています」「職場のコミュニケーションが円滑になりました」などのポジティブな声をいただいていて、この取り組みを実施して本当に良かったと思っています。

2021年の9月末までで、約16,000スマイルが集まりました。この取り組みは、1笑顔を10円に換算し、パーソルが特に達成に寄与したいと考えている5つのSDGsに関連した団体に寄付しようというものです。今回9月末までの分、約160,000円は、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟に寄付することが決まりました。

――笑顔をつくって楽しく仕事をし、社会貢献にもつながるという試みは、どのような想いやきっかけから生まれたのでしょうか?

櫻井:この取り組みをスタートするにあたって、日々はたらく中でも「はたらいて、笑おう。」を感じ、一人でも多くの社員に「はたらいて、笑おう。」を考えるきっかけにしてもらいたい、という想いがとても強くありました。

出勤、退勤、休憩時間……、ちょっとした時間に笑顔をつくることで気持ち良く仕事に向かってもらい、そして、それが個人のはたらき甲斐を高めたり、組織の活性化につながったり――、こうして「はたらいて、笑おう。」を体感してもらえたらいいなと思ったんです。そしてさらに、社会貢献につなげることで、日常の中で自然に社会貢献をした実感も持ってもらえたら素敵だな、と考えました。
すべては仮説ですが、こうした「個人」「組織」「社会」の、“三方良し”の社会に少しでも近付けたら……という想いが取り組みをスタートさせたきっかけです。

――笑顔計測はどういった場所に設置しているんですか?

櫻井:出社した際に接触できる場所を考えました。なぜなら、出社して笑顔になってから仕事をスタートすることが、1日の仕事のパフォーマンスに良い影響を与えると思ったからです。
南青山オフィスではエレベーター前に設置したのですが、好評で、「エレベーター待ちの時間でできるから、何回もやって楽しみました!」といった声も。とてもうれしく思っています。

自然に笑顔になってもらいたい。――デザインやエフェクトにもこだわりが

――笑顔計測機のデザインやエフェクトも、気持ちを前向きにするのに一役買っているように思います。

櫻井:笑顔計測機にイラストを入れたり、エフェクトがでるようにしたのは、「やらされ感」がないようにしたかったための工夫です。この取り組みに参加するか否かはあくまで自由。だからこそ、自然に参加したくなり、自然に笑顔になれるようにこだわりました。 

まず、笑顔計測機のデザインは、みんなの“目をひくこと”をベースに考え、はたらく人をポップに描いたイラストを入れました。こうすることで「ん?これはなんだ?ちょっと面白そうだな」と興味を持ってもらおうと思って。 

エフェクトは、利用してくれた人に「面白いな」「またやりたいな」と思ってもらえるように取り入れました。笑顔計測機の前で笑顔とつくると、「笑顔レベル」が大・中・小の3段階に分類されるのですが、それぞれ3種類ずつエフェクトが入っています。3種類ずつにしたのは、「笑顔レベル」が同じでも、違うエフェクトを出すことで飽きさせない、という工夫です。また、特大の笑顔を向けてくれた人には、特別感を味わってもらいたくて、スペシャルバージョンエフェクトが1種類入っています。

――笑顔が計測されるということですが、そのデータはどう取り扱われているのでしょうか。

櫻井:そこは一番注意をはらった部分です。笑顔の大きさや、性別などの情報は残るのですが、その人自身の画像データは保存されず自動で消去されていくようになっています。でもそれはシステムの話で笑顔計測機の外見から分かるものではありませんし、疑心暗鬼のままでは、自然ないい笑顔はつくってもらえません。そこで、法務部門とも連携しながら、その旨を「利用目的」とともに明記し、笑顔計測機に貼ることで対応しました。

笑顔は、「個人」「組織」「社会」“三方良し”の社会実現の足掛かりに⁉

――笑顔がはたらく個人や組織にどのような影響を及ぼすかなどの調査もされたんですよね。

櫻井:はい。それぞれのオフィスで、笑顔計測機設置の事前事後にアンケート調査を行いました。事前調査では、仕事や組織に対する心的状態を、事後調査では、それに加えて笑顔計測システムへの評価や感想を聴取しました。

――どのような結果が出たのでしょうか?

櫻井:次の3項目の結果が、今回の調査のポイントとなります。

①「笑顔計測後の感情の変化」
②「笑顔計測機を通じた社会貢献実感」
③「笑顔計測頻度が多い人の特徴」

(今回の調査結果について詳しくは、パーソル総合研究所「Work, and Smile for Donation 実証実験結果報告書」をご覧ください」

まず、①の「笑顔計測後の感情の変化」ですが、「楽しい」と気持ちの高まりを感じた、と回答した人が約60%おり、笑顔をつくるという行為がポジティブな感情を喚起したと言える結果がでました。また、「生き生きする」が約40%、「前向きな気持ちで仕事に取り組めた」が約35%おり、組織の活性化を促すはたらきがあったのではないかと思います。

②の「笑顔計測機を通じた社会貢献実感」についての調査では、約40%が社会貢献を実感していました。また利用頻度が多く、笑顔を通した寄付を行うほどに実感を得るという結果がでました。

③の「笑顔計測頻度が多い人の特徴」の調査では、普段から幸せやワクワク感が強く、ポジティブな気持ちで仕事に取り組んでいた人ほど笑顔を寄付している傾向が明らかになりました。

こうした結果から、笑顔をつくる行為がその人の感情をポジティブにするだけでなく、組織の活性化や社会貢献意識の向上につながる――、つまり笑顔のポジティブ連鎖が期待できることが分かりました。

――笑顔は「個人」「組織」「社会」、まさに三方に好影響をもたらすのですね。

櫻井:そうですね。それに、今回こうして笑顔の効果を可視化できたことは、とても有意義なことだと思っています。

昨今、コロナ禍でリモートワークが加速し、はたらく環境やはたらき方は多様化しています。そうした背景からも、「はたらく」という場面において、はたらく一人ひとりのwell-being(より良い状態)を実現していくことは、とても重要だと感じています。そして今回の調査で、well-beingを実現するためにも、組織・仕事の中に自然かつ意図的に「笑顔」を増やすことはとても有効であり、それがグループビジョンの「はたらいて、笑おう。」につながる一つの施策になると、強く感じました。

――今後の展望を教えてください。

櫻井:「Work, and Smile for Donation」の実施場所を増やすことも検討の一つです。今回行った3カ所のオフィス以外のグループオフィスはもちろんですが、コワーキングスペースやイベント会場などにも笑顔計測機を設置して体感してもらい、笑顔を増やすことができたらと思っています。
パーソルグループでは、この取り組みのほかにも、「はたらいて、笑おう。」グローバル調査やはたらく人の幸福学プロジェクトなど、さまざまな施策を行っていますが、はたらく環境に自然と笑顔が増やせるような取り組みを通じて、一人でも多くの人に「はたらいて、笑おう。」を実感してもらいたい。そして、はたらいて笑える世界をつくっていきたいです。


(※1)調査時期/[南青山オフィス]事前:2020年9月25日~10月1日、事後:2020年11月12日~24日[パーソルテンプスタッフ 丸の内オフィス]事前:2021年2月2日~15日、事後:2021年5月11日~22日[パーソルテンプスタッフ 新宿マインズオフィス]事前:2021年4月20日~5月6日、事後: 2021年7月16日~30日
(※2)本取組みは、クウジット株式会社が提供するIoH(Internet of Happiness)プラットフォーム、およびSmile Magicソリューション、ソニー株式会社が開発した顔画像認識技術を利用しています。なお、画像データは保存されず、計測の基準となるデータおよび結果のみが保存されます。
(※3)パーソルが達成に貢献する5つのSDGs(4.質の高い教育をみんなに、5.ジェンダー平等を実現しよう、8.働きがいも経済成長も、9.産業と技術革新の基盤をつくろう、10.人や国の不平等をなくそう)に関連した団体を寄付先として選定

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