外部人材活用のメリットと課題は?「エクスチーム×FlexibleCAREER 合同セミナー」を開催

外部人材が、存分に活躍できる環境をつくるには?課題解決に向け、2サービスが合同セミナーを開催。

パーソルイノベーション株式会社が提供する、外部人材活用システム「エクスチーム(※1)」と、パーソルテンプスタッフ株式会社が提供する、フレキシブルな働き方を選択するハイスキル・キャリア人材のマッチングサービス「FlexbleCAREER(※2)」が、6月26日、初の合同セミナーを実施しました。

目次

開催の背景

いま、企業の人材不足の課題を解決する方法として、フリーランスなどの「外部人材」活用に注目が集まっています。しかし、企業とフリーランス人材との間には、マッチング(求める人材×求める仕事とのマッチング)・就業手続き・労務管理の煩雑さなど多くの課題が存在しており、十分に外部人材の活用が進んでいないのが現状です。

そこで、外部人材の活用に悩む企業の声に応えるべく、パーソルグループで当該事業に取り組む2社が、合同でセミナーを開催しました。
第一部では、フリーランス協会代表 理事 平田 麻莉氏をお招きし、フリーランス人材活用の有効性や、国や企業の活用状況などをお話いただきました。また、第二部では、パーソルグループで日常的に外部人材を活用している「doda」制作統括担当の桜木から、外部人材活用のメリットやつまずきポイントの実態などが語られました。そして、第三部では、「人材活用現場のリアル」と題してパネルディスカッションを実施。その一部をご紹介します。

●第一部 平田 麻莉氏
フリーランス人材の有用性と企業での活用メリット

<登壇者>

一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会
代表理事 平田 麻莉氏

フリーランスで広報や出版、ケースメソッド教材制作を行う傍ら、2017年1月にプロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会設立。プロボノの社会活動として、政策提言を始めとする8つのプロジェクト活動、フリーランス向けベネフィットプランの提供などを行い、新しいはたらき方のムーブメントづくりと環境整備に情熱を注ぐ。



<講演内容(抜粋)>

・フリーランスとは
フリーランスとは、広義で「特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で自身の専門知識やスキルを提供し対価を得る人」とされ、一般的には業務委託を示しています。
フリーランスの形態は、主に雇用関係のない独立系と、雇用関係のある副業系とに分かれます。フリーランスの人口は、日本国内で2019年に初めて公的試算として出された数字では、約390万人といわれ、これは労働人口の約6%にあたります。
ITの進展や多彩なマッチングサービスの登場により独立・副業の障壁が下がったことや、労働人口減少や労働寿命の長期化、オープンイノベーションへの期待増などの複合的要因から、柔軟な働き方が可能かつ求められるようになり、この2~3年でフリーランスへの注目は高まってきています。

・フリーランスの実態
フリーランス協会で調査した「フリーランス白書2019」によると、ボリュームゾーンの属性は30代から40代、活動範囲も関東圏が中心となります。収入は業界や職種によっても大きく異なりますが、比較的年収が高いのは、エンジニア職など取引先が法人であることが多いです。一方、フリーランスの方々に共通する課題意識は、ライフリスクです。病気や怪我、子育て、介護などに関する働き方に中立なセーフティネットなどの社会保障を求める声が多くあります。

・企業におけるフリーランス活用
日本では企業規模に関わらず、外部人材の受け入れ実績が1割に満たず、今後の受け入れ意思がある企業を含めても2割前後にとどまります。しかし、グローバルでは外部人材にかける人件費の割合は既に全体の4割を超えており、フリーランス活用することで、必要な技術やノウハウの獲得が期待されるだけでなく、売り上げ増加や業務改善を実現できるというメリットがあります。

●第二部 桜木 麻理
実例!フリーランスを活用する!その理由と活用ノウハウ

<登壇者>

パーソルキャリア株式会社 転職メディア事業部 制作統括部 制作企画部
桜木 麻理

パーソルキャリア入社時より、制作メンバーとして「doda」の立ち上げを担う。5年間制作ディレクターとして自ら取材・ライティングを行いつつ、フリーランスを活用し、コストの適正化・品質向上に向けたモチベーション管理を推進したことで管理職に登用。制作組織の弾力性・柔軟性を最大化するための外部プロダクション・フリーランス活用に日々奮闘中。


<講演内容(抜粋)>

・いま、なぜ外部人材を活用するのか
「doda」のWebサイトは、求人広告の掲載料をいただくビジネスモデルで運営していますので、受注した採用広告は必ずつくり上げなければなりません。以下のような理由から、社員と外部の方々で協力しあって、運営を行っています。

また、景気変動を見越したリスク分散として、外部制作の方々にご協力いただいています。社内で制作担当者を一から育成するコストを考えると、すでに専門的なスキルを保有している方と一緒にお仕事をすることで、スピーディに量産体制を構築することができます。

・外部人材活用のメリット
案件が少ないときに制作費用のコストを抑えられることは、一つの大きなメリットだと思います。「doda」の求人広告の制作では、案件過多のときに社員の負荷を軽減できるので、社員の離脱減少にも繋がりました。

また、もう一つ活用するメリットとして、普段は得られない、外部からの刺激や発見があります。
クリエイティブ領域は、クリエイターが持つ経験が反映されやすく、一緒に仕事をすることで、個々がどうしても生み出し得なかったキャッチコピーやデザインを肌で感じる事ができ、成長になります。こういった、知見の引き出し量はお客さまへの提案にも影響するので、スキルを自分のものとして吸収するよい機会であると思います。

・つまずきポイント
一方で、活用のうえでつまずくポイントもあります。大きくは、次の3つです。

1. 企業と外部人材の間に生まれる、意識のギャップ
まず、それぞれが違う立場で仕事に臨むので、どうしても意識の違いが生まれてきます。
たとえば、企業側としては「プロなんだから、お金を払ってるのだから1で10を返してほしい」「付加価値をつけてほしい」といった想いがあり、一方でフリーランス側には、「相場の金額しかもらってないので、余計なことしたら怒られるんじゃないか」「手離れが悪くなるのは嫌だ。とりあえずいわれたことだけやっておこう」という気持ちがあります。発注側と受託側という立場の違いによって生まれる意識や気持ちのギャップを、少しでも解消していく必要があるのです。

私たちは、品質基準やゴールをしっかりお伝えすることで、「doda」の品質の向上や納品物のクオリティを担保しています。このアクションはフリーランスの方のキャリア向上にも繋がっていきます。

また、もう一つ大切にしているのは、成果報酬時の客観的なフィードバックと、感謝の気持ちです。
具体的には、顧客満足度指標のようなものを、社内と同じ評価指標で使用し、外部制作の方々に開示しています。客観的フィードバックとともに、「あなたが『doda』のサービスを育ててくださっているんですよ」と感謝の意を伝えるようにしています。評価の高さをインセンティブなどでお返ししていくことも今後は検討し、「doda」のロイヤリティを高めていけるようにしていきたいと考えています。

2. 管理業務が非常に煩雑
「doda」では、個人のフリーランスの方々とは約150名、法人のプロダクションさまとも10~15社くらいのお付き合いがあります。そのすべての方々の管理は、すべて書面とExcelで管理しています。
請求の管理も、月間にお支払いする金額も、個々で異なる約150名すべてをメールとExcelで管理しているのはそろそろ限界かと感じ、一元的に管理を行うために「エクスチーム」を導入することになりました。

3. フリーランスの活用が単純なコスト削減にはならない
フリーランスを中心とした外部人材の活用でも、当然案件ごとにディレクションをするコストは残りますし、モチベーションを維持するための工夫やコストもかかるので、場合によってはコスト高になる場合もあります。ですので、事前に経営陣にこの点をきちんと説明し、理解を得ておく必要があります。

●第三部 パネルディスカッション&質疑応答(抜粋)

最後に、パネルディスカッションと質疑応答が行われ、参加者からは多くの質問が飛び交いました。
たとえば「フリーランスの方と一緒にお仕事をするうえでは、何から始めたらいいのでしょうか?」という質問に対しては、平田氏は「多くの場合は、人材の要件定義や経営課題の特定から入ることが重要かと思います。その課題を解決するのは何のプロか?制度設計のプロか?「ボトルネックは何で、それを解決してくれる人材用件は何か」がわからないまま探すとうまくいかない可能性が高いですね」と回答。今後の外部人材活用に向けて、ヒントを得ていただいたようでした。

ほかにも、外部人材の活用に関して、さまざまな質問が飛び交い、約2時間のセミナーは幕を閉じました。

※1 エクスチームについて
「エクスチーム」は業務委託契約に特化したクラウド型人材管理・活用ツールで、発注から納品、請求までを一元管理し、会社に存在する業務委託のすべてを可視化します。
エクスチームの詳細はこちら

※2 FlexibleCAREERについて
「FlexibleCAREER」は「即戦力人材を獲得したい企業」と「週5×フルタイム以外のフレキシブルなはたらき方を選択するハイスキル・キャリア人材」のマッチングにより、企業の人材獲得課題に応えるサービスです。
FlexibleCAREERの詳細はこちら

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