働く目的は?意識の変化は?障がい者雇用を考えるイベントで社員が講演

1月19日に、障がい者雇用支援事業を手掛けるパーソルサンクス株式会社が運営する「とみおか繭工房」で働く、メンバーの茂木 悦子、岩崎 真弥、指導スタッフの金井 美涼の3名が、「障がい者雇用を考えるシンポジウム」(主催:社会福祉法人かんな会、障害者就業・生活支援センター「トータス」)のパネルディスカッションにスピーカーとして参加しました。

  • 「とみおか繭工房」で働く障がいのあるメンバーの、働く前と働き始めてからの変化は?
  • 何のために働いているのか?
  • 初めて障がいのある方と一緒に働いた社員は、どのように感じたのか?
  • ともに働く中で気を付けたことは? など

リアルな意見を交わし、障がいのある方が活躍できる職場のありかたを、参加者とともに考えました。

目次

スピーカー紹介

岩崎 真弥(23歳)メンバー(写真左)
パーソルサンクスが運営する「とみおか繭工房」2017年6月開所時より勤務。
療育手帳所持。
養蚕事業は初めての経験であったが、実習を経てとみおか繭工房に入社。

金井 美涼(26歳)指導スタッフ(写真中央)
パーソルサンクスが運営する「とみおか繭工房」2017年9月入社。
「とみおか繭工房」勤務の前は、プラスチック加工工場の品質管理を経験。
障がいのある方と働くのは、「とみおか繭工房」が初めて。

茂木 悦子(50歳)メンバー(写真右)
パーソルサンクスが運営する「とみおか繭工房」2017年6月開所時より勤務。
精神障害手帳所持。
「とみおか繭工房」勤務の前は、就労継続支援事業所でボールペンの組み立てやクリーニング工場での作業、乗馬クラブの馬房掃除を経験。

パネルディスカッションの内容

●メンバーの2名への質問

―「とみおか繭工房」で働き始めてから変わったことは何ですか?
茂木:仕事の面では少しずつ自分を出せるようになり、人と関わることの楽しさを感じられるようになってきました。「こんな自分もいるんだ!」って自分を発見できました。
生活面でも自立できているという自信を持てるようになって、「これからはプライベートでも人生を楽しんでやるぞ!」と思えるようになってきました。
岩崎:働きはじめは外の作業で暑かったり寒かったり大変という気持ちがほとんどでした。でも今は暑くても寒くても大変でも、仕事を楽しいと思うことも大切だと思えるようになりました。

―働いていく中で辛いことや困ったことがある時はどうしていますか?
茂木:繭工房のスタッフさんに相談しますが、障がいによってうまく話せない時は支援センターの方に話を聞いてもらい、スタッフさんへ伝えてもらいます。
岩崎:繭工房のスタッフさんや支援センターのスタッフさんに言います。ぼくは話すことで安心できます。

―仕事をしていてどんなことにやりがいを感じますか?
岩崎:一緒に働いているみんなの役に立っていることにやりがいを感じます。みんなから「ありがとう。助かったよ。」と言ってもらえると嬉しいです。

―これから先の目標や将来の夢はありますか?
岩崎:(技術責任者の)佐藤さんみたいに、何でもできるようになりたいです。

―働く目的は何ですか?
岩崎:お金を貯めたいです。大好きな彼女とずっと一緒にいたいので、2人で暮らすことが目標です。

―働き続けていくために、必要だと思うことはどんなことですか?
茂木:障がい者、健常者と隔たりなく、お互いにコミュニケーションを大切にし、お互いを尊重して歩み寄る気持ちが大切だと思います。自分の苦手なところ、できないことをみんなに知ってもらってサポートしてもらったり、自分のできることはサポート役になったりして補い合うことが大切だと思います。

―茂木さんは発達障がいをオープンにして仕事をされていますが、シンポジウムの参加者の方に知ってもらいたいことはありますか?
茂木:自分では働きたい、会社の役に立ちたいと思っていても、うまく言動で表せずもどかしく感じている人は、私以外にも沢山いるかもしれないと思っています。障がいがあるのでいろいろな面で不器用なところがありますが、やる気がないのではありません。会社の役に立ちたいと強く思っていることを知ってもらいたいです。

―茂木さんが思う働いて得られるものはどんなことですか?
茂木:自信、やりがい、心のゆとり、、、いっぱいあると思います。

●指導スタッフの金井への質問

―金井さん自身は障がいのある方と働くことも、養蚕に関わることも初めてだったと聞いていますが、大変だったことや気付いたことはありますか?
金井:私自身初めてのことばかりで、右も左も分からない中メンバーに教えていたので、雲をつかむような感じでした。養蚕は生き物相手で待ったなしです。作業予定は日々変更になり、戸惑いましたが、メンバーのみんなにも協力してもらいながら何とか対応しました。
知識も経験も少ないですが、相手の立場に立って一生懸命伝えることで、少しずつメンバーとも気持ちが通じるようになりました。

―メンバーへ仕事を教えていく中で、工夫された点はどんなことですか?
金井:まず全員一斉に実際の作業を見てもらいます。その様子を見ただけで作業できる人は作業に入っていただき、できない人は何が分からないのか?どこでつまずいているのか?を確認しながら個別に教えていきました。
一人ひとりのできること・できないことに丁寧に向き合うことが大切だと思います。

―一緒に働くうえで、障がいの基本特性、雇用の制度など学んでいきたいことはありますか?
金井:障がいの基本的な特性は学んでいきたいです。
「この人はこういう障がいだから、こうなんだ」と、頭でっかちに決めつけるようにはなりたくないですが、個別の配慮という点においては、基本があっての応用だと思うので、基本の知識は得たいです。

―入社した時の障がい者雇用に対する考えと、一緒に働いている現在とでは、金井さんの中で変化はありましたか?
金井
:入社当初は「毎日1から10まで教えながら作業し、私自身がしっかりしなければ」という考えが強かったです。
でも、実際に一緒に仕事をしていると、私では思いつかないようなアイデアや改善提案をもらえ、助けてもらうことも多々あり、スタッフとメンバーで立場は違いますが、仲間や同僚という感じです。
ただスタッフとして、仕事について教えることはしっかり指示を出し、注意をする時はきちんと伝わるようにする切り替えも大切だと思うようになりました。
一番の変化は、私自身特例子会社で働いたことにより、当事者の方に働くことの意味や仕事について教えていく中で、改めて「働くとは?仕事とは?」ということを自分なりに考えるようになったことですね。

―今後の展望はありますか?
金井:メンバーのみんなと、仕事の達成感ややりがいを感じられるようになりたいです。
目標を定めて、その目標に向かって努力し、一緒に試行錯誤を繰り返しながらも、成長や進歩を目に見える形で共有していくことで、より達成感を持てるようにしていきたいです。そのために、作業分析表というものを取り入れました。これは、仕事ごとに求められる作業を一つひとつ箇条書きにして、その項目に対して自己評価とスタッフ評価を記入するという表です。
毎日作業を振り返り、何ができなかったか、どうしたらできるようになるのかを考える時間ができたことで、指示されたことをただやるのではなく、しっかりとメンバー自身が自分で考えて仕事をするという進歩が感じられました。

パネルディスカッションを終えて

企業のご担当者さまなど60名以上が参加し、非常に好評
当日は障がい者雇用を検討している企業や、障がい者の活躍に関心がある企業など、群馬県内の企業から60名以上の方に参加いただき、非常に好評の中、シンポジウムは幕を閉じました。

 

 

 


関連情報

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パーソルサンクス株式会社について

パーソルグループの特例子会社として、よこはま夢工房でのクッキー製造・販売をはじめ、とみおか繭工房での養蚕事業、スポーツ競技活動と就労の両立を支援するChallenged Athlete Support(障がい者アスリート支援制度)など、障がい者の自立および成長を広く支援しています。

取り組みに関するお問い合わせ

パーソルサンクス株式会社
TEL:03-6362-5781

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