能の神髄にビジネスのヒントがあった!「本物」に触れ、感じ、学ぶ研修プログラムを実施。
パーソルホールディングス株式会社では、パーソルグループの全社員を対象に、社員の主体的な変化・成長を後押しするための公募型研修「@(アット)」を実施しています。
12月7日、この「@(アット)」の新たな試みとして、日本の伝統芸能である「能」の体験を通じて学びを深めるワークショップを、国立能楽堂で開催しました。
●能が、現代のビジネスの常識を覆す?
能は、650年もの歴史を持つ日本の伝統芸能です。さまざまな時代を経て現代まで受け継がれてきた背景には「マニュアルはつくらず、師からの口承伝達で受け継ぐ」「白黒をつけるのではなく、『淡い』部分を大切にする」「急がない」「リハーサルをほぼ行わず、本番はお互いに察し合って動く」「我を出さない」など、一見、現代のビジネスの常識と相反する要素が多く見受けられます。
いま、世界は「VUCA」(※)の時代といわれています。ビジネスシーンでも、これまでの常識が通用しないシーンが増えており、個人には、他者や過去の成功体験に留まらず、自ら最適な答えを導き出す力が求められています。
これまでも、パーソルグループの公募型研修「@」では、そのような力を養うためのプログラムを社員に提供してきました。今回は、参加者が質の高い学びを得られるような「本物に触れる体験」を提供したいという想いのもと、新たに能に着目。国立能楽堂さまの協力を得て、初めての「能×企業研修」ワークショップが実現しました。
(※)Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つのキーワードの頭文字から取った用語。
●ワークショップの様子
(1)能楽作品の鑑賞
本ワークショップに参加した25名の参加者は、まず、能楽作品の一つである「羽衣」を、2回鑑賞しました。1回目は、参加者には何の説明もなく鑑賞。次に、物語のあらすじや情景などについての説明を受けてから、もう一度同じ「羽衣」を鑑賞します。その後、説明を受けた前と後で、自分の見方がどのように変わったのかを、参加者同士で話し合いました。
(2)能楽体験
鑑賞を終えた参加者は、4つのグループに分かれ、ローテーションで「舞台に上り、摺り足の指導を受ける」「面(おもて)をつけ、視野の狭い中で動く」「装束を学び、身にまとう」「謡(うたい)のレッスンを受ける」の4つのプログラムに参加。普段は触れることができない面や装束を身にまとい、プロの能楽師の指導を受けながら、身体を動かしました。
(3)能楽作品の再鑑賞・質疑応答
体験を終えた後、参加者は2回鑑賞した「羽衣」を、再び鑑賞しました。ストーリーの理解だけでなく、体験を通じてどのように作品の見方や感じ方が変わったかを参加者同士で共有したり、また、宝生流シテ方の女性能楽師 武田 伊左先生への質疑応答を通じて、能への理解や、自分が見て感じたことへの考察を深めていきました。
●ポイントは「解釈の多様性」
本ワークショップの主催者であるパーソルホールディングスの長島 威年は、このワークショップの狙いを次のように語ります。
「能が650年続いてきた真髄は“解釈の自由度”にあると感じました。極限までシンプルに表現される能には、観る人の想像力が入り込む余地があります。これは裏を返すと、参加者の「想像力」が求められるということでもあります。演者と観客の創発を通じて、その場・そのときにしか生まれない作品を一緒につくる感覚です。
今回のワークショップでは、参加者は正解や一方的な解釈を一切与えられません。体験をしながら、それぞれが自分で感じ、その感覚を互いにシェアして新たな発見を得ながら、思考や学びを深めていきます。これは、能の特性に通じる部分でもあり、実際に、参加者の作品に対する感想は、多岐にわたっていました。
私たちが生きる現代社会には、人の数だけ解釈があります。それらを持ち寄ってそのときどきの解釈をし合うことが、多様で複雑な現代社会に適応していくための、大きなきっかけになると感じています。」
ワークショップを終えた参加者からは、次のような感想が聞かれました。
「能は、動きや表現を極限まで減した芸能。体験を経て、演じることがとても難しいと感じた。一方で、その楽しさも感じることができた。」
「演じ手にも受け手にも、想像力が求められた。」
「正直、最初の上演では作品の意味が理解できなかったが、説明や体験を経たうえで観ると、自然とその情景が浮かんでくるようになった。」
「解釈を観客に委ねられるなど、一見『分かりにくい』と感じるものだからこそ、想像しようとするし、心を落ち着けることができるのだと感じた。」
公募型研修「@」について
感性を大事にした「自ら気付き・学ぶ」研修を実施
社会環境の変化が非常に激しい昨今、お客さまのニーズや課題も複雑化・高度化し、これまでの常識ややり方だけでは期待に応えられない場面が増えています。そのため、仕事においても誰かに正解を求めたり、前例に捉われたりすることなく、自ら最適な答えを導き出し、他者と共創しながら行動していく力がより一層求められています。
そこで、「はたらいて、笑おう。」をブランドスローガンに掲げるパーソルグループでは、いわゆる「正解」をインプットするだけではなく、「体験を通じて自ら気付き・学ぶ」をテーマにした研修プログラムを実施しています。普段の業務とは異なる異文化・非日常の中で頭を使って考えるだけでなく、ドキドキ・ワクワクする感性や感覚を大事にしながら、「自分とのコミュニケーション(自己理解/リーダーシップ)」「他者とのコミュニケーション(他者理解/多様性受容)」を学ぶ最先端のプログラムを開発し、社員に提供しています。