
パーソルホールディングス株式会社は、立教大学 経営学部で行われている立教型のリーダーシップ獲得を学習目標に、学生・教員・連携企業が主体的に関わる大規模な産学連携プログラム「BLP(ビジネス・リーダーシップ・プログラム)」の考え方に共感し、2018年より経営学部2年生向けの授業である「BL2」(※)と提携してきました。
2026年度からはFR(Future Genelations Relations)推進室の取り組みとして、伴走型社員メンター制度「クラスサポーター(通称:クラサポ)」という新たな仕組みを実装。社会に出る前の大学生が自らの軸や意志を育む場としてプログラムを再定義しました。
本プログラムの運営事務局および関係者の5名が立場を超えて交差する中で生まれた熱量や、学生・社員双方の学びの進化、そして共創の未来についての対談内容をお届けします。
(※)BL2とは、ビジネスの課題解決能力の向上とリーダーシップの開発を目的にした授業で、1学期間を通して提携企業からの課題に対してグループで解決策を検討します。学期末にはその成果をプレゼンテーション形式で発表する大会が行われ、提携企業、教員、学生からの投票により、さまざまな賞が与えられます。
綿引 裕也
パーソルホールディングス株式会社 FR推進室
パーソルグループ事務局
全国の小中学校で“はたらく”を考えるワークショップのファシリテートを行うほか、大学生への提供プログラムの開発を推進。
柏倉 夕舞
パーソルテンプスタッフ株式会社 地域共創企画室
クラスサポーター社員
地域共創チームのリーダーとして、自治体・大学・企業と連携した地域共創事業の企画・開発を推進。
大内 礼子氏
立教大学 BL2コースリーダー
ソフトバンクに入社後、人材開発・新卒採用・エンジニア人材戦略の領域に携わり、約11年企業人事に従事後、人事コンサルタントとして独立。現在は、立教大学経営学部の客員准教授を務める。
西野 彪真さん
学生スタッフ代表Course Assistant(CA)
プログラム全体の教材作成を担当するほか、2クラスの授業を運営。
佐藤 夏音さん
学生スタッフ代表Student Assistant(SA)
授業運営のサポートや学生への学習支援、イベントの企画・運営などに携わり、学生が主体的に学び合う環境づくりを担当。
大学と企業が共に創る学びの場。約250名の学生が「はたらく価値観」を探求する
綿引:パーソルグループは2018年からBLPに参画しており、2025年度からは将来世代向けの取り組みを推進するFR推進室が連携を引き継ぎました。大学生は、学年が上がるにつれてキャリア形成がリアルに迫ってくる非常に重要なフェーズです。しかし、いざ就職活動が始まると「内定をもらうこと」が目的化し、入社後に「企業の正解」を探しているうちに、自分の意思を見失ってしまう人も少なくありません。本来のキャリア形成である「自分はどうありたいか」に向き合い、社会に出た後も揺らがない軸やリーダーシップをBLPで育んでほしい。そんな想いのもと、経営学部の2年生約250名が受講するBL2への課題提供と伴走を行いました。
大内:授業はまず、企業からの課題提示から始まり、課題の深掘り、プレゼン内容の検討、中間発表、その後プレゼン予選・本選を経て、パーソルグループの経営陣へのプレゼンまで、数ヶ月かけて段階的に進んでいきます。今年度はパーソルさんから「現代の若手社員が抱く“自分らしい価値観”と“企業の論理”の間のギャップを解消する新サービスを提案してください」という課題が提示されました。なぜこの課題を設定されたのでしょうか。
綿引:BLPでの学びと、社会に出てからのキャリア形成をシームレスにつなげたいと考えたからです。「はたらく」には、やりがいや自己実現といったポジティブな面だけでなく、時に思い通りにいかないもどかしさや泥臭さも存在し、その双方をリアルに捉えてほしいと思ったんです。
大内:教員の間では、特に「企業の論理」というキーワードが話題になりました。キャリアを考える上では自分の「どうありたいか」が不可欠ですが、社会に出れば組織のルールや、企業から求められることとも向き合う必要があります。正直、学生から「企業の論理ってなんですか?」と聞かれたときは答えに困る場面もありましたが、学生たちが「それって、アルバイトでもあるよね」と自身の経験に引き寄せて解釈していく姿が見られ、さまざまな角度から、「はたらく」を考えられる課題だと感じましたね。

AI活用と、メンター制度「クラサポ」。産学連携の質を進化させる
大内:また、今年度は「AIの活用」と「クラスサポート制度(通称:クラサポ)」という2つの大きな変革を取り入れました。AI活用は、学生たちにもプロジェクトの実践を通してAIとの付き合い方を体得してほしいと考え導入しました。そしてクラサポは、パーソル社員がメンターとしてクラスに入り、学生たちが考えたアイデアに対してビジネス視点での助言やフィードバックを行う仕組みです。最初にパーソルさんからこの案をいただいたときは驚きました。教員陣には大変ありがたい提案でしたが、業務との両立を考えると、社員の方を定期参加させるハードルはけっして低くないですよね。
綿引:せっかく参画するなら、FR活動を通して社員側にも学びや成長を還元できるようにしたいと考えていたんです。私自身、立教大学が掲げる「誰もが自分らしいリーダーシップを発揮する」という考え方に深く共感していましたし、これは学生のみならず、社会人の私たちにとっても必要な素養だと感じていました。学生と社員の双方に良い化学反応が生まれることを期待して社内公募を行い、10名を選抜しました。
大内:そのお一人が、柏倉さんですね。クラサポに応募された理由は何だったのですか?
柏倉:理由は2つあります。1つ目は、自分自身のリーダーシップやフィードバックの力をアップデートしたかったからです。私は普段、パーソルテンプスタッフの地域共創企画室でチームリーダーを務めています。メンバーとともに新しい企画を生み出す中で、自分の声掛けやフィードバックがチームにどう影響を与えているかを振り返り、その質をより高めたいと思っていました。2つ目は、これから社会に出る学生たちの「はたらく価値観」を直接知ることで、新しい事業開発にも必ず活きるはずだと思いエントリーしました。
綿引:クラサポ社員と学生スタッフは、キックオフ後の交流会が初顔合わせでしたよね。
西野:クラサポ社員の皆さんと初めて対面したときは、すごく緊張しました。これまでのBLPにはなかった試みでしたし、「社会人の方が授業に参加するって、どんな雰囲気なんだろう」と思っていて。ですが、どのクラサポさんも話しやすくて、私たちの大学生活やプライベートな話にも耳を傾けてくださり、うれしかったですね。
佐藤:私はSAとしてキックオフ交流会で、クラサポの皆さんへBLPのカルチャーや授業のあり方をお伝えしました。BLPは教員と学生スタッフが対等なチームとなってつくる授業なので、先生も含めてお互いをあだ名で呼び合う文化や、現場で飛び交うBLP用語など、BLPならではのフラットな空気感を知ってもらいたかったんです。

クラサポと学生、双方の関わりで学びが深まっていく
綿引:実際に授業を重ねていく中で、学生たちとの関わり方には、どのような変化がありましたか?
柏倉:最初はどのように関わったらよいか手探りでした。各クラスには学生スタッフのSAがおり、彼らが授業の組み立てや資料作り、進行までを行います。事前に共有してもらった資料をもとに、「このタイミングで社会人目線のアドバイスをお願いします」とパスを出してもらうのですが、「本当にこの伝え方で良いのだろうか」と半信半疑な部分がありました。それは私自身がBLPの授業を理解しきれておらず、学生から何を求められているかが曖昧だったからです。そこに気付いてからは、SAに進め方を相談したり、担当の先生にアドバイスをいただいたり、クラサポ社員同士で「うちのクラスはこう関わっている」と情報共有をしたりすることで、徐々に最適な伴走の形が見えてきました。
綿引:クラサポ社員は普段の業務からビジネス視点を備えていますが、学生の皆さんとの対話にはまた異なる関わり方が求められます。そのためFR推進室では、事前研修や振り返りを通じて、実践と学びを往復できる体制を整えました。回数を重ねるうちに社員が自主的に定例会を組むなど自走し、通常の社内研修以上の学びの循環が生まれていることを実感しました。

大内:学生スタッフの2人は、クラサポの皆さんと関わる中でどんな気付きがありましたか?
佐藤:私は、プレゼン内容のフィードバックで、視点の違いに何度も驚かされました。学生が考えたアイデアに対して、前提となる根拠の深め方や、サービスを実現する上での必要な解像度をていねいにフィードバックしてくださって、「たしかに!」とハッとさせられることばかりでした。なんのためのサービスで、どんな課題をどう解決するのかという物事の本質をぶらさずに考えるのが大切なんだと気付きました。
西野:分かります。私たち学生のアイデアはどうしても夢物語になりがちですが、それを実際のサービスへどう落とし込むかに真摯に付き合ってくださいました。アドバイスをいただく際も、社会での経験や「パーソル社内ではこういう事例があったよ」という実体験に基づく話をしてくださるので、説得力があって理解が深まりました。
加えて、ビジネスマナーを含めたはたらくリアルに触れられたのも大きな収穫です。今回、チャットツールを使ってクラサポの方と連絡を取り合ったのですが、文面はもちろん「どの時間帯に連絡すれば相手がやりやすいか」など相手目線で配慮を重ねた経験は、これから社会に出る上でも活きるんじゃないかなと感じています。
次世代の“はたらくWell-being”を育む。学生と社員が得た本質的な変化
綿引:今年度のBL2が一つの区切りを迎えましたが、皆さんの中で変化や気付きはありましたか?
柏倉:私は、学生の皆さんから学ばせてもらうことばかりでした。特に、フィードバックのやり方とリーダーシップ観の2つが大きくアップデートされたと感じています。
私はフィードバックの際に、「ここが甘いから、こう修正して」と、課題の指摘から次の行動まで細かく指示を出してしまいがちでしたが、それは相手を信じきれていなかったからだとハッとしました。「こうして」ではなく「私はこう思う」と伝えて後を任せることで、メンバーの「こうしたい」という可能性を信じる大切さを学べました。また、リーダーシップとは影響力の強さではなく、「こうしたい」という自分の意思から生まれるものだと再定義できたことも大きいですね。この学びを、今後のチームマネジメントに活かしていきたいと思っています。

西野:クラサポの皆さんを通してパーソルグループの温かい雰囲気や、はたらく上での考え方、価値観に直接触れられた貴重な機会だったと思っています。第一線で活躍されている大人の方々の姿勢を間近で見られたことで、「将来、こんなふうにいきいきとはたらく社会人になりたい!」と強く思いましたし、今後の大学生活や将来に向けた大きなモチベーションになりました。
佐藤:私は「はたらく」ことをよりポジティブに身近に捉えられるようになりましたね。クラサポの方々が身近にいてくださったことで、リーダーシップの発揮の仕方、アイデアの伝え方など、社会でどう活かせるかがより感じられるようになりました。またSAとして関わる中で、人の成長に携わる喜びにも気付き、将来のキャリア観を具体化できたことが一番の変化です。
大内:今年度の大きな変革だったクラサポは、キャリアや人、組織のプロフェッショナルであるパーソルさんだからこそ実現できたと感じています。社員の皆さんが楽しそうに携わる姿を見せてくれたことが、学生にとって「こんな大人になりたい」という一番の原動力になりました。
綿引:そう言っていただけてうれしいです。私たちは今後、このBLPでの経験を社内にも還元していきたいと考えています。たとえば、クラサポを経験した社員が次は社内メンターとなり、学びを循環させていく仕組みです。そうした仕組みを作ることで、社員の成長にもつながると感じています。これからも大学と企業が互いの強みを活かし合い、次世代の“はたらくWell-being”を共に育んでいければと思っています。

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。



