Gakken×保育社×パーソルで語る、子どもの未来をひらく“はたらく”のリアル【パーソルのFR活動】

「世の中にはどんな仕事があるのだろう?」「なぜ大人ははたらくのだろう?」。子どもたちの純粋な問いに答え、図書館や教育の現場で今、広く読まれている書籍があります。株式会社Gakkenの『お仕事やりがい図鑑』と株式会社保育社の『働く現場をみてみよう!』シリーズです。この2つのシリーズで、パーソルホールディングス株式会社で将来世代向けのキャリア教育を推進する「FR推進室」は、協力および監修として深くかかわりました。書籍を発売するに至った経緯や、現代の教育現場が抱えるリアルな課題、これからの子どもたちの「はたらく」についての想いを、それぞれの書籍で編集を担当したGakkenの宮﨑 純さん、保育社の二畠 令子さん、粟本 安津子さんを招きFR推進室 室長の竜田 遼がお話を聞きました。

プロフィール
宮﨑 純(みやざき じゅん)さん 上記写真左から2人目
株式会社Gakken コンテンツ戦略室 チーフプロデューサー
2005年入社。学習参考書、児童書のジャンルで多数のヒット作を企画。2020年に発刊した『なぜ僕らは働くのか』は累計50万部超えを記録。
お仕事やりがい図鑑

二畠 令子(ふたばたけ れいこ)さん 上記写真右から2人目
株式会社保育社 事業開発部門 保育社編集室
株式会社メディカ出版にて、医療従事者向けの雑誌・書籍制作に携わる。並行して保育社ブランドの書籍制作にも注力し、現在は同社書籍の専任に。調べ学習本や、レシピ・工作など子どもたちの興味・関心を引き出す書籍のほか、担当した書籍に「医療・福祉の仕事 見る知るシリーズ『理学療法士の一日』『保育士の一日』や、『会社員の仕事 見る知るシリーズ』『働く現場をみてみよう!シリーズ』などがある。
働く現場を見てみようシリーズ

粟本 安津子(あわもと あつこ)さん 上記写真右
株式会社保育社 保育事業部 部長
株式会社メディカ出版において看護師対象の雑誌・書籍編集、保育社ブランド書籍編集等を担当。現在は、保育社事業責任者として、営業・販促を主に担当している。保育社のキャリア系書籍の先駆けとなった医療・福祉の仕事 見る知るシリーズの立ち上げと、『看護師の一日』『医師の一日』等の編集に関与した。

竜田 遼(たつた りょう) 上記写真左
パーソルホールディングス株式会社 FR推進室 室長
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目次

「現実の仕事の空気や重み」「ユニークな切り口」
子どもたちに「はたらく」のリアルを伝える書籍編集の舞台裏

竜田:こうしてGakkenさんと保育社さんのカラフルな本がずらりと並ぶと壮観でワクワクしてきますね。さっそくですが、今回の書籍について、企画意図やそれぞれのこだわりについて教えていただけますでしょうか。

宮﨑さん:以前、『なぜ僕らは働くのか-君が幸せになるために考えてほしい大切なこと』という書籍を編集した際に「はたらくとはどういうことか」という概念的なテーマを深く扱いました。それとは別に「実際に世の中にはどんな仕事が存在するのか」を具体的に見せる図鑑を、いつか自分の手でつくりたいという想いが昔からありました。Gakkenでは年に1回、図書館向け書籍の企画コンペがあるので、そこにエントリーしたことが始まりです。

竜田:『お仕事やりがい図鑑』は、イラストの楽しさに目を奪われます。巻によって絵のテイストがガラリと変わるのが印象的です。

宮﨑さん:イラストを使って楽しく読んでもらいたい、見るだけで楽しくなるような本をつくりたいという想いを掲げて、企画立案しました。掲載している仕事は全部で約300種類あって、すべてにイラストをつけています。全6巻で、3名のイラストレーターさんを起用しました。広告などでもよく見る気鋭のイラストレーターさんに2巻ずつお描きいただき、とてもよく仕上がったと思っています。紙面全体から仕事の躍動感が伝わるようなダイナミックなデザインを心掛けました。

竜田:インタビューページでは実際にはたらいている人の顔も見ることができますよね。

宮﨑さん:ただ楽しむだけの本ではなく、現実の仕事の雰囲気や重みといった「リアルな空気感」も体感してほしいので、全部で20名に取材をしています。

宮﨑さん

竜田:保育社さんは『寝ている時間の仕事』『かわいいをつくる仕事』など、切り口がとてもユニークです。

二畠さん:私たちは2014年に『医療・福祉の仕事 見る知るシリーズ』を立ち上げ、その際に学校図書館出版賞をいただきました。その経験を通して、キャリア教育は子どもたちにとって非常に意義のあるテーマだと実感したんです。そこで次に、警察官や消防士など、子どもたちにもなじみのある職業を取り上げた『暮らしを支える仕事』シリーズを刊行しました。さらに次のシリーズを考える中で、「子どもたちが日常ではあまり目にすることのない仕事」をテーマにしてみようという話になりました。企画の初期段階では、「ゴルフボールダイバー」や「靴のはきならし屋」といった、少しユニークな仕事の名前も挙がっていました。ただ、それだけでは「面白かった」で終わってしまう可能性があります。そこで、普段は子どもたちの目にあまり触れないけれど、実は私たちの暮らしや社会を支えている仕事にスポットを当てようと、企画を具体化していきました。

宮﨑さん:「わたしたちが寝ている時間の仕事」とか「めったに行けない場所の仕事」とか、非常に面白い切り口ですよね。こんなにとがったテーマのお仕事本ってあまりないので、「これは勝負に出たな」と思いました(笑)

粟本さん:特に『わたしたちが寝ている時間の仕事』は、学校図書館の司書さんも強く興味を持ってくださることが多いですね。学校・公共図書館向けの展示会などで手に取ってくださった司書さんから、「テレビの特集番組みたいで面白いですね」と言っていただきます。

竜田:実際に子どもたちの声を聞くことはありますか。

二畠さん:司書さんを通しての声になりますが、「自分たちが寝ている間にこんなにたくさんの人がはたらいているなんて知らなかった」と面白がってくれているという感想は届いています。

粟本さん:本の中でご紹介している企業の方や職人の方が、「自分たちの仕事を取り上げてくれた」と喜ばれ、購入してくださることもあります。『伝統を守り・伝える仕事』の巻に登場していただいた杜氏の方は、「地元の学校に配ります」とたくさん購入してくださいました。ご自分の仕事を、本という見える形を通して、価値のあるものとして伝えるきっかけにもなったのだと思います。

竜田:監修に携わっている私たちも喜んでいます。子どもに見せたり、図書館に寄付したりしているそうです。

二畠さん
粟本さん

子どもたちの「サラリーマンって何?」に答える
ヒトコマの授業に匹敵する「本」の力

竜田:私たちが学校で授業をするときは、まずワークの真ん中に子どもたちの「興味があること」「好きなこと」「得意なこと」を置いてもらって、そこからつながる仕事を探していくというアプローチをとっています。次のステップで、子どもたちが「具体的にどうやって調べたらいいんだろう?」「どんな仕事があるんだっけ?」となったときに知っている仕事のストックが少なく、手詰まりになることがあります。そんなとき、この2つの本でそれが解消できると感じています。
(脚注※“はたらく”を考えるワークショップ

粟本さん:『お仕事やりがい図鑑』の目次を拝見していると、章で「教えたりお世話をしたりするのが好き」「おしゃべりが好き」とか、まさに好きや興味でカテゴライズしていますよね。

宮﨑 さん:そうですね。「好き」「得意」「関わりたい」など、「興味」をベースに章立てにしています。なんとなくこの辺が好きだなというところから探してもらえると、これまでは知らなかったけれど、自分の興味を駆り立てる仕事があることがわかるようになっています。

竜田:「〇〇会社の社員」という項目が何種類か入っているのも、とてもいいですよね。というのも、子どもたちに「世の中にどんな仕事がある?」と授業で聞くと「サラリーマン」という答えが出てきます。でもサラリーマンというのは会社員の総称であって、具体的な仕事(職業)ではない。この本を通じて「サラリーマンにはこんな仕事があるんだよ」と伝えられます。正直、この本が1冊あるだけで1コマ授業ができるくらいです(笑)

二畠さん:子どものなりたい職業ランキングでも「会社員」が1位になったことがありますよね。『働く現場をみてみよう!シリーズ』でも、さまざまな業種のサラリーマン・会社員の方にご登場いただきましたが、ひとことで「会社員」といっても本当にいろいろな仕事があります。弊社には関連のキャリア本で『会社員の仕事 見る知るシリーズ』もあるのですが、こちらは会社員という大きなくくりの中で、さまざまな仕事を詳しく紹介しています。『お仕事やりがい図鑑』と『働く現場をみてみよう!』シリーズ、さらに『会社員の仕事見る知る』シリーズもあわせて授業いただけたら、さらに無敵です(笑)

効率よく「平均点」が取れる時代
だからこそ代替のない本の重要性

竜田:私たちFR推進室は、全国の将来世代向け、今は高校生、大学生まで含めて授業をさせてもらっていますが、みなさんは子どもに関わる本を出版されていて、今の子どもたちの課題、気になること、などお聞かせください。

宮﨑 さん:インターネットを開いたり、AIに聞いたりすれば、どんな物事に対しても「効率よく平均的にふるまうための情報」がすぐに手に入る時代です。でも、情報が溢れているからこそ、子どもたちには「自分はどうしたいのか」「何が好きなのか」よく考えてほしいと思っています。簡単に「誰かの出した正解」を知ることができてしまうと、「自分なりの正解」にたどりつく力が育ちにくいのではないかなと。私たちは学習参考書も多く出版していますが「参考書の勉強だけが完璧にできてもダメなんだよな」という思いもあるので、こういうキャリア教育の本もつくっています。

竜田:座学の勉強と、社会を生き抜く知恵のバランスを取って企画されているんですね。宮崎さんが手掛ける本には、徹底して「子どもの目線」が入っています。大人が読んでも「へ〜!」と唸る深さがありつつ、子どもが読んでもきちんと理解できる。実は、『なぜ僕らは働くのか』を初めて読んだとき、私たちが学校でやっているワークショップの内容と親和性が高すぎて、「知らないうちに内容を真似してしまったんじゃないか」と焦ったくらいでした。これほどまでに子どもの目線に立ち、こだわり抜いて書籍をつくっている方がいるという事実は、新鮮で感動的な体験でした。

宮﨑 さん:なるべく、「わからない目線」で書くようにしています。これ、わからないよねっていうところをテーマにして解説を加えつつも、正解がないことについては、「大人もわからないんだよ」「あなたなりの答えを見つけてね」と腹を割って話す、みたいなスタンスで本をつくることが多いです。

キャリア教育で培った「生きた声」を持つ
パーソルへのオファーに込められた期待

竜田:保育社さんからオファーをいただいた2023年、実は「監修ってなんだ?」という感じから始まりました。お声がけくださったきっかけをうかがいます。

二畠さん:驚かれましたよね(笑)。当初の監修候補には、大学教授や著名なキャリアコンサルタントといった個人の専門家のお名前も挙がっていました。ただ、多種多様な仕事を取り上げるにあたっては、幅広い職業への理解に加え、実際の現場に根ざした知見をお持ちの方にお願いしたいという思いがありました。編集チームで監修候補を探していく中で、パーソルさんが実施されているワークショップが、経済産業省の「第11回キャリア教育アワード」で優秀賞を受賞していることを知りました。実際に学校現場へ足を運んで子どもたちにキャリア教育をされているパーソルさんなら、現場の「生きた声」をしっかり本に反映してもらえると思って、オファーさせてもらいました。パーソルさんに担当いただいたコラムは、それぞれの仕事を横断的につなぎながら、子どもたちの興味や視野を広げてくれる内容になっていて、本当にお願いして良かったと感じています。

竜田:シリーズ3作目にして初めて知りました(笑)。「監修の仕事とは?」というのを調べたくらいです。:コラムでは「お金とやりがいどっちが大事?」など正解のないテーマを扱ったので、子どもの夢を壊さず、でもリアルな現実も伝えるというバランスに、執筆メンバーも相当頭を悩ませました。ただ、学校現場で実際に子どもから聞かれるリアルな疑問を、しっかり形にできました。

粟本さん:日々学校で子どもたちと直接向き合っているからこそ書けた内容ですよね。

竜田:私たちは教育者ではなく、あくまで「はたらく」を扱うビジネスの人間です。このコラムを書く責任は大きいと感じていました。今後もこうした活動を広げ、授業を受けた子どもたちが本で「あ、パーソルだ!」と気付いてくれたらうれしいですし、ブランドとしてもいい循環をつくっていきたいです。

情報があふれる時代にこそ、テーマに没入できるノイズのない世界を

竜田:デジタルや生成AIが普及し、「将来的に本というメディアはなくなってしまうのではないか」という極論すら囁かれる中で、最前線で紙の本をつくり続けていらっしゃる編集者のみなさまの想いをぜひ伺ってみたいです。デジタルの利便性を認めつつも、あえて「紙の本」という手段を通じて世界に届けたいもの、日々、やりがいにしていることとはなんでしょうか。

粟本さん:ネットで調べればすぐに答えが分かってしまう時代に、どう対抗していくべきなのか。もちろん編集者が丁寧に整えた情報の価値を信じてはいますが、ユーザー視点に立てば便利さには勝てない部分もある。このせめぎ合いの中で、今後の出版事業がどうなっていくのか、正直私自身も模索しているところです。

二畠さん:本の重みや紙の手触り、ページをめくる感覚といった五感に訴える力は、紙の本ならではの体験だと思います。効率だけを求めるならデジタルに軍配が上がるのかもしれませんが、本は寄り道をしながら世界を広げていけるメディアです。ページをめくる中で、最初は興味のなかったことに出会ったり、思いがけず視野が広がったりすることもある。特に子どもたちには、すぐに答えを得るだけではなく、「こんな仕事もあるんだ」「こんな考え方もあるんだ」という偶然の出会いを楽しんでほしいです。そうした出会いのきっかけをつくれたらいいなと、編集者もあれこれ考えながら本をつくっています。今の時代だからこそ、一つのテーマに向き合いながら思いがけない発見ができることも、紙の本ならではの魅力だと思っています。

宮﨑 さん:本当に「本というモノの価値」を見出してもらわないと、私たちは生き残っていけない。ネットでいくらでも無料で情報を調べられる世の中で、お金を払ってでも買いたい本とはなんなのか。それは、手触りも含めて「モノとして持っていたい」と思わせる魅力を演出すること。それと編集者としての考えや感性が本に乗り移っていることが大切なのではないかと思っています。確かな情報を載せることは前提ですが、そこにデザインやイラスト、画期的な見せ方をどう加えていくか。たとえば保育社さんの本を見ても『かわいいをつくる仕事』というテーマなら、編集者が10人いれば10通りの切り口の本ができます。それこそが編集の面白さです。AIにはできない「独自の切り口や捉え方」を磨き続ける必要がありますよね。

竜田:ネットには絶対に代替できない本の強みが、まさに編集者の切り口にありますね。今の子どもたちはTikTokやInstagramの「レコメンド機能」に慣れていて、自分が一度調べたものと同系統の情報が流れてくる環境にいます。これだとどうしても視野が狭くなってしまう。一方で、本にはノイズが一切ありません。ネットのように余計なリンクや広告に思考を邪魔されることなく、一つのテーマに深く没入できる「本」という空間の幸せは、何物にも代えがたいですよね。それこそがプロの編集者の皆さんが魂を込めている仕事の価値だと確信しています。

子ども、先生、保護者、そして企業へ
全方位で仕掛ける「はたらく」の意識改革

竜田:“はたらく”を考えるワークショップの受講者は、今年度で累計10万人を超える見込みです。子ども向けの書籍制作の第一線で、次の世代の育成にコミットされている皆さんの目から見て、パーソルがこのように学校現場に関わり続けることの意味合いや魅力、面白さについて、どのような感想をお持ちかぜひお聞きしたいです。

宮﨑 さん:出版社は、直接子どもたちと触れ合えるわけではないので、「本」というメディアを介して届くことを願ってつくっています。それに対して、実際に学校の現場へ足を運んで、メッセージを伝える活動を続けられているのは、ものすごく意義があることですよね。これからもこの素晴らしい活動をずっと続けていってほしいです。

竜田:続けられているのは、パーソルグループが掲げるありたい姿「 “はたらくWell-being”創造カンパニー」のもと、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」の世界とつながっているからです。

宮﨑 さん:ビジョンとの密接なつながりがあるのは、理想的ですよね。

二畠さん:親の目線から見ても、企業が「地域社会と一緒に、次の世代を担う子どもたちを大切に育てていこう」という強い意思を持って動いてくれるというのは、これ以上ないほど心強く、ありがたい存在です。

竜田:私たちのキャリア教育は、子どもたちだけでなく先生や保護者へのアプローチも同時に行うことを大切にしています。子どもは大人の影響を強く受けるので、大人側にも同じ目線を持ってもらい、「子どもを中心に考えられる世界観」をつくりたいです。

粟本さん:本当にそうですね。日々接している親や先生方の意識が変わっていかないと、子どもの変化も持続しないと思います。以前、大学の先生からも「大学生になっても具体的な仕事のイメージが描けず、ネームバリューだけで選んでしまう」という話を伺いました。大人や大人に近い世代でも、根本の理解は不足していると感じます。

竜田:まさにその通りですね。2026年から高校生や大学生向けのプログラムも始動し、これから全国に展開していきます。うわべの就活テクニックではないところを扱っていきたいと思っています。学生だけでなく、先生方や企業の社員も巻き込み、全方位で「みんなで次世代を育てる環境」を大人の側からもつくっていきたいです。ぜひ、今後とも皆さんと一緒にこの活動を広げていけたらうれしいです。

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。

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