
パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。
本連載「歩み続けるそれぞれのストーリー」は、2025年度「PERSOL Group Awards」を受賞した社員たちそれぞれが、どんな人生を歩んで成長し、受賞の栄誉を勝ち取るに至ったのか——。彼らの人生を形づくるバックボーンや、仕事への情熱、そして大切にしている想いが生まれたエピソードなど、これまでの歩みをストーリーでご紹介します。
プロフィール:
Programmed Skilled Workforce/Sarah Renshaw(2024年入社)
受賞案件サマリ:
Sarahは、学校や企業と協力し、学校に通いながら企業研修を受けて給料を得られる
順調だった人生からの転落。未来の夢と希望をすべて失った
人生の目的を探す。そのために生きてきた。
17歳まで過ごしたイギリスのマンチェスターで、私は活発で生意気な、何より楽しむことが大好きな子どもだった。
勉強はなんでも一生懸命がんばった。いろんなスポーツにもチャレンジしたし、キャプテンも自分から進んで引き受けた。
そのころから「自分には何が一番向いているだろう。何になれるのだろう」と探していたのかもしれない。
その中でも、最も私が熱中していたのは、演技だ。
「物語の中に生きているように演じたい」とのめり込んでいき、演技を学べるイギリスの大学に進学を決めた。
世界的な俳優になりたかった。
必死で努力した。実力もついてきた。
でも、それだけではどうにもならないことを、ショウビジネスの世界を垣間見て、知ってしまった。
熱意があり、演技ができるだけでは、役をもらえないことがある。自分を実力以上にアピールしても、表舞台に立てないこともある。それを知ってしまった。
「この勝負に、私は私の人生を費やせない」
それが考え抜いた結論だった。私は俳優になる夢をあきらめた。
「演じることが、私の人生の目的だ」と感じていた私は、光を失い、抜け殻のようになってしまった。

失った夢に変わる、「これまでの人生を活かして活躍できる」場所
5年をスペインで過ごした。
イギリスをしばらく離れたかったから。
地元客だけでなく、観光客もたくさん訪れるバーで、毎日はたらいた。
スペイン語を学び、世界のビールについてもリサーチした。客が何を求めているか先読みし、相手の要求に合わせ、最適な店員を演じた。
そうして喜ばれるのが、とても楽しかった。
努力すること、勉強すること、イニシアチブを取ること、演じること。培ってきた自分の能力を発揮してはたらくのが楽しかったのだ。
「スペインのビール会社で、営業としてはたらいてみては?」
ある客が、「前向きな性格と、それを支える情熱、何より演技力に支えられたコミュニケーション能力があれば、営業として成功できる」と言ってくれた。
「自分のポテンシャルやこれまで努力して身につけたものが、そうやって活かせるのか」
自分のこれまでと、未来の可能性を認められたような気がして、とてもうれしかった。
そこから新しいキャリアが動き出した。
スペインのビール会社ではたらくことも考えたが、「慣れ親しんだ場所で、母国語の英語を使って」と考え、2005年、イギリスに戻り世界大手のドリンクメーカーの営業職に就職した。
私はがむしゃらにはたらき、メキメキと営業成績を伸ばしていった。全国トップを何度も獲得した。教育担当の責任者なども経験し、営業戦略を立案する立場にまで昇進。家も車も買ったし、暮らしも何不自由なかった。休暇では世界を旅して回った。日々忙しく、そして充実していた。
それでも頭の片隅でずっと問いかける声があった。
「これが探していた人生の目的なの?」

キャリアも人生も紆余曲折しながら、遂に見つけた「人生の目的」
きっかけは突然だった。
猛烈なはたらきぶりで圧倒的な成果を出し、豪奢な暮らしを実現しているセールスの達人といえる女性がいた。彼女が、休暇でのクルーズ中に突然死した。心臓発作。まだ40歳だった。
その知らせに、私は大きなショックを受けた。
人生はこうやって急に、前触れなく幕を下ろす。もしかすると彼女ではなく、私に起こったとしても不思議はない。
「それなのに、私は今の私でいいの?」
そう自分に問いかけると、「NO」が頭の中に鳴り響いた。
私は8年はたらいた会社を辞め、そしてオーストラリアのパースに移住することを決めた。
パースではビザを維持するため、次々と仕事に就いた。仕事だけでなく、人生も大きく変わっていった。結婚をし、子どもも生まれた。そしてCOVID-19が猛威を振るう2022年、二人目の子どもを妊娠している最中、私はシングルマザーになった。世界がどうなるか分からない状況で、私は二人の子どもを自分一人の手で育てなければならなくなったのだ。「キャリアと経験にプラスできる、新しい何かを身につけたい」と、Leadership社の

これからの未来をつくる若者のために、できることをする。
「これが私の人生の目的だ」とすうっと納得できた。
まだ幼い娘のため、お腹にいる子どものため、そしてたくさんのオーストラリアの子どもたちのために、私は人生を捧げよう。それが私の執るべきリーダーシップ。そのために、ここまで私は人生を歩んできたのだ、と思えたのだ。
こうして学校と“はたらく”を結ぶ『From Classroom to Career(教室からキャリアへ)』プロジェクトのアイデアが生まれた。
想像もしなかった場所へとたどり着いた人生の旅路。ここから新しい旅がまた始まる
リーダーシップのプログラムを紹介してくれた方に、「あなたにふさわしい会社がある」と、
そのアドバイスに従い、2024年6月、私はProgrammedに転職。プロジェクトに取りかかり、すぐに
調査すると、オーストラリアの学校では、十分な就職指導や職業訓練が行われていなかったのだ。制度としてはあるものの、学校の教師やスタッフだけでは手も時間も足りず、思うように実施されていないのが現実。現状では、多くの子どもたちが、自分にどんな才能があるか、どんなポテンシャルを秘めているか、それがどんな仕事に向いているか分からないまま社会に出てしまう。それではミスマッチが増え、離職も増えてしまう。社会に出ても仕事に就けず生活苦に悩む若者が増えることになる。この状況を変えられるのが、
私はチームを率いて、300以上の学校に協力を要請。並行して多くの職場にもアプローチし、子どもたちが学校に通いながら給与をもらって職業訓練ができるよう提携を結んでいった。がむしゃらにはたらく日々だった。それでも、かつてない充実感を感じていた。それは明確な明るい未来が描けるプロジェクトを手がけていたからかもしれない。自分ではなく、他人のため、子どもたちの未来のためにがんばっていたからかもしれない。
Jamieという子と、プロジェクトが開始してまもなく出会った。彼はポケットに手を突っ込み、厳しい表情を浮かべている。瞳は暗く、どこも見ていない。私はすぐに分かった。「彼には未来が見えていないのだ」と。自分に何ができるか分からず、だから、将来に不安しか感じられない瞳なのだ、と。その瞳は、演技をあきらめて抜け殻の用になっていた、光を失った私の瞳と同じだったのだ。
あの時の私は、スペインに救いを求めた。でも、Jamieには『From Classroom to Career』がある。
私はJamieにキャリアについてカウンセリングし、職業訓練への参加をすすめた。
「仕事のことについてこんなに知ったのははじめて。自分に向いていそうな、できそうな仕事ってあるかな」
会話の中で、次々とJamieの気持ちが紐解かれ、彼のポテンシャルが明らかになる。そのことに彼自身が驚き、その驚きが未来への希望と変わり、瞳に光が灯った。ポケットに手を突っ込んでいるのは変わらないが、その表情は穏やか。瞳には、たくさんの光がスパークする輝きが見えた。
私は『From Classroom to Career』の成功を確信した。
これまで「私は何になればいいのだろう」と、人生の目的を探していた。
今、私の気持ちは「子どもたちは何になれるだろう。そのために私は何ができるだろう」に変わった。
2人の娘と養子として受け入れた3人の子どもたちのために。オーストラリアの子どもたち、そして世界の子どもたちのために。素晴らしい世界をつくりたい。それが今の私の人生の目的になったのだ。

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。





