苦難の道であったとしても、迷わず選ぶ。それが人のためになり、誰かの笑顔につながるのであれば ― PERSOL Group Awards2024受賞の裏に(18)竹下 壮太郎 ―

パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。「PERSOL Group Awards」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループで最も栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。

本連載では、2024年度の「PERSOL Group Awards」を受賞した社員のキャリアストーリーと、受賞の舞台裏をご紹介します。
第18回目は、シェアフル株式会社の竹下 壮太郎です。

2024年8月に『シェアフルシフト』に名称を変更した、シェアフル株式会社が提供しているシフト管理サービスは、人員が不足するシフトの日時の可視化ができるサービス。同社が展開するスキマバイト求人サービス『シェアフル』と合わせて使えるので、人員不足のままで営業するといった事態を効率よく防げます。『シェアフルシフト』の前身『Sync Up』を企画し、つくり上げたのが竹下です。

目次

決断に悩む中で立ち返ったのは、自分の原点

SaaS型シフト管理サービス『Sync Up』を提供しているSync Up Companyは、2023年10月1日、シェアフル株式会社に事業を移管しました。Sync Upは従業員の希望シフトを収集し、ヘルプが必要な店舗を可視化して他店舗にリアルタイムで共有することのできる、これまでなかったサービス。労務管理や手続きのフォロー機能なども備えています。

「飲食やアパレルといった多店舗をチェーン展開する企業の、シフトを統括している運営本部などで多く利用いただいています。2018年のサービスのローンチ当初から、多くのお客さまから『こういうサービスが欲しかった』『利用する以外、選択肢はない』と大きな評価をいただいていました」

そう話す竹下こそが、このSync Upを企画し、事業として成立させた人物。竹下は、パーソルグループではたらく全従業員が挑戦できる新規事業開発プログラム『Drit』の前身となる『0to1』を利用し、パーソーソルイノベーション株式会社傘下の社内ベンチャーとしてSync Up Companyを起業。サービス開始後すぐに多くのお客さまから申し込みをいただき、さまざまな業種に利用が広がっていきました。

「1週間に一度でも利用するユーザーの割合が、全契約ユーザーの75%。月間では95%が利用しているという数字が出ていました。それによって『この日、この時間に人が足りない』と可視化された人材不足のシフトは、月263,500件にものぼります。事前に現場の人材不足が可視化されていれば、企業は素早く対応策を考えられる。売り上げの機会損失や顧客サービスの低下を防ぐことができる、とクライアントに好評を博していたのです。そしてローンチから5年が経過しても、まだまだ大きな成長が望めるビジネスでもあったのです」

人材不足が明確に可視化されるSync Upを活用すれば、お店はその不足の時間に焦点を当てて募集をかけ、人員を補充することができます。短い時間だけでもバイトをするスキマバイトが浸透し、短期間・短時間の人員確保は以前と比べて容易となりました。Sync Upはシェアフルが提供するスキマバイト募集サービス『シェアフル』ととても相性が良かったのです。それもあり、2023年にシェアフルとSync Upの相乗効果に期待しての事業統合、いわばグループ内でのM&Aの案が持ち上がったのです。

「めちゃめちゃ悩みましたし悔しかった。それが正直な気持ちでした。自分が考え、手塩にかけて育てて来たサービスですから。決断を迫られ葛藤する中で思い出したのは、自分の原点でした。それはこのSync Upを生み出す原動力にもなったのです」

社会人のスタートは、ゴールが決められないことに悩み続ける挫折の日々から

パーソルキャリア株式会社の前身である株式会社インテリジェンスに新卒で入社した2011年、アルバイト求人サービス『an』の営業として地元九州エリアに配属された竹下は、理想と現実のギャップに悩んでいたと言います。

「当時の自分を一言で言えば、“うだつの上がらないヤツ”でした。プロサッカー選手を目指していたほどのバリバリの体育会系で、熱さとやる気には自信があった。競争心は人一倍強いし、強い言葉も吐く。そのくせまったく契約が決まらない。成果が出せないんです。同じエリアの同期は、はたらき始めた初日に契約を取ってきた。全国の同期も、次々と契約を獲得している。でも、自分だけ決まらない。行動は人一倍するつもりだし、泥臭いことだってやる。そう覚悟を決めてやっているのに、売上につながらない。『オレ、売れないヤツじゃん』とがっかりして呆れる。ツラい日々でした」

それでも「石の上にも三年」と自分に言い聞かせ、愚直にひたすら走り回っていた竹下。そのひたむきさに打たれてか、福岡県久留米市にある居酒屋が求人広告を出してくれたのです。それが竹下の初受注になりました。「心が折れそうになっていたときの受注で、そこからもう一度、頑張ろうと思い直した。その1件が救いになった」と竹下は話します。

「その直後の年末、実家のある熊本県に帰る途中で、お礼とご挨拶を兼ねて久留米市のそのお店に立ち寄りました。どんなバイトが採用されたのかな、という好奇心もありました。というのも、そのお店は久留米市の中で一番元気な繁華街にあるお店。若者に人気のお店もたくさんあるので、求人広告はそのエリアのカラーに合った人材が募集してくるよう『キャピキャピしたパーティ・ピーポーな広告』にしていたのです(笑)」

お店の店長とも相談し、「これでお客さまもお店も楽しくしてくれるような人材が募集してくれるといいね」と納得の上で作った広告でした。すぐに応募があったこともあり、竹下はどんな人材が採用されたのだろうと気になっていました。そんな興味津々の竹下の席にやって来たのは、少しおどおどしたような印象すらあるおとなしめの店員。「このお店には珍しいキャラだな」と思っている竹下に、店長が「竹下さんと作った広告を見て、応募してきたバイトだよ」と言ったのです。

迷ったときは自分の利益不利益は考えない。あらゆる意思決定は顧客本位であるべき。

「マッチング、失敗したかな。すぐに辞めちゃったらどうしよう。お店の雰囲気や求めていた人材像とギャップがありましたから、そんなことが頭をよぎりました。それで『どうしてこの店に応募したの?』と尋ねてみたんです」

返ってきた答えは「将来の夢はアナウンサーになること。でも人見知りでうまく話せなくて。楽しそうなこのお店の求人を見て、ここなら人見知りもしなくなって、自信を持ってアナウンサーの夢を目指せるかなと思った」という言葉でした。その言葉で、雷に打たれたように衝撃が走ったと竹下は言います。

「アルバイトは夢をかなえられるツールなんだ!もちろん分かっていたけど、契約を取ろうとしゃかりきになってすっかり忘れてしまっていたそのことを、店員さんの言葉が思い出させてくれたのです。そこから入社前に期待でいっぱいだったときの思いがたくさん甦ってきました。バイトが夢をかなえるツールになることに魅力を感じて、この業界を選んだこと。求人広告を通じて、企業と求職者の素晴らしい出会いをつくりたいと思ったこと。たくさんの人の夢をかなえる手伝いがしたい、と思っていたこと。その店員さんの言葉が、そんな熱さを思い出せてくれたのです」

そこから竹下は「お客さまのニーズに応えることが、自分の仕事。それが誰かの夢をかなえる手伝いをすることにもつながる」と信じて、営業に一層邁進したのです。お客さまが望んでいることは何か、困っていることはないか、ヒアリングをしてどうすれば自分はそこに貢献できるか、お客さまのためになれるかを第一に考えてきたと言います。
そうして営業マンとして経験を積む中で集めたお客さまの声や要望から生まれたのがSync Upだったのです。

「お客さまのためになりたい、が自分の原点。その原点に立ち戻って、Sync Upはシェアフルと事業を統合するのがベストだと判断しました。人員が不足する時期を知り、募集で人員を補填する。Sync Upとシェアフルが一つになれば、それを一気通貫でできるサービスを提供できる。当社にとっても大きなビジネスです。何より、お客さまにとってとてつもなく大きな価値を提供できる。それを考え、事業統合に合意すると決めたのです」

苦労する道も迷わず選ぶ。その先に、誰かの喜ぶ顔があるのならば

Sync Upとシェアフルの統合は、圧倒的なスピードで実現されました。2つのシステムの統合も、サービス停止などのトラブルを起こすことなく、実にスムーズに行われました。「利用いただいているお客さまに迷惑はかけられない」と竹下が奔走した結果です。

「同グループとはいえ、2つの違った会社・サービスを統合するのですから、苦労はありました。でも、『苦労できる人生は、豊かな人生だ』と思っているので。その苦労も楽しむように心がけました。」

と竹下は笑います。そしてこれからも楽な道か苦労の道かの選択肢があれば、苦労する方を選ぶと思うと話すのです。

「ずっと父親に『苦労した人が損をしない世の中をつくれ』と言われてきました。自分の苦労が誰かの役に立つなら、その苦労は自分にとってもプラスになると思っています。小さなころからずっとプロサッカー選手を目指してきて、いいところまでいったんですよ。そのときに目指していたのが『ワンプレーでスタジアムを動かす』こと。好きな選手の姿を追いかけて立てた目標です。自分がうまくプレイできてゴールを決めたときって、シュートまで誰もが固唾を呑んで静まりかえっていたスタジアムが、歓声で揺れるんです。めちゃめちゃ気持ち良いんですよ。でも、サッカーはケガで断念してしまった。そのときに、就職して社会に出ることを決めた自分に、サッカーと同じ目標を自分に課したんです。『一つのサービスで、マーケットを動かす』。それをSync Upで一度経験できた。たくさんの人が喜ぶ顔は、やっぱりうれしかった。だから、またもう一度。シェアフルシフトに限らず、自分の力で新たにマーケットを動かしたいですね。苦労すると思います。でも苦労しないと人生意味がない、とも思えてきた。そうやってまた次のゴールを目指して走りだした今、とても毎日がおもしろいんです」

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。

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