パーソルイノベーション株式会社は、運営会社の違う複数の転職サービスと連携し、求人情報や選考状況を一元管理する業界初となるサービス『転職管理マイリスト』をスタートしています。『転職管理マイリスト』事業責任者であるパーソルイノベーションの二田 大士に新規事業の立ち上げから今までの道のりなどを聞きました。
■サービスの概要
転職活動をする際、複数の転職サービスを活用するため、各サービスの情報が分散して混乱してしまうことがあります。『転職管理マイリスト』は、登録した複数の求人情報や掲載先の転職サイト、選考状況などを一元管理し、手間のかかる管理の負担を軽減し、現職ではたらきながらの転職活動をスムーズにします。
周囲の応援、協力が背中を押してくれた
「まずは想いだけで突っ走りました!」
——『転職管理マイリスト』を企画した背景は?
二田:転職活動は、人生において大きな転機になるイベントです。私自身も、転職活動をしていたときに、機会損失を避けたいという気持ちが大きくあり、複数の転職サービスを活用していました。多くの人がそうだと思いますが、現職ではたらきながらの転職活動なので、出勤前の朝と退社後の夜しか時間がない中でどのサービス経由でどの会社の転職活動が進捗しているのかが煩雑になっていきました。そのうちに抜け漏れが出てきて、別のサービスとの重複応募をしてしまうようなミスもあったんです。自分自身でExcelで管理したりもしましたが、ものすごく手間でした。
その後、パーソルグループにジョインして人材事業の営業部ではたらきながら実際の転職サービスを調査していると、採用側の課題を解決するためのサービスはあるけれど、転職活動自体をサポートするサービスがないことに気付きました。
社内で転職してきた人たちやインタビューサービスを使って転職を考える20代~30代の一般の方にヒアリングをしてみると、不便を感じている声が一定数あると実感し「誰もやらないなら私がやろう」という想いが生まれました。当時、私はパーソルキャリアの新規事業企画におり、経営会議で起案したのですが、コロナ禍でマネタイズの問題もありいったん断念しました。でも、サービスがあったらうれしいという声をもらっていて、その声を無駄にしたくない、どうしても形にしたいという思いが強く、新規事業創出プログラム「Drit」に参加して採択され、今につながっています。まずは想いだけで突っ走ったという感じです(笑)
——事業化に向けてどのように気持ちを整えていたのですか。
二田:周囲からの応援や協力が大きかったです。会社の中でも「面白そうだね」と言ってくれる人が少しずつ増えて、上層部からもたくさんのアドバイスをいただきました。
パーソルグループは、長年にわたって人材業界を運営する中で転職に対する知見がある人たちが、その知識をオープンにする方が多い組織文化があります。相談に行くと、成功も失敗も含めて体験談を話してくださる人がたくさんいました。初めてチャレンジする過程で、すごくありがたかったですね。
——印象的なアドバイスはありますか。
二田:新規事業にトライするためのアドバイスでは「Drit」に応募する際、「ユーザー体験にしっかりとコミットして、お金を考えずに突き進みます」とプレゼンで言い切るのも一つだとおっしゃってくれた方がいて、とても勇気づけられました。
——すごい、カッコいいですね。なぜ、多くの人が応援してサポートしてくれたと思われますか。
二田:私はいつも原点に立ち返ることを大切にしていました。新規事業は、常に何が起きるか分からず、正解がない領域です。自分が混乱してしまうとついてきてくれるメンバーはさらに混乱して、不安に陥ってしまいます。そんなときこそ、立ち返る場所が大切です。なぜこの新規事業をやろうと思っているのかをちゃんとしっかりと理解しておく。私にとっては誰のなんの課題を解決したいのかという部分です。
ユーザーのニーズが分かっていて、課題を解決したいというはっきりとした原点があるので、もし「Drit」で通過しなかったとしても、あきらめないでまた違う方法を模索することができたと思います。「なぜやりたいのか」の部分をはき違えて、ただ利益や成果のためにやっているという頭になってしまうと、壁にぶつかったときに「あれ、なんのためにやっているんだっけ?」ということが起きて、迷いが生じてしまうと思います。
ただの独りよがりだったら、誰からも応援されないと思いますが、この「なぜやりたいのか」という部分に共感いただけたことで、たくさんの人が時間を割いて相談に乗ってくれたと思います。
会員以外の人からもうれしい問い合わせ
——サービスがスタートしてからのユーザーの反響を教えてください。
二田:「転職活動が楽になった」「このサービスができたことによって、転職活動の方に注力できました」ということを、わざわざ問い合わせボックスに書き込んでくれる方がたくさんいて、一人ひとりのユーザーに対して、とてもうれしいですと返信しています。
ちょっと面白い声もありました。会員じゃない方が、「転職活動が終わってしまった直後にこのサービス知りました。もっと早く知りたかったです」と問い合わせボックスに連絡をくれて「もしよろしければ、私の転職活動の状況とかつくっていたスプレッドシートとか、今後お役に立てればと思いますので、共有させてください」とおっしゃってくれたんです。ただサービスがあるという事実を知ったというだけで、そんな形で応援していただけるっていうのはすごくうれしいなと感じました。
——今後、増やしていきたいサービスや改善点はありますか。
二田:厚生労働省のデータを見ても、転職に興味があるという人は年々増えていっています。そこで、転職活動の応募以降ではなく、応募する前の方々に向けたサービスを考えています。
いつか転職したいなと思っている人は、今出ている求人情報を常にいろんなサイトで調べています。いいなと思ったら、だいたい皆さんスマホでスクショして保存していると思います。ただスクショだと、プライベートの写真とごちゃ混ぜになって、すぐに探せないということが起きてきます。または、期間が空いて見ようとしたときには求人が終了して閲覧できなくなっていることもあります。そんなふうに、実はいつか転職したいなって思っている人たちにも課題があると気付きました。マイリストに気になる求人を保存しておくと、最新の求人が出たときに通知が来るというようなサービスを考えています。
転職活動のハードルが下がることで
新しいはたらく機会がクリアに見えてくる
——「はたらいて、笑おう。」の実現に向けて『転職管理マイリスト』が担っているものはなんだと思いますか。
二田:人材業界にいるので「転職」というワードは馴染みがあります。でも、ちょっと前までは一つの会社に一生勤めるのが当たり前だった時代がありました。終身雇用という概念が崩れつつあって、転職を考える人は増えてきていますが、まだ転職活動自体は馴染みがなく、やろうと思うとかなり大変で面倒だというイメージを持っている人も多いと思います。しかもはたらきながらだと時間を捻出するだけでも大変だから、結局ずるずると行動できないという人も存在していると思います。
転職活動が気軽にできるようになれば、自分の新しいはたらく機会や選択肢がクリアになるのではないでしょうか。その結果、選択肢を持った上で納得感のあるキャリアを築いていくことができれば、最終的には「はたらいて、笑おう。」につながってくるのではないかと感じています。
今は、ちょっと大変だというイメージの強い転職活動がスムーズになるように、頑張ってプロダクトを磨いていきたいなって考えているところです。
——二田さん自身がこれまでに実感した「はたらいて、笑おう。」を教えてください。
二田:やはりユーザーから喜びの声が届いたときですね。やって良かったという気持ちは大きかったです。新規事業は、ニーズがありそうだなと漠然とした中で思い浮かんで、具体的に詰めていくとどんどん悩みが生まれて、壁にぶつかりながら前に進めているというところがありました。正解が分からなくてもがいている中で、ユーザーの皆さんが使ってくれていることを感じ取れたり、温かい声や激励の言葉をいただけると、正解に近づいたのかもしれないという感覚を得ることができました。人生山あり谷ありですね。夢の道を一歩一歩進んでいることを楽しんでいます。
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。