パーソルホールディングスは11月19日の「いい育児の日」×「国際男性デー」に関連して、パーソルキャリア本社(麻布台ヒルズ)にて「パーソル 育児サミット2024 〜パパによる企業対抗 育児クイズ王&パネルディスカッション〜」を開催しました。
パーソルグループは社内の男性育休取得率100%を目指し、グループ各社で人事制度の整備や取り組みを推進。また、2023年12月には有志コミュニティ「男性育休推進部」の立ち上げや、24年8月に社内イベント「育児はスポーツだ!イクジ(育児)アスロン大会」などを実施してきました。
一方、社会全体をみると男性育休取得率は、2023年度に過去最高の30.1%(厚生労働省調べ)という現状。本イベントは、グループ内だけでなく社会全体の男性の育休取得率向上、育児への参加意識向上を目的に企画しました。
当日は、パーソルグループのほか、男性育休取得に積極的に取り組んでいるSCSK株式会社やパナソニック コネクト株式会社、母子保健事業を行う公益社団法人 東京都助産師会、さらに元アナウンサーで現在はPIVOT株式会社に参画されている国山 ハセン氏がイベントに参加しました。
第一部は育児に関する知識や技術を学ぶ、パパによる「企業対抗 育児クイズ王」、第二部は「『男性育休』がもたらす仕事と育児のウェルビーイングな関係」をテーマにしたパネルディスカッション。これら2部構成で開催した本イベントの一部を、ご紹介します。
当日の様子
オンラインとオフラインのハイブリッドで行われ、合わせて148人が参加しました。
【第1部】意外と分からない!?パパによる「企業対抗 育児クイズ王」の結果は。
パナソニック コネクトチーム、国山 ハセン氏&パーソルチーム、SCSKチームの3チーム対抗で、東京都助産師会監修のクイズに挑みました。基礎的な問題から赤ちゃん人形を使った実践的な問題もあり、チーム内で声を掛け合いながらの接戦が繰り広げられました。
全6問のクイズを勝ち抜き、見事優勝したのはSCSKチーム。「男性育休推進部」副部長のパーソルテンプスタッフ 西迫 博からトロフィーを受け取り、優勝の喜びを分かち合いました。
【第2部】育休中は何をやるべき?やるべきでない?パパ同士で考える
第2部のパネルディスカッションは「『男性育休』がもたらす仕事と育児のウェルビーイングな関係」と題して、「育休dos/don’ts(やるべきこと、やるべきでないこと)」、「社員に仕事と育児のウェルビーイングな関係を築いてもらうには?」の2つのテーマで議論が交わされました。
■パネリスト紹介(写真左から)
パーソルホールディングス株式会社 グループ人事本部本部長 大場 竜佳
SCSK株式会社 人事本部 DEIB・Well-Being推進部部長 井出 和孝氏
元アナウンサー PIVOT株式会社 プロデューサー 国山 ハセン氏
パナソニック コネクト株式会社 人事総務本部 DEI推進室 古山 雄也氏
公益社団法人 東京都助産師会 比嘉 美貴氏
「育休dos/don’ts(やるべきこと、やるべきでないこと)」では、まず「dos(やるべきこと)」においてパートナーとのコミュニケーションの重要性や主体的に家事・育児に関わる大切さが各パネリスト共通で述べられ、中でもパーソル大場は「フルタイム主夫」への挑戦を呼びかけました。
自身が3週間の育休中に、主夫として家事・育児の一連の流れを経験したことを受け、そこで得た学びや気付きを忘れないよう、復職してからメモしたとのエピソードを披露。「復職し、仕事をしているとつい家事や育児のリアルを忘れがちになってしまう」とのことで、今でもメモを定期的に見返し、パートナーと役割分担するためのポイントを忘れないようにしているそう。
次いで「don’ts(するべきでないこと)」においては、SNSを過度に頼ることやお任せ意識、指示待ち育休の話題が挙げられました。SCSK井出氏は、「料理や授乳は母親が行う」といった固定観念の払拭を心がけたと話し、パナソニック コネクト古山氏は同意する形で、特に「“俺も頑張っているよ”感を出さない」と、当事者意識の重要性を語りました。国山氏は「するべきでないことは人それぞれだと思いますが、あえて“仕事はするべきでない”と言わせてください」と前置きした上で、家族の土台が変わっていく時期だからこそ育休中は家族をセットアップし直す時間と捉え、育児に集中するのが良いのではないかと述べました。
パパ目線の意見に耳を傾けていた東京都助産師会の比嘉氏は「家事・育児において、男性も主役の1人である」と宣言。「男性は、夫として妻のサポート、父親として子のサポートと、サポート役になりがちですが、そうではありません。奥様とのツートップ、主役の1人として二人三脚で家庭を守る存在です」と男性の積極的な育児参加を促す一方で、育児参加男性であっても10人に1人は産後うつになることにも言及し、力みすぎることへの注意も語りました。
育児と仕事を両立する、社員のウェルビーイングを高めるために
後半は、「社員に仕事と育児のウェルビーイングな関係を築いてもらうには?」と題し、各社の男性育休取得に向けた取り組み、具体的な成果が語られました。
始めに、古山氏からパナソニック コネクトの取り組みが紹介されました。「『男性育休の取得を“当たり前”にしていく』をモットーに、これまで株式会社ワーク・ライフバランスの「男性育休100%宣言」への賛同や、育休取得のプロセスを記した男性のための育休ガイドブックの作成、男性育休取得者の座談会などに取り組んできました」。
さらに、育休前、育休中、復職後とフェーズごとの取り組みも強化。たとえば、育休取得のハードルを上げる一因として管理職の承認があると分かり、対策としてマネジャー以上を対象にした育児と仕事の両立についての理解を深める4.5時間のDEI研修を実施したそう。復職後には、会社主体でワーキングママ・パパのランチ会を催すなど、相談できるコミュニティ形成の取り組みも紹介。その結果、2023年度には男性育休取得率が92%、平均取得日数45.8日と大幅な改善がみられたと締めくくりました。
次に取り組みと成果を紹介したのは、SCSK株式会社の井出氏。SCSKは、「はたらくことを通して社会への価値創出に注力してもらいたい」との想いから、多様なはたらき方を支援する施策を、法整備がされる前から制度化してきたそう。その1つとして、育休の分割取得ができることが挙げられました。また、「休業」というワードにネガティブな印象を持ってしまい、特に経済面での不安があるとの声を受け、特別有給という形で配偶者出産休暇を20日取得できる制度も整備。
さらに特徴的な施策として、出産した女性社員の配偶者宛に当社社長から育児参加を促す支援依頼、つまりお手紙の送付をしていることを紹介しました。「育児をしながら女性社員がはたらくのは、体力的にも精神的にも負担があります。会社としてできることは限りがあるため、第三者的立場から周囲の協力を依頼するようにしています」と話し、これには東京都助産師会の比嘉氏も「自分では言いづらいことを言える、良い制度ですね」と感想を述べました。そうした制度や施策もあり、男性の育児休業・休暇取得状況は、2024年3月に93.8%という成果となりました。
最後に、大場からパーソルグループの取り組みが紹介されました。「2026年3月期までに1日以上男性育休取得率100%」という目標に加えて、さらに長い1カ月以上の育休取得も推奨しています。国内だけでも37社の会社で組織されているパーソルグループは、グループ横断の取り組みと、各社がそれぞれ推進する取り組みの双方を織り交ぜながら、グループ一丸となって取得率向上を目指しています。
たとえば、育休取得前に利用できる取り組みとして、漫画を活用して男性育休を学べるコミックラーニング(※1)や、1on1形式で産育休についてオンライン相談できる「産育介護コンシェルジュ(※2)」、「産休育休ガイダンス(※2)」などを挙げました。育休明けのスムーズな復帰に向け「育休ウェルカムバック制度(※2)」(法令を遵守した形で希望する社員へ一時的な就労機会を提供する独自制度)も設け、復職後には家事・育児代行サービスの費用補助も整備(※3)。
そのほか、今回のイベントにも参加している有志社員による「男性育休推進部」や「男性育休サポーターズ」などボトムアップの活動も盛んであると話しました。現在は、2024年度3月期には1日以上の取得率が73.0%、1カ月以上の取得率が36.2%、取得者の平均取得日数が61.2日という成果が出ていると述べました。
(※1)グループ横断の取り組み
(※2)パーソルキャリアの取り組み
(※3)パーソルテンプスタッフ、パーソルダイバースをはじめ多くのグループ内個社が導入
こういった成果が出た背景には、グループ全体でポジティブなニュースとして男性社員の育休取得を伝えていることがあると述べ、「積極的に周知活動を行ってきたことで、身近に育休を取得する男性社員が増え、『取得するのは自然なことだ』という雰囲気ができたのかもしれません」と話しました。
各社の取り組みを聞いていた比嘉氏は「各社とも、とても前向きに、そして積極的に育休取得の向上を目指した取り組みをされているのがとても素晴らしいと感じました」とコメント。比嘉氏は、よく母親側から「夫の育休が明けてしまうことが不安」という相談が寄せられると話し、「企業としては育休取得に向けた取り組みだけでなく、育休後の取り組みにも注力すると、お母さまたちの安心感にもつながると思います」と締めくくりました。
参加した各企業からの感想
●SCSK株式会社
今回のイベントを通して、育休中のことを思い出す良い機会になりました。
「企業対抗 育児クイズ王」はありがたいことに優勝しましたが、実は回答が曖昧な問題もありました。育休が明けると途端に仕事のことで手一杯になってしまい、知識を忘れてしまっていることを痛感しました。育児に関しては、まだまだ勉強不足。引き続き、家庭内で教えてもらったり、社内の育休経験者と知識を高めたりしていければと思います。
●パナソニック コネクト株式会社
国際女性デー(3月8日)やLGBTQ+のレインボープライドイベントなどは、社内でも社会的にも認知が広がってきていますが、11月19日の「国際男性デー」と「いい育児の日」はまだまだ伸びしろがあると感じているため、こうしてイベントに参加できて良かったです。
イベントを通じ、自分にとって育休が過去の思い出になってしまい、日々の生活に活かせていなかったとハッとしました。このタイミングでもう一度思い出すことができましたし、他社の皆さんと知見を交換し合えたおかげで、これからますます男性育休の取り組みに貢献していきたいと気持ちが新たになりました。
●国山ハセン氏&パーソルグループ
今回のイベントのように楽しみながら育児を学び、そして他社の取り組みを知れる機会はとても貴重だなと感じました。今後、男性育休推進部でも、配偶者とともに交流できるランチ会などのイベントを企画してみたいと思います。
プライベートのパパ同士や、組織内での育休経験者同士などでも、「こんなことを聞いてもいいのかな」「話しかけたいけど……」と、男性同士では距離感が図りづらい場面が少なくありません。イベントを通してコミュニケーションを取れたことで、チーム内でパパあるあるに共感できたことが印象に残っています。そうしたネットワークの構築にもつながる良い機会になりました。
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。