パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。「PERSOL Group Awards」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループで最も栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。
本連載では、2023年度の「PERSOL Group Awards」を受賞した社員のキャリアストーリーと、受賞の舞台裏をご紹介します。
第19回目は、ポスタス株式会社の平松 謙一です。
平松が手掛けたのは、クラウドレジ「ポスタス」の地方自治体へ向けた営業推進プロジェクト。約110の地方自治体との契約に成功し、業界トップクラスのシェアを獲得しました。
周りに救われて、“腐っていた”自分から抜け出した
平松は、新卒でインテリジェンス(現在のパーソルキャリア)へ入社。彼はそこで、人材紹介や求人媒体の営業などを経験しました。
「入社した当時は人材系の企業が自分の周りでも人気で、その中でも大きな企業に入れば自分も何事かを成し遂げる人になれるんじゃないかと安易に期待していました。そこに入れば、やりがいを持てる何かがきっと見つかるはずだ、と。しかし最初は正直、“腐っていた”時期もあって。担当するサービスに心から共感できているのか自分でも分からず、仕事の意義が見出せないでいました。自分が仕事でどのように社会に貢献できているのか分からない、と悩んでいたんですよね」
精神的に腐り、社内でも孤立しそうだった、と平松は当時を振り返ります。そこで救いとなったのは、周囲の上司や先輩でした。
「もともと面倒見のいい方が多い組織なのだと思います。向いていそうな部署に異動できるよう推薦してくれたり、私の仕事を舐めたような態度を根本から正してくれたり、時には人間性に関わるところまでフィードバックをしてくれたり。そこまで踏み込むのって、本当は上司や先輩もめんどくさいことだと思うんです。でも見捨てずに、関わっていただきました。お陰で少しは真人間に近づけたんじゃないかなって、思っているんです」
前例がない行政提案。初年度は1件も契約できず
平松の転機は、求人媒体『an』を担当していたころのこと。『an』のサービス終了が決定したことをきっかけに、まったく異なる領域へのチャレンジを決めます。
「ディスラプト(新しい技術やビジネスモデルによって既存プレイヤーを脅かすほど市場や消費者行動を変えること)される側じゃダメなんだ、と感じました。anもそうですし、私は実家が商売を営んでいて、実家の事業も他社にディスラプトされる様を見ていたので、余計にそう思ったのかもしれません。自分自身が既存事業にただしがみついるだけであれば、気付かぬうちに価値が低くなっていく可能性がある。であれば自ら新しいものを生み出すような、生き抜く力を身につけなければ、自分も食っていけないし、周囲を手助けすることもできないと考えました。だからディスラプトする側、つまり新しく事業をつくる側に行こうと。そこでグループ内の個社に異動ができるキャリアチャレンジ制度を使い、まだ設立1年程度だったパーソルイノベーションへ。そこでポスタスと出会ったんです」
クラウド型のPOSレジであるポスタスは、それまで民間企業への導入が主。行政・地方自治体への導入は、ポスタス内のメンバーもほとんど考えたことがないといいます。
「先入観ですよね。地方自治体が、ポスタスを導入するわけがないってなぜだか思い込んでいました。しかしポスタスがお付き合いのある企業とのつながりの中で、自治体にもキャッシュレスのニーズがあることを知り、さらに調べてみると経済産業省が自治体でのキャッシュレスを推進していることやDXのニーズもあることが分かった。ポスタスを提案する価値はありそうだと判断しました」
ニーズを読み、全国1,700の地方自治体へ一気に営業活動を行うことを決定。しかし困難は膨大にあったと平松は振り返ります。
「行政と民間企業では、やはり提案のプロセスもルールも異なる。ポスタス側にも行政提案のノウハウがなかったため、最初は苦労しました。『前例がないから』と断わられてしまうことも多かったです。プロジェクトの1年目は1件も契約が取れませんでした」
先入観で見ない。認識を合わせる。そうして、一つひとつをていねいに
プロジェクトの進行について、平松は「かなり泥臭い努力だった」と説明します。劇的な打開策を探すのではなく、一つひとつの対応や調整を大切にしました。
「受注するまでの1年間、毎日メールをやりとりし続けた自治体もあるくらい。1つの質問に答えると次はまた10個の質問が返ってくるようなやりとりもあったけれど、コツコツ対応し続けました。自分たちで分からないこともあるので、社内外の協力者に質問したりお願いしたりを繰り返しましたね。行政独特の文化に、ときには内部で『こんなに細かいところまで対応する必要ないはず』と疑問の声が上がることも。行政は税金を使うからこそポスタスの有用性が細かくチェックされること、広く市民が使うため操作性が重視されること、セキュリティにももちろん厳しいこと、それらを一つひとつ、社内外で認識を合わせました」
地道に調整を重ねた結果、受注率は60%を超え、受注した自治体は約110自治体に。
「地方自治体に入り込んだプロジェクトって、ほかの企業に比べるとパーソルグループはまだまだシェアが伸ばせていないんです。ポスタスとして行政の仕事ができたことは、非常に大きな一歩であり、意義のあるプロジェクトだったと思います。もちろんプロジェクトはこれで終わりではありません。ある程度実績をつくりノウハウも確立できてきたと考えているので、今後の拡大を狙うところです。自治体って住んでいる人には必ず関係のあるものですよね。そこにいる限りは、手続きなどで必ず訪れる。多くの人に貢献できたと思うと、チームとしてやりがいも感じられました」
私、ここまで育ちましたよ!
平松は自身のキャリアを振り返り、「新卒のころに比べたら、夢ややりたいことを持てているのが誇らしい」と言います。
「自分は、社会貢献の成果が定量で見えやすい仕事が好きだしやりたかったんだなと気付きました。たとえば目の前の一人を幸せにするのは大事なことだけれど、人によって幸せの尺度も異なるし、定量で図ることが難しいものだと私個人は感じています。それより、新たなサービスや仕組みで、大きな数の人や組織を動かしたい。社会を一気に変えるような営みに興味があります」
中でも平松がやりたいのは、今後もやはりゼロからイチを生み出すような新規事業。課題を見つけるところからやりたいのだと主張します。
「自分が天邪鬼な性格だからかな?人がつくった動線にただ乗っかっていくのが嫌なんです(笑)。だから自分で課題やホワイトスペース(ビジネスモデルの空白地帯)を見つけたい。それで世の中にインパクトを与えたいです」
最後に、平松にとっての「はたらいて、笑おう。」について聞くと、「ただ笑うだけじゃ意味がない」と彼はいいます。
「全ステークホルダーが自分らしくはたらけること。その結果、はたらいて笑うことにつながるのだと思います。そのためには個々人を調整する立場の能力って重要で、みんながその人らしい仕事をできているか、その人らしい振る舞いができているかって、周りのことを考えていかないといけないですよね。私は幸いなことに苦手意識もなく、周りの方のお陰で自分もできるようになったと思っています。昔自分が腐りそうだった時代に、私が笑えるよう計らってくださった方々へ伝えたい。私、なんとかここまで育ちましたよって、今の姿を見てほしいですね」
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。