障害のある社員が農家の方と一緒に育てた「よこすか野菜」を社内で販売!

パーソルグループの障害者雇用を手掛けるパーソルサンクス株式会社は、神奈川県横須賀市にある「よこすか・みうら岬工房」で地元農家から農作業を受託し、障害のある社員が生産に携わった「よこすか野菜」の販売会を、10月21日にパーソル南青山ビルにてグループの社員向けに行いました。

※障害のある社員(以下、メンバー)、障害のある方をサポートする社員(以下、スタッフ)

◆「よこすか・みうら岬工房」とは
2018年に農業分野における障害者雇用の創出と職域開発を目的として開設した“農福連携(※1)”を実現する工房です。2018年6月には、全国初の試みとして自治体と特例子会社による農業分野での障害者雇用促進協定、「農業と福祉との包括的な連携推進に関する協定書」を横須賀市と締結。現在、約30名のメンバーを雇用し、地域のニーズに合わせてさまざまな農作業をサポートしています。
・農福連携を開始した背景・概要はこちらをご覧ください。
(※1)農業における「人材確保や担い手不足」と障害者就労の「雇用先の不足や職域拡大」、双方が抱える課題を連携して解決していくこと。

本記事では、販売会当日の様子に加え、販売した「よこすか野菜」のミカンとサツマイモを育てた小林農園の小林 大晃さんと、ともに農作業に携わった「よこすか・みうら岬工房」のメンバー 石井 樹生へのショートインタビューもお届けします。

販売会の様子

この日販売されたのは、サツマイモ、ミカン、レタス、カブ、の4種類。11時30分から13時30分の開催中には多くの社員が訪れ、終了前に売り切れるほどの大繁盛ぶりでした。
サツマイモやカブは、一般のスーパーで見るものより大きく、あちらこちらから「はじめて見る大きさ。すごい!」といった驚きの声が。また、「しばらくカブ三昧になりそう(笑)」「大学いも作りにチャレンジしてみようかな」など、グループの垣根を超え、社員同士で楽しく会話をする姿も見られました。

サツマイモとミカンは一袋300円。レタスとカブは1袋200円で販売
手際よくミカンを袋に詰めて販売の準備をするメンバー
販売するときの手順を社員から教わるメンバー。聞き漏らさないよう真剣です
販売会は大盛況!エコバック持参の社員も数多くみられました

ショートインタビュー

今回販売された、ミカンとサツマイモを育てている小林農園の小林 大晃さん(写真右)と、一緒に農作業に携わった「よこすか・みうら岬工房」のメンバー 石井 樹生(写真左)に話を聞きました。

2人が手にしているのは、小林農園で採れたミカンとサツマイモ

小林農園・小林 大晃さん

~メンバーに依頼するようになったきっかけ、感想、今後の意気込み~

目次

メンバーのみんながいてくれるからこそ仕事が回っている!

――「よこすか・みうら岬工房」のメンバーにサポートを依頼ようになったきっかけを教えてください。
小林さん:パーソルサンクスのメンバーに手伝ってもらっていることをSNSにあげている農家の方がいたんです。うちは家族経営の農園で慢性的に人が足りていなかったこともあって、興味を惹かれてその方に連絡を取り、「よこすか・みうら岬工房」につないでもらいました。それが4年前ぐらいですね。

――障害のある方にお願いするということに不安はなかったですか?
小林さん:正直、「意思疎通をうまくとれるのか」「どういう作業ができるのか」「指示した通りにちゃんとやってもらえるのか」など、不安はありました。それなので、2~3回トライアルという形で作業をしに来てもらったんです。それで「これならきっと大丈夫」と思って、お願いすることにしました。とはいえ、障害のある方と仕事をするのははじめてなので、探り探りのスタートでしたね。

今、来ていただいているのはメンバー3人、スタッフ1人の計4人ですが、もうこの方たちがいないと仕事が回りません。それまで1日かかっていた作業が2時間ほどで終わったりするので、より良い作物をつくるためにやりたいと思いながらできていなかったことに手を付けられるようになりました。もう、メンバーのみんながいない状態なんて考えられない。本当に助かっています。

――今回、会場に来ている石井も小林さんの農園でお世話になっているとか。
小林さん:はい。彼にも手伝ってもらっています。うちは、観光農園でミカン、サツマイモ、イチゴの栽培をしているのですが、彼にはミカンやイチゴの栽培を手伝ってもらっています。ミカンでは、除草のほか、「実の選定」という仕事もお願いしています。これはミカンが緑色をしている真夏に行う作業で、小さいものや、傷がついている実を落とすのですが、この作業は秋以降に甘くておいしいミカンを収穫するための大切な作業なんですよ。

――そんな重要な作業まで……。
小林さん:障害のあるなしに関わらず、はじめての作業は誰でも難しいし、間違えることもありますよね。同じですよ。彼もはじめは失敗したし、ゆっくりゆっくりでしかできなかったけど、慣れてきたら失敗も減り、スピードもアップしました。
メンバーと仕事をする上で大切だと感じるのは、コミュニケーション。中でもメンバーが分かるようにきちんと伝えることが重要です。私も教え方や、伝え方のいい勉強になっています。

――今後の意気込みを教えてください。
小林さん:農園の規模を拡大して、おいしい横須賀の野菜や果物をもっと多くの皆さんに楽しんでもらいたいと思っています。それに伴いメンバーも増員していけたらと考えています。
また、メンバーと触れ合うことで農福連携に興味が湧いたし、いい取り組みだと実感しました。障害のある方が活き活きとはたらくことができる、こうした取り組みがもっと広がるといいなと思います。

パーソルサンクス・石井 樹生

~入社理由、仕事をしてみて、今後やってみたいこと~

心がけているのは「分かったつもりで作業しない」こと

――「よこすか・みうら岬工房」に入社した理由を教えてください。
石井:家が職場から近いのと、外ではたらいてみたいというのがあり、入社を決めました。農業に興味があったわけではないんですが、実習をやっていくうちにどんどん楽しくなって、ここでがんばりたいなと思いました。

――どんな仕事をしているんですか?
石井:カブやミカン、イチゴの栽培に関わる仕事をしています。ミカンは、苗を植えたり実の選定作業を、カブは、傷んだ葉をとったり、傷がついていないかなどを見ていいカブを選ぶ作業をしています。イチゴは外側の汚れた葉を取る「葉かき」をやっています。

――入社して2年が経つとのことですが、自分が成長したなと思うことはありますか?
石井:はじめは分からないことだらけだったし、失敗もたくさんあったんですけど、今は失敗も少なくなり、いろいろな作業を早くできるようになってきました。どの作業も丁寧にやるようにしています。それと「分かったつもりで作業しない」ということを教えてもらったので、気を付けています。

――これからやりたいことはありますか?
石井:いろいろな農家さんのところではたらいてみたいです。農業は、苗植えから出荷するまで、いろいろな手順があるので、いつか最初から最後まで通しでやってみたいです。

――今日の販売会の感想を教えてください。
石井:楽しかったです!はじめはミカンをビニールに詰める作業だけと言われていたのですが、ほかの仕事も手伝うことができました。またこういう機会があったらやりたいです!

来場してくださった「横須賀市経済部農水産業振興課」の方々からも、うれしいコメントをいただきました。

(写真:左から能仁 健一郎さん、武田 哲治さん、吉本 美芽さん)

パーソルサンクスとの農福連携事業を開始してから約4年が経ちますが、地域の農家さんから「とても助かっています!」という声を多くいただいています。また、元気よく一生懸命はたらいてくれるメンバーの方々の噂を聞いて「うちもパーソルサンクスのメンバーの方に来ていただきたいんですが……」という相談を受けることもありますよ。

横須賀と聞くと“海”を連想するかもしれませんが、実は温暖で土壌がよく、一年を通しておいしい農作物がたくさん収穫できる、農業が盛んな地域でもあるんです。でも、横須賀の農家さんは、家族経営の場合が多く人手不足になりがち。メンバーの方々にジョインしていただけるのは、本当に助かると思います。
これからもメンバーの方々に楽しくはたらいてもらい、農家さんにはおいしい野菜や果物をもっともっとつくっていただく。そして、おいしい「よこすか野菜」を全国にどんどん広めていきたいですね。

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