
障害者雇用を手掛けるパーソルサンクス株式会社は、2020年3月に富岡倉庫2号倉庫の管理運営優先事業者に選定され、2022年4月28日に本倉庫と富岡製糸場を地域活性化とともに障害者雇用の拡大を目指す施設として、「Merci Cocon & Café」(メルシー・ココン アンド カフェ)をオープンしました。
富岡倉庫は、明治33年創立の富岡倉庫株式会社が明治から大正時代に建設したもので、繭などの地場産品を保存するために建造した倉庫3棟と繭の乾燥場1棟の合計4つの建造物から構成されています。
2017年から富岡製糸場周辺整備の一環として整備が進められ、新国立競技場の建設にも携わった隈 研吾建築都市設計事務所が設計を手掛け、おしゃれ空間として生まれ変わりました。
本記事では、「Merci Cocon & Café」がオープンした2号倉庫の様子と、カフェのメニュー開発に携わるパーソルサンクスのスタッフ 石原 華衣へのショートインタビューをお届けします。
※障害のある社員(以下、メンバー)、障害のある方をサポートする社員(以下、スタッフ)

2号倉庫の様子
「Merci Cocon & Café」がオープンした2号倉庫は2階建。1階は、カフェとシルク関連商品を中心に販売するショップがあり、2階はイベントスペースとパーソルサンクスのメンバーがショップで販売する製品などを製作するクラフト作業場となっています。
地域の特色が活きたメニューも!「Merci Cocon & Café」
「Merci Cocon & Café」という名前は、フランス語で「ありがとう」を意味する“Merci”と「繭」を意味する“Cocon”を組み合わせたもの。これは富岡製糸場が明治時代、フランス人の指導のもと西洋の技術を取り入れた施設として設立された歴史的背景と、パーソルサンクスのミッションステートメント“「ありがとう」をかたちに。”を踏まえて命名されました。

パーソルサンクスは、これまでもパーソルグループの本社ビル内など都内2カ所でドリンクを提供するカフェを運営してきましたが、いずれも利用者はグループに勤務する社員。社外の方をお客さまとして迎えるカフェの運営はもちろん、フードを提供するのも初めての試みです。
提供するのは、コーヒーや紅茶、フレッシュジュースのほか、富岡シルクや養蚕で知られる地域の特色を活かした地元の桑の葉パウダーを使用した「桑の葉オレ」といったドリンク類と、フランスで愛されているフード「ガレット」と「クレープ」です。

お土産にぴったり!シルクを使ったアイテムが豊富なショップ
カフェに併設されたショップには、パーソルサンクスの工房で作られたシルク関連のアイテムなどがずらり!シルクアクセサリー(製作:とみおか繭工房)や繭玉入りハーバリウム(製作:まえばし彩工房)をはじめ、シルクマスクやシルク成分入り除菌液、富岡市のゆるキャラ「お富ちゃん」のプリントクッキー(製作:よこはま夢工房)なども販売しています。

2階のイベントスペースではワークショップを実施!
イベントスペースでは今後、1階のショップで販売しているアクセサリーや繭玉入りハーバリウムなどをはじめ、とみおか繭工房の繭を加工した絹糸を使用してアイテムを製作できるワークショップを開催し、地域で親しまれる交流の場となる施設を目指します。

ショートインタビュー
「Merci Cocon & Café」のメニュー開発に携わる石原 華衣に聞きました。
~カフェオープンの裏舞台から展望まで~

――オープンして1カ月半ほどが経ちますが、反響はいかがですか?
石原:オープンしてから多くのテレビや新聞に取材していただいて、お客さまも少しずつ増えてきました。この富岡倉庫周辺は、お茶をしながらおしゃべりができるカフェなどが少なくて、お客さまにも「こういう場所ができてうれしい!」と言っていただいています。
――一般のお客さまに向けた飲食事業はパーソルサンクス初。準備も大変だったのでは?
石原:私が入社したのは今年の3月で、オープンまで2カ月を切っていました。メニューはすべて決まっていましたが、レシピができていないものもありましたし、メンバーもまだ入社前で、マニュアルを作成するにしてもどの程度まで細かく書いたほうがいいのかも分からず、試行錯誤の連続でした。レシピもマニュアル作りもバタバタで(笑)。でも楽しかったですよ。
――石原さんがレシピの開発を手掛けたのは、どのメニューですか?
石原:桑の葉オレです。私一人でレシピ開発したのではなく、3月に入社したほかのスタッフと一緒に考えました。
お客さまに喜んでいただきたくて、見た目もすごくこだわったんです。ほかのカフェに足を運んだり、インターネットで調べたりしながら、おしゃれな桑の葉オレを目指しました。2層になっていますが、上層はミルクを泡立てたもの。その上に桑の葉パウダーをかけて、香りと見た目のおしゃれさをアップさせました。富岡の特色が活きていると、人気のメニューになっています!
――メンバーの方は、石原さんのマニュアルを見ながら日々作業されているのですよね。どんな仕事をされているのですか?
石原:キッチンでフードやドリンクを作ってもらっています。今では、作る工程もほぼ覚えてくれていて、すべてのメニューを一人で作れる状態です。飲み込みが早いし、一生懸命努力してくれるし……、いい意味で驚いています。入社当初苦手だった果物の皮むきも、今ではほかのスタッフと比べてもその出来に遜色ありませんよ。メンバーの成長を目の前で見て、感じることができるのは本当にうれしいですね。

――メニューを増やす予定などはあるのでしょうか?
石原:はい。これから新メニューの開発に力を入れて行きたいと思っています。夏に向けてドリンクの新メニューやフードでは、ガレットやクレープのバリエーションを増やし、観光客だけでなく地元の方にも何度も訪れてもらえるようにメニューを充実させたいと思っています。
――今後の意気込みを教えてください。
石原:たくさんのお客さまに来ていただき、みなさんに愛されるカフェにしていきたいと思っています。
また、6月に1人メンバーが加わる予定ですが、もっともっとメンバーを増やしていきたいと考えています。そして、入社したメンバーには楽しく仕事をしてもらいたいので、メンバー一人ひとりの特性にあわせた工夫や配慮をし、みんなが居心地の良い環境をつくっていきたいですね。
パーソルサンクスでは、全国11拠点にて、498名(※2022年6月1日現在)の障害のある方々がさまざまな仕事に取り組んでいます。2017年には障害者雇用を通して富岡の伝統産業である養蚕業を次世代に繋ぐことを目指し、富岡市妙義町に「とみおか繭工房」を開設。2019年からは、手漉き和紙、座繰り製糸・機織りなどの手仕事を活かした「6次産業化」の事業展開も行っています。
障害のある方が活躍できる場を創り、地域の課題解決に取り組んだこれまでの経験とノウハウをいかし、本カフェでは、2024年度までに22名の障害者雇用を予定しています。