分かり合えない人同士でも、互いを理解して手を取り合えば、「美しい世界」が創造される。金子 怜司/PERSOL Group Awards2025 歩み続けるそれぞれのストーリー

パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。「PERSOL Group Awards」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループで最も栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。

本連載「歩み続けるそれぞれのストーリー」は、2025年度「PERSOL Group Awards」を受賞した社員たちそれぞれが、どんな人生を歩んで成長し、受賞の栄誉を勝ち取るに至ったのか——。彼らの人生を形づくるバックボーンや、仕事への情熱、そして大切にしている想いが生まれたエピソードなど、これまでの歩みをストーリーでご紹介します。

プロフィール:
パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社 金子 怜司(2023年入社)

受賞案件サマリ:
幅広く事業を展開する著名な一大グループには、金融から不動産、環境エネルギーまで多くの個社がある。その2社の企業理念とミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の策定プロジェクトを受注。金子はグループのパーパスや経営陣の想いを整理し、社員約20~30名とワークショップを重ね、現場の声を反映した理念・MVVを共創した。

目次

正しく法で律されることでつくられる世界に憧れる

「法律って本当に面白いな」
条文を読むほど学ぶほどに、法学部を志すと決めたころに感じたその気持ちがどんどん増していった。
憲法を日本国内の最高法規とし、それに則りながら、世の中のあらゆることのルールとして定められるのが法律。最上位である憲法から下位の法律まで、齟齬が生じないように多くの学者や有識者が、知恵を出し合い、議論して、条文を一つひとつ編んできた。長い歴史を経てなお現行法として施行されている法律の条文を読むと、感嘆の声が漏れるほどだ。憲法の精神を尊び、誤った解釈が生じないようシンプルでありながら考え抜かれた文言で編まれた条文に、美しさすら感じる。

法律を正しく理解して使い、世や社会のためになるような仕事に就きたいと思った。ただ法律の専門家への壁は高かった。そして、大学を卒業し、社会に向き合うようになると、そのいびつさが目につくようになってしまった。
法を破るのはもちろん許されないが、抜け穴を探し出したり隠れ蓑にしたりして、うまく立ち回ろうとしている存在がある。
それを許しては、法によって守ろうとしていた美しい世界は保てない。止めたかった。でも、自分一人ではどうしようもなかった。

法律から離れよう。
悩み、決断した。そして法と離れた業界で世界の美しさを追究できないか、就職先を探し始めた。
2005年、大卒後にアルバイトをしていた学習塾に就職した。教えることが楽しかったし、教室長として行う塾の運営も、会社経営のような醍醐味と責任感が刺激的だった。ただ結婚後には、昼夜逆転することの多い仕事の負担が家庭にも及び始めた。そこで2007年にはワイングッズ卸の専門商社に転職。そこでは小さな会社ゆえどうしても様々な仕事を担当することになり、仕事をこなすため早朝に出社した。夜遅くまでの付き合いで宴席に顔を出すことも多かった。再びプライベートの時間に影響が出始め、転職を考えるようになる。

はたらくことは面白かった。
学習塾では、教えることや話すことが好きだと分かった。
また学生時代は、吹奏楽サークルで外部会場を借りて行う大規模な演奏会の取り仕切りを担当していたこともあり、年長者と話すことも多かった。そこでは多様な人とのコミュニケーションや接客、折衝を、滞りなく進めることにやりがいを感じていた。専門商社の仕事に、その経験は大いに活きた。やりがいも感じた。そういうはたらき方が好きなのだと自覚した。
だから、3度目の就職でも、同じようなやりがいを感じられる仕事を求めた。そうして2008年に入社したのが、生涯教育プログラムを催行している母校の大学の関連会社だった。
そこで「ファシリテーター」について知ることとなる。この出会いが、人生を大きく変え、いまの仕事へと導いてくれることになった。

人の持つ可能性を信じ、それを発揮できるよう、お互いの理解を促す仕事

ファシリテーターは、組織や会議において、相互理解を促しながらその場にいる人々の合意形成を行い、問題の解決を促進する存在。ファシリテーター自身が何か強制や命令をして、恣意的に決定を促すことはない。あくまで目的の達成を目指し、組織の運営や会議の進行に徹する。定めたルールに則り、その中で最もよい結論や目指すべきゴールといった「あるべき姿」にたどりつけるよう、自身のコミュニケーション能力を活用して、全体をガイドする立場だ。
それがうまくいき、組織が成長したり会議で成果が生まれたりすると、大きな達成感を味わえる。同じ考えのもと、全員が納得した上で気持ちを一つにする姿には、美しさすら感じられる。
だからこの仕事に、大きな魅力を感じた。

転職当初は、プロが行う講義やワークショップの企画やサポート業務がメインだった。講義に臨席し、その仕事ぶりや意義を目の当たりにする中で、魅力はどんどん大きくなった。最初はばらばらだった参加者の意見や想い、それが講義やワークショップの中で少しずつファシリテーターのガイドによって軌道を変えて行く。
自らもファシリテーターについて学び、資格も取得し、講義も手がけるようになっていった。
自分の力で、人々の考えや気持ちを導き、一つの結論を目指す。それはけっして大きなスケールではない。ワークショップなら、参加者が気付きを得て、成長の機会をつかみ、新しい人生を歩み始める、という世界。会議なら、参加者同士がしっかりと合意し、より良い未来へと挑戦を始める、といった世界。組織なら、構成するメンバーが相互理解を果たし、気持ちが一つになり、より強い組織やさらなる成長を目指すという、そんな世界だ。
社会全体と比べればスケールの小さい世界かもしれないが、その一つひとつが統一感ある美しいものへ変わることで、やがて社会全体も美しく変わっていくだろうと、期待ができた。

ずっと持っていた自身の考え方にも合っていた。それは「人は分かり合えない。だからこそ、理解する姿勢が必要である」「人は可能性の塊である」というものだ。
組織や会議、ワークショップでは、時としてまったく相容れない意見がぶつかる、あるいは収束が見えないほど混乱することがある。でもそれは人が集まれば当たり前なのだ。でも、同じルールに則り、同じ目標を共有することができれば、いつかは必ず相互に理解ができる。同じ方向を向ける。それができるのは、人がどのようにも変化できる可能性を秘めているからなのだ。
だからこそ、理解と合意形成を経てより良い変化を確信し、ファシリテーターは、人々の相互理解を促し、可能性を刺激する。だから面白いのだ。

経験を積むに従い、会社を飛び出し、広く講義・ワークショップを手がけるようになった。関連の深いコーチングなどにも手を広げた。その中で知見を活かして、コンサルティングも手がけたいと考えるようになった。そうしてさらに一社を経験した後、2023年に出会ったのが、パーソルワークスイッチコンサルティング(旧パーソルプロセス&テクノロジー株式会社)だ。
入社の決め手となったのは、掲げていた「人と組織の可能性を最大化」という言葉。自分が美しさを感じる「同じ考えのもと、人々が気持ちを一つにする」ということで、それが実現できると考えたのだ。

前例のない挑戦。ただそれは自分が手がけたいと思っていた仕事でもあった

今回アワードを受賞したプロジェクトには、ファシリテーターはじめ、これまでの知見に期待をされアサインされた。
クライアントは、いくつものグループ個社を持つ一大グループ。そのグループのパーパスが一新されたのだが、「個社にグループパーパスを浸透させるにはどうすればいいか」ということが課題となった。個社の中には吸収合併でグループ入りした会社もある。また個社ごとに業界や業種が違う場合もある。一つのグループを構成しているとは言え、その歴史や文化が異なることも多々あるのだ。そのためグループパーパスが個社に馴染まないことも、当然ある。とはいえ、グループパーパスはグループパーパス。属する全社が遵守すべきものには違いない。

浸透に課題を抱えていた個社二社が、コンペを開催した。
個社はそれぞれ、グループパーパスに則った新しい理念・MVVを策定したいと考えていた。そして、その理念・MVVの策定は社員主導で行い、さらに全社員が納得するものとしたいと考えていたのだ。そうすることで、グループパーパスと自社の理念・MVVが統一感を持って接続され、結果グループパーパスの理解にもつながるからだ。ただ、やり方が分からない。そこで外部の会社に依頼しよう、となったのだ。

そのコンペに手を挙げ、受注に漕ぎ着けたのが、パーソルホールディングス株式会社の古屋 公寛だった。得たのは、「理念の策定」と「MVVの策定」という二つの案件。実はこれはパーソルホールディングスでは実績のない案件。そして、当社にとってもあまり前例のない案件だった。そこで、ファシリテーターとしての知見がある自分に白羽の矢が立った。

難しい。だが、面白そうだ。そう感じた。
憲法という日本国内の最高法規があり、その規範に則って法律の条文が編まれたのと、類似のプロセスを踏むことになるのだ。
グループパーパスに書かれた理念や規範、そして込められた想いからはずれることなく、どう個社独自の歴史や文化を踏まえ、社員の心に響く言葉を紡ぐか。その中で、いまは異なる方向を向いている社員たちのベクトルを理念・MVVを通して同じ方向へと向かせ、叶うならばグループと同じ未来へと向かせることができるか。そこに自分のこれまでの経験と実力が試されるのだ。
そう考えると、気持ちが否応なく高まった。これまでの知見を結集する。そう覚悟し、この案件をパーソルホールディングスから受け取った。

人の可能性が開花し、生み出された小さな「美しい世界」

まず、社長はじめ経営陣とのセッションを行い、「自社の強みや価値、未来への想い」の言語化を行った。そこから重要なキーワードを抽出。想いをつなげていく形で、ワークショップのスタイルを決定。ワークショップでは、参加した約30人の社員が、抽出したキーワードを参考に理念・MVVを紡ぎ出そうと議論を繰り返していった。ワークショップは、紛糾することもあれば、無言が貫かれる重い空気が支配することもあった。役員や上級職、さまざまな社員とのセッションを通して、「20年いや30年以上続く会社の未来を指し示す言葉を、いま一丸となって生み出そう」そう声を掛け続けた。そうしてベクトルの違う想いや意見の軌道を、少しずつ修正していったのだ。
「どういう会社にしたいか」「そのためにどうあるべきか」を、参加した誰もが徐々に具体的に、そして自分事として考えるようになっていった。すると、ワークショップは白熱し、加速し、アイデアが収斂していった。
そうして最後に、皆の力で理念・MVVが完成した。「血の通った羅針盤ができた」という言葉が、クライアントから評価として与えられた。
グループパーパスを誰もが理解・共感し、個社として一丸となり理念・MVVの実現を目指す。そんな美しい世界がこれから創られる、その可能性が萌芽する瞬間に立ち合えたのだ。

元来、人は分かり合えない。
だからこそ互いが手を取り、相互に理解すれば、これまで成し得なかったようなことができる。そんな可能性を、誰もが秘めている。そのことを改めて実感した。
今回の案件は、パーソルワークスイッチコンサルティングの前例となる。今後も似たプロジェクトを受注すれば、同様に活躍する機会も生まれるだろう。そう信じ、いまは期待に胸を躍らせている。

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。

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