パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。「PERSOL Group Awards」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループで最も栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。
本連載では、2023年度の「PERSOL Group Awards」を受賞した社員のキャリアストーリーと、受賞の舞台裏をご紹介します。
第4回目は、パーソルキャリア株式会社の竜田 遼です。
竜田が手掛けているのは、小中学生を対象とした“はたらく”を考えるワークショップです。最初は個人の活動からスタートし事業化。今や年間約17,000人が受講するワークショップとなりました。立ち上げのきっかけになった出来事や、事業として大きくなる中で大切にしていたことについて、聞きました。
「求職者さま」の呼び方に表れる、寄り添う姿勢
竜田はパーソルキャリア入社前に、2社を経験しています。一つはウェディング業界のベンチャー企業。もう一つは医療系の人材紹介企業。ファーストキャリアについて、竜田は自身のことを「変わった大学生だったかもしれない」と語ります。
「最初はとにかくベンチャー企業に就職したかったんです。それがキャリアを積む近道だと思っていました。当時ウェディングは成長業界だったのでそこでバリバリはたらいて、早くから仕事を任せてもらうことを目標に就職活動をしていました」
希望どおり竜田はウェディングベンチャーの営業として活躍しますが、次第にお客さまの選択肢をより広げられる仕事をしたいと考えるようになります。
「ウェディングはどれだけお客さまの要望を引き出せたとしても、それが自社の会場に合わなければ、ご成約には至りません。もっとほかの選択肢があればいいのにと感じる場面が何度もありました。そこで興味を持ったのが、BtoBtoCのビジネスモデル。企業と個人の間に立つことで、双方により広い選択肢を提供したいと考えました。そこで医療系人材紹介の仕事を3年ほど経験。そこでの仕事に対して自分の中ではやりきったと感じたタイミングで、違う環境を求めパーソルキャリアへ転職したんです」
パーソルキャリアを選んだ理由を聞くと、竜田は「寄り添う姿勢が決め手だった」と言います。
「パーソルではお客さまのことを『顧客』や『カスタマー』ではなく、『求職者さま』と呼ぶことを知りました。ちょっとした言葉選び一つですが、寄り添う姿勢が感じられる気がしたんです」
塾講師アルバイトでの経験が、ワークショップ活動につながった
“はたらく”を考えるワークショップをやろうと考えたきっかけ。それは、具体的な活動を始めるずっと前のことです。
「そもそもの話からすると、学生時代まで遡ります。当時私は塾講師のアルバイトに力を入れていました。週7で塾講師をやるくらい(笑)。そこで子どもたちに聞かれるのです。『先生、なんのために勉強するの?』『こんなに勉強してはたらく時に役に立つの?』と。当時は授業の冒頭15分を使って世の中のニュースを解説するなど、手探りで子どもたちの想いに応えようとしていました。ですが子どもたちの疑問に応えられているのかは分からなかったし、課題感としてずっと残っていたんですよね」
子どもたちは、そのときに学んでいることと将来の仕事が結びついていない。そしてそこに疑問を持っている。当時の竜田が感じていた課題感をもとに、竜田はパーソルキャリア入社以後、学校でのキャリアワークショップを始めます。最初は、やりたいことを周囲に話して共感してくれる人と動く、数人の個人的な活動でした。
「自分の考えを話してみると、社内で同じことを考えている人がいて、一緒に活動をしはじめました。といっても、最初は本当に趣味の延長というか、ボランティアというか。知り合いのお子さんが通う小学校を紹介してもらって、一緒にワークショップをやり始めたんです。私自身も、『やりたかったことができて楽しいな』くらいに感じていました。当時はまだ、事業化できるなんてまったく考えていませんでしたね」
「子どもたちのため」を中心においた事業へ
最初は個人的な活動でしたが、本格的に事業化することになったのは、訪れた学校で教員の方々からたくさんの相談を受けたことが背景にあったと竜田は語ります。
「先生たちから『このワークショップって広めてもいいですか?ほかの学校にも紹介したいんです』と相談をいただくようになりました。聞けば、やっぱり現場の先生たちもキャリアや仕事に関して何を教えたらいいか分からないまま困っていたんですよね。そういった相談を受けながら、“はたらく”を考えるワークショップの活動は広がり、プログラムとしても体系化されていきました。中心にあるのは、『生きる力を育む』姿勢。徐々に全国の小中学校へ広がり、営利目的ではありませんが事業化することもできました」
現在実施校は259校、受講者も27,000人(2023年12月末時点)を超えた、“はたらく”を考えるワークショップ。事業化し、さらに拡大していく過程では「誰のためにやっているか、絶対にブラさないことが重要だった」と竜田は振り返ります。
「事業が大きくなってくると、どこかで『大人の事情』みたいなものが入ってきやすくなります。分かりやすく言うと、取り組みを通じてお金を稼ぐことを期待して、中身が誰のためにやっているのか分からなくなりがちなのが事業やサービス。いろいろなケースを見聞きしてきました。いつのまにか当初の目的を見失うのは嫌だったので、『誰のためにやっていることなのか』というのは何度も思い出すようにしてきました。個人的にはそのあとから、自分たちのベネフィットやブランドがついてくると思いながら事業と組織づくりをしていきました」
子どもたちのためにすべきことを中心に考える。目的をブラさない竜田の強い意志と、会社が支援をしてくれ、パーソルの仲間が支持してくれることこそがプロジェクトを支えているのです。だからこそ竜田は、この活動はパーソルグループにしかできない活動だと捉えていると言います。
まず、自分自身が仕事を楽しむ姿勢を
プログラムの今後については、「ターゲットを広げて関連事業を展開することもできる」と竜田は展望を話してくれました。
「子どもたち向けのワークショップですが、同席していた先生から『自分にも学びがありました』と声をかけていただくことが多くて。もしかしたら先生たち向けのキャリア教育も求められているのかもしれないなと考えています。あるいは、社会人2、3年目の人に向けた研修プログラムとしても応用できるかもしれないですね。子どもたちの前に出て、子どもたちから、はたらくことについての問いや示唆をもらうことができるこのワークショップは自分たちのはたらく意義を見つめ直す観点からも良い影響があるのだと思います。パーソルではありたい姿として「“はたらくWell-being”創造カンパニー」を掲げ、あらゆるはたらく選択肢の提供を支援していますから、パーソルらしい事業の広げ方はまだまだある気がしています」
最後に、“はたらく”を考えるワークショップを立ち上げ、事業化した経験から竜田自身が学んだことはあるだろうかと問いかけました。すると、「自分自身が“はたらく”について真摯に考えるようになった」と返ってきました。
「私が『仕事をやりたくないな』とか『仕事なんて楽しいものじゃないな』と思っていたら、その気持ちは子どもたちには伝わります。そういう意識のまま、子どもたちと一緒に“はたらく”について真摯に考えることなんてできないと思いますし、まして良い影響を与えることなんてできないと思っています。その証拠に、授業に協力してくれるパーソル社員が出てきてインタビューに答えてくれると、子どもたちははたらくことを前向きに捉えたり、かっこいいと思ってくれたりするんです。それくらい、私たちのワークショップは子どもたちに影響を与えていることを日々感じています。だからこそ、まずは自分が仕事を楽しむように。私もまだまだ子どもたちと同じく学んでいく立場ですが、朝起きて『仕事したいな』と思える状態を、そういった社会をつくっていきたいなと改めて子どもたちから学ばせてもらいました」
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。