パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。「PERSOL Group Awards」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループでもっとも栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。
本連載では、2022年度の「PERSOL Group Awards」を受賞した社員のキャリアストーリーと、受賞の舞台裏をご紹介します。
第8回目は、パーソルクロステクノロジー株式会社の織田 一秋です。
エンジニアとして入社し、エンジニアとして活動していく中で他職種との連携が生まれ、そのつながりから前代未聞の福島県復興支援というプロジェクトが実現。その成功を果たした今、織田が見据えているのはエンジニアという職種の枠を超え、現場と会社をつなぐ役割を果たす、これまでにないポジションに就くことだと言います。
エンジニアを辞めるつもりで転職を決意
機械いじりが好きだった少年が、その想いを持ち続けながら大学に進学し、エンジニアとしてメーカーに就職。ここまでは、よくある話ですが、織田の場合はエンジニアという職種から離れようと考え、会社を退職したと言います。
「新卒で入った会社は、事業規模は大きくないものの特定の機器の開発と製造に特化した独自性のある企業でした。仕事は面白かったのですが、ある日、自分が担当していた製品に事故が起きる可能性を発見したんです。そのことを社長に進言したのですが話し合いが平行線に終わってしまって。エンジニアとして納得できないものがありました」
ちょうど同じころ、会社の業績が悪化し、全社員が中国にある工場へ出向する話が持ち上がったのを機に、織田は退職を決意しました。転職先を探すため『doda』に登録。エンジニアとして、利益を最優先して安全性を軽視するような仕事はしたくない。そんな仕事をするのならエンジニアを辞めてもいいと考えていたのに、前職の経験から紹介されるのはエンジニアの仕事ばかりだったそうです。
「そんな中、現職の前身となるパーソルグループの会社で、当時人材派遣事業が立ち上がるという話があったんです。そこに入ればエンジニア職だけではなく、組織を構築していくマネジメントや、ほかの仕事に触れることもできますよと説明されたんです。そういう選択肢があるのならと思い、入社しました」
エンジニア以外の知識と経験を身に付けられる可能性を感じての転職でしたが、結果的に織田はエンジニアとしての道を歩むことになります。それは、自分はまだエンジニアとして何かを成し遂げてはいない。もう一度、エンジニアとして頑張って結果を出してこそ、その先にマネジメントなどチームビルディングに関われるような新たな道が開けるという想いが芽生えたからだと言います。
職種の枠を超えたコラボが前代未聞のプロジェクトの実現へ
パーソルグループへ入社後、常駐社員として大手自動車メーカーのレイアウト設計の業務を担当することになった織田は、社内表彰を多数受賞するなどエンジニアとして輝かしい実績を挙げていきました。しかし、その一方で派遣先の現場となる自動車メーカーのエンジニアと、雇用元であるパーソルとの間にある“壁”のようなものに苦悩してきたそうです。
「私は入社から10年ほど経つのですが、その間にパーソルの同期もどんどん辞めて転職していく現実がありました。私はパーソルが事業やエンジニアのことを考えて制度などを作っているのを知っているのですが、現場のエンジニアにはパーソルの求める理想と、現場の現実との乖離に何か息苦しさを感じているように見えました。その原因はパーソルと現場エンジニアでのコミュニケーションや意思疎通がうまくいってないからなんですよ。本来は、その役割を現場でクライアントとやり取りする営業が行うことになると思うんですが、営業と現場のエンジニアの仕事内容はまったく異なり、持ち合わせている視点が違うので、お互いに一方通行の会話になってしまうことも多くいんです。そんなお互いを分かり合えない状態が続いていた中、新しく着任したのが、一緒に福島県復興支援プロジェクトに携わることになる岩瀬 紗央莉でした」
織田曰く、岩瀬は「人のため、世の中のためならなんでもやる」という想いと行動力を併せ持つパワフルな営業なのだとか。実際、エンジニアがはたらきやすくなるために何ができるかを考え、それを即実現していったそうです。そんな岩瀬と意気投合した織田は、会社の将来にまで話を広げ、キャリアアドバイザーの井上 亜弓もメンバーに加えて、クライアントに対する新たな営業活動を展開していきました。その成果の一つが、福島県復興支援プロジェクトの受注だったのです。
「営業の岩瀬はエンジニアのことがよく分からない。エンジニアである私は、営業とクライアントの間で話されている課題が分からない。キャリアアドバイザーの井上は、基本的に派遣スタッフの方との交渉がメインなのでクライアントが見えていない。だったら情報をシェアしようってことになったんです。その流れで岩瀬が、パーソルグループ全体でクライアントの役に立てることはないかと考え、持ち前の行動力を発揮して獲得したのが福島県復興支援プロジェクトでした」
福島県復興支援プロジェクトとは、クライアントが福島県で実施する仮想ショッピングモールの実証実験です。その実験にまつわるすべてのタスクをパーソルグループとして受注。そこから実際にプロジェクトマネジメントを担ったのはIT受託グループの稲葉 伸浩でした。社内の部署の垣根を越え、異なる職種の人たちが集まり、それぞれの持ち味を活かしてOne Teamを結成したことでプロジェクトを成功させることができたのです。所属組織としてはここまで部署の垣根を越えて連携することは稀であり、さらには会社としても新しい分野であり、まさに前代未聞のプロジェクトでした。
現場のエンジニアがパーソルではたらくことを誇りに思える世界の実現に向けて
当初は不誠実な会社のやり方に納得できずエンジニアを辞める覚悟で転職を決意したものの、エンジニアとして第2のキャリアを築いた織田。現在はエンジニアとしてはたらく中で、新たな自分の可能性を見出しています。そんな織田が描く、今後成し遂げたい目標とはどのようなものなのでしょうか。
「実は今年の1月に、所属していた会社がグループ内で合併し、パーソルクロステクノロジーとなりました。新会社は合併してまだ間もないのでこれから新しく文化をつくっていくフェースですが、所属していた旧組織を見ていると一人ひとりの想いが強いゆえに、その思いがうまく嚙み合わず、思うように進まないことが多い会社だなと思っているんですね。私は今、派遣先の自動車メーカーで100名ほどのパーソルのスタッフをまとめたり、メーカーの担当者とやりとりをして一つの車を作る仕事をやっています。その能力を活かして、いろんな立場の想いの強い人たちをうまくまとめられるようなポジションで仕事をしていくことが目標です。それがパーソルに対して自分の強みを貢献することになるのではないかと考えながら、どうやってそのポジションに就くかを模索しているところです。その上で最終的には、現場で汗を流しているエンジニアとパーソルが互いに意思疎通ができるようになり、パーソルに所属するエンジニアの誰もが『パーソルは良い会社』だと思えるような状態をつくること。それが私の目指している世界です」
エンジニアとしての枠を超えたことで広がった自身の可能性と、同じ想いを持つ仲間を信じて、これからも織田は目標に向けて着実にステップを踏んでいくことでしょう。