きれいごとではなく、人の役に立つことの喜びが自身の原動力 ― PERSOL Group Awards 2022受賞の裏に(6)小坂 順 ―

パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。「PERSOL Group Awards」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループでもっとも栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。

本連載では、2022年度の「PERSOL Group Awards」を受賞した社員のキャリアストーリーと、受賞の舞台裏をご紹介します。
第6回目は、パーソルテンプスタッフ株式会社の小坂 順です。

クライアントである外資アウトソーサー企業にとっても、パーソルテンプスタッフにとっても、大きな商機となるプロジェクトのリーダーを任された小坂。いくつもの難題を乗り越え、クライアントと求職者の双方から信頼を得たことで、見事プロジェクトを成功に導きます。その要因は、どこまでも謙虚で実直な姿勢、ブレない強さにありました。

目次

不慮の交通事故が運命を変えた

小坂は大学卒業後、大手インテリアメーカーに就職。営業職として青森の営業所で勤務することになりましたが、業種や会社、取り扱う製品に対して特別な想いがあったわけではなく「大きな企業だから」というのが正直な気持ちだったと言います。しかし、はたらき始めて1年が経ったころ、小坂は不慮の事故に見舞われます。それが、パーソルへの転職につながる大きな転機となりました。

「自分で車を運転して営業に回るのですが、冬の雪道で交通事故に遭ってしまったんです。今はもう大丈夫なのですが、そのころは事故のショックから運転ができなくなってしまって。営業職は運転できなければ仕事になりませんし、もともとインテリアに興味があって入社したわけではなかったので、この機会にちゃんと業種や職種について考えて、新しい仕事に就こうと決めました」

転職活動にあたっては、転職情報サイトや転職エージェントを活用。その際、担当してくれたキャリアアドバイザーの影響を受けて人材業界に興味を持ち始めたそうです。

「前職では法人対応のルート営業が中心で、土日は販売店の応援に行って接客も行っていた中で、漠然とですが人と接する仕事がしたいと思うようになっていました。そんな時にたまたま出会ったキャリアアドバイザーが、親身になって相談にのってくれる姿に感動して、自分も同じような仕事をしたいと考えました」

2006年、小坂はテンプスタッフ(現パーソルテンプスタッフ)に契約社員として入社。赤坂オフィスにて派遣人材のコーディネーター職としてパーソルでの第一歩を歩み始めました。その後、2008年に正社員登用されると、生命保険会社やセールスプロモーション会社へ出向。生命保険会社ではユニットリーダーとしてプロジェクト管理を行い、セールスプロモーション会社ではサービスの販売促進業務を経験しました。2011年、テンプスタッフに戻り、コーディネーターとして複数の営業所での勤務を経て、2019年7月に現在の部署であるキャリア推進本部に着任。人材紹介事業を立ち上げて4年目を迎えたキャリア推進本部にとって、PERSOL Group Awardsを受賞した取り組みは、初の大型案件となりました。

「割り切る」のではなく「やり切る」という強い想い

今回、PERSOL Group Awardsを受賞したのは、福岡県に300名前後のスタッフを要するコールセンター立ち上げに関する大手外資系IT企業案件でした。その人材採用を小坂が所属するキャリア推進本部に委ねられたのです。それは、ほかの案件に比べて人材が集まりにくい要件でした。朝早くから夜遅くまで勤務となる可能性があるフルシフト制に加え、在宅メインだが月に数日は福岡県での勤務が必須という難しいコールセンター案件。日本全国からUターン・Iターンができる人材をメインに探し出す必要があるなど、いくつもの難題を抱えた案件に、小坂はプロジェクトリーダーとして挑むことになったのです。

「もちろんプレッシャーはありました。最初は採用人数を聞いて、これまでにない規模だったので『ええっ、本当に!?』と驚きもしました……。ただ、それよりも大変だったのは、急に要件が変更になるなど、クライアントの予期せぬ要望に臨機応変に対応していかなければならないことでした。たとえば、朝言っていたことが午後になって変わるようなことが結構あったんですよ。そのたび軌道修正が必要になりますし、派遣スタッフの方や求職者の方にも変更を伝えなければなりません。その調整はかなり難しかったですね」

クライアントからの要求に対して、小坂は「仕事として割り切る」のではなく、「やり切る」という強い想いで向き合ったと言います。

「クライアントや求職者の方から頼られている以上は、なんとかしたいという想いでした。格好よく言えば使命感のようなものかもしれません。でも、その意識は私だけが持つ特別な感情ではないと思うんです。私がテンプスタッフに転職してきた当時、周りの社員はそういった相手に対して「なんとかしたい」という想いで仕事や人と向き合っていました。最初は驚きを感じましたが、いつしか自分も同じような想いで動くようになっていた気がします。そんな意識の変化が、今回の受賞案件を始め、ほかの多くの困難にも挑んでいこうと一歩を踏み出せる、私の原動力になっているのかもしれません」

忙しくて自分を見失いそうになった時に思い返すこと

今回のプロジェクトでは10代から60代の方まで、幅広い年齢層の内定者が出ました。しかし、クライアントが内定者の経験業務や経験年数などに懸念を示すケースもあったそうです。その両者に介在し、丁寧な説明を心がけたことが結果につながったと小坂は言います。

「年齢が高い方に対してはより専門性や経験を求められることが多いですが、そこはテンプスタッフが間に入ることでクライアントに対しては求職者の経験だけではなく、その方の人間性も含めて判断していただけるよう努めました。また、それは求職者に対しても同じです。考えていることにちゃんと耳を傾け、しっかりと話を聞く。難しいことではありますが、本音を聞き出して、それにどう対処していくか。ただ、業務が忙しくなると、どうしても意識が自分の仕事の方に向いてしまいがちになります。そんな時に立ち返るのは、やはり会社の経営理念でした。『雇用の創造、人々の成長、社会貢献』への意識。今、自分の行っていることが、誰かの未来に影響を与えていく。だからこそ、まわりに目を向けて相手の声を聞き、想いを汲み取っていくようにしなければいけない。忙しい時ほど、それを忘れないよう意識していました」

クライアントのみならず求職者や一緒に活動するチームのメンバーへの目配りと心配り。小坂の話を聞くと、コミュニケーション能力の高さやリーダーシップを感じますが、本人はどちらも苦手だと否定します。

「立場的に苦手だと言ってはいけないのでしょうが、言葉でみんなを引っ張っていくことは昔からあまり得意ではないんです。私はたぶん器用な方ではないので、仕事に取り組む自分の姿勢、率先してチャレンジする姿を見て感じてもらうタイプのリーダーなのかなと思います。
どちらかと言うと私は話すよりも聞き役に回ることが多いこともあり、相手がどう考えているのかを、しっかり聞いた上で自分の意見を伝えるようにしています。それはコーディネーターとして、より視座を高めるためにキャリアカウンセラーの資格を取得して活動してきた経験も影響しているのかもしれません。しかし、リーダーとしては、みんながはたらきやすくなるように風通しの良い雰囲気をつくることを意識したり、メンバーが成果を上げたら賞賛する。困っていたら助ける。そこは心がけています」

本人が言うように小坂は、やや不器用な人間なのかもしれません。しかし、ブレることなく仕事や人と向き合い、使命感を持って最後までやり切ることを、実行力で証明できる。そんな小坂だからこそクライアントからの絶大な信頼を得て、プロジェクトを成功に導くことができたのでしょう。

今回のプロジェクトメンバーの一人、川畑との一枚
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