分からないことを不安に思うのではなく、チャンスと捉えるポジティブな意識が大切 ― PERSOL Group Awards 2022受賞の裏に(3)増元浩平 ―

パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。「PERSOL Group Awards」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループでもっとも栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。

本連載では、2022年度の「PERSOL Group Awards」を受賞した社員のキャリアストーリーと、受賞の舞台裏をご紹介します。
第3回目は、パーソルR&D 株式会社の増元 浩平です。

進化を続ける自動運転技術の開発に取り組む増元。常にチャレンジし、「分からないことはチャンス」をモットーに困難な業務に邁進しています。

目次

「分からないことはチャンス」が信条

2018年、株式会社日本テクシードと株式会社DRDの統合によって誕生したパーソルR&D株式会社。設計開発・実験認証サービスを請け負うエンジニア集団であり、増元は2009年に新卒でDRDに入社以来、トラックの制御技術に関わり続けてきました。

「自動車の設計に携わりたい想いからDRDに入社し、最初はトラックのエンジン適合業務からスタートしました。エンジン適合とは、制御のパラメーターを変更して車両の乗り心地や、自動運転技術の一つであるクルーズコントロール(アクセルペダルを踏み続けることなくセットした一定速度を維持する機能)の速度の維持の方法をチューニングするような仕事を担当していました。一般的に、制御部門は工学系出身者が配属されることが多いのですが、私は機械科出身なので、この配属は意外でした。ただ、業務を続けてきた中で、結果的には自分に合っていたなと思っています」

とは言え、制御部門に配属された当初は、専門外の用語が飛び交い、先輩から言われた言葉の意味すら理解できない状況。渡された制御に関する仕様書をもとに、ほぼ独学で学んでいったといいます。

「そもそも制御がなぜ必要で、どこに機能しているのかも分からないまま仕様書を読んでいました。ただ、読み進めるうちに『もしかして、こういうことかな?』と想像を膨らませるようになり、実際の車両で確認した時に『やっぱり、これだったんだ』とか『実は違った』と答え合わせをしながら知識を吸収していきましたね。これは今も同じです。分からないことでも事前に想像しておいて、それから答え合わせをする。もし間違っていれば『次はこう考えるべきかな』と新たな道を模索する。分からないことがあっても、そこで止まるのではなくて、なんとかして前に進んで行こうと考えながら行動しています」

「分からないことはチャンス」だと捉え、チャレンジすることが大事であるという姿勢。この意識は、増元にとって入社以来変わらぬ仕事への向き合い方だと言います。

初の試みも「とにかくやってみる」の精神でチャレンジする

今回のアワード受賞となったプロジェクトで増元とチームメンバーが取り組んだのは、トラックの自動運転に関わるバイワイヤ(電気信号によって車両を操作させる仕組み)化。これまでエンジンの制御を専門としていた増元とチームのメンバーにとって初の試みでした。しかも、対象となるトラックが、これもまた経験のない海外メーカーの車種であったことに加え、バイワイヤ化をするために対応しなければならない機能が12個もあったことで、まずはそこに付随する約1500本もの配線をすべて調べていくことから始まりました。

「調査そのものは大変でしたが、過去の経験から配線の中を調べていけば分かるだろうと、当たりをつけて取り組んだので、時間はそんなにかかりませんでした。ただ、この作業はバイワイヤ化が可能かどうかの調査であって、制御に必要な回路設計はそこから先の業務なんです」

第一の課題であった制御方法の把握が終わったところで、次の課題となる「装置の回路設計」へと進みます。ただし、回路設計は、いわば机上の理論。回路設計を図面上で検証し、試作回路でテストを行います。問題が発生した場合には、回路設計と試作回路の両方を修正しながら目標の機能を達成させたのだとか。

「過去の経験があったとは言え、車両自体を電気的に自動運転化させねばならなかったので、『分からないけれどやってみるしかない』という気持ちで臨んだのが正直なところでした。私は常に『とにかくやってみる』ことを考えています。事前の検討も大切ですが、やってみて初めて得られることもあります。お客さまに、より良いものを提供できるよう、何度でも検証と実証を繰り返す。分かっていることを進めていくのは楽ですが、分からないことに直面したときが、もっと良いものを生み出すチャンスだと考えています」

エンジニア兼リーダーとして案件を推進

増元の仕事は、制御装置をトラックに実装し、正しく電気制御が行えて初めて完成となります。テストコースでの車両走行テストにも増元とチームメンバーが立ち合ったところ、思わぬエラーに遭遇することになるのです。

「机上では問題なかったのに、車両に積んでみたら必要な電圧が出なくなったり、エンジンを切った状態ではうまく動かなかったり。あるいは、想定していたパターンだけはうまくいったけれど、そのほかのあらゆる条件でテストした時にエラーが出てしまったりしました。本来ならば発生したエラーや、新たに出た課題は持ち帰って対応するのですが、今回はお客さまのタイムスケジュールに間に合わせるため、現場でどうにか対応。持ち帰って検討しなければいけないほど重大なトラブルではなかったことが幸いしました。これは検証を繰り返した賜物だと思います」

実は今回のチームメンバーは増元を含めて3名のみ。お客さまとの調整などプロジェクトマネージャー業務を担った野崎、回路設計などの実働要員として活動した中村、そして増元が技術リーダーとしてプロジェクトを牽引しました。誰か一人欠けたらプロジェクトの成功は望めない状況でした。

「それだけに納品に至った時は、やり切ったなという感覚でしたね。ただ、この案件に関してはまだまだ取り組みが続いています。一つの工程が終わっただけであって、単純に『すべて終わった』という達成感を感じるのはまだ先ですね」

淡々と語る増元ですが、今回の取り組みに対するお客さまからの評価は高く、途中で変更になった要望に対しても柔軟に対応する仕事への姿勢があったからこそ、別の案件受注につながったのでしょう。

「誰かのために」という想いが仕事へのモチベーション

増元には「はたらく意義」に関して入社以来、一貫した想いがあるそう。

「社内外にかかわらず、自分の仕事が誰かの助けになることです。私が開発した技術によって誰かが楽になったり、誰かが喜んでくれたり。そういうことを視野に入れながら『はたらく』ことを目指しています。会社ではたらいている以上、自分への評価も大切ですが、仕事をする上では会社の仲間やお客さま、自分が関わっている人たちが喜んでくれるような結果を出すことが、私の『はたらく意義』ではないかと考えています」

増元は今、エンジニアとしてさらなる高みを目指すか、マネージャーとして人材を育成する立場になるかを思案中なのだとか。どちらに進むにしても、これまでの経験と実績が活かされることは間違いありません。

今回のプロジェクトメンバー
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