幸せなはたらき方とは何か?調査・研究を通して目指すのは「はたらいて、笑おう。」の実現 ─ PERSOL Group Award 受賞の裏に(10)井上亮太郎 ─

パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Award」を実施しています。「PERSOL Group Award」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループでもっとも栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。

本連載では、2021年度の「PERSOL Group Award」を受賞した社員のキャリアストーリーと、受賞の舞台裏をご紹介します。第10回目は、株式会社パーソル総合研究所の井上 亮太郎です。

人の“ワクワク感”といった「感性」を研究テーマとしている井上。その背景から、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を実現することへ強くコミットすることになります。

目次

ワクワクできていない自分に見いだした課題

パーソル総合研究所(以下、パーソル総研)とは、人や組織に関するさまざまな調査・研究活動を通し、あらゆる人がはたらくことを楽しめる社会の実現を目指すことを目的に設立されたシンクタンクです。

もともとは建材メーカーでキャリアをスタートした井上が、パーソル総研の研究員に転身することになったのは、「組織や人について学びたい」という強い課題感によるものでした。

「きっかけは、新卒で入社したメーカーが他社と経営統合した際に、PMI(組織融合)を担当したことです。しかし、統合する2つの組織の反発が強く、どうにも思うようにいきません。そこでもっと組織と人について知る必要があると痛感させられたんです」

その後、学校法人に転職して人事コンサルティングの仕事に携わったのち、2019年からパーソル総研の研究員になった井上。現在の研究のベースは、人間の感情状態や感性といった曖昧な概念の可視化と推定です。

「もともと前職でも、人がワクワクするという感情を研究テーマにしていました。もし最新の技術によって感情状態や感性を可視化できれば、それは人事領域で面白い知見になるはずだと思っていました。パーソルグループにはいろんな事業があるので、テクノロジーを使った実証研究だけにとどまらない、新しいことに取り組めるのではないかという期待もありました」

このテーマに着目したきっかけについて井上は、「楽しそうにはたらいている人が少なかったから」だと語ります。

「特に前職では、人事という職能につきながら楽しそうに仕事をする人が少ないように感じていて、そういう人たちが組織開発や研修を手掛けていることに、違和感を覚えました。研修目的にもよりますが、運営側が喜びや楽しみを感じなければ、受講者をワクワクさせるような機会を提供できるはずがありません。しかし振り返ってみれば、私自身もワクワクできていない時期があったのも事実です。だからこそ、もっと前向きに楽しい気持ちではたらく方法を探るのは、大切なテーマであると感じたんです」

パーソルで成果を出すことの意味

すべての人がはたらくことを通じて喜びや楽しみを感じ、ワクワクできる世界は、本当に実現できるのか?そんな疑問に対し、井上の答えは明快です。

「私は実現できると思っています。これまでの研究から、ワクワク感につながる要因は特定されつつありますし、また、それを阻害する要因も概ね分かってきています。両者がどう作用しあっているのかというメカニズムが解明できれば、人事領域のマネジメントの仕方も大きく変わっていくはずです」

何によってワクワク感が高まり、何によってその感情が抑制されるのか。影響を与える要因が判明すれば、会社は社員に対してワクワクする環境を提供することが可能になります。逆に、はたらく社員も自らワクワクする要因を取りに行くことが可能でしょう。井上が感情状態の可視化(推定)を目指すのもまさにそのためです。

しかし、これは一足飛びに実現できることではありません。パーソル総研内だけでなく、さまざまな分野の専門家の知見が不可欠です。

「その点、パーソルグループには約5万4000人もの人材がそろっていますからね。多種多様なバックグラウンドをもった人たちの力を借りることが可能です。外部の専門家も含めて、その総力を結集すれば、さまざまな感情状態を可視化・推定し、ソリューションを提供していくことは決して荒唐無稽な話ではないでしょう」

なお、井上がパーソルグループのポテンシャルの高さをあらためて実感したのは、着任して最初に手掛けた、タレントマネジメント領域の実態調査がきっかけでした。

「このときに発表した調査データは、経済産業省を始めいろいろな場面で活用されました。これは私にとって新鮮な体験で、パーソルで成果を出すとこうしてさまざまな場所で使ってもらえるのだな、という手応えを得られたんです」

研究者として、これほどやり甲斐のある環境はありません。この手応えが、研究への大きな原動力になりました。

左から、プロジェクトメンバーの今井 梨津子、金本 麻里、井上 史実子

大反響を呼んだ「はたらく人の幸せ/不幸せ診断」

昨今、ビジネスシーンでは「well-being(ウェルビーイング)」が重視されています。これは心身ともに良好な状態を意味する言葉です。SDGsでも3番目の項目に「すべての人に健康と福祉を」と定められているように、企業には自社の利益だけではなく、社員一人ひとりのwell-beingの実現が求められるようになりました。

そこで井上が現在取り組んでいるのが、「はたらく人の幸福学プロジェクト」です。これは誰もがはたらくことを通じて喜びを得て、楽しく笑いながらはたらける環境づくりを目指して、「幸福学」を提唱する慶應義塾大学の前野 隆司教授と共同研究を行なっているもの。

2020年7月にはその成果の一つが、「はたらく人の幸せ/不幸せ診断」としてリリースされました。

「ベースになっているのは、はたらく人に幸せをもたらす因子、逆に不幸せをもたらす因子、それぞれ7つの計14因子。自分がどの因子の影響をどのくらい受けているのかを分析して、すでに満たされている因子や遠ざけるべき因子などを確認し、well-beingの向上を図るヒントとするのがこの診断の狙いです」

この「はたらく人の幸せ/不幸せ診断」はリリースされた直後から多くのメディアで取り上げられ、企業や自治体などさまざまな組織で実際に活用されることになりました。つまりはそれだけ、幸せにはたらくための環境が求められているということでしょう。これが、「PERSOL Group Award」の受賞理由になりました。

「PERSOL Group Awardの受賞については、私が思い描いていたこととパーソルが目指す方向が合致していたおかげだと思っています。私がパーソル総研への入社を決意したのも、この会社が『はたらいて、笑おう。』の実現に向かっていることが大きな要因でした。受賞の一報をいただいて、あらためて自分の選択が間違っていなかったことを再確認できました。支援してくれた組織やともに活動してきた前野先生やメンバーたちには、ただただ感謝です」

研究に邁進するモチベーションについて、「知的好奇心が満たされること。そしてその成果を、喜んでくれる人たちがいること」と語る井上。

「引き続き、アカデミックの領域とビジネスの領域をつなげていくことが目標です。単なる社会調査部門ではなく、常に新しいものを創りだしていける研究者でありたいと思っています。それは形あるものかもしないし、概念かもしれません。従来の研究機関が手がけてこなかったところに目を向けていたいですね」

そう意欲を語る井上の表情が、実に楽しそうに笑っていたのが印象的です。

このページをシェアする
目次
閉じる