少年時代からのものづくりの想いを、物流業界が直面する課題の解決へ ─ PERSOL Group Award 受賞の裏に(9)岩崎 宏亮 ─

パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Award」を実施しています。「PERSOL Group Award」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループでもっとも栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。

本連載では、2021年度の「PERSOL Group Award」を受賞した社員のキャリアストーリーと、受賞の舞台裏をご紹介します。第9回目は、パーソルAVCテクノロジー株式会社の岩崎 宏亮です。

複数のトラックを自動で隊列走行させる仕組みの中で、通信システムの開発を手掛けた岩崎。社会課題の解決を目指す根本にあるのは、少年時代から夢見てきたものづくりへの情熱でした。

目次

物流業界の課題を解決する「後続車無人隊列走行システム」

労働人口の減少に伴うドライバー不足、そしてドライバーの高齢化という深刻な課題に直面している物流業界。そこで2016年度から経済産業省と国土交通省が共同で開発を進めているのが、トラックの「後続車無人隊列走行システム」です。

昨年2月に新東名高速道路の一部区間を用いて行なわれた実証実験では、良好な結果が得られ、社会実装に向けて大きな成果を示したばかりのこのプロジェクト。システムに用いられている車両間光通信システムの開発を担当する岩崎は、次のように解説します。

「これは簡単に言えば、先頭を走るトラックがその後ろを走る複数のトラックを、電子的に牽引する仕組みです。つまり、ドライバーが乗車しているのは先頭車両のみで、後続する2台は自動で前の車両を追尾するようプログラムされています」

物流業界は昨今、ドライバー不足でありながら、トータルの物流量は増加傾向であるという、深刻な問題にさいなまれています。

この「後続車無人隊列走行システム」が実用化されれば、1人のドライバーで3台のトラックを運用できるようになり、単純計算で輸送力は3倍に。「物流は経済の血液」と言われるだけに、まさしく社会課題の解決に直結する画期的なシステムと言えるでしょう。

原点は中学時代のラジオづくり

パーソルAVCテクノロジーがプロジェクトに参画したのは、2017年のこと。社内で新たな技術として着目していた光通信の技術をベースに、新たに移動体用の光通信システムを確立するのがミッションでした。

「通常の電波による通信では、落雷によって途絶えてしまったり、周囲に金属物があると電波の反射で誤作動を起こしてしまったりすることがあり、どうしても一定のリスクを伴います。その点、それらの影響を受けず、信号を伝えることができる光通信は、このシステムにうってつけであると考えました」

しかし、その開発プロセスは決して平坦なものではありません。

「たとえば、雨や霧の中でも通信の安定性が保たれるのかどうか。あるいは、夏場を想定した場合にどの程度の耐熱性が必要なのか。光通信システムを車載するにあたっては、未知数の部分が非常に多く、最初は暗中模索の状態でした。膨大なトライ&エラーを重ねた末、ひとまず昨年の実証実験を一切のトラブルなく終えることができ、心の底からほっとしましたね」

そんな岩崎が、パーソルAVCテクノロジーの前身である、パナソニックAVCマルチメディアソフト株式会社に入社したのは2006年。社名の通り、当時はパナソニック100%資本の会社でした。

もともと少年時代から機械いじりが好きで、大学時代はロボティクスを専攻していた岩崎。同社に入社を決めたのは、「ものづくりに魅力を感じ、ハードもソフトも両方手掛けながら物を動かす仕事に就きたかったから」だと言います。

「振り返ってみれば、原点は中学時代に授業でやったラジオづくりにある気がしています。身近な製品が、どういう部品を用いてどういう構造で動作しているのかを探るのは、当時の私にはたまらなく楽しかったんです」

技術を生かして世の中の課題を解決する醍醐味

入社後、最初の10年はデジタルカメラの開発に携わっていた岩崎。やがて会社がパーソルグループとして再編した際に、「これからはもっと新しいことにも取り組んでいかなければ」という機運が高まり、それが光通信システムの開発を手掛けるきっかけになりました。

「自分はソフトウェアのエンジニアとして入社しましたが、担当領域はデジタルカメラの全機能に関わるLSI(大規模集積回路)の制御ソフトウェアの開発や、人の目にふれるUI(ユーザ-インタフェース)を作るための土台となるミドルウェアの開発など多岐にわたっていました。そのため当初は知識不足で苦しい時期もありましたが、先輩方の指導を受けながら、どうにか喰らいついてきました。」

そうした時代を経て、今回の「後続車無人隊列走行システム」の開発に参加したのは、2018年のこと。岩崎は現在のポスト、そしてミッションを指して、「非常に恵まれていると思っています」と語ります。

「今後の産業の発展や、社会課題を踏まえれば、これほど将来性のある分野はありません。自分が手掛けた技術で世の中が良い方向へ変えられるなんて、この開発に携わるまでは想像もしていませんでしたから。今回の『後続車無人隊列走行システム』にしても、輸送が効率化すれば、その分の人的リソースをほかの課題解決に向けることもできるはず。1人のエンジニアとしての自分は小さな存在でも、パーソルという組織が一体となって開発にあたることが、世の中を良くしていくことにつながっているのですから、これはやり甲斐がありますよ」

技術を生かして世の中の課題を解決する。その醍醐味にすっかり魅せられてしまったという岩崎。そして、パーソルグループとしてそのミッションに取り組んでいけることが今、何よりも楽しいのだと語ります。

「2018年に突然、AVCテクノロジー株式会社と合併して資本や社名がパーソルAVCテクノロジーに変わったときはびっくりしましたけど、これもポジティブな出来事だったと解釈しています。新たにやれることは、間違いなく増えましたからね」

さらなる課題解決を目指して

そうした想いが研究開発の原動力となりました。先の新東名高速道路における実証実験が、メディアでポジティブに報じられたことには、社会の期待が表れていると言えるでしょう。

また、それによって自社のブランド力の向上に寄与した功績も含めて、今回の「PERSOL Group Award」受賞という結果につながりました。

受賞に関して岩崎は、「評価していただけたことはもちろんですが、自分の仕事を多くの方に見てもらうきっかけになったことがうれしいですね」と語ります。

「エンジニアは一人では大きなことは成し遂げられません。社会の課題、あるいはお客さまの課題を解決するには、さまざまな部門が一丸となって取り組む必要があり、私にとってはそれこそがパーソルAVCテクノロジー、ひいてはパーソルグループではたらく意義だと思っています。今後さらに知識やスキルを身につけて、ソフトウェアだけでなく、世の中全体を見通して解決法を描くことができる存在になるのが目標です。そのためにまだまだやらなければならないことがたくさんあるんですよ。最近は開発だけでなく、技術的なアイデアを提供するコンサル的な役割も増えてきましたし、これからは発想力だってもっと鍛えなければなりません」

岩崎は現在、複数のプロジェクトに参加しています。かつてラジオづくりからエンジニアリングの楽しさに目覚めた少年が、私たちの暮らしをより豊かで安心なものにするために、今日も奮闘しているのです。

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