未経験からエンジニアになれる20代のための無料就職支援プログラム「U_29」 ―“はたらく”を選び、「やりたい!」を叶えるために

未経験でもITエンジニアとしての未来を目指せるよう、パーソルテクノロジースタッフ株式会社では、若年層のITエンジニア育成、就職・転職支援サービス「U_29」(アンダーニジュウキュウ)を展開しています。

取り組みの概

「U_29」は、ITエンジニアとしての経験を問わず、20代の若年層に、無償でITの基礎や専門技術といった技術研修を1カ月間実施し、そのあと最長2カ月間にわたり就職支援を行うサービスです。

参加希望者には、説明会のあとIT基礎診断テストと面接を受験いただき、合格した方のみが研修プログラムの受講が可能となります。
研修プログラム「U_29 キャリアチェンジプログラム」には、IT未経験者向けの「Basicコース」と、ITエンジニア実務経験者向け「Advanceコース」のコースがあります。「Basicコース」では、ITの基礎知識を、「Advanceコース」では個々の特性に応じた上位技術を習得いただき、そののち、一人ひとりの適正や希望にあった就職先を紹介します。
(詳細はこちら:https://staff.persol-xtech.co.jp/u_29/

「U_29」がスタートしたのは、今から約7年半前となる2014年5月。それから現在(※1)までに約300名の研修生を就職へと導いたこのサービスを誕生させたのは、パーソルテクノロジースタッフで現在「U_29」のマネジャーを務める川西 利和です。
(※1)2021年11月末現在

これまでの軌跡

「若手の“なりたい”を叶えたい。」それがサービスを考えるきっかけに

川西は2001年にパーソルテクノロジースタッフ(旧テンプスタッフ・テクノロジー)に中途入社し、その後、ネットワークエンジニア、サーバーエンジニアなど、さまざまなIT技術分野において求職者の方を教育・育成した上で企業に派遣をする取り組みを数多く手がけてきました。そんな川西にとって、派遣ではなく、就職をゴールにおいたU_29は、「これまでの取り組みの集大成」だと言います。

では、なぜ川西はこのサービスを考えたのでしょうか。
構想を練り始めたのは2013年の12月。当時、世の中はシステム投資意欲が高まっており、ITエンジニアの需要はどんどん増えていました。いわゆる「売り手市場」です。そんな状況下で、多くの企業が欲する“若手でスキルのある人”は、そうそう見つからなかったと言います。

「IT業界は人気が高く、エンジニアになりたいという若手はたくさんいました。しかし、専門的な技術を必要とするため、他業種からキャリアチェンジが難しいという現実もありました。ITスクールなどはたくさんありますが、資格を取るのには何十万もの費用かかります。正社員として就職できる確約もないのにそこまで自己投資をするというのは、20代の若手には特に厳しい話。諦めてしまう人が多いようでした。 
 
現に、ITエンジニアとして派遣登録してくださるスタッフの方は30代半ば以降が多く、20代はほとんどいない状況。そこで、エンジニアとして就職をしてバリバリはたらきたいという若手の夢を叶え、スキルある若手エンジニアを採用したいという企業の要望にも応えられる、そんな双方良しのサービスをつくれないものかと考え始めたんです」(川西)
 

熟慮の末、川西が辿りついた仕組みとは……。
IT業界を目指す意欲ある若者に技術研修を無料で提供し、研修修了後企業に紹介。面接などを経て就職が決定したら、企業から紹介料を頂戴することで、持続可能なビジネスとして成立させるというものでした。

サービスを必要としている企業層は?研修生にとって大切なことは?

「企業にとっても、若手が採用できる優れたサービス」、――自信を持って日々営業に走る川西ですが、サービス開始に際し、早くも壁にぶつかります。

今でこそ、第二新卒や業界未経験の採用も一般的になってきましたが、当時は新卒か中途採用で、中途採用では高いスキルが求められるのが当たり前。一方、受講希望者はというと、実務経験者向けのプログラムもあるとはいえ、ほとんどが他業種から転職を望む人たち。1カ月の研修を終えて基礎を身に付けただけのエンジニアを中途採用してくれる企業は簡単には見つかりません。

「なかなか理解してもらえなくて……、サービス開始当初、理解を示してくれていたのは5社ぐらいしかありませんでした」(川西)

しかし、1年が過ぎたころ、川西はあることに気付きます。

「それまでネームバリューのある大手の企業を中心に営業し、サービスの説明をしてきていました。でも、大手企業は、採用難や定着率の低さといった課題を抱えていても、新卒も中途も募集をすればそのネームバリューゆえに人が集まるケースが多いんです。片や中規模・小規模の企業は、一般に名前が通っていないというだけでなかなか人が集まらない。――つまり、中小規模のそうした企業にこそ、このサービスを知ってもらいたい、役立ててもらいたいと思ったんです。それに、研修修了者にとっても、大切なのはネームバリューより就職してITエンジニアとしてスタートをきれることだな、と……」(川西)

当時、U_29の担当メンバーは川西を入れて4人。それ以降、中小規模の企業を中心に営業するようになり、取引先数も研修生の就職率もどんどん伸びていきました。
川西とともに、サービス開始4カ月目からU_29の営業に邁進し、現在営業リーダーを務める鎌田 勲は次のように話します。

「今でもお取引いただいている約8割が、社員300人以下といった中小規模の企業です。リピート採用をしてくださっている企業も多く、中には社員の半数がU_29の卒業生というところもあるんですよ」(鎌田)

何度となくリピート採用するほどに企業がU_29の卒業生を望む理由は、「採用難」というだけではないようです。

「企業からよくいただく言葉で、共通しているのが『U_29の卒業生は、スキルは十分でなかったとしても意欲があって、仕事や技術習得に対する向上心も高いから将来が楽しみだよ』、といったことです

技術研修は1カ月。この間に身につけてほしいと私たちが重点を置いているのは、 “社会人として、ITエンジニアとしてキャリアを積んでいくための足場となる土台をしっかりつくる”こと。なぜなら、若手に大切なのは、『今何ができるか』ではなく、『今度どうなるか』だと思っているからです。『将来が楽しみ』と言ってくださる企業は、若手への想いが同じで、“土台づくり”に重点を置くことに賛同してくださっているのではないかと思っています。とてもうれしい言葉です」(鎌田)

┃就職率は9割超え。その秘密は、進化し続ける研修と熱い指導

現在、U_29卒業生の就職率は9割以上。サービス自体が多くの企業に信頼され、自身の都合でやむなく辞退する研修生以外は就職に成功しています。しかし、そこに至るまでには紆余曲折あり、川西や鎌田たちは、課題が浮上する都度、さまざまな工夫をしたり、研修をブラッシュアップしてきたと言います。

「私たちが受講希望者に最も求めているのは、エンジニアとしてキャリアを積み、はたらいていくという強い意志と覚悟です。でも、U_29の受講は無料なので、中には『なんとなくいいかな、と思って……』と、軽い気持ちでの応募があるのも事実です。ですので、説明会のあとの面接では、そこをしっかりと見て合否を決めさせてもらっています。面接自体はサービス開始当時から行っていますが、今はより“意欲”を重視していますね」(川西)

ここ1~2年の受講応募者数は月平均で70人ほど。そのうち面接を通過し受講資格を手できるのは10人前後だといいます。

また、企業に人材を紹介する際に付ける「推薦コメント」にも、より注力するように。

「20代で社会人経験が浅い上、他業種からの転職者となると単なるスキルシートや紹介コメントを見せてもなかなか企業に興味を持ってもらえません。それで、研修成果や研修態度はもちろん、どんな人柄なのか人物面もしっかり分かってもらえるような内容までを『推薦コメント』に盛り込んで書くようにしました」(鎌田)

現在技術研修修了後に就職支援の一環として設けられているビジネスマナー講習や模擬面接は、サービス開始後に加えた取り組みなのだそう。

「研修生が企業の面接になかなか受からないという時期があったんです。原因を探っていくと、どうやら就職活動の基本的な常識やマナーを知らない人が多いらしい、ということが分かり……。それで面接対策を行うようにしました」(川西)

研修生が卒業するまでの期間は約3カ月。この期間に皆、大きく成長するといいます。そこには、画一的に技術を教えるだけではない、川西や鎌田たちの熱い指導が深く関係しているようです。

「支援する立場なので、時には『そういう考え方はあまり良くないかもしれないね』などと、諭す場面もあります。教師のような感じですね。研修生が卒業していくときは、本当に生徒を送り出すような気持ちです」(川西)

卒業後、手紙をくれたり、「仕事で近くに来たので皆さんに会いに寄りました」と顔を出してくれる卒業生もいるそう。また、「就職決定者の声」(※2)として寄せてもらうコメントで、それぞれが成長を実感していることが分かることも。そうしたときは、「たまらなくうれしい!」と、川西も鎌田も口を揃えます。そして、鎌田は目を細めながら次のような話もしてくれました。

「卒業生の近況を企業が教えてくれることもあるんです。『〇〇君がプロジェクトリーダーになったよ』とか……。そんなときは、“U_29が新しい『はたらく』のきっかけになったんだ”“人生の大きな決断の局面に立ち会えたんだ”と実感し、感慨深く、心底やりがいを感じますね」(鎌田)

そして、最後に川西は、今後にかける想いをこう語りました。

「ITエンジニアに就く人は、まだまだ男性が多いと感じています。今、U_29の研修生の4割が女性ですが、グローバルなこの時代もっと女性率を増やしていきたいですね。
また、コロナ禍に対応するため、昨年U_29の研修すべてをオンライン化しました。はたらき方も多様化してきていますし、これを機に、首都圏中心だったサービスを、全国へと拡大していきたいと思っています」(川西)

某就職イベントでの様子。左から3人目が川西、4人目が鎌田

(※2)「就職決定者の声」について、詳しくはこちらをご覧ください。

TRY!Points

・ITエンジニアになりたい若手と企業が、ともに喜べる方法とビジネスモデルを模索した
・困っている企業層はどこか、研修生に大切なのは何かを真剣に考え見極めた
・課題に向き合い、工夫やブラッシュアップを重ね続けた

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