開発未経験の役員やメンバー社員が、RPAを学ぶ!現場でのRPA普及に向けた取り組み

パーソルグループでは、2030年の実現したい世界に向けた価値創造ストーリーの中で、「“個人”にフォーカスする」、「テクノロジーを武器にする」、「世界で価値を提供する」という3つのグループ重点戦略を掲げています。
パーソルプロセス&テクノロジーは、この中の「テクノロジーを武器にする」の体現に向けて、パーソルグループ内の生産性向上とデジタル人材の育成を目的としたプロジェクト「Automation PJT」を推進しています。

本プロジェクトの目的の一つである「デジタル人材の育成」では、社員がデジタルを使いこなし、また、デジタルと共存することで新しい価値を提供できる人材を多く育てるため、その第一歩としてRPA教育に力を入れています。本記事では、現場でのRPA活用普及への取り組みをご紹介します。

パーソルグループで実施しているRPA研修とは

本プロジェクトで実践するRPA教育は、「特定の部署や社員を専任のRPA開発者に育成する」といった研修ではありません。目指しているのはUiPath社が掲げるビジョン「A Robot for Every Person (RfE)」。すなわち、すべての社員がロボットを利用・開発し、活用する世界観の実現です。自分事としてオートメーションに取り組むことに重きを置いた「RfE」を推進していくためには、より多くの社員がRPAのことを知り、自ら作り、使えるような環境をつくる必要があります。

Automation PJTでは、グループ内へのRfEへの浸透に向けて、2つの研修を行っています。1つはトップマネジメント層(各社の役員など)へのRPA研修、もう一つは一般社員への寄り添い型のRPA研修です。

(1)トップマネジメント層向けRPA研修

「RPA」と聞くと、「扱うには、プログラミングの開発経験がないと難しい」「私にはできない」と抵抗を感じる人が多いのが事実。そこで、まずは、トップマネジメント層にRPAの使いやすさを体感してもらい、率先してRPAの理解を深めてもらう研修の場を設けています。

この研修は過去2回実施しており、1回目はパーソルホールディングス株式会社 取締役会長の水田 正道(研修受講時は代表取締役社長CEO)が、2回目は、パーソルテンプスタッフ株式会社 取締役執行役員 BPO領域長の市村 和幸が参加しました。市村の研修の様子を見てみましょう。

RPA開発に挑戦!

本研修は、世界屈指のRPAベンダーであるUiPath株式会社の全面協力のもと実施しました。
最初に、UiPath社 カスタマーサクセス本部 本部長のトップコンサルタントである田邊 智康氏よりBPO領域におけるデジタル活用動向をお話しいただき、BPOでのデジタル活用余地についてディスカッションを実施。その後、RPAの概要、UiPath製品のご紹介などを経て、プログラミング知識不要のRPA開発ツール「StudioX」のハンズオン(体験学習)研修がスタートしました。

UiPath 田邊氏とのディスカッションの様子

今回市村が挑戦したのは、「株価指数値の取得」と「システムへの顧客データ登録」業務におけるRPAの開発です。

研修講師のレクチャーのもと、パソコンの画面上でさくさくとロボットの部品を組み立てていく市村。
想像していたよりもスムーズにできた様子で、実行時に一度エラーが発生してしまいましたが、エラーの原因も瞬時に察知し、予定時間よりも早い約20分でロボットが完成しました。作った2種類のロボットでは、実行ボタン1クリックで、webブラウザやwebアプリケーションから情報を取得し、情報格納先(Excelやシステム)に転記ができるようになりました。

市村は、研修に取り組む中で「RPAはもう少し高難度な開発のイメージがありましたが、ここまで操作しやすくなったんですね」と感心しきり。「より多くのBPO領域のプロジェクトに、RPAを普及させていきたい」と意気込んでいました。

開発したロボットの実行が成功し、笑顔の市村

(2)一般社員への寄り添い型RPA研修

もう一つの研修は、一般社員向けに提供しています。Automation PJTの開始から1年半で、グループ内約10社、200名以上の社員をRPA開発者として育成しており、そのほとんどが開発未経験者です。
2021年1月からRPA研修に参加しているパーソルプロセス&テクノロジー株式会社の成田 美礼と、4月から研修に参加している同社の横井 秋映も、開発にチャレンジ中。2人に話を聞きました。

成田 美礼
百貨店や税理士法人などを経て、2020年にパーソルプロセス&テクノロジーに入社。ユーザー受付対応など、BPO領域での業務に従事。プログラミング等の開発の経験はなし。

横井 秋映
当初派遣スタッフとしてパーソルプロセス&テクノロジーで勤務しており、2019年に社員として入社。一貫して不動産会員サービスの電話窓口の業務を担う。成田と同じく、プログラミング等の開発経験はなし。

──RPA研修に参加されたきっかけを教えてください。

成田:私は、当初「RPAの開発は難しいのでは?」と思っていたのですが、パーソルプロセス&テクノロジーが掲げる「デジタル武装」という戦略に興味を持ち、自分にもできることがないかと思い挑戦してみることにしました。

横井:私は、派遣スタッフとして勤務していた時代から、パーソルのRPA事業の魅力を感じていました。私が社員として入社した理由の一つにもなっています。ただ、実際にRPAに触れたことはなかったので、どんなものかはよく分かっていなかったですね。
そんな中で、昨年自分の部署の仕事にRPAが導入されたんです。でも、実際に運用していくと、ロボットはエラーで止まってしまうことも多くて(笑)。「もっとRPAについて知り、止まらないロボットを作ってみたい!」と思い、研修に参加しました。

──現在は、どのような研修に取り組んでいますか?

成田:頻度としては週1回1時間、講師との1on1形式で受講しています。最初は講師の方に手取り足取り教えてもらいながら、どのようにロボットを組み立てるのかを学んでいきました。一通り経験した後は一人で開発を行い、分からないことがあれば、毎週の研修で相談をしています。

横井:私も進め方は同じです。週1~2日、自分自身でRPAを開発する時間をつくっています。

研修の様子
1on1形式での研修の様子

――どのようなロボットを開発されましたか?

成田:2つ開発しました。1つは、クライアントシステムの情報を自社システムに転記して、その情報を基にメールを作成するロボット。もう1つは、送信したメールの内容を自社システムとクライアントシステムに登録するロボットです。いずれも私が業務に携わる中で、工数を削減したいと考えていた作業です。
それぞれ月10時間くらい要していた作業なのですが、RPA化により、80%程度工数が削減できました。

横井:私は、発送した郵便物の追跡番号検索ロボットや、日報作成ロボットを開発しました。開発前は、不動産サイトの会員さまにお送りしたものの、届かずに返送されてきた郵便物を確認し、返送理由を一つひとつチェックしていました。しかし追跡番号検索ロボットを開発したことで、実物を見なくても、返送理由が確認できるようになりました。

――実際にRPAの開発をしてみて、どうでしたか?

成田:RPAは0からプログラミングするのではなく、もともとある部品を組み立てて作るイメージでした。なので、当初想像していたような難しさはありませんでしたね。どの部品をどのように組み立てればよいかをトレーナーにていねいに教えてもらったおかげで、今は自分の頭の中で組み立て方がイメージできるようになりました。

横井:私も部品の組み立て自体は難しくないと感じています。ただ、「安定的に動くロボットを作る」ということとなると、もう少し研究が必要だな、と感じています。
でも、トライ&エラーを繰り返しながらロボットを作っていくのは、とても楽しいです!自分が指示した通りに正確にロボットが動いてくれるのが気持ち良いですね。

――研修の成果や、受講後の変化を教えてください。

成田:研修を受けたことにより、業務を細分化して考える癖がつきました。業務の細部にまで目が行くようになり、業務の改善ポイントがたくさん見つけられるようになりました。

横井:まずは、ロボットが動きやすいように業務のルールを整理・簡素化してから開発する大切さを実感しました。これまではなんとなく、すべての業務に「ここもRPAが入れられるのでは?」と思っていたのですが、RPAを学んだことでこれはRPA化できる、できないの線引きがつけられるようになりました。

――ずばり、RPA開発は誰でもできるものですか?

成田:トレーナーが寄り添って教えてくれる環境があれば、やりたい意志のある人は誰でも開発できるようになると思います!得手不得手はあると思いますが、それよりも、いかに興味を持って続けられるかが大切ですね。強いて言えば、心配性の人のほうが、エラー率の低いロボットを作るのに向いているかもしれません(笑)

横井:私も、RPAに興味がある人なら、開発者になれると思います。ロボットを作る上で、細かい視点を持てることも大事ですが、一方で大胆さも必要だなと感じます。
「絶対にエラーが起きない」といった100%のロボットの完成を目指すと、なかなかリリースに踏み切れません。RPAでエラーが起こるのはしょうがない、80%の状態でもいい、という割り切りが時には必要ですね。少し手がかかる子ですが(笑)、これからもRPAには関わり続けていきたいです!

このページをシェアする
目次
閉じる