子どもの未来の“はたらく”を考えるワークショップ ─「いまできること」の積み重ねで生まれたキャリア教育授業

子どもたちの“はたらく”をもっとワクワクするものに変えていくために、パーソルキャリア株式会社では、小・中学校で「“はたらく”を考えるワークショップ」(講師派遣授業プログラム)を無料で開催しています。

取り組みの概要

対象学年は、主に小学4年生~中学3年生。スタンダードなプログラムである「2Dayプログラム」は、授業の2コマ×2日程で実施しています。

授業初日は「世の中の流れ」や「仕事や職業選択とは?」といったテーマを通じて、子どもたちの“はたらく”に対する考え方を広げていきます。さまざまな仕事があることを知ったうえで、宿題として、自分が興味のある「職種」について調べる自己学習を実施。2日目にクラスの仲間と調べた内容をシェアし、自立した大人になるための「主体性」や「リーダシップ」などについて考えていきます。

また、直近はキャリア教育についての課題を持った小・中学校の先生方からのお問い合わせも多く、「カスタマイズプログラム」にて学校に応じて授業を作ることにも取り組んでいます。
(詳細はこちら:https://www.persol-career.co.jp/service/contents/career-workshop/

2017年の初回実施から2020年末段階までに22校、2,194名の子どもたちが受講しているこのワークショップ。はじめたのは、パーソルキャリア株式会社の竜田 遼です。

きっかけ

先輩との会話で気付いた「いま、自分にできること」

活動のルーツは、竜田が大学生時代に行っていた、塾講師のアルバイトまでさかのぼります。

小学4年生から高校3年生まで、塾講師として幅広い年代の生徒一人ひとりに長期的に向き合う中、竜田は、新しい知識をどんどん吸収し、日々成長する生徒たちの姿に感銘を受けたといいます。

「私自身も、そんな姿を見ているのが純粋に楽しかったですね。
その一方で、世の中には、大人が勝手に『この話は理解できないだろう』とか、『この年齢だと難しいだろう』と決めつけていることも多いのでは?とも考えるようになりました。そんな先入観をなくして子どもと接すれば、子どもの感受性はもっと伸びていくのではないかと。」(竜田)

竜田は大学を卒業後、ウエディングプランナーやキャリアアドバイザーとして勤めながらも「いつか子どもに関われたらいいな」というぼんやりとした想いを抱えていたそう。しかし、自身で具体的な活動をしていたわけではありませんでした。

転機は、前職のとき。
会社の先輩にそんな気持ちを話したとき、「なんで“いつか”なの?いまできることを探してみれば?」というアドバイスを受けます。これをきっかけに、竜田は地域の施設などで子どもと遊んだり勉強を教えたりするボランティアに週末限定で携わるようになりました。

もともと教育問題には関心があったのですが、まずは、自分の見えている範囲のことから携わってみようということで始めました。ちゃんと機会を探せば、自分にできることも見つかるんだなと思いました。

その後、竜田は2015年に当時のインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。
キャリアアドバイザーとして個人の転職活動を支援する中で、次第に、現在のワークショップの構想に繋がる“違和感”を抱くようになります。

『大人ですら、自分で仕事を選べていない』ことに、モヤモヤして……。“なんとなく“とか、“かっこいいから”で転職する方が多いことに、違和感を抱きました。

他方、自分で軸をもっている転職希望者の方もいらっしゃいます。そんな方にお話を聞いていくと、子ども時代から、自分の行動を「選択」している人が多いことに気付きました。一つひとつの判断や行動にも理由があり、本人も結果に納得感を持つことができていたんです。

子どものころから『自分で考えて、自分で選ぶ』という体験をできていれば、もっと良いキャリア選択をできる人が増えるのでは──。

そんな想いを抱えながら過ごしていた竜田は、ある日、社内のイントラネットである募集を目にします。それは、パーソルキャリアも所属する「全国求人情報協会」からの告知で、小学校のキャリア教育支援事業を行う(各社が主体となって学校に対して行うキャリア支援事業を協会が支援する)というものでした。

この案件への応募が、ワークショップ実施の第一歩となりました。

┃ 「パーソルにお願いして良かった」と言ってもらえるように

応募はスタートラインに過ぎず、実際に授業をする学校は自分自身で見つけなければいけませんでした。そこで、千葉市内の100校近い小・中学校に電話、メール、ファックスでアプローチするも、反響はゼロ。
同僚のお子さんが通う学校で、ようやく第一回目のワークショップを実施できることになりました。

そうして実際に授業を行ったところ……、結果は大好評!その学校からは、初めて授業を実施した2017年から現在に至るまで毎年お声がけをいただいており、満足度の高さがうかがえます。

また、社内でいろいろな関係者のツテを辿り、北海道や神奈川でも数校の実績をつくることに成功。そこでの評判も上々で、先生同士のご紹介や、地域の校長先生が集まる“校長会”などで紹介いただき、一気に活動の知名度が高まっていきました。

「最初のうちは、とにかく、先生にも生徒にも『パーソルにお願いして良かった』と言ってもらえる授業をつくろうと思って取り組んでいました。実際にそう仰っていただけたことで、一校だけだった実績が、瞬く間に広がっていきました。」

研修プログラムは自身でつくり上げましたが、竜田の大学での専攻は経営で、生徒指導の経験も塾のアルバイトのみだったといいます。なぜ、自分でプログラムをつくることができたのでしょうか。

「実は、キャリアアドバイザーとして仕事をしているとき、週末限定のボランティアとして、妻の会社の新人研修をやらせてもらっていました。ほぼ独学に近かったですが、そこでいろいろなことを学びましたね。会社の中だけでなく、外にも学びのチャンスがあるのだと実感しました。」

┃ “仕事は、誰かの「ありがとう」につながっている”

現在は、オンライン会議ツールを用いたプログラムを開発したことで、コロナ禍にもかかわらず、新たな学校からの問い合わせも増えているそう。竜田は人事としての仕事に携わりながら、そこで「キャリア教育推進グループ」という部署も立ち上げ、活動の幅をさらに広げるべく取り組んでいます。

授業を受けた生徒や、それを見守った保護者や学校の先生からは、次のような声が届いています。

生徒(小学6年生)

今までは仕事はお金のためにするものだと思っていたけど、 仕事は誰かの“ありがとう”につながっていることが新しく分かりました

授業参観された保護者

授業の中で信頼をためていく話を聞いたという我が子が、家の中で積極的に手伝いや身の回りのことをするようになり驚いています

6年生担任

仕事は「なにを」以上に「なぜ」で選ぶというお話を聞いて、 自分自身がなぜ教員になったのかを改めて考えました。 子どもたちも話を一方的に聞くだけの講話と違い、 自分たちで発言をしたり考える場を与えてもらったことで定着ができているように感じております

保護者/PTA会長

自分自身が子どもの頃にこの授業を受けていたら人生が変わっていそうだ、と考えるような授業を見せて頂けた。保護者の方々にもぜひ観てもらいたいです

最後に、竜田に今後の意気込みを聞きました。

「いろいろな仕事を知ること自体は、一つのきっかけでしかありません。その仕事は誰にどんな価値を届けているのかや、子どもたちの中にある主体性を育てることで、「生きる力」をはぐくむことができればと考えています。
現在は9都道府県での実施の実績がありますが、もっと多くの学校で実施し、「“はたらく”を考えるワークショップ」を全国に広げていきたいです。」

“はたらく”を考えるワークショップの詳細は、こちらからご覧いただけます。
https://www.persol-career.co.jp/service/contents/career-workshop/

TRY!Points

  • 機会を探したことで、「自分にもできること」があると知った
  • 目の前の仕事に向き合う中で、子ども時代の過ごし方が、大人のキャリア選択に影響を及ぼすと感じた
  • 社外にも機会を見出し、自身のスキルを磨いた
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