先端ITを学べるIT特化型就労移行支援事業所「Neuro Dive」、2拠点目を横浜に開所!

パーソルグループで障害者雇用支援事業を手掛けるパーソルチャレンジ株式会社は、IT特化型就労移行支援(※1)業所「Neuro Dive(ニューロ ダイブ)」の2拠点目となる「Neuro Dive 横浜」(神奈川県横浜市)を2021年7月1日に開所しました。

(※1)就労移行支援:障害者総合支援法に基づく福祉支援サービス。65歳未満の身体、知的、精神障害、難病のある方で、一般企業への就職を希望する方に対し、最長2年間、就職に関する相談や就労に必要なスキルの訓練、就職活動支援、就職後の定着支援が受けられる。

今回は、パーソルチャレンジで就労移行支援事業「Neuro Dive」の責任者を務める吉田 岳史に、「Neuro Dive」を立ち上げた背景から、2拠点目に横浜を選んだ理由、利用者や受け入れ企業の声や今後の展望までを聞きました。

目次

2拠点目はIT事業所が多い横浜に。
秋葉原からは8名が大手企業に就職!

――2019年に、国内初の「先端IT領域を学べる就労移行支援事業所」として「Neuro Dive 秋葉原」を開所しました。改めて、立ち上げの背景を教えてください

吉田:事業所を開所する前から、パーソルチャレンジでは発達障害の特性がある大学生向けにコミュニケーションの支援をするプログラム(CSP:コミュニケーションサポートプログラム)を行っていました。その中で気付いたのが、学歴(知能指数等)は高いのに、コミュニケーションが苦手で面接でうまく受け答えできず、就職できずにいる学生が多くいるということです。

吉田:一方、企業の雇用状況を見ると、データサイエンスなど先端IT領域における人材は、2030年に約54.5万人不足すると試算(※2)されていて、すでにスペシャリスト・エキスパートの人材獲得競争が激化してきています。それにも関わらず、障害のある方の就労においては、これまで職域が一般事務領域や軽作業などに限定されがちでした。

こうしたことから、高スキルを身に付けられる可能性のある障害者が、先端IT領域のスペシャリストとして活躍できるようになることは、障害者個人と企業双方の課題解決に繋がると考え、「Neuro Dive 秋葉原」を開所しました。

(※2)経済産業省委託事業 みずほ情報総研「IT人材受給に関する調査」(2019年3月)

IT事業所が多い横浜は売り手市場⁉
秋葉原からは8名が大手企業のIT領域に就職!

――2拠点目に、横浜を選んだ理由を教えてください。

吉田:1拠点目の秋葉原に神奈川県から通われている方もいましたし、これまで1,000件以上お問い合わせをいただいている中でも、神奈川県在住の方が多かったからです。また、横浜市のIT事業所数は3,000を超えています。世界的にも有名なエレクトロニクスメーカーや研究開発拠点が集積しており、先端IT領域の専門職人材の就業先が多く見込めるという点もありました。

――先端IT領域特化型とのことですが、特別なカリキュラムがあるのですか?

吉田:「Neuro Dive」のカリキュラムを経て目指せるキャリアは、「デジタルマーケター」「機械学習・AI活用」「BI活用・導入」「RPA・業務改善」の4分野です。
それぞれUdemy(ユーデミー)というeラーニングシステムを使って学習をするのですが、「Neuro Dive」の特徴であり、大切にしているのが「学んだ技術を用いてアウトプットする」ということ。分析レポートやシステムの自動化、画像判定AIの生成など成果物を実際に作成してもらいます。そして、それを現役データサイエンティストが見て認めた場合に、講座習得の評価を受けることができ、次のステップに進めるようになっています。アウトプットで重要視している評価点は3つ。

1.再現性があるか:学んだことをきちんと再現できているか。
2.可視化できるか:誰が見ても分かる状態になっているか。
3.ビジネス感があるか:個人の趣味ではなく、社会や誰かの役に立つものになっているか。

学習の進み具合はレーダーチャートで示されるようになっているので、自分の成長具合も一目で分かります。この学習法は利用者にも好評で、利用者対象のアンケートでは多くが先端IT領域の「スキルが向上した」ことを実感。そして身に付けた力を活かして就職したいという希望が増えてきています。
*利用者アンケートについて詳しくはこちらをご覧ください。

――IT領域で就職された方はすでにいるのですか?

吉田:コロナ禍により、企業の採用がストップしてしまうこともありましたが、8名が大手企業のAI、データサイエンス、デジタルマーケティングなどの領域に就職しました。そのうち1名は、ファッションに興味があり、アパレル業界に就職。憧れの業界に希望の職種で就職できてとても喜んでいました。いまもがんばって仕事に取り組まれています。

――企業からの反響はいかがですか?

吉田:とても好評です。企業実習や採用いただいた企業担当者の方からは、ITスキルに関しても一定の評価をいただいています。また、「高いITスキル(データ領域やAI・機械学習など)を身に付けている方なら雇用を考えたい」と多くの企業からお問い合わせをいただいていますし、見学にいらした企業担当者の方からは、「既存社員と比べても変わらないスキルをもっていますね。」という感想を多くいただいています。

「Neuro Dive 横浜」内のレイアウト

――見学によって、障害のある方へのイメージが変わったということでしょうか?

吉田:はい、そうです。発達障害や精神障害の方はコミュニケーションが苦手です。でも、コミュニケーションがまったくとれないわけではありません。
「Neuro Dive」では、企業の方が見学にいらっしゃると、利用者に自身のポートフォリオを見せながら説明してもらうのですが、ロジカルにきちんと話すことができます。そうしたことから、「はたらくことに必要なコミュニケーション能力はある」と、認識を新たにされる方が多いようです。

障害者雇用領域を拡大し、社会を変える

――これまでの運営で、大変だったことはありますか?

吉田:ITの領域・部署で障害者の受け入れ枠を設けている企業はほとんどありません。つまり、受け入れが可能な部署を考えるなど、企業の担当者と一緒に一から態勢を整えなくてはなりません。障害者雇用領域を拡大していくことなので、非常に意義あることですが、大変な部分でもありますね。

――受け入れ部署の理解も必要になりますね。具体的にどのような工夫をしているのでしょうか。

吉田:就労選考の前に、まず実習をさせていただくのですが、実習前にどんな業務を担えるかのすり合わせを行ったり、利用者が業務をスムーズに遂行するためにお願いしたい配慮を伝えたりしています。常に考えているのは、現場の方にできるだけ負担がかからないようにすること。こうした上でトライアルしていただき、利用者、企業ともにコンセンサスを得られたら選考へと進むという流れになっています。

――今後の目標と展望を教えてください。

吉田:横浜では20名を募集していますが、今年度中に半数以上の就労を目指しています。
一人でも多くの方にIT領域へ就労してもらうことは、障害者の雇用領域が拡大することとニアリーイコールだと思っていますし、就労先で活躍していただくことで、たとえば健常者より生産性が落ちるというような障害者雇用へのマイナスイメージを変えていけると考えています。そして、イメージが変われば、障害のある方の「はたらく」の選択肢が増えることに繋がる。――そうした好循環を生み出し、健常者と障害者が同じ部署で、それぞれを尊重し合いながら活躍する、そうした社会をつくっていきたいと思います。

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また、Neuro Diveは、7月1日よりオンライン有料学習サービス「Neuro Dive Online」を開始しました。
発達障害などの方が「AI・機械学習」「データサイエンス」など先端ITをオンラインで学べる有料学習プログラムです。
就労移行支援事業所に遠くて通えない方や学生や就業中で福祉制度を使えない人も活用できるサービスになっています。
*詳しくはこちらをご覧ください。

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