納得のいくキャリアを選ぶためには?法政大学でキャリア教育授業を実施!

パーソルグループの課外活動「みんなの部活」から生まれた「キャリア教育ラボ」が、法政大学の授業で第二回目(※1)となる大学生のキャリア支援プロジェクト、キャリアオーナーシップについて考えるワークショップを実施しました。今回もプロティアン・キャリア(※2)でおなじみの、法政大学 田中 研之輔教授の授業の時間をいただき、オンライン形式で開催。大学2年生約30名と一緒にキャリアオーナーシップを持つことについて考えました。

(※1)第一回目は2020年11月26日に開催。詳しくはこちらをご覧ください。
(※2)「環境の変化に応じて自分自身も変化させる柔軟なキャリア」を意味する、アメリカの心理学者ダグラス・ホール(Douglas T. Hall)が提唱したキャリア理論。

一般的に、就職活動は大学3年生の秋から始まり、学生はこの時期とほぼ同時に自己分析や適職診断を始めることが多いと言われています。本ワークショップでは、これから就職活動を迎える大学2年生に対して、「 キャリア教育ラボ」に所属するパーソルグループの社員(パーソルキャリア株式会社 若林、佐伯、林) が、実際に体験した就職活動の実態や入社後のリアルな体験談を共有。学生に「はたらく」について考えるキッカケを提供することで、はたらくことに対してポジティブな気持ちを持って社会に出てほしいという想いのもと開催しています。

今回のワークショップは、「身に付けるべきスキルについて」と、「自己理解を繰り返し、自分の軸を継続的に見つけることの大切さ」について行われました。

●「キャリア教育ラボ」とは
“キャリア教育”を今後のライフワークにしたいパーソルグループ社員による部活動です。約100名の部員が在籍しており、それぞれが「自分らしい」キャリア教育のあり方を考えられる場を目指しています。

納得のいくキャリア選択をするために必要な3つのこと


ワークショップは、パーソルキャリア 若林による「社会の変化とキャリア形成について」の授業からスタート。まずは「私たちをとりまく環境」についてのクイズを出題し、場を温めるとともに、私たちを取り巻く環境は、テクノロジーの発展、高齢化社会・人口減少・AIの台頭、終身雇用の崩壊、価値観の多様化、気候変動、グローバル化などにより日々変化しているVUCA(※3)の時代であると言及。そんな時代に納得がいくキャリアを選択していくためには、次の3つの要素が必要であると論じました。

●必要な専門スキルを見極め磨くこと
●ポータブルスキルを磨くこと
●自分の軸を継続的に知ること

そして、「必要な専門スキル」は、時代によってニーズが変化していくため、常にキャッチアップして身に付けていくことが大切であること。「ポータブルスキル」は、論理的思考力や課題発見力、コミュニケーション能力などのことで、社会人になる前から身に付けられるスキルである旨を解説。さらに、多くの選択肢から納得のいく選択をするには、「自分の軸」を持つ必要があり、軸を見つけるには自己理解が必要であること。時代のニーズはもちろん、自身の価値観も経験で変わるため、「自分の軸を継続的に知ること」が大切であることを伝えました。

(※3)VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4つの単語の頭文字を取った言葉。


自己理解は、人生の道を切り開く武器!


続いて、東京大学大学院で高等教育の研究をしている谷垣さんをゲストにお招きしてのパネルディスカッションへ。

谷垣さんは、2015年にアパレル会社へ新卒入社し、2016年に当時のインテリジェンス(現パーソルキャリア)へ中途入社。その後2020年3月まで転職支援のキャリアアドバイザーとして個人の転職支援に従事し、大学院に進学するために退職したという職歴の持ち主。現在は、東京大学大学院で高等教育の研究をするとともに、学内の学生支援にも携わっています。

なぜ新卒でアパレル会社に入社し、退職したのか。そして、なぜインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社したのか。そのときの軸はなんだったのかなどがざっくばらんに語られました。
一部を抜粋してご紹介します。

まずは、谷垣さんの新卒の就職活動の話から。

「就活をスタートしたものの、やりたいこともないし、自分の強みもわからない。そもそも自己理解をしようとしてもそのための材料もなくて……。なんとなく『自分を成長させたい願望』はあったものの軸はありませんでした。当然ことごとく不採用に。そんなあるとき、『谷垣さんは洋服好きだし、アパレルのバイヤーとかいいんじゃない?』と言われたことを思い出して、アパレル会社に応募。採用していただくことになりました。

総合職のような全国転勤型のポジションで採用いただいたので、「キャリアが積めるかも」という期待と、「就活を一刻も早くやめたい」という想いから入社を決意。しかしその後、販売をやりながら洋服が好き=販売が好きというわけではないことに気付き、仕事への物足りなさを感じ始めます。さらに、アパレル本社に勤務することは、とても狭き門であるという現実も知りました。」

こうした経験から、谷垣さんは転職を考え、人生ではじめて自分と向き合うことをやってみたといいます。

「自分はどんな人間で、どんな人になりたいのか……、すごく考えましたし、いろいろ調べもしました。そのとき、同じように悩んでいる人がたくさんいることを知り、『キャリアに悩む人の手助けをできる人になりたい!』と、勝手に使命感を感じて、行動に移しました。」

谷垣さんは、学生時代から持っていた「自己成長したい」という気持ちと、「キャリアに悩む人のサポートをしたい」という気持ち、2つの軸をもってインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。そして、キャリアアドバイザーとして活躍し、MVPを獲得するまでになりました。しかし、一定の成績を残し、次の成長を考えたとき、このままキャリアアドバイザーとして頑張るのか、それとも社内で別のキャリアに挑戦していくのか、はたまた社外に転職するのかで悩むことに。

「再度、『自己理解』に取り組みました。入社当時に持っていた『キャリアに悩む人のサポートがしたい』という気持ちに変わりはないけれど、目指したいキャリアはいまの仕事とはちょっと違うな、と感じたんです。そして、仕事を通してキャリア教育や大学教育に問題意識を持つようになっていたこともあり、もっと勉強したい、成長したいという想いと、ビジネスではなくフラットにキャリアや人の成長について考えてみたいという想いが強くなり、大学院進学を決めました。」

そう語ると、最後に谷垣さんは学生に次のメッセージを贈りました。

「幼少期からやりたいことが変わらない人もいますが、多くの皆さんは、やりたいことや価値観がどんどん変わっていくと思います。もちろん社会も変わっていきます。だからこそ、変わった自分に気付くことが大切。そのためにも、そのときどきで自分と向き合い、自分を理解し続けることが重要だと考えます。

これからの人生でキャリアに悩む瞬間は、何度もあると思います。就活前のいま、キャリアや選択に悩まないように『自己理解』をするのも大切ですが、それ以上にこれから先、壁にぶつかったときに自分で道を切り開いていくための武器として、『自己理解』のスキルをぜひ身に付けてほしいと思います。」


「何に」「なぜ」感情が動かされたのかを深掘りしよう


パネルディスカッションの後は、2チームに分かれて「自分の軸の見つけ方」をテーマにしたブレイクアウトセッションを実施しました。セッションでは、1チームにつき2人が、「感情が大きく動いたエピソード」を公開。その話を深掘りしていくことで、自分の価値観(大切にしたいこと)や興味関心、得意不得意といったことが見えてくることを体感し、「自分の軸」を見つけるポイントを理解してもらいました。

そして、最後に全体メッセージとして、自分の軸を知ることは納得のいくキャリア選択をするのにとても重要だが、価値観などは経験や置かれた状況によって変わるものなので、「いまの自分」を『自己理解』することが大切であることが説明され、90分のワークショップは幕を閉じました。

【参加した学生の感想】

私も洋服が好きだから、アパレルもいいなと、簡単に考えていたのでしっかりと自己分析と企業分析を行なっていかなければならないと気付かされました。
これまで、自分の得意なことや興味を問われても、うまく答えることができないな、と思っていました。でも、自分がいままでで一番熱中していたことやそれに熱中するきっかけを考えることで少し自分の軸を見つけやすくなるのだと実感しました。今回のように実際に人が考えているのを見ることで、より現実的に自分のことも考えることができるようになった気がします。
自分のやりたいことがまったく定まっていなくて悩んでいましたが、過去の出来事などからもう一度自分を見つめなおして考えてみたいと思います。
先行き不透明な時代であることに加えて、経験によって価値観が変化するため、自分の軸を理解することが大切だとわかった。ポータブルスキルがあまりないので、日常生活の中から意識的に身に付けていきたい。本日はありがとうございました!!
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