道徳授業の指導教材本に「はたらいて、笑おう。」が採用!

「はたらいて、笑おう。」って、どういうこと?小・中学生向けの授業で考える。

学校教育における道徳授業の指導プランを教員向けに紹介する書籍『学級経営に生きる 5分でできる 小さな道徳授業1』(日本標準)が3月30日に発売されました。この中で、小学校の中~高学年、および中学校向けの授業プランとして、パーソルグループのグループビジョンであり、広告メッセージとしても展開している「はたらいて、笑おう。」が採用されました。

『学級経営に生きる 5分でできる 小さな道徳授業1』は、5~15分でできる小・中学校対応の「小さな道徳授業」を42実践例を掲載しています。「自己を磨く」「働くことの大切さ」「いじめをなくしたい」「環境を大切にする」など7つのテーマについて授業実践例がまとめられています。『はたらいて、笑おう。』は、この中の「働くことの大切さ」の授業プランで取り上げられました。

「小さな道徳授業」は、学級の朝の会や帰りの会などで5~15分といった短時間で気軽にできる道徳授業です。思考を刺激する発問で、短時間でも子どもの心が確実に育ち、行動の変容が見られるようになります。「小さな道徳授業」は、学級経営を充実させる手段となります。

本授業プランは、同書籍の著者である愛知教育大学大学院 教育学研究科の鈴木 健二教授の発案・ご提案により掲載に至りました。鈴木教授は、子どもの人生に良い影響を与える道徳授業を目指す教員が集まる「新しい道徳授業づくり研究会(SDK)」を立ち上げるなど、道徳教育界で注目を集めている方です。

●「はたらいて、笑おう。」を活用した授業プランの概要
このプランには、係活動や給食当番、掃除当番、委員会活動など、子どもたちが学校でさまざまな仕事を担う中、どのようにはたらくと充実感を感じ、笑顔に繋がるのかを考えてもらうことで、自分がはたらくことの意味に気付いてほしいという想いが込められています。

<授業構成>

1.教師から生徒に、以前パーソルグループが展開していたブランド広告を提示(上記画像参照/現在は上記広告は展開しておりません)。

2.次に、教師から「この言葉はおかしくないですか?」と問いを投げかけ、生徒は〇と×で回答し、その理由を発表する。
<回答想定例>〇(おかしいと思う派):仕事をして疲れているのに、笑うのはおかしい ×(おかしいと思わない派):一生懸命にはたらいて、自分の仕事に満足して笑っているのではないか

3.2の声を受け、自分がはたらいた後に笑うとしたら、どんなシーンが考えられるかを生徒に考えてもらう。
<回答想定例>ありがとうと言われたとき/誰かに喜んでもらえたとき

4.自分は「はたらいて、笑おう。」になっているかを4段階で生徒に自己評価してもらい、その理由を発表する。
<回答想定例>委員会で低学年のお世話をした後、「ありがとう」と笑顔でいってくれるから

本授業プランを開発した背景や意図について、著者の鈴木教授にお聞きしました。


鈴木 健二 氏
(愛知教育大学 大学院 教育学研究科 教授)
公立小学校教諭、指導主事、校長を経て、現職。同大学院では道徳教育、学級経営の講座を担当。

――「はたらいて、笑おう。」は、どこで目にされたのでしょうか?

鈴木教授:新幹線の車内広告で目にしました。世の中の認識を変えるようなメッセージだと感じ、私個人としてもすごく惹かれた言葉です。見た瞬間、教材に活かせないかと考えました。

――授業プランは「不思議な言葉」という問いからはじまりますが、子どものころから「はたらく」ことを考えることに意義があるとお考えですか?

鈴木教授:子どもたちも、学校で委員会や当番活動など、何かしら仕事をしています。それらに対して「やらされている」と思うだけだと、喜びを感じられないですし、作業も雑になってしまいますよね。でも、ちょっとした仕事でも、何かしら、創造性を発揮できることがあるはずです。そのような仕事をしたときこそ、喜びや満足感が生まれ、笑顔に繋がるのだと思います。

“はたらくことは、疲れること、大変そう”というのが、世の中の一般的な見方ではないでしょうか。子どものときから、そう思っている人も多いはずです。「はたらいて、笑おう。」というメッセージは、そういった認識を変えるきっかけになる言葉だと感じました。

――意識を変容させる授業プランなのですね。

鈴木教授:授業というものは、本来どの教科も、認識の変容を促すものでなければいけないと思っています。特に道徳の授業は工夫が必要で、子どもたちからすると、教師に「真面目に仕事しよう」なんて言われても、なかなか心に響きませんし、認識も行動も変わらないですよね。それを変えるには、インパクトのある言葉が有効です。これがこのメッセージを採用させていただいた理由です。

――この授業を受けると、生徒にはどんな意識や行動の変容が期待できますか?

鈴木教授:仕事に対する姿勢が変わると思います。たとえば、自分がクラスの黒板消しの当番になったとして、どうやってその仕事に向き合うのか、この授業では考えるきっかけを提供します。そうすると、「ただ消せばいい」と思っていたものが、教師や友達に喜んでもらうことを目指して「きれいに消そう」と思うようになるかもしれません。学校だけでなく、家でのお皿洗いの手伝いなど、日常生活においても同じことがいえます。

このような一つひとつの体験が、自分のはたらくことに対する認識をさらに深めていきます。その認識は、子どもたちが社会に出たときに、きっと大きな力になると考えています。

――授業を受けたあとの実践も大切ですね。

鈴木教授:授業は、あくまでスタートであり、きっかけです。生徒本人の認識や行動はもちろんですが、教師や友達同士で「〇〇さんのお陰で助かった、ありがとう!」、「掃除のあと、いい笑顔をしていたね!」などと互いに褒め合えるようになると、より一層、はたらくことの意味を深く考えられると思います。そうして「はたらいて、笑おう。」が、クラスの行動指針になるような世界観が生まれるといいですね。

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『学級経営に生きる 5分でできる 小さな道徳授業1』は、全国の書店で販売中です。
書籍基本情報
『学級経営に生きる 5分でできる 小さな道徳事業1』
鈴木 健二 編著
ISBN 978-4-8208-0703-2
規格・形態 : B5判,ヨコ組,左開き,120ページ,1色
発行:株式会社 日本標準
定価:1,800円+税
発行日:2021年3月30日

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