何かに迷ったときはどう考える?スペシャル1on1企画、第二弾。
コロナ禍により、いま「はたらく」の常識が急速に変化しています。
さまざまな分野で活躍する方と対話をすることで、「新しいはたらき方」のヒントを見つけてほしい。そんな想いからパーソルグループは、その道のプロと1対1のオンライン対話を企画しました。
第2弾のゲストは、ロングセラー『ヤフーの1on1』の著者として有名な本間 浩輔氏。
ヤフー株式会社にて、上司と部下との間の個別対話「1on1 ミーティング」を導入し、人事革命を先導。過去には日本の人事部「HRアワード」最優秀賞(個人の部)を受賞し、現在も戦略人事プロフェッショナルとして社内外で広く活動している本間さんと、全国の応募から選ばれた3名の当選者が「マネジメントの悩み」や「これからのはたらき方」をテーマに1on1ミーティングを実践しました。
11月4日(水)に行われたオンライン1on1当日の様子を、一部抜粋して紹介します。
※今回の企画は、適切な目標支援や成長支援ができるよう、11月4日(初回)と11月18日(2回目)に分け、2週間の実践期間を挟んで開催します。今回お届けするのは、初回の様子です。
――トピックス―― ●フルタイム勤務の仕事と家庭の両立が難しくて……。 ●話し合いのゴール設定をどうしたら良いのか? ●社内コミュニケーションを良くするにはどうするべき? |
1人目:会社員(26歳・女性)(以下、A氏)
「自分の夢」についてもう一度考えてみよう
A氏:昔から教育に興味があり、日本の子どもたちが希望を持てる環境づくりをしたいと強く思っています。私自身の経験からも、いまいる部署から大学向けのコンサルタントへ異動したいのですが、家庭と両立できるか不安です。なかなか周りにロールモデルもいないため、1歳の子どもを育てながらのフルタイム勤務は難しいのかなと……。
本間氏:どうしたら、そのジレンマから前進できると思いますか?
A氏:目標と余裕だと思います。
後者の「余裕」という要素は、産休と育休の際に自分の人生を考える時間を取れたことが要因な気がします。子どもに会うと必然的に子どものことを考えるようになり、そういった仕事以外のことを考える時間が、結果的に仕事に良い影響を与えているかもしれないです。ただ一方で、仕事には100%注力できていないのかもと悩むこともあります。
本間氏:もしかしたら実は、自分の中で優先順位が決まっているのかもしれないね。
だって家族の話や子どもの話をするときほど、いい顔しているんだもの。
A氏:本当にそうかもしれないです。いま自分が描いている夢は、本質的には夢ではないかもしれないと、ふと感じました。夢を持った方が良いと言われて育ってきた世代なので、夢がないと不安になってしまうこともあって。でも、持った方が良いから持つではなく、やりたいと思ったことが気が付いたら結果的に夢になっていた、くらいの方が心から動けるかも。
本間氏:とても良い気付きだね。もう一人のあなたがいたとしたら、いまの自分にどういうアドバイスをするかな?
A氏:「いま叶えたい夢は表向きで、本当にそうなのか考えたことってある?」と私自身に尋ねると思います。
本間氏:2週間後のアウトプットはどうしよっか?
A氏:自分の夢について、もう一度考えられている状態を目指したいです。
2人目:社会人(57歳・女性)(以下、B氏)
何かに迷ったときのゴール(北極星)を示すこと
B氏:現在勤めている会社でも人事部が主導して1on1対話が導入されました。しかし、当初人事で考えていた期待値と、現場で実施されている対話内容の乖離が大きく、業務の進捗確認しかできていないのが実情です。ただの確認作業だけでは意味がないため、自分としては今後の1on1を有意義なものに変えていきたいのですが、どうすれば良いか分からなくて……。
本間氏:あなたが会社でどのようになったら、ご自身にとっての前進だといえますか?また、そのためにはどういった1on1が良いと思いますか?
B氏:いま会社に求められていることを達成できるのが最低限で、それ以上の成果を出せるようになったら前進といえます。1on1では、私のパフォーマンスに対してのフィードバックが欲しいですし、ちょっとでも良いところがあったら褒めてほしいです。そうしたら私も、成果物のクオリティを上げられると思います。
本間氏:もしあなたが1on1の相手側である上司の立場だとしたら、あなたにどうしてあげる?
B氏:正直、どうしたら良いのかわからないです。
本間氏:もしかしたら同じように、上司もどうすれば良いのか困っているのかもしれないね。上司にとっては部下がたくさんいるから、それぞれのパーソナリティをあまり知らないこともある。確かに1on1そのものは部下のためにあるのだけれど、自分のことを知らない上司に対して説明する責任は部下にもあるんだ。気持ち良く部下がひたすら話して、上司が全部まとめてくれるなんてことはめったにない。たとえば、1on1が普及している会社には、部下が事前に話したいテーマを送る文化があるほどで。
協働作業をできる環境づくりとして、お互いが何かに迷ったときのゴール、北極星のようなものを示していけると良いかもしれないね。
B氏:じゃあもし私が、「ゴールは仕事ができる人になりたい」って1on1で言ったら上司は困るんですかね。
本間氏:それは相手によるかもしれない。でも表現しないと相手も分からないと思うので、まずはそれを伝えてみるのが大事なんじゃないでしょうか。思い切って伝えて話していった結果、北極星がやっぱり違いましたでも良いと思うんだ。
もがいて一歩でも前に進んでみたら見える景色は変わるから、いまから2週間、今日話したことを参考にいろいろ考えて実践してみてください。
3人目:社会人(35歳・男性)(以下、C氏)
コミュニケーションの頻度と取り方が重要になる
C氏:私は営業部長を務めているのですが、新しく異動になった部署でのマネジメントに悩んでいます。何を言っても反発してくる部下が数人いて、全体の会議もうまく進まなくて。
本間氏:頭に浮かんでいるその相手と、いまどれくらい向き合えていますか?
C氏:相手のことを考えすぎてしまう癖が昔からあって、それが逆効果に働いてしまうのではないかと怖くて……。そう考えるといま私は、その部下と向き合うことから逃げてしまっているのかもしれないです。
本間氏:でもそれは、大きな強みだよ。考えすぎるという強みを止めるのはしんどいから、それを別の方向に向けられると良いと思うんだけど、どうすれば良さそうですか?
C氏:確かに。気になったことや思ったことをその日のうちに相手に話すという形で、アウトプットする方向に進めるのが良い気がしました。言わないといけないと思っていることも、相手に対する苦手意識で避けてしまう自分がいて。時間が立つとさらに変な遠慮も入ってきて、話をするときにはうまく伝わらなくなっている感じがするんです。
本間氏:ヤフーで僕はよく言うんだけど、コミュニケーションは頻度が大事!3カ月に1回酒を飲むよりも、月1ランチの方が良くて、それよりも毎週お茶をするべき。さらには、毎日5分話した方が良いし、もし朝昼晩で2分ずつ話せるのならその方がもっと良い。僕自身も昔苦手な部下がいて、カレンダーに今日その部下と話せたかチェックを毎日付けていたこともあったなぁ。結局最後には、その苦手だった相手こそが僕を一番助けてくれる部下になったんだ。
C氏:良い話ですね。そしていま聞いていて、1つピンときたことがあります。以前はデスクで仕事をする際の雑談が多かったのですが、いまの部署は無駄話があまりないんです。ちょっとした連絡もチャットツールでしてしまって、コミュニケーションがとれていないかもしれない。
コミュニケーションの頻度とやり方を変えてみることから、実践してみます。
本間氏:2週間後、またお話しできるが楽しみです。うまくいかないこともあるかもしれないけど、失敗するくらいがちょうど良いと思うよ。成功と失敗を繰り返すことが、リーダーシップの成長に繋がるから。
最後に……
今回の1on1での学びをそれぞれに2週間実践してもらい、改めて1on1を行います。次対話するときには、一体どのような変化が起きているのでしょうか。
2回目の1on1レポートもこちらで更新予定ですので、楽しみにしていてください。
過去の様子
第一弾は、モーリー・ロバートソン氏をゲストにお迎えし、実施しました。(詳しくはこちら)