【山田崇×横山暁一】「地方×はたらく」は新たな時代に!“転居しない”ローカルキャリアを考える

パーソルグループは、7月17日よりウェビナーイベント「今、ニッポンのはたらくを考える会議」をスタートしました。新型コロナウイルス(以下、コロナ)の影響を受け、ニッポンの「はたらく」が大きく変化しているいま、私たちは、一体何に備え、どのような行動をとるべきなのか。そんなこれからの「はたらく不安」に答えるべく、毎回、各領域の専門家をお招きし、さまざまな業界・職業の今後や私たちが自分らしくはたらくことができる未来について考えます。

8月21日(金)20時から行われた第6回目のテーマは、「『地方×はたらく』は新たな時代に!“転居しない”ローカルキャリアを考える」です。塩尻市役所で地方創生に携わる傍ら、「日本一おかしな公務員」として活動する山田 崇氏をゲストスピーカーにお招きし、新たなローカルキャリアの形について考えていきました。モデレーターは、パーソルキャリアの横山 暁一。名古屋で法人営業を行いながら、塩尻市で複業を実践しています。
山田氏に塩尻市でのさまざまな取り組みの実例をお話しいただいたあと、これからの時代の「ローカルキャリアのつくり方」をテーマに語り合いました。一部、抜粋してご紹介します。

目次

登壇者紹介

山田 崇氏
塩尻市役所 企画政策部 地方創生推進課 地方創生推進係長(シティプロモーション担当)。1998年、塩尻市役所に入庁。空き家プロジェクトnanoda代表、内閣府地域活性化伝道師。2014年「地域に飛び出す公務員アウォード2013」大賞を受賞。信州大学ではキャリア教育分野での講師も務める。著書に『日本一おかしな公務員』。

横山 暁一
パーソルキャリア株式会社
1991年生まれ、静岡県沼津市出身、名古屋大学教育学部卒。パーソルキャリア株式会社に新卒で入社、法人向けのコンサルティング営業に従事。

 


この時代に大切なのは、冒険者であり、“はしゃいで飛び回る”という意識


withコロナ時代であり、人生100年時代のいま、常に考え方が変化していく中でこれからのキャリア形成のヒントを聞きました。


山田氏:
個人の感覚でお話しさせていただければと思うのですが、私が参加している「NPO法人ソーシャルベンチャーパートナーズ東京」は、パートナーとして会費を年間10万円を払う必要があります。でも、私はここでお金を払ってでも経験できたことは、すごく価値あることだったと思います。というのも、どうしても仕事だと“have to(やらねばならない)”になるんですね。ではなく、自分の時間を使い、身銭を切ることで、自分の関心で物ごとを見ることができました。

また、「はしゃいで跳ね回る」という言葉との出会いも印象的でした。これは、リンダ・グラットンの「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」(東洋経済新報社)の一節にある言葉。人生100年時代という中で、新しいステージの選択肢の多様性がいわれています。これを読んで、自分で「公務員を終えたら、どうするんだろう」と……。60歳の定年後の人生も長い。このまま、公務員だけを続けていても危険かも、と思ったんです。

「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」には、これからの時代、大切にすべき3つのことが書かれています。その一つが「エクスプローラー」。自分の好奇心に応じて、探検していくということが重要だと。正解がない時代なので、一生涯をかけ、自分がどこに関心があるかを探求する。これはプライベートでやったほうがいいなと。あと「インディペンデント・プロデューサー」。自ら仕事をつくり出す人が生まれてくるだろうと。そして、「ポートフォリオ・ワーカー」。これはまさに僕なのですが、さまざまな活動を同時に行うのが良いと。これは「同時」というのがポイントで、そうすることで本業に返ってくるんです。同じ職場にいると、どうしても価値観が固定化されてしまいますから……。

自分の10年間のキャリアマップを見て、本当にこれが体現できていると思いました。プライベートで空き家を活用したプロジェクトをスタートしたら、空き家バンクの担当になったり、若手職員の対話の企画を5年ほどやった経験から、市民対話型企画を運営するようにと。さらに年間100回の講演会をやったら、シティプロモーションの部署に抜擢される。まさに、この通りだなと。


組織を飛び越えて、ハッシュタグ型で課題を解決する時代


正解がわからない時代だからこそ、有事の際には課題を解決できる人がプロジェクトごとに集う“ハッシュタグ型”のはたらき方が求められると山田氏はいいます。

山田氏:組織や職場の中で課題解決を行うフォルダ型の時代から、都度プロジェクトをつくって集まる“ハッシュタグ型”になっている感覚はありますね。どちらが良いかというより、共存なのかと思っています。なので、複業に興味がある方は、いまの仕事を大切にして、まず関心のあるところから複業をやってみる。それが新しい仕事をつくっていくと思いますね。

横山:いいですね。いま、キーワードとして越境学習が浮かんだのですが、枠を飛び越えてのメリットは、キャリア開発と組織へのイノベーションといわれています。山田さんの場合、その越境学習の効果が大きすぎて、本業でのイノベーションが莫大になっているのだと思いました(笑)。
自分自身も塩尻市に来てみて、都会と地域では仕事のはじまり方が違うと思いました。名古屋だとパーソルの誰々です、から会話がはじまるんですが、塩尻に来たら、そもそもパーソルって何?となるので、なぜ自分がここにいるかを強く問われるんです。自分が何をやりたいかをすごく考えるきっかけになりました。


地方の良さは、そのサイズ感と打席に立てるチャンスの多さ


大きな都市でなく、地方ではたらくことの優位性とは何か。それは、打席の多さとチャレンジすることが目立ちやすい点だといいます。


横山:
都会ではなく、地方ではたらき続けることの意義や効果を聞かせていただけますか。都会の方が活躍できるイメージって、やっぱりあると思うのですが。

山田氏:地方のメリットは「顔が見えやすい」ということですよね。たとえば、役所は一つの部署に多くても10名ぐらいですから、顔が見えやすいし、新しいことをやったときに分かりやすいんです。また、何かをやったとき、それが新聞に取り上げられたりすると、それが地域、そして全国に拡散していく。小さな地域だからこそ、全国に横展開できるメリットもあります。

横山:私も塩尻に移住してきて「一人目になりやすい」というのは、強く感じています。たとえば、名古屋で同じことやっても目立てないけれど、塩尻ならいい出しっぺになりやすい。大きい企業だとそもそも、打席に立てないケースが多いのですが、地方だと、「とりあえず打席に立ってみろ!」というケースが多いように感じます。

山田氏:地方はやはり、課題がたくさんあるので、より大きなチャレンジになりますね。だから、挑戦することに価値が出る。地域の人にも、これは挑戦すること自体をプロモーションにしているから、見守っていてください!といえる。地方の課題を解決できれば、横に広げていけるのもメリットですね。

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