社内研修に潜入!オンラインでも「盛り上がる」プログラムって?

昨今の社会情勢に伴い、いま、世の中の「はたらく」が急速に変化しています。特集「はたらく見聞録」では、この時代を前向きに自分らしくはたらくためのヒントや、それを支える活動について連載でご紹介していきます。

今回は、パーソルグループ社内で実施したオンライン研修を取材しました。4月初旬に行った「新任管理職研修」は、新しく管理職に着任する社員に対して、パーソルグループの管理職として求められる基本的な心構え・基礎スキル・知識の習得などを目的に実施しています。本記事では、当日の様子のご紹介と併せて、研修担当者に、オンラインで実施する上での企画や運用のコツなどを聞きました。

※本取材は、新型コロナウイルス拡大感染防止のためオンラインで実施しています(記事内画像は画面キャプチャを使用)。


早速、研修に潜入!


この日は10時から17時30分までのプログラムで、約70名が参加!
まず最初に講師を務めるのは、パーソルホールディングス 代表取締役社長CEOの水田 正道です。

水田がオンラインで社内研修の講師を務めるのは、これが初。プレゼンテーション資料を操作しながら、PCの前から参加者へアドバイスを送ります。
パーソルグループの管理職として大切にしてほしいことなどを自らの体験をふまえて語り、社員からは「すごく分かります…」「元気がでました」などの感想が、チャット内で飛び交いました。

約1時間の講話を終え、パーソルホールディングス 人事執行役員CHROの美濃 啓貴による講義に移ります。パーソルグループの新任管理職研修では、役員自ら、会社方針や組織運営のポイントなどを語っています。
美濃の担当プログラムでは、参加者に積極的な発言を求める光景が多くみられました。下の画像は、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を実現するための参加者の所属組織での取り組みをシェアするワークのワンシーンです。

講義のワンシーン。美濃が出題するテーマに対して、参加者が答えていく(右側のチャット)

参加者はこのようなテーマに対して、部下とのコミュニケーションやお客さまとの接し方など、さまざまな観点から考えをシェアしていきます。また、ワーク中は、時おり小人数グループのワークルームに移行し、参加者同士がより深く意見やアイデアを出し合う時間が設けられました。

休憩を挟みながらプログラムが進行し、あっという間に夕刻に。最後は、4人の先輩管理職社員による講話。さまざまな職種の先輩社員が、自分の管理職としての考えを語るという時間です。このプログラムでは、講師も自宅などから遠隔で参加。一人のお話が終わるごとにQ&Aコーナーが設けられ、研修担当のファシリテーションのもと、講師が質問に答えていきます。
対面式の研修では、時間の制約上、感想や質問ができる参加者は限られます。しかしこのチャットでは、一人の講師に対して40人以上がコメントをするという光景も珍しくありません。また、参加者が質問を書き込んでいる間にも、ファシリテーターが講話の内容を要約したり、自らが講師に質問するなどし、常に場が盛り上がっていました。

右側は参加者の発言。ファシリテーター(画像左:パーソルホールディングス 末吉 謙太郎)が
コメントをピックアップし、講師に振るなどして、常に場をコントロールしている

最後は回答しきれないほどの質問が集まり、盛況のうちに終了。最後にチャットで感想を語り合い、この日の研修は幕を閉じました。

パーソルグループとして初となった、着任時新任管理職研修のオンライン実施。参加したパーソルR&Dの藤井 勝仁は、参加した感想を次のように語ります。

活気のある研修だったと思います。リアルの場での集合研修では、質問や感想を人前で発言しにくいこともありますし、話のたびに感想を呟いていたら、なかなか場が成り立ちません。しかしオンラインでは、チャット機能を使うことでそのような懸念がなくなり、むしろ対面で行うよりも双方向感があるように感じました。
また、研修中の資料配布や机の移動など細かな調整時間がボタン一つで切り替わるので、より内容の濃い時間の使い方ができました。オンライン研修は初めての経験でしたが、今後も社内で積極的に活用したいですね!


この研修は、どのように企画・運営されていたのでしょうか。本研修を担当した二人に聞きました!

パーソルホールディングス グループ人事本部
石原 早希(写真左)
寺﨑 真奈美(写真右)

 


オンラインは「代替手段」ではない!
参加したくなる仕掛けをつくるためのポイントとは


―参加者からも大変好評でしたね。運営において、工夫された点を教えてください。

石原:まずは、参加者にストレスなくツールを操作してもらえるような事前案内を心掛けました。今回はオンライン研修ですので、参加者の不安を取り除きたかったんです。画像のようなマニュアルを作成して事前に閲覧してもらうことで、参加者に「自分でも出来できそう」と思ってもらい、前向きに研修に参加してもらえるようにしました。

寺崎:研修のプログラムで意識したのは「参加者を飽きさせない工夫」です。講師が一方的に話すようなインプット中心の研修だと、集中力を保つのは難しいと考えました。このプログラムでは、講師と参加者が双方向的に楽しめるような工夫を行っています。

―具体的には?

石原:たとえば、研修プログラムの随所にQ&Aを盛り込んでその答えをチャットに書き込んでもらったり、また、チャットツールの「反応」ボタンを活用し、互いの反応がわかるよう心掛けました。まずは事務局が率先してこれらの機能を使用することで手本を見せ、場の空気づくりを行うことで、すぐにチャットが盛り上がるようになりました。

ファシリテーターが、要所で講話の要約などをチャットに書き込んでいる(画像は発言の再現)

―これだけ場づくりに積極的に介入していくとなると、運営も大変なのではないでしょうか。

石原:今回の研修は、講師を除き担当は3名。下記のように明確に役割分担をして運営しました。

√ 担当A:ファシリテーター。チャットを自ら更新し、発言の促しや講師への質問など、場を仕切って盛り上げる
√ 担当B:画面操作役。スライドや画像の切り替え、音声の調整など、会議環境をスムーズに運営する
√ 担当C:全体の統括役。各担当や待機講師への指示出し、タイムマネジメントなどを行う

石原:今回のような70名を超える規模の対面型の研修になると、対面式だともう少し人手が必要になることがほとんどです。しかし、オンライン上ではこのような専任での担当分けを行うことで、3名でも、参加者にとってストレスなく運営することができたと思います。

―見えないところにも、運営役割分担の工夫があったのですね。この研修は、いつ頃から準備されたのですか?

石原:オンラインでやると決まったのは、実施の2週間前です。そこから、急いでコンテンツ設計や運営の検討を行いました。このような社会情勢ではありますが、「社員にとって貴重な学びの機会を奪いたくない」という想いから、延期や中止ではなく、オンラインで実施するという決断をしました。

―初めてのオンラインでの実施となりましたが、いざ終えてみての感想を教えてください。

寺崎:それまで、ぼんやりと「研修は対面が一番だけれど、無理であればオンラインでもできる」という考え方でした。しかし今回取り組んでみて、オンライン研修は、決して代替手段ではないということを実感しています。むしろ、研修の目的によっては、積極的にオンラインを取り入れていくべきだと思いました。

石原:たとえば、参加者同士の交流を深めたりするようなことが主目的の研修は、まだまだリアルの方が「会える」というアドバンテージがあるように思います。一方で、対面の場では「空気に飲まれる」「手が挙げにくい」というデメリットもあり、その点、今回のオンライン研修では、たとえ講師が社長や役員であっても、参加者はチャットを通じて気軽に感想や質問を書き込むことができました。

―オンライン研修を行ううえで、「これだけは抑えるべき!」というポイントがあれば教えてください。

石原:いかに、社員が「参加したくなる仕掛け」を準備できるか。それに尽きると思います。オンライン研修は、参加者の受講環境が大きく異なります。ビデオを切ってしまえば、運営側からは参加者の姿は見えません。そんな状況でも、双方向感のあるプログラムや情報提供を行うことで、活気ある場がつくれると思いますよ!

寺崎:そうですね。心構えとしては「参加者に楽しんでもらうにはどうすれば良いか」を考えることが、とても大切だと思います。「時間や距離の制約を超えて、いい研修に参加できた」という感想を持ってもらえると、人事としてもうれしいですね。

(以上)

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