なぜ長時間働くの?働き方改革のヒントが詰まった「残業学」の本を出版!

日本人はなぜ長時間労働をしているのか?残業の歴史から、2万人を超える調査データから見えた残業の実態、残業軽減のヒントまでが満載。

人と組織に関する調査・研究を行う株式会社パーソル総合研究所と立教大学 経営学部 教授の中原 淳氏との共同研究「希望の残業学プロジェクト」が書籍化。12月11日に光文社新書から「残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか」(以下「残業学」)が発売されました。

目次

本書の概要

本書「残業学」の特徴は、推測による「持論」ではなく、大規模な客観的なデータに基づいて長時間労働を「科学」した点にあります。

なぜ、日本人は長時間労働をしているのか。2万人を超える独自調査を実施し、データを分析。歴史、習慣、システム、働く人の思いなど、あらゆる角度から残業の実態を解明しています。
光文社新書920円(税別)
※全国の書店、amazonなどのオンライン書店にてご購入いただけます。

本書の目次(章立て)

オリエンテーション ようこそ!「残業学」講義へ
第1講 残業のメリットを貪りつくした日本社会
第2講 あなたの業界の「残業の実態」が見えてくる
第3講 残業麻痺――残業に「幸福」を感じる人たち
第4講 残業は、「集中」し、「感染」し、「遺伝」する
第5講 「残業代」がゼロでも生活できますか?
第6講 働き方改革は、なぜ「効かない」のか?
第7講 鍵は、「見える化」と「残業代還元」
第8講 組織の生産性を根本から高める
最終稿 働くあなたの人生に「希望」を

本書出版の背景

中原 淳氏と研究をともにし、本書を執筆したパーソル総合研究所の小林 祐児に聞きました。

80年代後半から、日本人の平均労働時間は「見かけ上」減ってきました。「見かけ上」というのは、アルバイトやパートが増えて、雇用者全体の平均労働時間が減ったにすぎないからです。正社員の働き方は変わらず、長時間労働が続いています。
2016年に政府が「働き方改革」を掲げて以降、多くの企業が「月に残業は45時間以内」「残業原則禁止」「仕事の見える化」など、積極的に残業軽減に取り組んでいます。しかし、現場で働く人々から「仕事量が減っていないのに、残業するなといわれても無理」「サービス残業をするしかない」「残業代が減ったら生活できない」という声が上がっているのも事実。そして、今、現場と人事・経営との間に距離がどんどん広がってきています。
では、残業をなくし、本当の意味で働き方改革を行うには、何をすればいいのか。答えは、生産性を上げる組織づくり。それを実現させるためには、残業の根本原因を明らかにするだけではなく、現場や会社にとって「残業をなくしたら、こんなにいいことがある!」といった希望を見出していくことが大切だと思います。
そこで、「希望の残業学プロジェクト」を発足し、残業をテーマに調査・研究を実施。2万人を超えるデータに基づいて長時間労働を「科学」した研究結果を、この「残業学」の本にまとめました。

執筆者とデータ分析担当者のコメント

●執筆者/小林 祐児(パーソル総合研究所 シンクタンク本部 リサーチ部主任研究員)

「仕事を『見える化』しているのに残業が減らない」「現場から不満の声が聞こえる」など、働き方改革がうまくいっていないと感じる人事・経営陣の方にはもちろん、「ちょっと働きすぎかも」「働き方改革ってどうすることなんだろう?」と思っている方にも、読んでいただきたい1冊です。人事・経営陣の方には、長時間労働打破のヒントに、現場でがんばっている方にはご自身の働き方を振り返るいい機会になると思います。

 

●データ分析担当/青山 茜(パーソル総合研究所 シンクタンク本部 リサーチ部研究員)

残業を当たり前だと感じている方は、まだまだ大勢います。実は私もその一人で、「長時間労働=自分の成長のためには当たり前=必要なこと」と、ずっと思ってきました。でも「残業学」の担当となり、数多くのデータを分析して議論を重ねるうちに「残業は当たり前ではない」「残業=成長できる、ではない」ということに気付かされました。まるで洗脳から解き放たれたようです。本書には、そんな目からウロコが落ちるデータと話が詰まっています。ぜひご一読いただければと思います。

著者紹介

中原 淳(なかはら じゅん)氏

立教大学 経営学部 教授(人材開発・組織開発)。立教大学 経営学部ビジネスリーダーシッププログラム(BLP)主査、立教大学 経営学部リーダーシップ研究所 副所長などを兼任。博士(人間科学)。

東京大学 教育学部卒業、大阪大学大学院 人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学 客員研究員、東京大学 講師・准教授等をへて、2018年より現職。

「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発・組織開発・リーダーシップ開発について研究している。専門は人的資源開発論・経営学習論。
著書に「アルバイト・パート採用・育成入門」(パーソルグループとの共著・ダイヤモンド社)、「企業内人材育成入門」(ダイヤモンド社)、「職場学習論」「経営学習論」(東京大学出版会)、「研修開発入門」(ダイヤモンド社)、「フィードバック入門」(PHP研究所)など多数。

本書「残業学」は、プロジェクトの過程での出版であり、決してゴールではありません。パーソル総合研究所では、現在「持続可能な働き方改革」をコンセプトに、現場の満足度から組織が今どのような状況・状態にあるかなどまで診断できるツールや、そのデータを使いながら本気で話し合いをするためのヒント、研修開発も行っています。
パーソル総合研究所は、本書の基となった「希望の残業学プロジェクト」をはじめ、さまざまな研究と開発によって、グループビジョンである「人と組織の成長創造インフラへ」の実現を目指していきます。

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