「なぜロボットは動かないの?」プログラミング思考を育てる教室を保育園で開催!

ITエンジニアの魅力を子どもたちに伝えたい!その熱い想いから実現したプログラミング教室。

パーソルテクノロジースタッフ株式会社は、社員の自己実現や自身の成長に繋がる活動を支援する「自己実現支援プログラム」(※1)制度を設けています。同社の技術本部に勤務する大関 三枝子は、この制度を利用して発案した「アンプラグドプログラミング(※2)教室」を、10月3日と5日の2日間、栃木県にて未就学児の児童とその親御さんを対象に開催しました。

(※1)自己実現支援プログラムは、技術的な幅や深さの習得・成長だけではなく、エンジニアとしてはたらく意義を一人ひとりがより強く感じられるような社外活動などもサポート。年間100万円を上限に支援し、これまでに延べ50名の社員が利用しています。

(※2)アンプラグドプログラミングとは、パソコンを使わずにプログラミング思考(自分が意図する一連の活動を実現するための手段を、理論的に考える問題解決型の思考)を身に付ける学習方法。プログラミング言語を使うわけではなく、コンピュータが動く仕組みや問題解決の手段といったプログラミングに繋がる思考を学びます。

目次

授業の内容

開催したのは、保育園の体育館。参加した10組の親子がソーシャルディスタンスを保ち、広く車座になったところでプログラムがスタート!


「なんでロボットが動かないの?」から学ぶプログラミング思考


はじめに行ったのは、赤と白の旗揚げゲーム。

まずは、大関対子どもたち全員での対戦です。大関が「赤あげて!」「白あげて!」と指示を出すと、子どもたちは元気よく旗を揚げます。

次は、大関が扮するロボットと子どもたちの対戦です。子どもたちはロボットに向かって「赤あげて!」「白あげて!」と指示を出しますが、ロボットは手を挙げません。子どもたちはロボットがなぜ手を挙げないのかが理解できず戸惑い気味。
大関は「なぜロボットは手を挙げなかったのだろう?」と問いかけます。
そして、子どもたちに向かって旗揚げの指示を出しました。「プラ上げて!」。子どもたちは意味が分からず、手を挙げられません。

「プラ」とは、フィリピン語で赤を意味する言葉。それを知ると子どもたちは、自分たちが「プラ」を知らなかったために手を挙げられなかったように、ロボットも「赤」を知らなかったから動かなかったことに気付きました。そして、ロボットに「赤が何か」をインプットする必要があることを学んだのです。

ロボットとの旗揚げゲームを通し、プログラミング思考を学んだところで、大関は子どもたちにスマートフォンと糸電話の絵を見せ「どっちにプログラムが使われているかな?」とクイズを出題。すると、先ほどまでプログラムやプログラミングという言葉すら見たことも聞いたこともなかった子どもたちが、「スマートフォン!」と得意げに答えました。

さらに、大関は保護者の方々にも日常生活でプログラミング思考が役立つことを説明。

「たとえば片付けを家族に頼む場合、『何を』『どこに』『どんな風に片付ける』と具体的に話をすると、相手に伝わりやすくなりますよね。この具体的な指示こそプログラミング思考で、プログラミングをする際にとても大切なことです。」

最後は、おもちゃのロボットネズミに「前進」「後退」「右」「左」「鳴く」などの指示をインプットし、指示通りに動くかを実践。楽ししみながらプログラミングを学びました。
子どもたちはもちろん、保護者の方にとっても気付きのある有益な1日となったようです。

参加者の感想

<子どもから>
「とても楽しかった。ネズミがちゃんとゴールまで行けたよ!もっとやりたい!!」
「ロボットってなんでもできると思っていたけど、なんでもできるわけじゃないんだね」

<保護者から>
「自分は受けたことのないプログラミング、どう教えていいのか、どういったものなのか漠然と不安がありましたが、遊びを通して親も一緒に考えながら学べて、とても良い経験でした。」
「私自身、プログラミングについてよく分かっていなかったのですが、身近なところにあふれていると思った。話もとても分かりやすく、大人の方が勉強になったかもしれません。」

企画・開催者の大関に聞きました

――子どもたちにプログラミングを教える理由――


壮絶な幼少期
エンジニアとしてのキャリアが人生を変えた


大関が「自己実現プログラム」制度を利用し、子ども向けの「アンプラグドプログラミング教室」を開催しようと思ったきっかけは、彼女の生い立ちにまで遡ります。

「私は、両親の離婚、DV、ネグレクト、いじめ……、複雑な環境の中で、『自分がこの世に存在する意味』について悩みながら大人になりました。でも、その後エンジニアとして技術力を身に付けることで道が拓かれ、人との出会いを通じて、自分の居場所や存在意義を見つけることができました。」(大関)

大関がエンジニアとしてのキャリアをスタートさせたのは、高校卒業後。親の支援なしで通学可能だった職業訓練校で情報技術と出会ったときからです。そして、はじめて就職したのは、地元のIT企業。ハードワークな労働環境に納得ができず退職。その後は派遣エンジニアとしてスキルを高め、現在は、パーソルテクノロジースタッフの派遣エンジニアとしてメーカーの情報システム部門で就業しています。

「ITエンジニアは資格が必須ではないので、技術さえ身に付ければ、誰でもエンジニアとして食べていくことができます。それに、これから需要がさらに高まっていく専門職。私はこの仕事の魅力を多くの子どもたちに伝えたいと思っています。特に、子ども時代の私と同じように家庭環境に恵まれず、自分の居場所がなくて悩んでいる子どもたちに対して、ITエンジニアという仕事に触れてもらえる機会をつくりたい。それが私の使命だと考えています。」(大関)


教育ビジネスでは難しい、思考を学ぶプログラミング教育を子どもたちに


アンプラグドプログラミングは、まだ子どものプログラミング教育において取り入れられているケースが少ない教育法。この方法を選んだ理由を大関は下記のように語りました。

「言語は物事を伝えるツールでしかありません。たとえば英語の文法や単語を100%理解して覚えたとしても、『誰とも話したくない』というのでは意味を持ちません。私はプログラミングにおいても同じことが言えると思っていて、プログラムを組むことよりも、まずはその必要性や思考を学ぶことが大切だと考えています。
それにアンプラグドプログラミングは、ロボットを動かくことを目的にする教育と違って成果が見えにくく、ビジネスとして成り立たちにくいため、プログラミングスクールなどではあまり実施されていません。
そうしたことから、アンプラグドプログラミングの教室を開催し、プログラミング思考を学ぶコンテンツを提供したい、参加者に費用を負担してもらう必要がなければできる、――そう思いました。」(大関)

今回の「アンプラグドプログラミング教室」の開催にあたっての費用は、パーソルテクノロジースタッフが「自己実現支援プログラム」の支援金で全額負担。参加者は無料でプログラミング思考を学びました。

パーソルテクノロジースタッフは、現在行っている保育園などを中心にした親子参加型プログラムの実施のほか、大関が目指す「家庭や教育に恵まれない子どもにITエンジニアという仕事に触れてもらう」ことができるよう、自治体や児童養護施設との連携したプログラムを検討中。一人でも多くの笑顔と、「はたらいて、笑おう。」の実現を目指します。

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