
パーソルグループはグループビジョンとして「はたらいて、笑おう。」を掲げ、誰もが自分の意思で「はたらく」を選び、自分なりの価値を発揮する社会の実現を目指しています。
本連載では、パーソルグループが描く2030年に向けた価値創造ストーリーの「今」の姿として、「はたらく」にまつわる社会課題の解決に挑む、リアルな取り組みの数々をご紹介します。
第4回は転職サービス「doda」を通じたミドルシニアの転職支援です。
労働人口の減少が進む日本において、ミドルシニア人材に「はたらく機会」をいかに提供するかは喫緊の課題です。年齢に関係なく、一人ひとりが持つ経験やスキルを活かし、社会に参画し続けられる環境の整備が求められています。そうした中、パーソルキャリアでは、転職サービス「doda」を通じて45歳以上のミドルシニア人材の転職・キャリア再構築の支援に取り組み、年齢にとらわれない「はたらく機会」の提供を推進しています。
ミドルシニア転職支援の取り組みと関わりが深い社会課題

本記事のサマリー
・労働人口の減少が進む中、ミドルシニア人材の転職を支援する専門チームを設置
・経験豊富な人材が、支援を通じてやりがいや生涯年収を軸に新たなキャリアを構築
・年齢を理由にキャリアをあきらめない社会の実現を目指し、自分らしい「はたらく」の選択肢を拡大
「人生100年時代」においてミドルシニア人材の活躍が急務
日本では少子高齢化が進行し、労働人口の減少が続いています。政府は「人生100年時代」構想のもと、高年齢者雇用安定法を改正し、70歳までの就業機会確保を企業の努力義務としました。一方で、企業側には役職定年や定年退職制度による採用障壁が存在しています。加えて、社会においても、ミドルシニア人材に対して「柔軟性や適応力に欠ける」といった先入観が根強く、求人情報の少なさや選考通過率の低さにつながっています。
また、「長くはたらきたい」「新しい環境で挑戦したい」と考えるミドルシニア人材であっても、世代的に初めての転職となるケースが多く、転職市場に関する情報不足や転職活動におけるリテラシーの乏しさに不安を抱えています。こうした背景のもと、多くのミドルシニア人材が「年齢によって選択肢が狭まっている」と感じているのが現状です。この課題を解決するには、はたらく個人と企業の双方にアプローチして、年齢による固定観念を取り払う支援が欠かせません。
ミドルシニア人材の可能性を広げるため多角的に支援
パーソルキャリアが展開する転職サービス「doda」では、2024年4月、45歳以上の就業支援に特化したミドルシニア支援チームを組成しました。チームを立ち上げた八崎 翔太は、その狙いを次のように語ります。
「転職市場では依然として若年〜中堅層が中心ですが、労働人口が減り続ける今、年齢でフィルターをかける時代ではないと強く感じていました。『年齢がネックになるのでは』『転職しても受け入れてもらえないのでは』と感じているミドルシニアの方々もいらっしゃいますが、企業が求めるスキルや経験を備えているケースも少なくありません。多角的なサポートを通じて、ミドルシニア人材の可能性をもっと広げることができると考えています」
たとえば、専任のキャリアアドバイザーによる面談では、「案件ありき」ではなく、キャリアに関する悩みをていねいにヒアリングし、これまでの経験やスキルを棚卸ししながら、今後のキャリアプランをともに考えるスタイルを採用しています。これは、人に寄り添いながら多様なキャリア形成を支援してきた総合型エージェントとしての強みを活かした、パーソルキャリアならではのアプローチです。また、チーム発足当初、面接に進んでも内定がなかなか出にくい状況を受けて、ミドルシニア特有の面接でのポイントをセミナーで訴求し、300名以上が参加しました。
さらに、特徴的な取り組みが、転職希望者の生涯設計を見据えたマネープランの提案です。多くのミドルシニア人材は現在の年収維持を重視しがちですが、たとえば55歳での役職定年に伴い年収が大幅に下がる可能性を踏まえると、65歳までの生涯年収という観点から転職先を検討することが重要です。最近では晩婚化の影響によってミドルシニア期と子育て期間が重なるケースも増えており、将来的な教育費などの負担も考慮する必要があります。どのタイミングまでどれくらいの収入が必要なのかを可視化し、最適なはたらき方を提案することで、単なる年収比較を超えた価値ある転職支援につなげています。

「やりがい」を重視した選択で理想的なマッチングを実現
ミドルシニア支援チームの取り組みを通じて、新たな環境で活躍の場を得るミドルシニアの方々は着実に増加しています。中堅・中小企業出身者が同規模の企業に転職するケースは想定通りだった一方で、大手企業出身者には意識の変化が見られました。
大手企業に勤めてきた人材は、役職定年が近づくタイミングで、転職先にも同等の「社格」を求める傾向があることも。しかし、ミドルシニア支援チームとの継続的なコミュニケーションや情報提供を通じて、やりがいや生涯年収といった観点に目を向けるようになり、転職に対する意識が変化した方も多く見られました。
象徴的な事例として、業界最大手の企業で長年勤務していた海外事業部長が、地方都市に本社を構える企業において新規事業責任者として採用されたケースがあります。求職者側の「まだはたらきたい」という意欲と、企業側の「豊富な経験を活かしてほしい」というニーズが合致した、理想的なマッチングとなりました。
「このマッチングが示す通り、経験の深さや業務への解像度の高さはミドルシニア人材ならではの強みです。こうした強みを活かして活躍いただく機会が増えることで、転職市場全体の活性化にもつながっていくと考えます」
より多くのミドルシニア人材が自分らしい「はたらく」を選べる社会へ
ミドルシニア人材の転職支援を通じて、パーソルキャリアが目指すのは「年齢を理由にキャリアをあきらめない社会」の実現です。そのためには、求職者一人ひとりの可能性を引き出す支援のみならず、企業側に対しても年齢による先入観を見直し、多様な人材を受け入れる柔軟な姿勢が求められます。
「私たちのチームでも、ミドルシニアの転職を取り巻く現状や課題について新聞やテレビなどのメディアで伝えたり、調査レポートを開示したりしています。こうした活動を通じて、徐々にミドルシニアに対する社会のイメージや固定観念が変わりつつあることを実感しています」
実際に、この1年間で企業側の意識も確実に変わり、40代後半から50代の転職成功事例が増加しました。今後は、企業側の受け入れ体制整備や制度設計支援にも注力し、より多くのミドルシニア人材が「自分らしいキャリア」を再構築できる社会づくりを推進していきます。
ミドルシニア支援実績

担当者からのメッセージ
ミドルシニアに対しては、たとえばコミュニケーションのあり方などについて、一昔前の「昭和」というイメージがあるのも事実ですが、長年培った専門性や責任感を持ってはたらく姿勢は、決して損なわれることのない価値だと考えています。私たちが支援している方々は、いわゆる“企業戦士”と呼ばれるような、会社のために非常に熱心にはたらき、企業の利益貢献に全力を尽くしてきた方ばかりです。そうした方々が役職定年や早期退職制度に直面し、戸惑われている状況に対して新たな選択肢を提供し、最適なキャリアの再構築をサポートすることが私たちの使命です。
かつて、“第二新卒”という概念がなかった時代、社会人3年以内での転職は「大丈夫なのか」と疑問視されたものでした。しかし今では、第二新卒を歓迎する企業が当たり前のように存在しています。私は、ミドルシニアの転職も同じような道筋をたどると確信しています。私たちのサービスを通じて、これまで当たり前ではなかったことを当たり前の時代にしていきたいですね。

doda事業本部 エージェントサービス事業部
ハイキャリア支援統括部
ハイキャリア支援第3部
八崎 翔太
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。