パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。「PERSOL Group Awards」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループで最も栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。
本連載では、2024年度の「PERSOL Group Awards」を受賞した社員のキャリアストーリーと、受賞の舞台裏をご紹介します。
第8回目は、パーソルテンプスタッフ株式会社の大鐘 知子です。
パーソルテンプスタッフにはさまざまな雇用区分があり、どのような成果を創出したかやそれまでの行動の内容によって評価され、キャリアアップすることができます。ですがそれは上長の判断次第であり、かつ判断基準が属人的で曖昧。それでははたらくメンバーが目的意識を持って自己成長を果たせない、と大鐘はまったくの未経験から評価制度を設計。それはパーソルテンプスタッフを変える、大きな挑戦となったのです。
キャリアとともに分かってきた「挑戦したい体質」の自分
「いろんなことにチャレンジして忙しくしていないと、うずうずするタイプみたいです」
と微笑みながら自分のことを話す大鐘。何度も転職や異動を繰り返す中で、それが少しずつ分かってきたのだと言います。
学生時代はサークルで本気でテニスに打ち込み、カフェでバイトをしていた「普通の大学生だった」という大鐘。カフェバイトが長く続いた理由が「自分に合っていたから」と考え、就職活動では似た業界に絞って活動していました。
「お客さまと接するのが楽しかったので、それができる業界ならはたらきやすいかなと思い、接客ができる飲食や小売の業界ばかりに応募していました。就職が決まったのは、大手のカフェチェーン。配属は、チェーン内でも全国売上ランキング上位の常連という繁盛店で、最初は店長補佐、しばらくしてからは店長としてお店の運営を任されていました」
経験を積みキャリアを重ねる中で少しずつ接客から遠ざかり、マネジメントの比率が多くなっていったそうですが、シフト組みや売上のまとめ、運営戦略の立案など、大鐘にとってはまったく新しい仕事であるデスクワークも「手探り状態で作業も遅いけど、やればやるほどできるようになる。楽しいかも。私に向いているかも」と思いながらこなしていたそうです。
「ただ、目まぐるしいくらいの繁盛店だったこともあり、アルバイトスタッフの定着率が悪かった。また急に休む人が出ることも頻発。そうなると、その穴を埋めるために社員である私が接客しながらバックオフィスで運営も見ることになり、オーバーワークをすることに……。がむしゃらに動いているときはいいのですが、残業して夜遅く家に帰るとどっと疲れてしまうという毎日でした。3年目になるとスーパーバイザーなど運営側でキャリアを歩めるのはかなりの狭き門だと分かり『これはずっと続けられない……』と思うようになりました」
そこで、デスクワークの面白さや「もっとできるようになりたい」という自分の気持ちから、「まったく違うジャンルだけど、事務の仕事にチャレンジしてみよう」と転職を決意。ただ、自身の経歴は飲食業界で接客業という職歴ばかりが目立ち、事務職は未経験と見なされて転職活動はうまくいかなかったそうです。
「求人に『やる気があれば未経験でも歓迎!』とあったインターネット広告のコンサルティング会社に転職が決まりました。体力には自信があるし、なんとかなるかなと(笑)」
スマートフォンの登場直後で、SNSも黎明期という時代。ベンチャー企業のようなその会社での勤務も、かなりハードなものだったと振り返る大鐘。
「やればやるほどスキルはつくし、大きなミスを経験してリカバリするなど精神的にも鍛えられ(苦笑) 、また採用の仕事を手伝ったりして、接客ではない『人と接する』仕事の魅力を知ったりと、気持ちとしては『おもしろい。こういう仕事にも向いているんだ』という自分を発見できて楽しかったんです。ただ、やはりハードワークに体が悲鳴を上げて……ちょっとスタイルを変えてはたらいてみたい、と思うようになりました。そこで次は派遣社員ではたらくことを決めました」
自分から動いていないと“うずうず”してしまう
2社目で興味を持った人事総務の仕事をより深めてみようと、未経験でもチャレンジできる求人を探し、大手企業の人事総務の派遣社員の仕事に就いた大鐘。ただ、はたらくほどに“うずうず”してきたのだと言います。
「正社員の業務を補佐するアシスタントという立場でしたが、どうしても仕事が『待ち』の姿勢に。それが全然もう、足りない感じがしてうずうずしてしまって(苦笑)『私ってホント、忙しい環境が好きなんだ』と気付いてしまい、派遣の仕事は定時で終わるので、ダブルワークで居酒屋でアルバイトをしたりしていました。2年間、そうして自分から忙しい環境をつくって過ごしていたのですが、同時にもっと挑戦したい、と転職も考えていて。そこで出会ったのが株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア)の求人でした」
インテリジェンスの事業内容や理念、社風などを知り「これまでやってきたことを活かしつつ、さらに経験を超えた新しい仕事に挑戦できる」と期待がふくらんだと言います。インテリジェンスでは、5年間の有期契約社員として大手企業の営業アシスタント業務を担当。その2年目の2017年に、インテリジェンスは現在のパーソルキャリア株式会社に変わりました。それに伴い、大鐘はグループ会社のパーソルテンプスタッフ株式会社に転籍になり、業務内容も変更に。
「クライアントは同じ企業のままですが、担当する業務範囲が縮小しました。契約内容も給与も変わらないのですが、私にとっては『忙しくなくなって、物足りない』という状況(笑)。そんな時に、派遣管理デスクに来ないか、と提案をいただきました。話を聞くと、とても楽しそう。つまり忙しそうで挑戦ができそうな仕事でした。そこで上司にかけ合い、異動を許可してもらったのです」
こうして大鐘は現在の派遣管理デスクの業務に就くことになったのです。派遣管理デスクは企業の人事業務をサポートするパーソルテンプスタッフのサービスの一つ。派遣管理デスクは継続して拡大しており、毎月新人が入社し、1年間でメンバーが倍に増えるという状況。大鐘はその中心スタッフとして、新しい業務に挑戦しながら忙しい日々を送ることになったのです。
初めてへの挑戦にはひるまない。ワクワクしかない
パーソルテンプスタッフには、さまざまな雇用区分があります。有期契約社員には時給制と月給制の雇用形態があり、そのほかに契約期間に縛られない契約社員と正社員の区分があります。大鐘は時給制の有期契約社員からスタートし、派遣管理デスクではたらく中で成果が認められ順にステップアップして正社員に登用されました。派遣管理デスクの大半を占めているのは、時給制の有期契約社員。正社員までキャリアアップを果たした大鐘は、ロールモデルになっているのです。
「スタッフを私が教育したり、キャリアについて相談されたり、という機会も増えてきました。その時に、時給制の有期契約社員の評価項目・評価基準があいまいなままで、確立した評価制度が存在しないと言うことに不安を感じるようになったのです。これまでは直属の上司やリーダーがはたらき方や実績を見て、本人の希望に合わせて時給制から月給制へ、また契約期間を無期に変更したり、正社員に登用したりというように、キャリアアップを判断してきました。でもそれでは属人的。上長が代われば、見られるポイントや重視される成果が変わることもある。これではがんばっていても、いつキャリアアップがかなうか分からず、具体的なキャリアや人生の設計を立てにくい。そんな目標があいまいな状態では目的意識も持ちにくいし、モチベーションも上げにくいですよね。評価し、育成する側も、何をガイドとすればいいのか分からない。派遣管理デスクは時給制の有期契約社員がいなければ成り立たないのに、このままではとても将来が不安でした」
評価制度がないということへの不安に気付き、どうすればいいだろうと悩み始めたという大鐘。悩むほどにうずうずし始め、そして大鐘は決意します。
「私が制度をつくろう。そう決めました。とはいうものの、私は人事の制度設計については経験がありません。会社のしかるべき部門に提案して任せるというやり方も考えましたが、それでは人選などでプロジェクトのスタートから時間がかかってしまう。今いるメンバーのためには間に合わないかもしれない。そこでまずは私がたたき台をつくり、それをもとに上司と進めるというやり方を選びました」
大鐘が決めた期間は2023年いっぱいの8カ月間。「会社の承認期間は1カ月ほどと考え、それを経て2024年からスタートできれば、契約更新した時給制の有期契約社員たちのキャリアのマイルストーンにしてもらえると考えたからです」と大鐘。短い期間で未知の領域への挑戦。分からないことばかりだけれど、だからこそ、ワクワクしていたと大鐘は話します。
すべての挑戦は、みんなの「はたらいて、笑おう。」のために
まずは経済産業省が提唱する『社会人基礎』の12の要素をベースに制度設計をスタートした大鐘ですが、すぐに壁にぶつかります。派遣管理デスクの業務の実態に、合致しない点が多すぎたのです。
「方向転換し、独自に設計することにしました。時給制の有期契約社員が任されている業務のチェックリストを作成し、オリジナルで項目を設定し、評価制度を設計していったのです。上司に何度も提出し、そのたびに指摘を受けて検討し直しました。この設計と検討で、7カ月が飛ぶように過ぎていきました」
多忙な本業と並行し、時間を捻出して制度設計を考える日々。幾度となくダメ出しされ、ゴールが分からなくなるようなことがあっても、大鐘があきらめることはありませんでした。「自分も時給制の有期契約社員だった。詳しい自分ならしっかりした評価制度がつくれるはず」「評価制度ができれば明確な目標が持てる。もっとみんなががんばれる」。そんな気持ちで挑み続けたのです。そうして少しずつ形になっていった評価制度。最終的にパーソル人事部など会社側の承認を受け、予定通り2024年1月より施行。時給制の有期契約社員の評価制度ができたことで、キャリアアップの基準も明確になりました。
「世の中では『自分らしいキャリア』のあり方が問われています。評価制度があれば、一人ひとりが評価の項目を見て、自分のキャリアを考えることができます。『自分らしいキャリアを自分で選択』できる環境が整ったのです」
また、時給制の有期契約社員が評価項目・評価基準を把握することで、自分の業務を項目ごとに定量評価することができ、自己成長を感じられるとともに自己肯定感も醸成されます。さらに、登用基準が明確になったため「がんばればステップアップできる」という希望が持て、モチベーションアップの効果も出ています。大鐘のもとには「制度をつくってもらえ、とてもうれいい」という声がたくさん届いているそうです。
管理職側にとっても、定量的客観的に評価ができるようになりました。また個々人の課題が明確になるため、一人ひとりに適した研修・支援を行えます。評価制度ができたことで、時給制の有期契約社員の一人ひとりがしっかり成長することはもちろん、組織としても強くなれる環境となったのです。大鐘の挑戦は、パーソルテンプスタッフを変えるきっかけとなったのです。
「私はパーソルグループが掲げる『はたらいて、笑おう。』が好きなんです。今回も、自分だけではなく、みんながはたらいて、笑える環境をつくりたかった。チャレンジすれば、成功も失敗も含め、人は成長できます。成長の実感を通して、笑顔になれる。評価制度はその助けになれるはず」
大鐘は自身がつくり上げた評価制度を、さらにブラッシュアップする取り組みも進めています。さらに、新たなビックプロジェクトにも身を投じ、挑戦の日々だと言います。
「入社以来、ずっと手がけたかったプロジェクトに手を挙げて参加しました。新プロジェクトではたらく経験は浅いので、どんどんチャレンジして、効率良く動いて成果が出せるようになっていきたいですね。まだまだパーソルグループでのチャレンジは続きそう。私のワクワクできる毎日も続きそうです(笑)」
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。