プロボノが拓く“はたらくWell-being”の新しい形【はたらくWell-being Donation】

パーソルグループは、「はたらく」を応援する寄付活動を「はたらくWell-being Donation」と位置づけ、“はたらくWell-being”を推進する組織・団体を支援することで、グループビジョン“はたらいて、笑おう。”の実現を目指しています。
今回は、2025年12月の寄付月間に合わせてパーソルホールディングス株式会社の南青山本社に「笑顔測定器」を設置。来場者の笑顔に応じて蓄積したポイントを金額に換算し、寄付を実施しました(実施内容などはこちら)。
今回集まった寄付金の寄付先は、認定NPO法人 サービスグラント(以下サービスグラント)です。2005年に日本における「プロボノ」の草分けとして活動を開始したサービスグラントは、2025年に活動開始20周年を迎えました。職業上の知識や経験を持つ多彩な人々による「プロボノ」での支援をコーディネートすることで「はたらく」を支援するサービスグラントへの寄付金贈呈のセレモニーでは、共同代表の岡本 祥公子氏にキャリア選択における課題や今後の展望について話を聞きました。

【プロフィール】
写真右:岡本 祥公子氏
認定NPO法人 サービスグラント 共同代表
人材会社に新卒入社、企業とクリエイターのマッチング業務に従事。 2009年より週末ボランティアとしてサービスグラントに関わりはじめ、初スタッフとして入職。2011年からは関西事務局長として大阪、神戸などでの活動を展開。2015年に東京に拠点を戻し、企業・行政等との協働プログラム運営、地域を応援する「ふるさとプロボノ」の推進のほか、人材研修プログラム「プロボノリーグ」、「ソーシャルアクションアカデミー」、「社会参加オープナー」なども担当。2019年の理事就任を経て、2025年4月より共同代表。 2022年度 東京都人生100年時代社会参加施策検討委員会委員、2024年度 国分寺市協働事業審査委員。

写真左:柳田 一記
パーソルホールディングス株式会社 はたらくWell-being推進室
2004年、大手電力会社に新卒入社。主に原子力領域の広報を担当し、情報発信と対話の設計に従事。2013年より外資系保険会社でブランドビジョンを軸とした社内外コミュニケーションを担当。2022年からはパーソルにて「はたらいて、笑おう。」の実現を目指し、“はたらくWell-being”の広報・コミュニケーションを推進している。

目次

課題を抱える組織と解決スキルを持った人材をつなげる「NPOのためのNPO」

サービスグラントという団体について、改めて教えてください。

岡本氏:サービスグラントは、2005年設立した「NPOのためのNPO」という立ち位置で活動している中間支援型の認定NPO法人です。日本には約5万のNPOがありますが、運営や広報のノウハウ不足により、その活動を十分に広げられていない団体も少なくありません。こうした課題を解決するのが、仕事の経験を社会貢献に活かす「プロボノ」の存在です。「プロボノ」とは、「公共善のために」を意味するラテン語「Pro Bono Publico」を語源とする言葉で、「社会的・公共的な目的のために、職業上の経験やスキルを活かして取り組む社会貢献活動」を意味します。私たちは、主に、ビジネスセクター、パブリックセクターで日々、課題解決に取り組んでいる社会人とNPOをつなぎ、協働プロジェクトが確実に成果をあげられるよう、その間を伴走しながらコーディネートしています。

パーソルグループは「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに掲げ、人材派遣や人材紹介、アウトソーシングなどのサービスを通じて、企業の課題解決に最適な人材をつなぐビジネスを展開しています。専門的なスキルを持つ「人」の力を、それを必要とする「組織」へと届けるという点では、サービスグラントの活動と非常に近いものを感じます。2005年の設立当時、やはりこうした「つなぎ手」としてのマッチングに対する強いニーズがあったんでしょうか。

岡本氏:当時、サービスグラントの創業者が地域活動を展開する中で、現場を担うボランティアは来てくれるけれど「組織運営」にまで踏み込んで関わってくれる人は非常に少ないという悩みを抱えていました。そんな折、アメリカで社会人グループがNPOのWebサイトを鮮やかにつくってしまうプロボノの現場を目の当たりにして、「これこそが日本に必要だ」と感じたことが原点です。その場その場の不足をカバーしたり、作業を手伝ったりするという関わりではなく、仕事で培った「課題解決の実行力」を組織の基盤強化にぶつける。そこにプロボノの真髄があります。
私自身、前職ではクリエイター支援に携わり、「仕事と人」をつないできました。NPOが担う領域はどうしても経済合理性が成り立ちにくい。でも、みんなで助け合うべき分野だからこそ、企業のプロフェッショナルなリソースをつなぐべきだという想いがあり、現在の活動に至っています。

越境経験をして自分の価値を相対化

パーソルグループでは、その人の“はたらくWell-being”の状態を捉えるために、3つの指標を設けています。
Q1. あなたは、日々の仕事に、喜びや楽しみを感じていますか?
Q2. 自分の仕事は、人々の生活をより良くすることにつながっていると思いますか?
Q3. 自分の仕事や働き方は、多くの選択肢の中から、あなたが選べる状態ですか?
この3つに「YES」と答えられる状態を重視していますが、プロボノはこの要素を非常に高いレベルで満たしているように思います。

岡本氏:まさにその通りです。社会人生活で培ったスキルを他でも生かしたいと、手を挙げてNPOのプロジェクトに参加する姿勢は「得意を生かす」「周囲への貢献」「自己選択」が確実に満たされています。さらに興味深いのは、参加者がプロジェクトを通じて「自分の経験を相対化できる」という点です。企業の中では当たり前だと思っていたスキルが、一歩外に出ると「こんなに喜ばれるんだ!」という発見になる。これが大きな自信や会社への感謝、エンゲージメントにもつながります。

「相対化」は私も経験があります。外の世界を見ることで初めて、「あれ、これって他の場所では当たり前ではないんだ」と気付かされました。

岡本氏:そうなんですよね。私たちのプロボノプロジェクトに参加される方でも「自分のこれまで、これからのキャリアを見直す機会にもしたい」という人は非常に多いです。

自分のスキルを試したいけれど、チャンスがない。そうしたときにプロボノのような越境環境で自身のスキルを試す機会を得るのは、極めて健全なプロセスだと思います。自らのスキルが外で通用するか試すことで、結果として今の仕事への感謝も生まれるような気がします。

岡本氏:利用者アンケートでも、参加者の76%が「新しい仕事にチャレンジしたい」と回答しており、実体験が意欲や次なるモチベーションに直結していることがわかります。人間的成長や視野の広がりについては9割近い方が肯定的な変化を感じており、ビフォーアフターで社会課題に対する知見も、自分の言葉で語れる経験もまったく違うものになっている様子が見られます。

「大人になってからの友達」が生む関係資本

岡本さんがおっしゃった「人の変化」という点で、プロボノを通じて得られる「関係資本」の価値も見逃せないと思います。企業の枠を超えて築いたご縁が、めぐりめぐって現在の仕事の発注につながることもあるのではないでしょうか。利害関係を前提としない場だからこそ生まれる信頼やつながりが、結果として仕事へと広がったり、長い目で見れば人生の財産になったりする。そこに、プロボノならではの意義があるのだと思います。

岡本氏:私は自分たちの活動のことを「健康的な出会い系」なんて呼んだりしています(笑)。プロボノの活動で知り合ったことをきっかけに、実際のお仕事の関係に発展するケースも生まれています。きっかけはプロボノでも、その後、普通に仕事の良いパートナーになったり。あるいはメンター的に年に一度会って互いの状況をフォローし合う。そんな「大人になってからの友だち」ができるのは、プロボノの大きな魅力です。

一方で、普段別々の組織に所属している方々が協業するならではでの難しい点などはあるのでしょうか?

岡本氏:プロボノでの協業はいわゆる指揮命令系統などの上下関係や金銭的なつながりがない分、より難易度の高いマネジメントが求められると思います。実際、プロボノでPM(プロジェクトマネジャー)を経験された方は、本業の部下への接し方が変わったとおっしゃっていました。指示命令ではなく、相手のやりたいことを尊重しながら進めるマネジメントスタイルは、まさに仕事に直接還元できるスキルです。

「利害関係がない」からこそ、本質的なチームワークが試されるわけですね。チームマネジメントのスキル向上という点でも非常に有効だと感じます。企業のような指示命令系統や給与という報酬がない環境で、いかに「共感」や「気持ち」をベースにチームを最後まで動かすか。これは本当の意味でのリーダーシップを磨く、究極の実践の場ではないでしょうか。

岡本氏:企業ではたらいているとNPOと直接関わる経験がまだ少ないために、ビジネスの理論をそのままストレートにぶつけてしまうといったことも発生します。優先順位や価値観が違う中での相互理解は丁寧に行う必要があります。

それもまた「経験」ですよね。実体験として、誰かとうまくいかない、誠意がぶつかる、当たり前が違うところから始まる混沌も含めて、それを乗り越える経験こそが、人生における財産になるのかもしれませんね。

キャリアを「ピボット」させ、人生の円周を広げていく

これからの時代のキャリア形成は選択肢を持つことが大変重要だと思います。パーソルグループは一定の条件を除いて複業も自由に行っていい規則ですし、他のグループ会社で複業を行うことも可能です。本業を軸足として、もう一方の足をどれだけ自由に広げ、動かせるか。その円周を広げれば広げるほど、人生は豊かになるはずです。複数の選択肢を持っている状態こそが、活力の源泉になるのだと思います。

岡本氏:その「円周」を広げることが、個人の多様性を広げることにもつながりますね。「仕事の報酬=お金」という固定観念から少し解放され、「役に立つ喜び」をはたらくの一部として捉えられれば、日本の“はたらくWell-being”はもっと上がっていくはずです。

日本は世界的に見ても「はたらく」ことが好きだと答える割合が低いというデータがありますが、特に「楽しさ」という因子を上げるには、こうした「主体的な貢献」の場が必要かもしれません。
最後に、これからの展望についてお聞かせください。

岡本氏:プロボノを一時的なブームではなく、日本の文化として定着させていきたいです。企業の中でも「プロボノに行ってきなよ」と背中を押す文化ができれば、もっと多くの人が安心して飛び出せるはず。助け合いの仕組みを、もっと太くしていきたいですね。また、シニア層の方々のネットワーク作りや、個人の中の多様性を広げる場としても貢献していきたいです。

私たちパーソルグループとしても、プロフェッショナルな人々が社会課題の現場で活躍し、笑顔になれるような「はたらくの未来」を、サービスグラントとともに支えていきたいと改めて強く感じました。本日はありがとうございました。


パーソルグループでは、グループビジョン“はたらいて、笑おう。”の実現に向けて、これからもさまざまな活動を支援してまいります。

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。

このページをシェアする
目次
閉じる