悪しき「当たり前」を打ち破り、インドの未来を「あるべき姿」へと変えていく挑戦。Jyoti Solanki/PERSOL Group Awards2025 歩み続けるそれぞれのストーリー

パーソルグループでは年に1回、グループ内表彰「PERSOL Group Awards」を実施しています。「PERSOL Group Awards」とは、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を象徴するパーソル社員とその仕事の成果に贈られる、グループで最も栄誉ある賞のこと。各SBU、およびユニットに貢献し、提供価値を創出した社員を表彰しています。

本連載「歩み続けるそれぞれのストーリー」は、2025年度「PERSOL Group Awards」を受賞した社員たちそれぞれが、どんな人生を歩んで成長し、受賞の栄誉を勝ち取るに至ったのか——。彼らの人生を形づくるバックボーンや、仕事への情熱、そして大切にしている想いが生まれたエピソードなど、これまでの歩みをストーリーでご紹介します。

プロフィール:
PERSOL India(旧:PERSOL KELLY India)/Jyoti Solanki(2018年入社)

受賞案件サマリ:
Jyotiは、インド政府との協業により、インド全土の農業従事者への教育提供や雇用機会の創出を通じ、彼らの生活を豊かにすることを目的としたプロジェクトを推進。同時に、教育組織においてリーダーとなる人材の発掘などにも尽力している。このプロジェクトは、PERSOL KELLY Indiaとしてはじめてインド政府と連携したものであり、社会的意義を優先した画期的な取り組みである。

目次

厳しい暮らしゆえに明るい未来を描けないことが「当たり前」の世界

私はインドの小さな村に生まれた。インドのどこにでもある典型的な村の、よくある大家族の娘の一人だ。村の唯一の産業は農業で、私の父も近隣に住む親戚も、みんな農業を営んでいた。

インドには約1億4,000万人の農業従事者がいる。これは総人口の60%に相当する。
農業はインドの一大産業と言える。けれど、農家の平均月収はわずか150ドルに過ぎない。家族全員が満足に食べるのには、圧倒的に足りない。だから少しでも多く稼ごうと、子どもたちも農業を手伝う。高等教育を受けずに、はたらき手として育つ。だから、この状況を打破するアイデアを生み出す知見を身につけられない。結果、生まれたときからある環境を「当たり前だ」と思って受け入れ、目の前の生活のために汗水を流してはたらき、そしてこの悪しき「当たり前」を次の世代へと継いでしまう。
私も同じ環境で育った。だから、幼いころは「これが当たり前なんだ」と受け入れていた。

ただ、私たちの家は、インドの多くの農家と違っていた。
私たちには、その古くから続くインドの農業の悪しき「当たり前」に抗った、勇敢な父がいたのだ。

父は自分の手で畑を耕すことを止め、生まれ育った土地を離れて大都市デリー近郊に引っ越し、工場を建てて会社を興した。幸せをつかむために。
おかげで、私たち家族はそれまでと比べて豊かな生活を手に入れ、私は大学院まで学び続けることができた。
これはインドの農家にとって稀有で、何より幸せな例外だ。

私は父をとても尊敬している。
父は経験も知識もない状態から、私たち家族のために、身を粉にして日夜はたらいてくれた。それをすぐ間近で見ていたから「私もいつかは、父のように起業したい」と思うようになった。父が、誰もが当たり前として受け入れている環境を打破し、変化を起こして幸せをつかんだように、私もこのインドをより良いほうに変化させる起業がしたいと考えるようになったのだ。

私は父にとても感謝している。
幸せを願う気持ちがあれば、大きな決断をして行動するべきだと教えてくれたから。そして、必死にがんばれば、変化を起こすことができ、幸せをつかむことができるのだと、見せてくれたのだから。

父にもらったチャンスを活かし、母国の未来を幸せに変える仕事をつくりたい

私は大学と大学院を通してビジネスについて研究した。ファイナンスについても、副専攻として学んだ。知識も経験もなく、苦労しながら会社を経営していた父の姿に「起業には知見を持つことが重要だ」と感じていたのだ。そして学ぶ中で、「父にもらった学ぶチャンスを活かし、より多くの人の幸せを、インドを変えることで実現するビジネスをつくりたい」と願うようになった。それで、修了後は企業への就職を選んだ。

就業したのは、人材業界やヘルスケア業界。採用やリサーチの業務を手がけた。さまざまな経験を通して起業に必要な知見を身につける期間、と最初の10年を捉えていたから、積極的かつ貪欲にたくさんのチャレンジもした。
その間に結婚し、子どもも生まれたことで、「インドをより良く変えたい」という想いはさらに強くなった。これまで以上に「子どもたちの幸せのためにどんな変化がインドに必要か」と具体的に考えるようになったのだ。

そんな私の想いを汲んで、先に転職していた前職の上司が誘ってくれたのが、当時のPERSOL KELLYだった。「誰もが自分の能力に適した仕事に就くチャンスを得られる環境は、これからのインドにとても重要。その変化を起こすことができる可能性が、この会社にはある」
そう感じ、私は2018年にPERSOL KELLYに入社し、成長著しい企業へのエグゼクティブ人材の紹介をメインの業務として手がけた。
紹介した人材が、その企業の成長を加速する。そしてその企業の成長が、インドの成長につながる。そんな責任感とやりがいを感じながら、業務に没頭した。2023年にはインド西部地域の支店長などを任されるようになり、優秀なエグゼクティブ人材だけでなく企業の決定権者、役員や社長と言った経営のプロたちと会うことも多くなった。彼らと話す中で得られる知見や気付きは大きかった。刺激にあふれる日々の中で「この会社ではたらく時間は、起業にとって大きなプラスとなっている。この経験を活かして、どんな事業を興すべきだろう」と考えていた。

2024年、インドにとって、そして私にとっても大きな転換点となるプロジェクトが始まったのだ。

インドの歴史の転換ともいえるプロジェクトに、経験ゼロから挑む

それは政府のプロジェクトだった。インド全土の農業従事者への教育提供などを通じ、彼らの生活を豊かにすることを目的としていた。農業従事者の収入を守るために、協同組合を立てるといった内容もあった。
PERSOL KELLYにも声がかかった。だが、通常は応札をしない案件だ。ビジネスの対象としている業界とまったく異なる上に、先に上げたような事業の推進は未経験だからだ。しかし、私は「絶対に手がけたい」と思った。
インドの農業従事者の平均月収は、満足な生活を営むにはまるで足りない低水準だ。
その大きな理由には、農作物を扱う中間業者にかかわる根本的な問題が横たわっている。卸や販売ルートの整備がなされていない環境では、農家の収入は増えず、生活は楽にならない。
これが、インドの農業の悪しき「当たり前」をつくっている正体だ。

その「当たり前」に国がメスを入れると英断した。市場から中間業者を排除し、国がサポートする協同組合で農作物を売買・流通させるのだ。それが実現すれば、農家の収入が増加して生活が安定する。労働に見合った収入を得られる産業へと適正化されるのだ。
だからこそ「絶対に手がけたい」と私は思った。

その想いは、上司も同じだった。
「インドが正しく成長するより良い未来のために不可欠なプロジェクトだ。だからこそ、当社が手がけたい」と言ってくれた。さらに「これは現在の利益のためにやる仕事ではない。未来の価値を創出するためのプロジェクト。いわば投資だ」と、通常の半分の利益でコンペに挑むことを決断してくれた。その結果、PERSOL KELLYがこのプロジェクトの主幹企業の座を獲得できた。

私たちはチームを率いて、農村を訪れ、農家の説得に奔走した。インドにとって、農家にとって、はじめての試み。今、収入を得ている売り先を変更し、農作業の時間を減らして教育などに費やすのだ。農家にとって不安は大きい。プロジェクトに可能性を感じ、賛同してもらうのには苦労した。しかし、「現状を打破し、幸せをつかむために必要な一歩だ」と情熱を持って話し、理解を得ていった。

その情熱に、賛同してくれたのは、農家だけではなかった。農業協同組合やインドの農業改革を牽引する新企業のトップを請け負ってくれた人材もまた、「このプロジェクトはインドの未来のために重要だ」と賛同してくれた。すでに大企業で成功を収め、国外で地位も名誉も手にしたエグゼクティブ人材たち。そんな貴重な人材が、今より低い報酬・給与で、オファーを受けてくれた。母国の未来、そしてインドに住まう人の幸せのために、と。

最初の一歩は大きく踏み出せた。この先も幸せな未来へ、止まることなく歩み続ける

成果は、驚くほど早く、数字となって表れた。
1年も経たず、2,000万人以上の農業従事者のサポートが実現し、彼らの収入は50%以上増加した。家族が3食をしっかりと摂ることができる生活水準になった農家も多い。今後は100%、200%の収入増加を目指し、さらに多くの参加者を募る計画だ。
インドは変わり始めた。より良い幸せな未来へと、歩み出したのだ。

私も変わった。
「どんな企業を興して、インドを変化させようか」と考えていたが、このプロジェクトを通じて、道筋が見えてきたのだ。
農業から、インドを変えていきたい。農業は生活に欠かせない食をつくり出す産業。何より圧倒的多数の人がかかわる産業だ。国に与えるインパクトは大きいのだ。
プロジェクトを通じて、農業というインドの一大産業が大きく変わる可能性を持っていることを実感した。私はその変化をサポートし、加速させたい。その分野は、やはり私が得意とし、知見を培ってきた人材業界。
これから農家はもっと豊かになる。そうすれば、高等教育を受け、未来に目を向けられる人材が現れてくるはずだ。その人材の、能力や志向に適した職を紹介したい。新たに生まれる人材が、能力を発揮して活躍するチャンスをつくりたいのだ。それが次のインドをつくる。これからの世代に受け継ぐべき、より良いインドを。

このプロジェクトを牽引する、その業務をPERSOL KELLYで手がけられて本当に良かったと思っている。私たちがインドの農業に起こした変化は、まさに「はたらいて、笑おう。」なのだ。農家だけではない。かかわる私たちも、その変化を笑顔で喜べている。

はたらく上で私が常に大切にしていることがある。それは「誇りを持つ」こと。それは、役割や経歴、場所に関係なく、自分の仕事に尊厳・目的・喜びを見出せること。
そのために、はたらくことが単なる収入の手段ではなく、はたらくことで成長し、誰もが大切にされていると感じられる社会が必要だ。
今後、インドの農業は、ちゃんと稼げ、未来への希望と誇りを持てる職業に変わる。農業からそんな社会へと変わっていく。私が変えていく。「はたらいて、笑おう。」を当たり前にしていくのだ。このような仕事に就けるチャンスをくれた父に感謝しつつ、私の子どもや次の世代にそんな社会を手渡せるようにはたらく自分を、とても誇りに感じている。

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。

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