
パーソルグループは、将来世代を重要なステークホルダーと位置づけ、対話を強化する
その取り組みをさらに前進させるべく、パーソルホールディングス株式会社は2025年4月に「FR推進室」を新設しました。全国の小・中学校向けのオリジナルキャリア教育プログラム「“はたらく”を考えるワークショップ」の企画・運営をはじめ、将来世代と社会をつなぐ多様なプログラムを開発・実施しています。
その一つが、FR活動を通じて得た知見をもとに、現役世代に向けて開発された越境型共育研修「Connect」。重要度が高いにもかかわらず、後回しにしてしまいがちな自分の「はたらく」を探求する3日間のプログラムです。Day2では「“はたらく”を考えるワークショップ」と接続し、将来世代からのインタビューに答える越境体験が組み込まれています。今回、FR推進室の室長・竜田 遼と、同室の馬場 瑞紀に、Connect研修が生まれた背景と、越境体験を通じて社員にどのような変化が生まれるのかを伺いました。

竜田 遼
パーソルホールディングス株式会社 FR推進室 室長
インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)入社後、キャリアアドバイザーとして個人の転職支援を行う。2018年10月より戦略人事、組織・人材開発に軸足を移し、並行して「“はたらく”を考えるワークショップ」を立ち上げる。2021年6月に、小・中学校向けのキャリア教育プログラム「“はたらく”を考えるワークショップ」を推進するキャリア教育推進グループを立ち上げ、2025年4月より現職。

馬場 瑞紀
パーソルホールディングス株式会社 FR推進室
新卒から一貫して人事を担当、これまで金融業界/IT業界/人材業界を経験。2016年5月インテリジェンス(現パーソルクロステクノロジー株式会社)にジョインし、人材育成・組織開発からダイバーシティなどを担当。2023年パーソルキャリアへ転籍し、現在は日本全国の小・中学校でのワークショップの実施と社員向けのキャリア研修を担当。Well-Beingやアンコンシャスバイアス、Gallupストレングスなどの知見を活かし、社外でもコーチングやワークショップを通し幅広い年代のキャリア支援を行う。
「はたらく」を未来につなぐために、FR推進室は生まれた
——2025年4月に新設された「FR推進室」について教えてください。
竜田:FR推進室は、将来世代との長期的な関係性構築の推進を目的として新設されました。パーソルグループでは、2023年から未来の「はたらく」を担う将来世代との対話を強化しています。グループビジョン「はたらいて、笑おう。」のもと、「はたらくがワクワクする未来」をテーマに、“はたらく”を考えるワークショップを軸にしながら将来世代に向けた「はたらく」を考える機会の提供を行っています。現在は、私と馬場の2名がFR推進室に所属し、活動を推進しています。
子どもとの対話が生んだ、越境型共育研修「Connect」
——今回、将来世代と現役世代による越境型共育研修「Connect」を開発し、実施されているとお伺いしました。開発の経緯を教えてください。
竜田:発端は、「“はたらく”を考えるワークショップ」で行っていたプログラムの一つ、「おとなインタビュー」です。これは、将来世代が大人との対話を通じて対話力を培うことを目的としたもので、インタビューを受ける大人はパーソルグループの有志社員が担当していました。ところが、子どもたちからの他意のない問いかけに答えるのは意外と難しく、終了後に「自分の答えは本心だったのだろうか」「子どもたちに話したように、はたらけているのだろうか」と内省する社員の姿が見られたんです。
私自身も講師として子どもたちの前に立つと、自分が言った言葉が自分に返ってくる感覚がありました。たとえば「仕事は価値を提供するもの」と伝えたときに、「自分は本当に価値提供できているのか?」と問い直すような感じですね。そうした気付きによって、現役世代が自分のキャリアを見つめ直すきっかけになると感じ、「おとなインタビュー」のエッセンスを現役世代向けの研修として形にしました。約3カ月でプロトタイプを完成させ、まずはグループ会社内で実施し始めました。

——開発に際して、こだわった点はありますか?
竜田:各自のはたらく目的と、今携わっている業務や仕事をきちんと接続させることにこだわりました。研修の中で、「はたらく」とはありたい姿と接続された仕事の「目的」、「仕事」とは「はたらく」を実現するための「手段」、とお伝えしています。自分なりの「はたらく」を定義した上で、現業とどうつながるかを考えてもらう設計にしているんです。自分の価値観と仕事が結びつくことで、主体的に業務へ向き合ったり、やりがいを持ってはたらけたりすると考えています。
馬場:実施する中でも、「自分の気持ちを言語化してもらう」より、そもそも「自分の気持ちに気付く」ことのほうが大切だという発見がありました。たとえばキャリア開発研修として行うと、人によっては「研修の場にふさわしい答え」をつい言ってしまうことがあります。「なぜ自分ははたらくのか?」という問いに対して、「お客さまのために」「感謝されるために」といった答えが出たとき、それが本心であれば「はたらく」の定義につながりますが、そうではない場合もあるんですよね。
そこでConnect研修では、本人の潜在的な想いが自然に表れるよう、コラージュを使ったワークを取り入れています。自分で作成したコラージュをもとに他者と対話することで、「本当はこんなことを大事にしていたんだ」「これを原動力にしていたんだ」といった自分自身の本音に気付いていくんです。


子どものまっすぐな質問が、大人の心をほどく
竜田:Day1で自身の「はたらく」を定義し、Day2で「“はたらく”を考えるワークショップ」と接続させ、小・中学生からインタビューを受けます。質問をする子どもたちにとっての目的は対話力を培うことなので、子どもたちには事前のワークで質問設計をしっかり行ってもらいます。たとえば、過去には「将来の夢をよく聞かれるのですが、〇〇さんは夢はありますか?」という質問や「子どものときの将来の夢はなんですか?」「その夢が叶わなかったのはなぜですか?」という質問を投げかけられたことがありました。ビジネスパーソン同士ではまず出てこないような純粋でまっすぐな質問に、現役世代が思わずたじろぐ場面も少なくありません。
馬場:現役世代は最初、“大人”として子どもたちと向き合うのですが、質問を受けるうちに「社会人」「ビジネスパーソン」「上司」「部下」といった鎧が少しずつ剥がれ、一人の“人”として子どもたちと対峙します。インタビューを終えると、肩を落とす人や落ち込む人もいますが、Connect研修はDay3の際、現役世代同士でインタビューし直す時間を設けています。その中で、「自分は確かに積み重ねてきたことがある」「大切にしてきた思いがちゃんとあった」と気付き直す。子どもとの対話で揺れた心を、自分の言葉で整理し、再び「はたらく」に向き合う時間になっています。

Connect研修が描く、越境と循環の未来
——Connect研修では3日間を通して、自身の「はたらく」を探究するかと思いますが、そもそも自身のはたらく目的があると何が良いのでしょうか?
竜田:私は3つあると考えています。まず1つ目は、「仕事が自分に寄ってくる」こと。目指したい方向が明確になると、自然と関連する情報や人が集まりやすくなります。上司からも「この仕事を任せてみよう」と判断するきっかけになるなど、チャンスが広がる可能性があります。2つ目は、「仕事を主体的に取りにいける」こと。目的が明確だからこそ、必要な経験やスキルも見えてきて、目的に近い仕事に自ら手を挙げやすくなります。自分の判断軸ができ、キャリアの舵を自分で取れるようになるんですね。そして3つ目は、「手放すものが決まる」ことです。目の前の業務に追われがちなビジネスパーソンにとって、何をやらないかを決めるのは大切な選択です。手を抜くのではなく、目的に沿って効率的に仕事を進めるための工夫をし、目的に合った仕事に注力できると“はたらくWell-being”の向上にもつながります。
馬場:自分のはたらく目的に向き合うことは、突き詰めれば「自分の人生をどう生きたいか」と向き合うことだと思います。今の自分の立ち位置は、将来の自分と地続きなのです。はたらく目的は誰かから与えられるものではなく、自分の中にあるもの。自分自身で見つけるためのサポートとして、Connect研修を活用してもらえたらと思います。
——今後の展望を教えてください。
竜田:現在、Connect研修はパーソルグループ各社のキャリア開発研修として展開していますが、将来世代と現役世代が越境することで生まれる価値をぜひ、多くのビジネスパーソンに体感してほしいです。子どもたちとの対話を通じて、内省が促されることはもちろん、伝え方や話す順序を意識するなど、コミュニケーションの質にも変化が生まれます。これは、社内の先輩・後輩、上司・部下といった関係にも共通していて、年齢や立場を越えて学び合えるきっかけになるはずです。
また、現在Connectを社員の越境研修としてほかの企業にも取り組んでいただける仕組みをつくっています。より多くの企業に参画をいただくことで、将来世代がさまざまな大人から学び、同時に現役世代が自身のはたらく目的に立ち返る機会を両立していきたいと考えています。
馬場:私は、Connect研修を通して、自分の人生を肯定できる人を増やしていきたいです。誰かに褒められたり認められたりすることはうれしいですが、それ以上に、自分自身を認めることが何より大切だと思っています。自分を受け入れることで、はじめて自分の人生が切り拓かれる。パーソルグループだけでなく多様な企業とも手を取り合いながら、私たち現役世代が持続可能な社会をつくり、将来世代へつなげていけたらと思いますね。
越境型共育研修「Connect」についてのお問い合わせ
現在、FR推進室ではConnect研修の実施企業を募集しています。人事、人材育成担当など実施にご興味をお持ちの企業のご担当者がいらっしゃいましたら、下記お問い合わせフォームにてご連絡いただければと思います。
問い合わせ:phd_hataraku-ws@persol.co.jp
担当者:パーソルホールディングス株式会社 FR推進室 竜田 遼/馬場 瑞紀
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。





