
パーソルホールディングス株式会社では、パーソルグループの上級管理職者を対象に「最高のリーダー化プログラム」を実施しています。2024年度は、“「はたらく」社会問題の暗闇に新たな灯りをともす”をテーマに掲げ、社会課題の解決を目指してソーシャルインパクトを創出する実践型社会イノベーション研修を実施しました。そしてこの度、本研修に参加したパーソルキャリア株式会社の大野 翔吾が、学校向け教育支援プログラム「Leader in Me(リーダー・イン・ミー)」を基盤に構想・提案し、さらに児童養護施設向けにアレンジした「2025年度 児童養護施設対象 研修助成『リーダー・イン・ミー』研修プログラム」(以下、本プログラム)が、一般財団法人 篠原欣子記念財団(以下、しのはら財団)にて採択されました。希望する児童養護施設を対象(地域限定)に、研修助成として職員と子どもたちに提供されます。
●しのはら財団とは
しのはら財団は、パーソルテンプスタッフ(旧テンプスタッフ)の創業者・篠原 欣子が2014年に設立した非営利財団です。パーソルグループの経営理念「雇用の創造」「人々の成長」「社会貢献」を原点として、保育・介護・福祉分野を中心に資格取得を目指す学生に奨学金の給付や助成などを行い、人材育成と社会課題解決に取り組んでいます。
●「Leader in Me」とは
米国のフランクリン・コヴィー・エデュケーションが開発した教育支援プログラムで、「7つの習慣」と「4つの規律」を基盤としています。すべての子どもの「内なるリーダーシップ(主体性、自尊感情、自己有用感、他者との協働の姿勢など)」を育成し、学校全体でリーダーシップ文化を醸成することを目指しています。
本記事では、大野が本プログラムを提案するに至った背景や、プログラム内容、そして期待される効果などについて紹介します。
本プログラムの考案背景 ―児童養護施設を取り巻く課題―
日本には、家庭の事情により親と暮らすことができない子どもたちが生活する児童養護施設があり、そこでは、子どもたちと、子どもたちに日々向き合う職員の双方が、さまざまな課題を抱えながら過ごしています。
多くの職員は児童福祉への強い想いを持って施設に就職しますが、巣立った子どもたちのその後の幸せを知る機会が少なく、貢献の実感を得にくいというのが現実です。また、子どもたちから「普通の家庭で育った人には私たちのことは分からない」と距離を置かれてしまうこともあり、業務は決して容易ではありません。その結果、離職するケースも少なくなく、十分な支援体制の維持が難しくなるという課題も生じています。
さらに、施設で暮らす子どもたちの多くは、心身に障害があったり、家庭環境に恵まれずトラウマを抱えていたりと、複雑な背景を持っています。それでもなお、子どもたちには自分らしく、力強く人生を歩んでいけるようになってほしい──、そんな想いから、大野は施設という日常の場を活かし、子どもと職員がともに学び合い、リーダーシップを育む本プログラムを考案。そして、この構想を保育・福祉分野で長年支援を続けてきたしのはら財団に提案しました。
プログラムの内容
本プログラムは、フランクリン・コヴィー・エデュケーション・ジャパン(※1)の講師による研修や、施設内でのファシリテーターの育成支援などを通して、児童養護施設内にリーダーシップを発揮する文化を育むことを目指す取り組みです。3年間をかけてその基盤を構築し、4年目以降には施設が自走できる状態を目指します。
まずは職員を対象に、「7つの習慣」に基づく研修を提供し、児童・生徒の自立・自律を促すためのマインドセットとライフスキルを身につけ、日常の中でリーダーシップを発揮できるよう学んでもらいます。その上で、子どもたちには「7つの習慣」を実践する職員の姿を模範としながら、日常生活にその考え方を取り入れてもらいます。さらに、子どもたちには生活指導の一環として、職員によって定期的に開催されるワークショップにも参加してもらうことで、子どもたち自身がリーダーシップを育む機会を得られるよう設計しています。
【子どもたちが学ぶ「7つの習慣」】
第1の習慣:自分で考えて行動する。自分に責任を持つ。
第3の習慣:大事なことから今すぐに。自分の約束を守る。
第5の習慣:わかってあげてから、わかってもらう。お互いにわかりあう。
第7の習慣:自分を磨く。バランスが大事。
第2の習慣:ゴールを決めてから始める。何が大切かを考える。
第4の習慣:Win-Winを考える。みんながハッピー。
第6の習慣:力を合わせる。みんなで考えた方がうまくいく。
本プログラムから開かれる新たな未来
今回のしのはら財団における本プログラムの採択は、児童養護施設の職員と子どもたちに新たな可能性をもたらすものです。
特に子どもたちが主体的に学び、協働し、社会に貢献できる力を育むことは、次世代のビジネスパーソンが自分らしく「はたらく」ことを後押しすることでもあり、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」の実現にもつながります。
本プログラムを起案、しのはら財団に提案した大野の想いと展望
「最高のリーダー化プログラム」で多くの社会問題に触れる中、私が最も強く惹きつけられた対象が、“子ども”でした。自身が二児の父であると同時に、幼少期に親との関係で悩んでいた期間が長かったからだと思います。
早く成果につなげるために、自社でゼロから解決策を考えるより、既に近しい取り組みを進めている方々の協力を求め、フランクリン・コヴィー・エデュケーション・ジャパンに、この構想を持ち掛けました。
パーソルの礎を築かれた篠原さんの想いを体現されている“しのはら財団”に共感いただけて光栄です。
このプログラムを通じて、出自や家庭環境を理由に、幸せな未来を諦めてほしくない。パーソルとして、“はたらく”手前で苦労している人、困っている人にも、貢献したい。そう思っています。

(※1)「Leader in Me」を日本国内で導入・運営する企業
パーソルグループは、さまざまな「はたらく」の社会問題に向き合い、その解決に向けての施策を考案するとともに、将来世代の教育や教育プログラム開発などにも注力し、それらを社会実装につなげることで、新しい価値を社会に届けていきたいと考えています。
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。





