【パーソルの社会課題解決ストーリー ~100万人のはたらく機会創出に向けて~|第3回】地域の未来は“副業”で変わる —— HiPro Direct for Localが目指すスキル循環社会

パーソルグループはグループビジョンとして「はたらいて、笑おう。」を掲げ、誰もが自分の意思で「はたらく」を選び、自分なりの価値を発揮する社会の実現を目指しています。
本連載では、パーソルグループが描く2030年に向けた価値創造ストーリーの「今」の姿として、「はたらく」にまつわる社会課題の解決に挑む、リアルな取り組みの数々をご紹介します。

第3回は、地域企業の慢性的な人材不足や地域間でのスキル偏在といった課題に対して「地方副業」という新しい可能性を提供し、地域経済の活性化と個人のキャリアの可能性拡大の両立を目指す「HiPro Direct for Local」(ハイプロ ダイレクト フォー ローカル)を紹介します。

HiPro Direct for Localの取り組みと関わりが深い社会課題

本記事のサマリー
・HiPro Direct for Localを通じて、地域企業とプロフェッショナル人材の副業マッチングが着実に拡大
・ビジネスの最前線で活躍する人材が、高度なスキルを活かして地域企業の課題解決に貢献
・副業を通じたスキル循環社会の構築を目指し、地域経済と個人のキャリアの可能性を広げる

目次

地域の「はたらく」課題解決に向けた「地方副業」というアプローチ

日本では、人口減少や若年層の都市部流出が進み、地域企業は慢性的な人材不足に直面しています。採用活動に苦戦する地域企業は必要なスキルを持つ人材を確保できず、事業の成長機会を逃してしまうことも少なくありません。一方、都市部には多様なスキルを持つ人材が集まり、地域間でのスキルの偏在が顕著になっています。
また、副業を希望する個人は年々増加しており、キャリアの選択肢として「副業」を捉える動きも広がっています。しかし、企業側に受け入れ体制や制度上の障壁、正社員中心の雇用慣行が根強く残っているケースもあり、柔軟なはたらき方が浸透しにくいという現実もあります。
こうした課題に対し、パーソルキャリア株式会社が展開するHiPro Direct for Localは、「地方副業」という新しいアプローチでソリューションを提供しています。都市部の人材が持つスキルと地域企業の課題を結びつけることで、地域経済の活性化と個人のキャリアの可能性拡大を同時に実現することを目指しています。

「doda」で培った強みを活かしプロフェッショナル人材の副業を支援

HiPro Directは、事業成長に必要なノウハウを求める企業と、スキル・経験を活かして副業を希望する人材を結びつけるプラットフォームです。企業は案件を募集サイトに掲載し、個人はスキルに合った案件に応募。企業が応募者を選考し、直接業務委託契約を締結することで副業がスタートします。
2025年9月時点で約5万人のプロフェッショナル人材が登録しており、その約7割が現役会社員の副業希望者。年収600万円以上の高年収層が約7割、30〜40代が6割を占めるなど、ビジネスの最前線で活躍するハイクラス人材が多数登録しています。
その中でHiPro Direct for Localは、地方副業に特化したサービスとして2023年4月にスタートしました。パーソルキャリアがこれまで培ってきた地方自治体や地方銀行との連携実績、全国のパートナーとのネットワークを活かし、他社にはない豊富な地方副業案件を提供しています。また、転職サイト「doda」を中心とする人材紹介サービスで培った採用ノウハウ、高いマッチング技術など、さまざまな強みがHiPro Direct for Localにも活かされています。
地域企業の副業活用支援を担うHiPro Direct Client Success for Localグループに所属し、アシスタントマネジャーを務める日置 有貴子はこう語ります。
「当社が特に優れていると感じるのはプロダクト設計力です。HiPro Directのマッチングプラットフォームは直感的に使えるシンプルなUI(ユーザーインターフェース)で、はじめて使う方やPC・スマホが苦手な方でも迷わず操作することができます。また、企業の課題整理や人材要件の明確化に活用できる『ジョブコード(業務内容を細分化した分類コード)』をシステムに導入するなど、支援する私たちにとっても非常に頼もしい存在です」

地域企業におけるマッチングの推移

出所:パーソルキャリア調べ

地域企業と副業人材のマッチングで「ピースがはまる」瞬間

日置は、地方副業におけるマッチングの特徴について、「地方副業というキーワードに惹かれる方は、『ゆかりのある地域の役に立ちたい』『自分のスキルを社会に還元したい』といった貢献意欲があり、企業の課題にも共感してくださる方が多いので、地域企業との相性が非常に良いと感じます」と語ります。そのため、HiPro Direct for Localの導入事例には、企業と個人のスキルが“パズルのピースのように”ぴたりと合致するケースが多く見られると言います。
「たとえば山形県の肥料製造企業では、GX(グリーン・トランスフォーメーション)認証の取得支援という、かなり高度な専門性を求めていました。私たちも正直マッチングは難しいかもしれないと思っていたのですが、一人だけ“ドンピシャ”の応募者がいらっしゃったんです。その方は、『副業をやりたいけれど、自分の専門性が限定的なためスキルを活かせる場所があるのだろうか』と考えていたらしく、決まったときはとても喜んでくださったそうです」
また、福岡県の伝統工芸企業では、手作業が多くを占める製造工程の原価管理に課題を抱えていました。そこに、繊維系企業で長年にわたり経営管理・生産管理を担ってきた60代の方が応募。ニーズに合致したスキルに加え、経営目線を持ち合わせていたことで企業の悩みに対する深い理解と共感にもつながり、理想的なマッチングとなりました。企業人として培ったキャリアを活かしながら、新たなチャレンジとして地域企業の課題に向き合い、伝統工芸の存続という大きな価値を生み出している事例です。

副業が地域を変え、「スキル循環社会」につながる未来へ

HiPro Direct for Localは、さまざまな地域でイベントを開催するなど、今後も地域との接点を増やしながら関係人口の拡大を図っていきます。一方で、改善すべき点もあります。現状では企業が自社のマッチング情報しか把握できないため、他社の事例から学ぶ機会が限られています。マッチング情報の可視化やAIによる課題整理・人材提案など、今後のサービス進化によってさらなる価値提供を図っていきます。
パーソルキャリアが副業支援を通じて目指すのは、「スキル循環社会」の実現です。個人が持つ知見や経験が、1社に閉じることなく複数の企業で活かされることで、企業と個人が相互に成長し、社会全体が活性化していく——。そんな未来を、パーソルキャリアは本気で描いています。

スキル循環社会のイメージ

「担当者からのメッセージ」

実は、「for Localグループ」に配置された当初、地方企業についてはあまり詳しく知りませんでした。でも、地域がどんな状況にあり、そこで暮らす方々がどういうことを考えているのかを知るうちに、「地方副業」の可能性をもっと伝えたいと考えるようになり、意欲ややりがいにもつながりました。より多くの方が地域の今を知り、「関係人口」としての一歩を踏み出すことで、未来は確実に変わっていくと思います。
地域企業の方々も、以前は副業という新しい取り組みに対する慎重な姿勢や、「どこまで親身になってくれるのか」といった懸念を持たれていました。しかし今では、「やってみようか」「面白そうだね」と言ってくださるようになり、昨年と今年を比べても反応が大きく変わってきたことを実感しています。今後も企業の方々が本音を話せる相談相手として寄り添いながら、ともに課題を整理し、解決に向かうプロセスを通じて、単なるマッチングを超えた価値を生み出していきたい。そして、地域企業だけでなく大手企業も含めて、副業人材が社内にいることが当たり前になるような世界をつくっていけたらいいなと思っています。

パーソルキャリア株式会社
doda事業本部 タレントシェアリング事業部
HiPro CX統括部
HiPro Direct Client Success部
HiPro Direct Client Success for Localグループ
日置 有貴子

パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会を創造します。

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